はいどうぞ。
(笑い声)皆さん何やら盛り上がっていますね。
確かにきれいですね。
こちらの写真は…?ここは宮城県気仙沼市にある大島。
肌身離さず写真を持ち歩いている人たちも。
写真は島のおかあさんたちの宝物になっているんです。
大島は東日本大震災で最大9メートルの津波に襲われました。
あの日から生活は一変。
島から笑いが消えました。
大島の人たちに心から笑ってもらいたい。
震災後東京の写真館が毎年無料で撮影会を開いています。
見事な変身ぶりに皆さん思わず…。
恥ずかしいけど…一枚の写真で泣いたり笑ったり。
今年はどんな写真が撮れましたか?島のおかあさんたちを見つめました。
気仙沼市の港からフェリーで25分。
大島にはおよそ2,800人が暮らしています。
遠洋漁業に出る男性に代わって女性が家庭を守ってきたおかあさんの島です。
東京から10時間かけて写真館のスタッフがやって来ました。
お疲れさまです。
機材をいっぱいに積み込んだワゴン車で撮影会の会場に向かいます。
は〜いこんにちは。
お待ちしてました。
あ〜どうもどうも。
スタッフを出迎えたのは旅館の女将村上かよさんです。
島の人たちが喜ぶならと毎年会場を提供しています。
今年で4回目を迎えた撮影会。
休む間もなく準備を開始。
本格的なメイク道具やアクセサリーが並びました。
撮影会を企画したのは東京の写真館。
変身写真が中高年女性に大人気。
写真一枚で女性は変われるんです。
美しく着飾った写真を撮る事で被災地の女性を勇気づけたいと考えたのです。
旅館の宴会場はスタジオに早変わり!わ〜すごい!魔法の…。
お部屋?東日本大震災で大きな被害を受けた大島。
島の玄関口にあった町一番の繁華街は4年たった今もさら地のままです。
仮設住宅では50世帯以上が先の見えない生活を送っています。
そこに毎年の撮影会を楽しみにしている人がいます。
震災前熊谷さんは夫と共に70年以上続く商店を経営していました。
米から燃料まで島の人たちの生活に欠かせない商品を取りそろえる自慢の店。
夫が亡くなったあとも必死で店を守り続けてきました。
しかし津波で熊谷さんの生きがいだった店は跡形もなく流されてしまいました。
死ぬ事ばかりを考える日々。
そんな熊谷さんを変えたのはこの写真。
震災から1年後の撮影会で撮ってもらったものです。
すっかり若返った自分の姿を見て思わず笑顔になったといいます。
最近では仮設住宅の外に出る事は少なくなった熊谷さんですが撮影会にだけは参加したいと考えています。
これまで100人余りが参加した大島の撮影会。
写真はおかあさんたちの宝物になっているんですって。
こちらの工房で働く皆さんも肌身離さず持ち歩いています。
あらあらお財布の中から。
こちらのご夫婦写真はいつも食卓に飾っています。
おとうさんはどう思っているんでしょうか?今回の撮影会に初めて参加する人がいます。
自宅は津波で流されここに家を再建する事はできなくなりました。
菅原さんは大島で生まれ育ち3人の子どもを育て上げました。
遠洋漁業で働いていた夫は23年前に他界。
家族と共に暮らした島の思い出が津波で消えました。
震災後は大島を離れ岩手県に住む娘のもとに身を寄せていました。
しかし慣れない土地での生活に体調を崩してしまいます。
去年6月再びふるさとの大島で暮らす事を決意。
仮設住宅での生活が始まりました。
はい着きました。
娘のさゆりさんです。
あらららどうもありがとう。
月に数回岩手県から車で1時間半をかけて会いに来ます。
(菅原)私酢豚好きだからこれ。
いつも食料や生活用品を買いそろえ独り暮らしの母を気遣っています。
菅原さんはふるさとの大島に自宅を再建したいと考えていますが結論は出ていません。
島を離れた子どもたちは母を心配し話し合いが続いています。
撮影会を楽しみにしている熊谷すん子さんです。
寒いから。
撮影会を翌日に控え何だかウキウキしていますね。
珍しくお出かけ。
どこへ行くんですか?ねっそれだけ。
