(「剣の舞」)「ららら♪クラシック」今回は…学校の音楽の授業で鑑賞したり運動会でこの曲を聴きながら走ったりした人も多いのではないでしょうか?でもこの曲がバレエの曲だという事をご存じでしたか?そうもともとは剣を持った男性が勇壮に踊る場面の音楽だったんです。
作曲したのは…20世紀のソ連を代表する作曲家です。
彼の音楽の特徴はふるさとの…祖国アルメニアで地元の人に聞いてみると…。
今日はハチャトゥリヤンの「故郷の調べを世界に届けたい」という熱い思いに迫ります。
「ららら♪クラシック」今日はハチャトゥリヤンの「剣の舞」です。
この曲ね日本人では知らない人はいないんじゃないかというぐらい有名な曲ですよね。
美濃さんこの曲初めていつお聴きになりました?小学校の運動会でしたね。
やっぱりかけっこで?かけっこだったか玉入れだったかちょっと覚えてないですけどなんか走れる気がするっていう感じの曲ですよね。
この曲はね背中押されちゃいますからね。
衣良さんはいつ?僕もやっぱり運動会ですね。
うちの子供なんかでもつい3〜4年前ですけど小学校の運動会でこれかけてましたね。
いまだにでは大活躍なわけですねこの曲。
今日のゲストはですねおなじみクリス松村さんです。
(一同)よろしくお願いします。
いかがですか?この曲はね音楽室で課題として聴かせてもらった記憶があるし知らないうちに随分耳に入ってきてた音楽ですよね。
この曲で?今すぐ見せろよ俺の目の前で…ボーン!みたいなのをなかにし礼さんが歌詞にのせてて尾藤イサオさんが歌ってました。
それで踊ってらしたわけですね。
今日本中でクリスさん世代の人が「懐かしい!」って言ってますね。
言ってると思います。
だからほんとにいろんなものに変身してるというか今聞いたらバレエの音楽?そうなんですね。
それでは「剣の舞」がどのように誕生したのか早速見ていきましょう。
「剣の舞」はバレエ「ガイーヌ」の中の一場面で登場する曲です。
バレエ「ガイーヌ」の…誠実でたくましく生きる女性ガイーヌと恋人や家族を巡る物語です。
作曲したのは…39歳という脂ののりきった時期に発表したバレエ音楽の傑作です。
このバレエの特徴はハチャトゥリヤンのふるさとでもある南コーカサス地方のさまざまな民族舞踊が登場する事です。
民族舞踊を数多く登場させたのには理由がありました。
ソ連の中では少数派だった南コーカサス地方の文化や芸術は当時あまりよく知られていなかったからです。
ソビエト政権にとってもバレエ「ガイーヌ」のような作品は多民族国家ソ連の結束を強くするために有益でした。
ハチャトゥリヤンはこの作品の成功で…ところで世界中でハチャトゥリヤンといえば「剣の舞」と言われるほど有名なこの曲。
生まれる際にちょっとしたエピソードがあったんです。
それは全体リハーサルが翌日に迫った日の夜。
ハチャトゥリヤンはピアノの前で頭を抱えていました。
終盤の…アイデアすら浮かばない状態が続きました。
(指で机をたたく音)夜中を回った頃ようやく手がかりとなるあのフレーズがひらめきました。
そこからは徹夜で楽譜を書き上げ翌朝には「剣の舞」が完成していたのです。
世界的な名曲「剣の舞」実は…いかがですか?一夜漬け。
一夜漬けで困った末に出来たっていうびっくりしましたけど。
でも衣良さんはどうですか?一夜漬けであの名作が誕生みたいな…。
名作かどうか分かりませんけど全く一緒です。
やっぱり長編小説の最後50枚100枚なんていうのは一日とか一晩とかで出来る事が多いですね。
作曲はどうですか?まさにそうですね。
やっぱり0からでしょ?で正解がないからギリギリまでやっぱりなんか悩んじゃうんですよね。
でももう書くしかないっていう締め切りの直前に一気にっていう事はよくある事。
