(ジョン・カビラ)なかなかモノが売れない時代。
こちらは先月開かれた消費者のニーズを探るセミナーです。
う〜ん皆さん難しそうな表情ですね。
でも熱心にメモとってますよ。
(片山)メーカーの開発担当者などが集まって会場いっぱいだったんです。
そうですね。
おっ「本当に求めている新しい商品・サービスとは?」。
これが知りたいんですよね。
う〜ん消費者のニーズをつかむ難しさ皆さん実感されてますね。
改めまして…。
(2人)おはようございます。
カビラさん今日はお客さんのニーズをいかにつかむかがテーマですね。
でもねモノはあふれてるしどう選べばいいかも分からないしそれに40〜50代になるとモノもう一とおりそろってます。
これ厳しい。
だからこそ企業側も悩んでいるんですね。
こちらをご覧下さい。
国内の主要企業140社の経営者に聞きました。
およそ7割の方がそう答えたんですね。
皆さん相当お悩みで。
でも課題は見えてますよね。
このモノを売るのが難しい時代。
お客さんのニーズをいかにつかむか。
企業のあの手この手の工夫をご覧下さい。
コンビニ業界では客のニーズをつかむために販売データの活用にいち早く取り組んできました。
店に並ぶ商品はおよそ2,800種類。
毎週新たに100種類が投入されますが売れ行きが悪ければ入れ替えられ1年後まで残るのは数%といわれます。
いらっしゃいませ。
そのコンビニのマーケティングが急速に普及したポイントカードによって更に進化しています。
例えば糖質が少なくカロリーが低いと若い女性や中年男性に人気のこちらのパン。
しかし発売当初は売り上げが低迷。
社内では「中止しては?」という声が何度も出ました。
この窮地を救ったのがポイントカード。
この会員番号がミソなんです。
いつ何を買ったのかこの番号から細かくたどる事ができます。
このポイントカードのデータを分析したところ低糖質パンは同じ人が繰り返し買うリピート率が極めて高いと分かったのです。
それは定番のメロンパンの2.5倍に達しました。
根強いファンがいると分かった事で戦略を180度変更。
低糖質のピザパンやパンケーキなど新商品を次々に投入しました。
すると人気に本格的に火がついて今では定番商品の一つに育っています。
一方こちらの回転ずしチェーンでは客の注文をあらかじめ予測するというシステムを作り上げました。
その仕組みはというとまず受け付けの際に客のグループ構成を把握。
そして客がどのネタを食べたかその時間まで全て記録。
実は皿の裏にICチップが仕込まれているんです。
こうして集めた年間10億件ものデータを分析。
すると客の動きのさまざまな傾向が浮かび上がってきました。
こうした分析を基に今握るべきネタは何かコンピューターがはじき出します。
(一同)は〜い!う〜んでもこれで本当にお客さんの心がつかめるのでしょうか。
聞いてみると…。
どうも効果はあるようですね。
しかも予測したニーズに合わせてネタを出すため食べられずに廃棄されるすしを大幅に減らす事ができたんですって。
データ活用の手法が進化する中逆にアナログな分析方法で成果を上げている方見つけちゃいました。
こんにちは。
お待ちしておりました。
どうぞお願いしま〜す。
マーケティングの専門家石原さんが行うのは行動観察。
人の行動を徹底的に観察してニーズをあぶり出すというその方法を今回模擬的に見せてもらいました。
調査のねらいは小さい子どもがいても使いやすいキッチンの開発という設定。
といっても石原さん静かに撮影するだけ。
これで調査になるの?
