NHKスペシャル 未解決事件 File.04 オウム真理教 地下鉄サリン事件 2015.04.12


20年前の今日。
東京の地下鉄に11の袋が置かれていた。
中に入っていたのは猛毒のサリン。
事件直後警察が撮影した写真を独自に入手した。
袋に穴が開けられサリンが流れ出た。
あの日首都はパニックに陥った。
地下鉄サリン事件がきっかけで始まったアメリカ海兵隊の訓練。
化学兵器サリンを使った初めてのテロの衝撃は今も続いている。
ちょっと外出て!外外外!危ないよガス出てるから!社会を震撼させた事件を徹底検証。
未来への教訓を探るシリーズ「未解決事件」。
File.04で迫るのは地下鉄サリン事件。
化学兵器による無差別テロの被害は死者13人負傷者およそ6,300人に上った。
事件を引き起こしたオウム真理教。
教祖麻原彰晃本名松本智津夫の下大量殺人に突き進んだ。
麻原をはじめ13人の死刑が確定。
しかし麻原は裁判で事件の真相を語らず沈黙した。
事件から20年。
オウムの後継団体に入信する若者が再び増加している。
麻原を崇拝する動きが強まっているという。
麻原の沈黙そして教団の存続。
被害者へのアンケートでは9割が事件は終わっていないと答えた。
実は麻原が獄中で饒舌に語っていた事が初めて明らかになった。
最新のシミュレーションから浮かび上がったサリンの猛威。
初めての化学テロに直面した捜査関係者200人を取材。
事件の2日前にオウムに強制捜査に入るため警察が準備を進めていた事が初めて分かった。
警察幹部の手記や捜査資料を基にサリンを巡る警察とオウムの攻防を再現していく。
警視庁の威信が懸かってるんだ。
そんな悠長な事言っている場合か!捜査の手が及ばない中ひそかにサリンの大量製造を進めたオウム。
強制捜査はどうすればいい?地下鉄にサリンをまけば…。
オウム暴走の終着点となった地下鉄サリン事件。
今に何を突きつけているのか終わりなき闇に迫る。
麻原は今東京拘置所に収容されている。
地下鉄サリン事件をはじめ13の事件で死刑が確定した。
拘置所内で最近…その証言を基に麻原の姿をスケッチした。
事件について何も語らない麻原。
その存在を崇拝する動きが再び強まっているという。
今年1月札幌の繁華街で声をかけてくる若者がいた。
実はこのイベントオウムから名を変えたアレフの信者が開いているものだった。
オウムの後継団体は無差別大量殺人の危険性が今もあるとして国の観察処分を受けている。
しかしその陰で社会に居場所のない若者などを取り込み入信者を増やしていた。
公安当局によればアレフはこの3年間でおよそ500人の信者を獲得。
その半数以上が若者だ。
取材を申し込んだが回答はなかった。
今回3年ほど前に行われたセミナーでの修行の映像を独自に入手した。
麻原の写真を見ながら修行に没頭する若者。
麻原の教えを唱える幼い子どもの姿もある。
最近まで信者だった30代の男性に話を聞く事ができた。
オウム真理教の始まりは31年前。
麻原が設立したヨガサークルだった。
人類の救済を掲げ社会に違和感を持つ若者たちを引き付けていったオウム。

(「彰晃マーチ」)1万人を超える信者を抱え選挙にも打って出た。
その裏で麻原は社会に対する破壊願望を増幅させていった。
NHKが入手した700本の極秘テープ。
麻原がごく一部の幹部に語った発言が記録されている。
麻原はポアという言葉で救済のためなら殺人も正当化されると弟子たちに繰り返し説いていった。
そして20年前の3月20日。
麻原は5人の幹部たちに東京の地下鉄でサリンをまくよう指示。
5本の電車に分かれ通勤ラッシュの時間帯に日本の中枢霞ケ関を狙って同時にテロを起こす計画だった。