さあそれにしてもねこのバレエ「ガイーヌ」の中に「剣の舞」以外にもね「レズギンカ」とか名曲たくさんあるんですが…でも今のヒット曲なんかもそうですけどたくさんのヒット曲がある方でもやっぱり30年40年たつとなぜか1曲しか歌われなくなったりするものなのでもしかしたら当時はもうちょっとヒット曲として広がってたんじゃ…。
大ヒットが「剣の舞」だけだったのかもしれない。
でもクリスさんいかがですか?自分では全く考えていなかったのに意外なところを評価されてしまった経験あります?それはねありますね。
ジャズダンス習ってたんですけど「ここ回ってみて下さい」ってみんな一斉に言われるんですよ。
で回ったら「皆さんちょっと待って下さい」と先生が「この人を見て下さい」。
「もう一回回って」って言われてパッと回ったら…「これが最初からできるという事は才能があるという事です」ってみんなに言われて訳分からず恥ずかしかったです。
その舞見てみたいですね。
では音楽スタート!え!?今やるんですか?お願いします。
もういいですよ!すばらしい!
(拍手)でもやっぱり指先の先っぽまで美しい。
「指先までこの子は意識ができるんです。
見てみなさいあなた!」って。
すばらしい。
でもねこのハチャトゥリヤンも…何となくこの曲聴いただけで私たちにはちょっと不思議な魅力というか親しみが湧いてくるような感じもしますよね。
このリズムのせいもあるのかもしれない。
日本の曲とか海外の曲とかクラシックとか…そうですね。
テンポの速い盆踊りみたいな雰囲気ありますよね。
つい手を打って踊りたくなるっていうようなね。
それには彼が生まれ育った南コーカサスという場所と深い関わりがありました。
一度聴いたら忘れられないハチャトゥリヤンの音楽。
独特の旋律とリズムは彼が生まれ育ったふるさとと深く結び付いています。
ハチャトゥリヤンは1903年アルメニア人の両親のもと隣国グルジアで生まれました。
ハチャトゥリヤンが子供の頃音楽はごく身近なところにあふれていました。
歌うのが大好きだった母のアルメニア民謡。
南コーカサスのさまざまな民族の民謡。
商人たちのものを売る声。
吟遊詩人たちが奏でる音楽などに囲まれて育ちます。
貧しかったハチャトゥリヤンの家には当時まだピアノがなく少年時代の彼は街から流れてくる音楽に合わせて…19歳の時転機が訪れます。
モスクワで…ここで運命的な出会いがありました。
作曲の先生…彼の丁寧な指導によってハチャトゥリヤンはどんどん作曲にのめり込んでいきました。
そして31歳で「交響曲第1番」を発表。
作曲家として独り立ちできるまでになったのです。
それから8年後の…第2次世界大戦でソ連が混乱を極めた時期に「剣の舞」は作曲されています。
世界に誇れる音楽にするためにはどうすればいいのか?その時手がかりにしたのがグネーシン先生の言葉でした。
ハチャトゥリヤンはアルメニアをはじめとする南コーカサスの民謡を取り入れて作品に注ぎ込む事にしました。
アルメニアの大地と何百年にもわたって受け継がれてきた民族音楽。
それらを源流にしてハチャトゥリヤンの作品は生まれました。
生前彼は次のように語っています。
愛すべきふるさとの調べを多くの人々に知ってもらいたい。
ハチャトゥリヤンの思いは「剣の舞」によって今も世界中に届けられているのです。
(拍手)民族性でも逆に考えてみると19歳で音楽教育を受けたのが遅かったのがよかったかもしれませんね。
そのころまでに骨身にしみるほど自分たちの民族音楽をちゃんと聴けていたというのがね。
ある程度真っ白な部分もあってふるさとの事もきちっと入れられたっていう。
だから早くからやればいいってものじゃないっていうか確かに遅いですけどね30代になってからだから。
これはまた面白いですね「融合」っていう辺りが。
