命を預かる外科医たちはこの日家族連れの休日を過ごしていた
チームワークなしに彼らの仕事は成り立たない
(大藤剛宏)いろんな家族
岡山大学病院の肺移植チームはつい8日前世界初の難手術をやってのけた
脳死ドナーの肺と生体ドナーの肺を同時に1人の患者に…
かつて誰も考えたことのなかった手法で大藤たちは患者を救った
まさに…
このケースで肺移植の可能性は一気に広がったことになる
僕らに…
穏やかな口調が揺るぎない信念を宿していた
大藤の元には助けを求める患者が全国からやって来る
他の病院から舞い込む手術の依頼も少なくない
(着信音)もしも〜しはいはいいいですよ失礼します今日姫路のほうで血管が詰まった人がいてちょっとそれの手術に昼間ちょろっと行ってこないといけなくなりました
(着信音)もしも〜しまぁ高めで推移させましょうかはいは〜いよろしく〜
(着信音)なんと続けて…もしもし
1年前私たちはある少女の肺移植手術に密着した
脳死ドナーの大きな肺を少女の狭い胸に合わせて小さく切って移植する
それは革新的なやり方だった
(母親)よかったな
(母親)よかったなぁよく頑張ったなぁ
大藤がオーストラリアから呼ばれたのはその半年後
留学先で突然呼吸困難に陥った少年がいる
Nicetomeetyou
緊急入院した現地の病院からは肺移植が必要だと告げられた
父親が自分の肺を差し出そうと決めた時大藤にたどりついた
ちょっと大変だったね書くものがいる
高校生の息子には人工呼吸器がつながれ声を出すこともできなかった
あっ「テレビで見ました」ありがとう
「ぼくって脳死の人から肺をもらうことができないの?」
そうすると…そうなると…
原因は不明だが肺のダメージは大きい
大藤にも初めての症例だった
できるだけ早く日本に連れ帰り手術を行わなければならない
大藤の結論に少年はこう答えた
よ〜しすばらしいよしハイタッチじゃ頑張ろう
日本に運ばれた少年は航空自衛隊に設けられている航空機動衛生隊の手で岡山へ
あまり知られてはいないが急患の搬送は災害派遣と並ぶ自衛隊の活動の一つだ
機内には大藤も乗り込んだ
岡山じゃ
父親の肺の一部を少年の右肺に移植する生体片肺移植手術が始まった
少年の肺を包む胸の壁には一面に分厚い膜が張り付いていた
まずはこれを全て取り除いていく
困難を極めたのは移植の手前まで
手術は12時間に及んだ
(スタッフ)やっと外せますねやっと外せますホントにあぁ〜はぁ〜お父さんどうですか?大丈夫?…ということなのでいや〜もうホントに…お父さんの肺がまたいい肺ですねこんなちっちゃくなるのに膨らますとこんなに大きくなる…あれものすごくいい肺ですこんなそりゃそうですもう支えてますよもうお父さんの肺で息してますからゆっくり休んでありがとうございましたいえいえ今日はお父さんもよう頑張られましたそれはよかったですじゃあまた元気になってお見舞いに行ってくださいね
少年時代魚の解剖で命の不思議に触れた
大学病院に勤め始めた時上司の言葉が深く心に刻まれたという
将来一人でもいいから「あんたがおったから助かった」要するに他の誰でもない他の外科医じゃなくて「あなたがいたから助かったんです」っていう患者が一人でもできたら君の外科医人生は大成功逆に外科医になった意味があったと思いなさい…と
手を差し伸べてきた数えきれない人生
父親の肺を移植したあの少年からもオーストラリアから元気な便りが届いた
けれど救おうとして救えなかった命もある
移植コーディネーターと共に訪ねたのは脳死ドナーが現れず移植の夢がかなわずに亡くなった少女の家
あそこで診させていただいて…
10日前
大藤は急きょ北海道から一人の患者を呼び寄せた
脳死移植への登録をしたばかりの男性
両肺を患っていた59歳の前に適合する脳死ドナーが現れたのだ
脳死ドナーからの肺移植には今全国で240人以上の希望者がいる
本来ならば2年以上は待たなければならない