満員電車に乗り込んだ幹部たち。
(せきこみ)新聞紙でくるんだサリンの袋を先をとがらせた傘で突き刺した。
(刺す音)
(サイレン)死者13人負傷者およそ6,300人。
未曽有の被害となった。
首都東京の地下でサリンはどのような事態を引き起こしていたのか。
あの日地下鉄車内に持ち込まれた11の袋。
オウムが製造したおよそ6キロのサリンが入っていた。
うう〜あ〜!あ〜!サリンの毒性を捉えた映像。
国連によればシリアのこの一帯でサリンが使われたと見られている。
人間の神経をまひさせるサリン。
直接吸い込めば僅か数ミリグラムで死に至る事もある。
今回事件の被害者6,000人以上の行動記録を独自に入手し分析した。
いつどこで被害に遭ったのか。
時間の経過とともに被害者数の推移を示していく。
化学テロの全貌が初めて浮かび上がった。
被害が大きかったのはオウムが狙った霞ケ関だけではなかった。
実は8駅手前の小伝馬町で最大の被害が出ていたのだ。
5人が亡くなり被害者は全体の3/3にあたる1,699人に達していた。
小伝馬町のホームで被害に遭った男性。
惨状を目の当たりにした。
小伝馬町でサリンの被害がなぜこれほどまでに拡大したのか。
これは事件直後にホームを写した写真。
電車内に置かれたサリンがこの駅だけ乗客によって袋ごと蹴り出されていた。
専門家の協力を得てサリンがどのようにホームで拡散したのかシミュレーションした。
後続の電車によってホーム内の空気が攪拌されサリンの気化を促す。
サリンはホームの左右に広がっていく。
小伝馬町では5本の後続電車が入ってきた。
電車が来なかった場合と比べると10倍以上に広がる結果となった。
サリンの濃度は袋から離れた地点でも高く極めて危険なエリアが広範囲に及んでいた。
最後の2本はこの駅で運行が打ち切られた。
サリンが広がるホームに全員が降ろされる事態となった。
当時地下鉄のサリンを特定した元警視庁科学捜査研究所の服藤恵三。
今回の分析結果は衝撃的だという。
オウムのサリンによって奪われた13人の命。
小伝馬町で亡くなった岩田孝子さん当時33歳。
いつものように出勤する途中だった。
孝子が使ってたの。
76歳になる母のキヨエさん。
孝子さんが愛用していたウエットスーツ。
片づける事ができないまま20年がたった。
化学兵器サリンによる無差別テロ。
オウムが初めて社会に牙を向けたのは89年。
教団から家族を取り戻す活動を支援していた坂本堤弁護士その一家3人を殺害した。
捜査の手が及ばない中でオウムは大量破壊兵器の開発に乗り出していく。
当時信者に向かって語った麻原の肉声が記録されていた。
ちょうどこのころオウムに対する極秘捜査が進められていた事が今回初めて明らかになった。
全国最大4万人の動員力を誇る警視庁が動き始めていたのだ。
極秘捜査に携わっていた捜査員を突き止めた。
(チャイム)こんにちは〜。
・はいどうぞ。
こんにちは。
よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
失礼します。
どうぞどうぞ。
その捜査員は既に亡くなっていた。
当時捜査一課にいた小山金七。
極秘捜査の詳細を日記に書き残していた。
小山に捜査を指示したのは寺尾正大。
ロス疑惑など数々の難事件を指揮してきた捜査一課のエースだった。
小山の日記によれば極秘捜査が始まったのは91年8月9日。
地下鉄サリン事件4年前の事だった。
寺尾は坂本弁護士一家の事件にオウムが関係していると見ていた。
管轄する神奈川県警の捜査は難航していた。
小山が指示された特命での捜査。
寺尾は「捜査は0点か100点かだ」と伝えたという。