ただアルメニアという国自体がねなかなか苦労しているんですよね。
彼の思いの深さを確認するために知っておいた方がいい歴史的な事実がいくつかあるんですよね。
ハチャトゥリヤンはアルメニア人なんですけれど隣の国グルジアのアルメニア人街で育ってるんですね。
アルメニアという国自体がそもそも隣国トルコとかロシアなんかといつも紛争があって国を離れている人がとてもたくさんいるんですよね。
そう考えるとそういう苦難の歴史の中で自分の国の伝統音楽みたいなものをきちんと発信したいっていうハチャトゥリヤンの思いは強かったんじゃないですかね。
今もアルメニアに祖国を持つ人の3割はアルメニアで暮らしてるんですが残りの7割の人は離れた場所で住んでらっしゃるんですよね。
世界的に活躍する人が多くて例えば俳優の…これ意外でしょ?えっ!大ファンです。
それからテニスのアンドレ・アガシ。
アガシも!それからシルヴィ・バルタン。
さっきの…。
え〜!?意外ですね。
それで私はシルヴィ・バルタン聴きながらターンを。
今分かりましたなぜシルヴィ・バルタンなのか。
ほんと不思議だったんですけど。
でも多彩な方々。
クラシックの素朴な疑問にお答えしま〜す!教えて下さるのはおなじみ…実はト音記号もヘ音記号も西洋の…ト音記号というのはこの音がトであるという事を表しています。
日本語で「ト」といいますけれども西洋ではこの音の事を「G」といいます。
ですからもともとは楽譜に「G」このように書いていたんですね。
しかしこれだとあまりにも味気ないですし歌詞と間違ってしまいますのでやがてデザイン化しましてこのように書いてみたりしました。
バッハなどはこのGをこういうふうな形で書いたりしています。
そしてやがてこれがもっとデザイン化されて皆さんの知っている記号になっていったわけです。
一方ヘ音記号ですが「ヘ」というのは西洋では「F」といいます。
ですからこれももともとは「ここがFです」というふうにFの字を書いていたんですね。
しかしこれがだんだん…このように横棒が短くなってあげくの果ては点になってしまった。
これがヘ音記号なんですね。
アルファベットだったとは!これはまた一つ勉強になりました。
番組では皆さんからの疑問質問をお待ちしておりま〜す!今日の一曲は…日本人にもおなじみのこの曲もともとは…そしてこの曲が持つ独特の響きはハチャトゥリヤンのふるさとである南コーカサスの民族音楽と深く関わっていました。
もう一つ彼の音楽を特徴づけていたのが半音を上手に使うスゴ技でした。
まさに「半音の魔術師」。
さてハチャトゥリヤンの音楽の特徴は半音の使い方。
「半音」って聞いた事あります?ちょっと具体的に分かりません。
例えばこうやったりとか…。
これも半音…これも半音。
半音の魔術師の部分をねいくつかご紹介したいと思います。
はい。
まず冒頭のメロディーを聴いて下さい。
一番印象的な部分どこですか?プルルっていうのが隠れてるというか入ってる。
そうなんです。
このプルルってやってるのがまさに半音階。
半音っていうのは…。
この白い鍵盤と黒い鍵盤全部こういうふうに…。
全部行き渡るように演奏する。
これ全部半音階なんですよね。
特にこのトゥルルントゥトゥこの部分は…。
その半音が実は民謡と関わってる。
面白いですよね。
この部分のメロディーを弾いてるのは木琴。
その下で弦楽器がブンチャブンチャ…。
伴奏しているんですが。
このベースラインとメロディーライン実は…。
非常にぶつかり合った音なんですね。
高い音はファ♯低い音はソ。
離れている2つの音を近づけてみると…。
まさに隣同士の…本来だとちょっと汚いんです。
実は音がぶつかってるので。
離せばきれいになってしまったりするんだ。