(子ども)ああ〜っ!はい分かったよ。
はい分かったよ。
はいすぐ行きま〜す。
あらら赤ちゃんがぐずりだしました。
おんぶして料理再開です。
お母さんの背中で動き回る赤ちゃん。
あっ危ない!鍋に触りそう!石原さんは安全に気を配りながらも撮影を続けます。
赤ちゃんの手を押さえながら家事をするお母さん。
これは大変です。
石原さんどうやらニーズの芽をつかんだようですね。
でも何でビデオを撮ってたのかって?調査はまだまだ続きます。
撮影した映像を更に同僚の研究員たちと一緒に見て気付いた点を出し合います。
石原さんたちはこれまで700件以上の調査を行い数々の商品開発につなげてきました。
例えばこちらはガスコンロの調査。
多くの家庭でコンロの上にやかんやお鍋が置きっ放しになっていました。
この調査結果を基に誕生した商品がこちら。
グリルの通風口を小さくしてその両側にやかんなどを置けるスペースを作りました。
皆さん本当に苦労されてますね。
いろんな手法でね…。
データを集めたりあとはアナログに全部撮影までしてっていうね。
さあゲストの村上さん。
企業がここまでやってるってイメージありました?知らなかったです。
カードとかでそんなに情報が残ってるとかっていうのも全然知らなかったんでちょっと恥ずかしいっていうか丸見えな部分があるなと思って…。
ちょっとドキッと…。
ちょっとドキッとしましたね。
このVTRでご紹介したコンビニのポイントカードの場合ですと名前などの個人情報は切り離してあって買い物のデータと会員番号を使って解析しているという事です。
キッチンのVTRかなり食い入るようにご覧になって…。
自分を見てるかのような。
鍋もああやって置いてしまってるなんかもまさにうちのキッチンと一緒で。
だから無意識でしたね私も。
無意識のニーズって事ですよね。
はい。
すごいなと思いました。
スタジオにはもう一方です。
消費者ニーズの調査にお詳しい宮澤正憲さんです。
なぜしかしここまでニーズがつかみにくくなってるんですか?いろんな理由があると思いますが一つは市場が成熟してきていて大体既に商品化されていてなかなか新しい発見がない。
今商品とかサービスのレベルがとっても上がってきたのでそういう意味で昔に比べると不満みたいなものがとっても少なくなってきてますね。
そうすると何が起こるかっていうと「欲しい物ありますか?」とか「ニーズは何ですか?」って聞いても聞かれた方が結構満足度が高いので「ん?どうかな?」っていう感じのレベルにある時になかなか企業の方も質問ができない。
そうすると誰に何を聞いていいか分からない。
物作り大変ですねじゃあ。
ニーズ探索に苦労してる企業は多いという事だと思いますね。
なかなかモノを売るのが難しい時代なんですがそれを乗り越えるためのポイント宮澤さんに3つまとめて頂きました。
それがこちらなんです。
直接書いて頂いたんですか?書いて頂きました。
ありがとうございます!「ニーズをつかむキーワード」その1「ビッグデータ」。
(宮澤)これはある意味定番にもなりつつありますがデータそのものはとっても入手しやすくなってきました。
すごくばく大なデータがあるのでこれっていうのはニーズを探る上である意味宝の山。
とはいえ現状で見るとデータが逆に集まり過ぎてしまって何を読み取ったらいいか分からないのが課題になってます。
データっていうのは料理をする時は素材みたいなものなんですね。
ただ料理するしかたが分からないと素材のまま提供する訳にもいけませんし。
村上さんお料理好き。
はい。
数種類でやって下さいっていうのと数十種類でやって下さいって言われたら困りますよね。
選ぶものが少ない方が実は簡単だしまとまりやすかったりとかするじゃないですか。
なので確かに皆さんの頭抱えてた理由分かりますよね。
そういう意味でVTRに出てた2社はビッグデータを使ってたとこはそこが上手に使われてたような印象があったんでここが勝負の分かれ目でみたいになってる印象があります。
2つ目のキーワードです。
「無意識」。
これはどういう事ですか?行動観察とかいったような本人に直接聞くというよりは本人が無意識にやってる活動とか行為を外から見た人が解釈をしてあげるっていうのが一つ無意識を探るポイントっていうのですごくアナログ的ですけども狭く深く掘っていくってタイプのニーズの発掘方法っていうのは一つのトレンドに今なってる。
新しいものを作る時っていうのはある意味消費のサキどりをしてる方。
これが大事なんです。
突出して詳しい人を見ているとひょっとしたら…。
そこに何かが…。
例えばAっていう商品が調査したら8割の人が買いたいと言いました。
例えばBっていう商品1割の人が買いたい。
どっちの商品がいいですかっていうと普通考えると…。
Aですよ。
8割ですよ。
もうちょっと深く考えて言うと例えばAっていう商品はとりあえず1回は買ってもいいっていう人。
ただBっていう人はめちゃめちゃ好きだと。
これだったら一生ささげてもいいっていうぐらいの方がいたとするとどっちがビジネスとして大きいかというと時間軸で見れば間違いなくBの方が大きい。
でも確かに自分が欲しい商品が私が行ってたスーパーに無くなった時があったんです。
もう行きたくなくなったんですよ。
スーパー全体にもういいと。
だったらほかのスーパーに行っていろんなものを買ってついでに自分が好きな商品も買えるからそっちに行こうって思いますもん。
「何でこれが無くなっちゃったの?」って。
さあ3つ目のキーワード。
「プロ消費者」?