極秘捜査に関わった複数の捜査員を取材し当時のやり取りを再現する。
なあ金ちゃん。
はい。
神奈川で起きた坂本弁護士の事件覚えてるか?はあ。
あれはオウムの仕業だと踏んでる。
オウムってあの宗教団体の?そうだ。
あいつらいずれ警視庁の管内で何かやるぞ。
ちょっと調べてくれるか?特命ですね。
分かりました。
金ちゃん。
はい。
捜査は0点か100点かだ。
ホトケの遺体をご遺族に返せなかったり犯人を捕まえられなかったりすればそれはいくら捜査しても0点だ。
俺たちの仕事はあいつらを突き止めて逮捕する事だ。
頼むぞ。
はい。
当時寺尾の下で極秘捜査にあたった捜査員の一人高野正勝。
当時ね思い出しましたけど当時あそこにオウムの事務所がありましたよね。
あそこですね。
都内の複数の教団施設を張り込み出入りする信者や車のナンバーを確認していった。
小山の日記には僅か2週間でオウムの拠点や組織の内情を把握していた事が記されている。
更に寺尾はある男の内偵を指示していた。
元幹部の佐伯一明。
坂本一家を殺害した実行犯の一人だった。
実行犯には佐伯のほかに後にサリンを開発する幹部2人も含まれていた。
この捜査で迫れる可能性があった。
・はい。
おお金ちゃんか。
やっぱりオウムだな。
俺たちの見立てに間違いはなかったな。
ああ頼むぞ。
ああそれから金ちゃんくれぐれも気を付けろよ。
家族や同僚にもオウムの捜査の事は絶対に話すなよ。
あいつら何をやるか分からないからな。
しかし2か月後捜査は中断を余儀なくされる。
複数の捜査員によると警視庁の動きが神奈川県警に伝わった事が理由だったという。
東京都が管轄の警視庁。
神奈川県警の事件を捜査する権限はなかった。
当時その壁を越える事はできなかったという。
警視庁がオウムに迫る最初のチャンスはついえていた。
そうした中オウムは山梨県旧上九一色村でついにサリンの開発に着手する。
93年3月の事だった。
麻原がサリン製造を指示したのは土谷正実。
大学院まで進み高度な専門知識を持っていた。
土谷が獄中で記した手記を入手した。
「国家権力の武力攻撃に備えて自衛のため武器を保有する」。
「私がいなければオウム真理教がサリンを保有する事はありえなかった」。
土谷が作ったのは殺傷力が極めて高い純度70%のサリン。
94年6月オウムはこのサリンを使って最初の無差別殺人を実行する。
標的はオウムの裁判を担当していた長野県松本市の裁判官の官舎だった。
(サイレン)死者8人負傷者140人以上に上った松本サリン事件。
サリンの殺傷力を確認した麻原はプラントでの大量製造を加速させていく。
取材を進めると松本サリン事件の直後オウムの化学テロを食い止める警察の大規模な計画があった事が明らかになった。
中心となったのは全国の警察を束ねる警察庁。
実働部隊を持たず捜査の計画を立て全国の警察に指示を出すいわば司令塔だ。
計画を推し進めたのは元警察庁刑事局長の垣見隆。
垣見は松本サリン事件の捜査を行っていた長野県警からの報告を受けて計画を立ち上げた。
報告はオウムがサリンの原材料となる薬品を大量に購入しているという衝撃的なものだった。
警察の中枢で秘密裏に進められたこの計画についてNHKは30人を超える捜査関係者を取材。
計画について記した手記やメモも入手した。
「宗教団体が国家転覆を企てる」。
「しくじれば笑い物」。
この極秘計画を巡る警察幹部の密室でのやり取りを再現していく。
失礼します。
失礼します。
失礼します。
松本サリン事件で長野県警はオウムが大量の薬品を購入しているという情報をつかんだ。
ついてはオウムの捜査を君たちにやってもらいたい。
局長本気ですか?宗教団体が国家転覆をたくらんでるなんてにわかには信じられないのが普通ですよ。
