雰囲気が少し違うグータッチ。休養した原監督に代わって指揮を執った川相監督代行(右)が、金城を出迎えた(撮影・中鉢久美子)【拡大】
重い空気を、ベテランが振り払った。両軍無得点で迎えた七回二死一、二塁。金城がモスコーソのチェンジアップを捉えた。打球は、古巣のファンが陣取る青一色の右翼スタンドに消えた。
「いい仕事ができて、最高の気分。自分がチャンスをつぶさないように、振り抜くことだけを考えていた。(横浜で)元気な姿を見せられて、よかったです」
スタンドで観戦していた家族とG党だけではない。ベイファンも無意識に拍手を送っていた。昨年まで16年間、プレーをした古巣の本拠地で移籍1号。2013年9月17日のヤクルト戦(横浜)以来、自身1年7カ月ぶりの感触だ。昨秋、コーチ就任要請を固辞し、新天地でのプレーを選んだ38歳。横浜で打ちたい。その思いは強かった。
巨人にとって、勝たねばならない試合だった。午後3時、ベンチ裏のロッカールームで、原沢球団代表が、選手に原監督の休養を伝えていた。
「原監督が今朝、インフルエンザB型に罹患(りかん)していることが確認された。先ほど連盟に、アグリーメントに従って、川相ヘッドコーチが監督任務を代行すると報告した」
DeNA戦が雨天中止となった前日14日夜、東京都内の自宅に戻った指揮官は38度を超える発熱を訴えた。この日午前、医師の診察で感染が判明。昨年5月に父・貢さん(享年78)が倒れ、1試合休んだが、「病欠」は監督通算12年目で初めての事態だった。