髪をセットしに行くんですね。
(取材者)今日月曜日です。
なんと行きつけの店は定休日。
しかし熊谷さん諦めません。
更に歩いてたどりついたのは…。
こちらはヘアメイク?別の美容室ですね。
(ノック)先生?どうぞどうぞ。
あらよかった。
どうぞお入り下さい。
月曜日だから。
今年で88歳。
米寿の記念。
撮影会では飛びっきりのおしゃれをしたいんですって。
以上でございます。
どうぞ立派なところを撮って下さい。
ありがとう。
先生も撮って下さい。
いいの私は。
どうも皆さんご苦労さまです。
じゃあありがとう。
ありがとうございます。
熊谷さんよかったですね。
どうぞどうぞ。
予定の時間を待ちきれず早朝から島のおかあさんたちがやって来ます。
その中に初めて参加する菅原さんの姿もありました。
菅原さんはちょっと緊張気味。
きれいですもんだって。
皆さん見事な変身ぶりです。
すてきですね。
プレゼントですので。
ありがとうございます。
もっと笑顔。
そう!津波で写真を全て無くしたこちらのご夫婦。
もっとグ〜ッ!結婚写真の撮り直しです。
2人ともここ見てましょう。
はいいきますよ〜。
(笑い声)菅原さんも少しずつ肩の力が抜けてきたようです。
あっすん子さん。
前日美容室で髪をセットした熊谷すん子さんもやって来ました。
ご無沙汰です。
今日はありがとうございます。
はいはい。
私どこに座ればいいの?じゃここいいですか?はい。
もちろん。
米寿のお祝いでもらった赤いスカーフをつけて一層華やかにしてもらいました。
じゃあすん子さんそのままでいいよ。
もっと笑顔が欲しい。
そう!ありがとう。
いい笑顔頂きました!ばっちり。
あら〜ありがとう。
(取材者)何で涙出ちゃうんですかね。
よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
菅原さんもいよいよ鏡の前へ。
初めてのドレスアップです。
おかませでいいですか?うん。
震災後一度は大島を離れた菅原さん。
ふるさとに戻ったあとも心から笑えた日はなかったといいます。
でもこの日ばかりは…。
失礼しま〜す。
きれい。
フフフフッ!した事ないですか?
(拍手)OK。
そして歯を見せて笑う。
足りない。
ああOKOK。
そのまま。
OK。
(拍手)楽しみに。
撮影会から1か月。
仕上がった写真が大島に届きました。
はいごめんください。
じゃあこれ届きましたので。
私の?あらら。
熊谷さんいかがですか?うわっハッハッハッハッ。
こんなの見てね。
ウフフフフフッ。
初めて撮影会に参加した菅原さんのもとにも写真が届きました。
え〜私の!うわ〜ハッハッハッハッかわいい!一番若い。
一番若い。
みんな女優さんみたいだ〜。
今年も気仙沼・大島でたくさんの笑顔が生まれました。
心から笑える日が続くまで島に生きるおかあさんたちです。
2015/04/12(日) 08:00〜08:25
NHK総合1・神戸
目撃!日本列島「かあちゃん笑って!笑って!〜島に笑顔がもどる日まで〜」[字]
女優のようにドレスアップし写真をとる“変身フォト”の撮影会が、宮城県気仙沼市大島で開かれた。震災を忘れ笑いたいと撮影会に参加する島のかあちゃんたちに密着する。
詳細情報
番組内容
漁業が盛んな気仙沼市大島。昔は遠洋漁業に出る男性が多く、女性が家を守ってきた「かあちゃんの島」。しかし、震災は家族や財産を奪い、女性たちの心に大きな傷を残した。そんな女性を元気づけようと、毎年、東京の写真館が無料の撮影会を開いている。お年寄りが女優のように変身、笑顔の写真を撮ってくれる。女性たちはお互いの変身ぶりに思わず大笑い。“震災の体験を忘れ笑いたい”かあちゃんたちの4年を見つめる。
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
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