局長大丈夫ですか?そんな捜査に手を出してしくじれば笑い物ですよ。
まあたとえうまくいったとしても周りがやっかむだけです。
私も最初聞いた時はまさかと思ったよ。
でもこの報告書を読む限りはオウムの犯行だという事は十分考えられる。
警察庁が本格的にオウムの捜査に乗り出したこの計画。
坂本弁護士一家の事件が起きた神奈川県内の地名をとり一部で山下計画と呼ばれた。
垣見たちは全国のオウムに関わるトラブルを洗い出し強制捜査に入るための3段階の作戦を検討した。
オウムの関与が疑われる事件は全国で85件。
ほとんどが出家や財産を巡るトラブルです。
強制捜査につなげられる事件はないのかね?2件あります。
一つは山梨の事件。
脱会した信者が無理やり連れ戻されています。
そしてもう一つが宮崎の事件。
資産家が拉致されています。
山梨や宮崎だけだと捜査にかけられる人数が少なすぎませんか?これだけ東京の事件があるんだ。
なんとか警視庁が動いてくれる訳にはいかんかね?東京都内の事案は被害者自らが告訴を取り下げたりしてあまり筋がよくありません。
じゃあどう攻める?具体的には三本の矢でいきましょう。
1本目の矢は山梨の拉致事件。
この事件をきっかけに山梨県警が強制捜査を行う。
まずは奇襲という訳だな。
でも山梨だけだともたないぞ。
2本目の矢を放ちます。
サリンを製造してると見られる第七サティアンに宮崎の資産家拉致事件で強制捜査を行います。
3本目の矢は松本サリン事件で麻原と幹部の身柄を確保します。
全ての施設信者を監視下に置き教団を無害化します。
(垣見)山梨長野宮崎静岡神奈川。
この5つの県警で混成部隊を編成し1,000人規模で上九を攻める。
間違っても麻原を殉教者にするんじゃないぞ。
(一同)修行するぞ!修行するぞ!修行するぞ!救済するぞ。
(一同)救済するぞ!しかし宗教法人であるオウムへの捜査は容易に進まなかった。
(一同)修行するぞ!修行するぞ!信教の自由を守れ〜!事あるごとに抗議を繰り返していたオウム。
一歩間違えば宗教弾圧だと言われかねなかった。
警察はオウムがひそかに進めていたサリン製造の実態を捉えきれずにいた。
垣見のもとで捜査に携わった安村隆司。
オウムのサリン製造の一端を警察がようやくつかんだのは94年10月。
オウムのプラントの一つ第七サティアンから異臭がし周辺の草木が枯れていたのだ。
土壌からはサリンの残留物が検出。
決定的な証拠だった。
警察庁はオウムが購入した薬品から製造可能なサリンの量を推計した。
すると驚くべき結果が出た。
最悪の場合東京の人口のを死に至らしめるサリンの量だというのだ。
垣見はサリンに対する警戒感を強め慎重になっていく。
局長。
準備ができ次第強制捜査に向けて着手するべきですよ!こちらの動きがオウムに漏れて先手を打たれないとも限らない。
この計画は奇襲だけで終わっては駄目なんだ。
そのあとに長期持久戦が必要になる。
しかし5つの県警を調整して1,000人規模の体制を組むというのは簡単じゃないんだぞ。
捜査員のやる気を封じていつまでも待てというんですか!?麻原は説法の中で「ハルマゲドンは秋だ」と言っている。
来年秋だとすればまだ時間はある。
オウムがどれだけサリンを製造できるのかどんな武器を持っているのか事前に確認しなければならない事は山ほどあります。
あとは長官がどう判断するか…。
果たして警察だけで対処できるのか。
警察庁のトップ國松孝次を交えて検討が行われた。
アメリカの例にもありますがオウムのような終末思想を持つ団体は集団自殺するおそれがあります。
あるいは捜査に対して何らかの反撃に出る可能性も高い。