ここよりも…だんだん薄まっていかないですか。
もうほんとに絶妙なんですね。
そうなんです。
ちょっとした位置づけの違いで美人になるかちょっと不美人になるかの違いみたいな。
同じ目でもこのつき方とか…。
適当に離れていたりするのがね。
一番の絶妙な距離感とそれから楽器選び弦楽器と木琴とのコントラストというのもうまく融合して見事に描かれている。
ぴったりですね。
「剣の舞」って確かに…ちょっと間違えたら汚い音になっちゃうわけですからね。
はあ〜面白い。
では続いてなんですけれども中間部分ですね。
サックスで非常に印象深いメロディーを奏でている部分なんですが…。
ちょっと妖艶な魅力ないですか?そうですね。
オリエンタルというか…ここも美人が登場するような。
ここで一気に主張するみたいな。
そうたっぷり歌ってる部分なんですけどしかもちょっと高度なんですけれどもバイオリンの演奏している部分親指に注目して見ていて下さい。
これも半音階なんですけど。
聴こえないような内声部分にもこのように…。
独特の魅力を表現して何かこうメロディーだけではない心に残るいくつもの小技を随所にきかせている。
すごい。
かけっこの音楽だと思っていたのにね。
作曲家っていろんな事やりますね。
そうなんですよね。
半音階ってすごくクラシックっぽくて真面目に聞こえるけどすごい今エキサイティングな体験しました。
すっごいエキサイティングだった今。
そういう魅力があると思います。
半音階是非覚えて帰って頂きたいと思います。
それではバレエ音楽「ガイーヌ」から「剣の舞」と「レズギンカ」を続けてお聴き下さい。
すばらしい。
半音のねやっぱり大切さも今習ったあとだと分かるしあとやっぱり民謡の部分っていうのが全部が聴こえてくるとものすごいですね。
このエモーショナルっていうかもうすごかった。
今まで以上に興奮しました。
いやあほんとですね。
でもこの曲を徒競走のテーマに選んだ人偉いですね。
これね足の遅い子が速く走れる曲ですよ。
その気になりますよね。
バッと背筋も良くなって。
ほんとにエネルギッシュでリズミカルで一度聴いたら忘れられないっていうインパクトと。
それ重要ですよね。
一度聴いたら忘れられないって。
喜びますよきっと。
「今の現代にも俺の音楽はもう聴くだけでみんな分かってくれる」って。
「剣の舞」これからも世界中で愛され続ける事でしょうね。
「SWITCHインタビュー達人達」。
今夜はこの人。
2015/04/11(土) 21:30〜22:00
NHKEテレ1大阪
ららら♪クラシック「故郷の調べを世界に届けたい〜ハチャトゥリヤンの“剣の舞”」[字]
ハチャトゥリヤンの「剣の舞」。音楽鑑賞や運動会などで日本人にも馴染みの曲。実はバレエの中の1曲で、作曲家ハチャトゥリヤンの故郷への思いが詰まっていた。クリス松村
詳細情報
番組内容
ハチャトゥリヤンの「剣の舞」。日本人にも音楽鑑賞や運動会などでなじみの曲。もともとはバレエ「ガイーヌ」の中でクルド族の男性が剣を持って雄壮に踊るシーンのために作曲されたもの。後にバレエ組曲としても発表すると、世界的に有名になり作曲家ハチャトゥリヤンの名前を世界に知らしめた。この曲には、彼の祖国アルメニアをはじめとする南コーカサス地方の民謡が取り入れられており、彼の故郷への熱い想いが詰まった名曲。
出演者
【ゲスト】クリス松村,【司会】石田衣良,加羽沢美濃,【出演】管弦楽団…東京フィルハーモニー交響楽団,指揮者…円光寺雅彦,【語り】服部伴蔵門
ジャンル :
音楽 – クラシック・オペラ
趣味/教育 – 音楽・美術・工芸
劇場/公演 – ダンス・バレエ
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