(宮澤)はいそうですね。
これはちょっと上の2つと少し違うんですけども消費者を素人と捉えるんじゃなくて村上さんみたいに消費のプロっていうふうに位置づけると。
企業としては消費の専門家っていうのを自分たちの中に入れながら一緒になって考えていくとより新しいものが生まれていくんじゃないかと。
これが新しい動きで。
まあこれをプロ消費者っていうふうに名付けてこれを取り込むというのが少し動き始めてると。
プロの消費者。
そのプロ消費者を積極的に活用している会社を取材しました。
おっプロ。
はいいらっしゃいませ!東京・羽村市に本拠地を置く中堅の食品スーパー。
年商は50億円で創業以来40年以上黒字経営を続けています。
店の特徴は独自の品ぞろえ。
全国1,000以上の取引先から直接取り寄せた商品が並びます。
お値段を見ると…1,000円のみそにこちらの蜂蜜はなんと5,000円以上!こちらのスーパーの会長福島徹さん。
店に置く商品の多くは自ら全国を飛び回って探してきたものです。
業界屈指の目利きとして知られる福島さん。
その信念は客の目線での店作り。
そんな福島さんが頼りにしている人たちがいます。
それがこちらの皆さん。
その名も…主婦たちの特別チームです。
メンバーは30代から60代の10人で元は常連のお客さんばかり。
店や商品に対する意見を主婦として自由に話すのが仕事。
それで給料をもらうまさに主婦のプロです。
この日は仕入れを検討している牛乳の味見です。
しかし徐々に厳しい意見が。
結局この商品は扱わない事に。
どの商品に何を言ってもおとがめなし。
会社の利益は気にせず自由に話す。
そんな彼女たちの一声で商品の運命が決まっていきます。
店内に貼り出す広告作りも彼女たちが担います。
商品を使った調理方法など痒い所に手が届くポップは客からも好評です。
彼女たちが客の視点を忘れてしまわないように店では心を砕いています。
ほかの社員と距離を保つため職場は個室にしています。
ああ…でもどうしても浮かぶこの疑問。
あの…福島会長。
3月中旬。
福島会長には主婦たちの意見を是非聞きたいという気になる食材がありました。
それがこの謎の粉。
この粉の正体それは…こちらの鉄工所では玄米を粉にする機械を開発。
途中に蒸らす工程を入れる事で粉に炊きたての風味を加えました。
この米粉で新商品を開発しようというのが福島さんのねらいです。
粉を東京に持ち帰った福島さん。
早速新商品の開発会議に主婦チームを招きました。
水で溶かして味見してみます。
おっリアクションは上々!その様子を見て福島さんすかさず自分のアイデアを披露します。
粉をミルク代わりに使おうというのです。
さあお味は?あら〜福島会長バッサリやられました。
でもこの正直さが大事なんですよね。
徐々に乗ってきた皆さん次々にアイデアがあふれます。
こうして1時間の会議が終了。
担当者を決めて商品開発を進めていく事になりました。
いやこれ村上さんもう加わりたいんじゃないですか?いいですよね。
ちょっとあの会議参加したいですよ。
私も何か新しい商品も気になりますしやっぱりこう正直に言えるって…。
しかもお店に声が届くというのがやっぱりいいなと思って。
ちょっと本当に痒い所に手が届くっていう感じでいいなと思いました。
普通の例えばモニター調査とかアンケートからはやはりなかなか出てこない情報がここにあると。
そうですね。
やっぱり一番の違いは調査って大体1回で終わりますね。
あのアンケート一回きりですけどここはすごくやっぱり長く時間をかけてやっていくのでお互い言ってもいいっていう安心できる場が出来てきますのでそうして初めて本音とか貴重な意見が出てくるという意味では時間をかけてやるっていうのが実はこの手のタイプのやり方の一つの重要なポイントになっていくので。
信頼関係っていうのがすごく大事になってくると思います。
実はこうしたプロ消費者を巻き込む取り組みさまざまな企業で行われているんです。
例えば…実際に商品化に至りました。
そしてもう一つ。
具体的に言いますと最終面接の面接官を常連客が担当されました。
ほ〜う。
実はこの会社では添乗員として全社員が関わるんです。
お客さんと直接?はい。
お客さんが「この方感じがいいわ」と思った人材を採用したい。