いずれにしてもその際に猛毒のサリンを使用する可能性は否定できません。
そうなれば警察が対処できる限界を超えます。
君はよく「限界を超える限界を超える」と言うがそんな弱気な事でどうするんだ。
士気に関わるぞ。
しかし…。
銃撃戦の可能性もあります。
銃撃戦?世界一銃規制が厳しいこの日本で?オウムがそんな武装をしているというのか?オウムの全体像をつかむ事ができず引き続き実態解明を進める事になった。
そうした中警察の動きがオウムの知るところとなった。
95年の元旦オウムの施設の周辺でサリンの残留物が検出された事が報じられたのだ。
更に阪神・淡路大震災が発生。
全国の警察が総動員で対応に追われた。
オウムに知られる前に奇襲をかけるという山下計画は大幅な見直しを迫られる事になった。
大量のサリン製造を進めるオウム。
麻原を駆り立てたものは何だったのか。
サリンの大量製造を命じられた元信者が麻原の言葉を今も鮮明に覚えていた。
警察の強制捜査が入った場合はサリンをまいて全滅させる計画さえあったという。
一方オウムとサリンの関係に気付きながら迫りきれずにいた警察。
地下鉄サリン事件の直前強制捜査に入る最後の機会があった事が新たに分かった。
最大の動員力を持つ警視庁。
きっかけは…オウムから家族を脱会させようとしていた假谷清志さんが警視庁の管轄下都内の路上で拉致された。
警視庁がオウムに踏み込む事ができる事件だった。
捜査を指揮する事になったのは寺尾正大。
4年前オウムの極秘捜査を指示したあの男だった。
寺尾が捜査一課長に着任したまさにその日。
部下から継続中の事件の報告を受けている時だった。
杉並区の善福寺公園でホトケがあがったので捜査を進めています。
それは大きく構えて体制を増強する必要はないのか?現在のところは今の体制でなんとか。
・はい。
それで?分かった。
それは假谷さんが拉致された事を知らせる一報だった。
ついに来たか。
どうしたんですか?とうとうオウムの事件が東京に来た。
帳場をたてるぞ!
(2人)分かりました!寺尾の下で假谷さんの事件の捜査にあたった元警視庁捜査一課幹部山田正治。
目撃情報から犯行に使われた車両を突き止め実行犯の一人がオウムの信者だと特定した。
假谷さんの命の危険があるため一刻も早く都内の教団施設に踏み込みたいと考えていた警視庁。
一方警察庁の垣見たちは大量のサリンを持つオウムが強制捜査に対して反撃に出る可能性が高いと見ていた。
垣見は都内だけでなく上九一色村にあるサリンの製造拠点も同時にたたく必要があると考えていた。
・失礼します。
警視庁の寺尾が警察庁の垣見のもとを直接訪れた。
異例の事だった。
假谷さん拉致事件で犯行車両を特定しオウム信者の指紋も検出しました。
急がなければオウム側に察知され隠蔽工作される可能性があります。
寺尾君。
これは假谷さんの事件だけを解決すればいいというものじゃないよ。
私は松本サリン事件はオウムの犯行だと思っている。
假谷さん事件はこの犯罪者集団を追い詰める突破口になる事件だ。
…であればなおさら捜査を急がないと。
警視庁は1週間以内に都内の教団関連施設を捜索したいと考えています。
都内だけじゃ駄目なんだ!上九一色村に入って初めて目的を達するんだよ。
假谷さんにしても都内の教団施設に監禁されてると思いますか?上九一色村の教団施設の可能性が高いんじゃないか?とにかく今はまだ捜査を尽くす事が大事だ。
警視庁のメンツだけを重んじて事の本質を見誤らない方がいいと思うがな。
寺尾さんよろしくお願いします。
しかし県警と連携した大がかりな準備となるとその間に秘密が漏れる事も考えられます。
その時には警視庁単独で動く事をお許し願います。
単独で動く可能性を示唆した警視庁。
