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【東京】大空襲「終戦子」が描く 笹岡照子さん 銅版画個展
終戦の年に生まれ、東京大空襲を題材にした銅版画を制作している横浜市金沢区の主婦、笹岡照子さん(70)の個展「終戦子(しゅうせんこ)70歳」が、港区北青山のアートスペース・リビーナで開かれている。戦後の歩みとともに年を重ねてきた笹岡さんは「七十歳を迎えた感慨を、来場者の方々と分かち合えればうれしい」と語る。 (松尾博史) 十九日まで開催される個展では、笹岡さんが主に六十代になってから手掛けた東京大空襲の銅版画約二十点などを展示。戦時中の写真や資料を参考にしながら、東京大空襲で燃える下町の様子や、焼け跡を行き交う人々を描いたという。 「首都灰燼(かいじん)」「焼夷(しょうい)弾ふる夜」などのほか、本土決戦に備えて竹やりを持って訓練する女性や、雪が残る日に防空ずきんをかぶって消火訓練する姿も題材にしている。 笹岡さんが誕生したのは一九四五年四月十日。ちょうど一カ月前の三月十日、現在の墨田区で両親と姉、兄が暮らしていた自宅は東京大空襲で全焼した。当時はまだ母のおなかの中にいた笹岡さんのために、父は庭に穴を掘り、百枚のおむつを入れたブリキ缶を埋めてから避難したという。 笹岡さんと同じく終戦の年に生まれた子どもたちは、周りの大人から「終戦子」と呼ばれたという。戦後とともに重ねた年月への感慨を込めて、小中学校の入学式、卒業式などの節目のたびに「終戦の年に生まれた子どもたちがこんなに成長した」としみじみ語られることも多かったという。 笹岡さんは「私は最年少の罹災(りさい)者。空襲で九死に一生を得た者として、命を大事にしなければならないと思う」と話している。 午前十一時〜午後六時(最終日の十九日は午後五時まで)。会場は東京メトロ表参道駅A3出口近く。入場無料。問い合わせはアートスペース・リビーナ=電03(3401)2242=へ。 PR情報
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