【記者手帳】駐リビア大使の帰国を知らなかった韓国外交部

【記者手帳】駐リビア大使の帰国を知らなかった韓国外交部

 リビアのトリポリにある駐リビア韓国大使館が、武装した何者かに機関銃で攻撃された今月12日。韓国外交部(省に相当)は、事件発生から9時間が経過した午後5時15分、ようやくブリーフィングを始めた。当初、外交部はメディアに襲撃の事実を公表せず、ブリーフィングの計画も立てなかった。しかし午後4時50分ごろ、外信が大使館襲撃の事実を報じ、記者からの問い合わせが相次いだため、あたふたとブリーフィングを行ったのだ。

 ある外交消息筋は「いかに状況が切迫していたとしても、ブリーフィングをやるまで9時間もかけるというのは理解し難い」と語った。このブリーフィングの場で、取材陣が李鍾国(イ・ジョングク)駐リビア韓国大使の所在について尋ねると、外交部の当局者は「李大使は(大使館の臨時事務所があるチュニジアの首都)チュニスにいる」と回答した。メディアから「李大使がチュニジアから襲撃の状況を外交部に報告している」と報じたのは、こうした説明に基づくものだった。

 ところが李大使は、事件発生11日前の今月1日、任期を終えて帰国していた。自分がチュニスにいるというメディアの報道を見て驚いた李大使は、13日午後、外交部本部に帰国の事実を知らせた。リビアを担当する外交部アフリカ中東局は、この時まで大使が現地に不在だということを知らなかった。大使館襲撃という重大事件が発生したのに、外交部は担当大使の行方を把握できておらず、結果的にうそのブリーフィングまで行うことになったのだ。

 これについて、ブリーフィングを行った当局者は14日「余裕がなかったため(12日のブリーフィングで)言い間違いをした。勘違いがあった」と釈明した。しかしこの当局者は、12日のブリーフィングの後も、李大使と電話をしたかどうか記者から尋ねられると「直接電話をした。李大使は随時報告している」と語っていた。ミスを訂正する機会は何度もあったのに、2日間うそをつき続けていたのだ。

 大使館襲撃という緊迫した状況で、外交部がどれほど忙しかったかは十分察することができる。それでも、襲撃の事実を海外メディアが報ずるまで秘密にしておく必要があったかどうかは疑問だ。また駐リビア大使の問題も、最初から率直に語っていれば、ばかばかしい「うそつき問題」に巻き込まれることはなかっただろう。

李竜洙(イ・ヨンス)政治部記者
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