ほ〜う。
でも確かに一番いいのかもしれないですね。
何か見えないところが見える感じがしますよね。
実際お客さん自身が選んだという思い入れもあってリピーター率が7割。
すごい!考えてみたらふだんの商品開発ってそもそもでもユーザーの皆さんの意見を取り込んでるはずなんですよね?もちろんユーザーの声を取り込むというのが基本的な商品開発のしかたになってはいますけどもやっぱりどうしても目線的に言うと企業と消費者っていうのは対立関係にあるっていうのが。
意識はしてないですけどそういう感じがあるっていうのが一つの大きなポイントになっていて…。
例えばビジネスでよく使う言葉って経営戦略とか営業戦術とかターゲットとかキャンペーンとかってありますけども全部戦争用語なんですね。
あっ軍事用語ですね。
これこそ無意識のうちにビジネスの構造の下にこうなってると消費者っていうのも何となくそうではないんですけどやっぱり敵になる訳です。
ところがやっぱりモノが売れなくなってくると企業も音頭を取るけども消費者も一緒になって考えるという一緒になってモノを作っていかないともはやいろんな意味で市場化できない時代になってくると。
これが一緒に作るっていう意味で共に創る共創っていうのがここ最近のマーケティングのキーワードになってますけども。
だからこそプロ消費者というような皆さんの力を借りながら共に創っていく。
そうするとまあ実際の消費者なので基本的に分かっているニーズがそこで掘り起こされて一般の消費者の皆さんにもこのメリットが広がっていくと。
(宮澤)はい。
企業っていうのは英語で言うとカンパニーっていう意味ですけどカンパニーは語源仲間っていう意味ですので。
もともとやっぱり企業っていうのは敵ではなくて仲間っていうのが名前になってるという事であると消費者っていうのは仲間としてつきあってあげる。
お友達としてつきあってあげて言いたい意見を言って自分のやりたい事やり方で生活をしていくっていう事が多分みんなにとって幸せなやり方なのかなというふうに思います。
そうすると村上さんあの「大好きなポテチを復活させて下さい」と。
そうですね。
それ伝えてないんですよ。
言った方がいいかもしれないです。
「何で無くなっちゃったんですか?」ってそのコミュニケーションがとれてなかったです。
ちょっとクールな関係だったんですね。
そうですねはい。
ちょっとこれから是非ホットに。
自分も意見を伝えていきたいと思います。
いや片山さんプロ消費者なってみたいな。
これからお店に行って商品を選ぶ時視点変わりそうです。
なるほど。
あえて伺いますけどプロ消費者どの分野行きたいですか?大好きなぎょうざ。
ぎょうざ!?そうなんだ。
カビラさんは?僕はね…明日にでも採用よろしくお願いします。
という事でモノが売りたい私の事を欲して買ってちょうだいという気持ちを込めてTheHumanLeague「Don’tYouWantMe」。
2015/04/12(日) 08:25〜08:55
NHK総合1・神戸
サキどり↑「“見えないニーズ”をまる見えに!?」[字]
モノを売るのが難しい時代。変わっていく消費者のニーズを追いかける企業の、ビッグデータ活用の最前線や、消費者とのコラボによる商品開発など、多様な動きを紹介する。
詳細情報
番組内容
モノを売るのが難しい時代。変わっていく消費者のニーズをキャッチしようと企業各社が知恵を絞っている。コンビニは、ポイントカードの普及をテコに、そのマーケティングを更に進化させている。一方で、調査対象を絞り込み、徹底的に「行動観察」することでニーズをくみ取る、というアナログな手法にも注目が高まっている。さらに、企業が消費者を巻き込んで商品開発する動きが加速。変わっていく企業と消費者の関係をサキどる。
出演者
【ゲスト】村上知子,大手広告会社…宮澤正憲,【司会】ジョン・カビラ,片山千恵子
ジャンル :
情報/ワイドショー – その他
ニュース/報道 – 経済・市況
バラエティ – その他
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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