今回の取材で強制捜査の具体的な着手日が浮上していた事が明らかになった。
当時警視庁捜査一課と東京地検との間で交わされた内容をつかんだ。
捜査一課幹部から「オウムの東京施設について18日にも捜索したい」との方針が示されていた。
「3月18日」。
地下鉄サリン事件の2日前という日付だった。
失礼します。
假谷さん拉致事件の犯人をオウムと特定した事をマスコミに当てられました。
新聞に書かれたらオウムは何らかの動きに出るはずです。
すぐに強制捜査に着手せざるをえません!ただ警察庁からは強制捜査をするなら必ず同時に上九一色に手を入れろと言ってきてます。
警備の方は上九一色もやるとなるとどうなる?即答はできませんが行った事のない場所ですからヘリを飛ばして現地実査などしなければいけないので時間はかかります。
(机をたたく音)警視庁の威信が懸かってるんだ。
そんな悠長な事言ってる場合か!なるべく早く行います。
警察庁はサリンをまかれる事をやたら心配してるようですが…。
ここで引く訳にいかんだろ。
とにかくやるんだ!はい。
警視庁のトップ警視総監だった井上幸彦。
一方警察庁は都内と上九一色村で一斉に強制捜査に入るには周到な準備が必要だと考えていた。
警察庁で警備課長を務めた近石康宏。
近石は強制捜査に不可欠な全国の機動隊を束ねる立場だった。
事件の4日前手帳に記したメモ。
上九一色村のオウム施設を指す暗号だ。
サリンへの備えが不十分なまますぐに強制捜査に踏み切るのは危険だと考えていた。
とは思いますけどもやっぱりいかに何でもちょっと私らから見りゃ…当時警察には化学テロを想定した専門の部隊はなく装備も十分ではなかった。
全国の自衛隊からガスマスクなどを集めるためには時間が必要だった。
結局強制捜査の着手日は22日に決定した。
警察に強制捜査をためらわせてきたオウムの大量のサリン。
実はオウムは元旦に新聞報道が出たあと急遽…しかし警察の強制捜査の動きを知った麻原。
事件の2日前ある指示を下した。
強制捜査はどうすればいい?今度は地下鉄電車内にサリンを散布すればいいんじゃないでしょうか。
それはパニックになるかもしれないな。
マンジュシュリーお前が総指揮を執れ。
ジーヴァカ。
サリンは作れるか?条件を整えたら作れると思います。
そして幹部たちが一日で製造したのが不純物が混ざったおよそ6キロの茶色のサリンだった。
(救急車のサイレン)
(無線)「警視庁から各局爆発物使用のテロ事件が発生した」。
(無線)「40〜50名ぐらいいずれも倒れているような状態である」。
(無線)「現在人工呼吸中。
救急隊の話によると危ない状況」。
警察は予定された22日に強制捜査に入った。
事件には間に合わなかった。
オウムとサリンの関係を早くからつかみながら化学テロを防ぐ事ができなかった警察。
早くからオウムの危険性を察知し何度も迫ろうとした警視庁捜査一課長の寺尾正大。
現在は病気療養中の身だ。
部下がオウムの話を持ちかけた時悔しそうにつぶやいたという。
「俺たちがもっとやれていれば地下鉄サリン事件は防げたかもしれないな」。
麻原逮捕の瞬間を捉えた写真。
麻原はその後裁判で地下鉄サリン事件の真相を語らず沈黙した。
遺族や被害者たちは割り切れない思いを抱え続けている。
被害者へのアンケートでは9割を超える人たちが事件は終わっていないと答えた。
法廷で6年間にわたり麻原と向き合った元裁判長の阿部文洋。
今回初めて取材に応じた。
事件全体は弟子たちの証言によって把握する事ができた。
しかし麻原が沈黙した事は社会の大きな痛手だと考えている。
沈黙した麻原。
しかし当初は積極的に語る姿勢が見られたという。
初公判の半年前阿部は麻原を特別に呼び出していた。
この時「自分はこの裁判に一生がかかっている」と麻原は口にした。
更に逮捕後の麻原に接した関係者に取材を重ねると獄中で饒舌に語っていた事が分かってきた。
弁護士とのやり取りを記した接見記録を入手した。
麻原は数々の事件について自らの主張を展開していた。
12人いた麻原の弁護団の一人上出勝。
重い口を開いた。
接見記録には麻原が地下鉄サリン事件について語った内容が記されていた。
警察の動きを知った弟子たちに押し切られたと判決の認定とは異なる主張をしていた。
事件の2日前教団ナンバー2で事件直後に刺殺された村井秀夫らから「サリンをまくしかない」と言われたと主張。
麻原は「神々が嫌がっている」と一旦は止めたとしている。
しかし再び村井に「教団が潰れる」「私が責任を取りますから」と言われ最後に麻原は「じゃあ任せるわ」と応じたとしている。
一部自ら共謀を認めるような発言をしていたものの責任のほとんどは弟子たちにあるという主張だった。
その後麻原は発言を後退させていく。
自分は共謀しておらず責任はないと主張し始めた。
更に「私は眠った」「事件の事は一切知らない」とさえ言うようになった。
最後には何も語らなくなった。
麻原はなぜ沈黙したのか。
懲役刑を受けた元側近が自らの見方を示した。
弟子たちが意に反して次々に証言する事に麻原は耐えられなくなったのではないかという。
8年間1,300時間以上に及んだ麻原の裁判。
ついに真相は語られる事はなかった。
死刑囚として東京拘置所に収容されている麻原。
今も拘置所の周辺には麻原に近づきたいという信者たちの姿が見られる。
アレフの信者だった男性は麻原が事件に関わったとは思えなかったという。
最近までアレフにいた元信者の女性。
地下鉄サリン事件は国家によるでっちあげだとさえ言われたという。
20年前救済の名のもとに東京の地下で無差別殺人を引き起こしたオウム真理教。
(機械音)初めての化学テロに直面した警察は事件のあと専門の部隊を各地に配備。
管轄を超えて広域捜査ができるよう法律も改正した。
被害者や遺族の苦しみは今も続いている。
地下鉄丸ノ内線に乗っていた浅川幸子さん。
脳に重い障害が残ったままだ。
おいでおいで〜って。
お〜いって。
あの日を境に幸子さんの人生は一変した。
バカ死刑。
そうだね。
オウムを生みテロを食い止める事ができなかった私たちの社会。
事件を風化させる事なく未来へとその教訓を受け継いでいけるのか。
一人一人への問いかけは終わる事はない。
2015/04/12(日) 00:50〜02:05
NHK総合1・神戸
NHKスペシャル 未解決事件 File.04 オウム真理教 地下鉄サリン事件[字][再]

オウム真理教が起こした「地下鉄サリン事件」から20年。世界で初めての化学兵器を使った無差別テロを、オウム、捜査関係者に取材。スクープ資料や新証言からひもとく。

詳細情報
番組内容
オウム真理教が起こした「地下鉄サリン事件」から20年。日本の中枢を狙った化学兵器による無差別テロは、世界を震撼させた。麻原彰晃ら13人の死刑が確定したが、今も多くの謎が残されている。なぜオウムは事件を引き起こしたのか?テロを防ぐことはできなかったのか?番組では、警察とオウムの水面下の攻防や、サリン拡散のシミュレーションなどをもとに「3・20」を立体的に再現。未曽有の事件が突きつける課題を見つめる。

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般
ニュース/報道 – 報道特番

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