だが今回は他の病院が難しいと見送った肺に大藤だけが手を挙げた
よし
尊い思いで提供された臓器を無駄にはしたくない
だが今回の肺は片方だけ機能も低下している
そこで…
そうなると…なので僕らがちょっと考えたのが…
患者の左胸には脳死ドナーの肺を右には息子が提供する肺の一部を
小さいけれど健康な息子の肺と大きいけれど弱っている脳死の肺互いに補うように
世界初の…
これはやっぱり…ちょっと頑張らんといけませんな
その日夜7時20分脳死ドナーの肺を摘出するためにチームの医師たちが岡山を後にした
じゃあ頑張ってはい行ってきますはい
12時間後の朝7時半
移植を待つ患者は漁師だそうだ
どうですか?寝れました?はい何か最後に聞いておくこととかあります?大丈夫ですか?すばらしい次に大物取るのはサケですかね?8月…それまでにはじゃあ確実に帰って陣頭指揮を執れるようにしましょう
脳死移植では当事者が特定できないよう名前などを伏せる決まりになっている
…してあげてくださいでもてれくさいよなふだんはそんな感じじゃないんでしょ?そうです話もしない
前代未聞の移植手術が静かに始まろうとしていた
父親の手術室に入った大藤が待ち受けているチームに淡々と告げる
まず父親の両肺摘出に着手
その頃肺の一部を提供する息子が隣の手術室に入った
いつかこんな日が来るかもしれないと父親のために禁煙していたそうだ
隣り合う手術室とやがて届く脳死ドナーの肺
連携の要にいるのが移植コーディネーターだ
まだ連絡は来ないけど…
脳死肺の摘出を終えたチームが予定どおり戻ってきた
大藤は脳死ドナーの肺から移植に取りかかろうとしていた
お〜何かいいじゃんありすぎるぐらい
だが息子の肺の摘出で予期せぬ問題が発生
血管の位置が通常とは異なっていた
大藤先生…いいよ…一回見に行きます?一回見に行くわ今外れてるから
大藤は隣の手術室へ
すいませんちょっと見せて…
肺の一部を切り出す時に複雑な血管の縫合が必要だった
こればかりは大藤にしかできない
ちょっと深いのが難点じゃなぁ
全体の手順が大きく狂ってしまった
脳死肺の移植は一時中断
傷みが進まないように氷で冷やし続ける
大藤は段取りの変更を指示した
順番を変え息子の肺から先に移植
無事摘出
この健康な肺を先に入れれば一時的に弱った脳死肺を支えられる
もうええよ…サンキュー
大藤は息子の肺を素早く父親の右肺へ
じゃあ向こうにローテーションお願いします
そして脳死肺に取りかかる
これはいいんじゃないかなわっこれ結構でかいな
こうして気管支や動脈静脈などが次々とつなぎ合わされていった
手術開始からおよそ7時間半
お願いします息子…息子すごいきれいやっぱり息子…きたきたすばらしいこちらも
(スタッフ)見た感じどうですか?むちゃくちゃいいですすばらしいはいお疲れさん
10時間を要して世界初のハイブリッド肺移植手術は無事終了した
はぁ〜あ〜
(スタッフ)よかったですねよかったですこれが移植した肺なんですけどこれがこう大きいんだけどちょっと白いよねこれが脳死になった人が提供してくださった肺この肺も今は白いんですけどねやがてきれいになりますそれで非常にいい肺を頂いてますからまたサンマ取りに行けますあぁそうねありがとうございましたよかったよかった
感謝しているのは家族だけではない
ほかならぬ大藤自身が大きく励まされていた
僕がある手術方法を思いついてそれにぴったり合う患者さんを探して手術してるんじゃなくて患者さんが僕に宿題…「私を治せる方法を考えてください」っていう宿題をいつももらうので…ヒントをくれた患者さんは既に亡くなってしまったっていうことも実はありますただその方がくれたヒントで新しい手術法を思いついてまた今度同じような患者さんが来た時にはそれを実践するということで少しずつ前に進んでるかなっていう感じはしますね
移植直後傷みに白くかすんでいた脳死肺は予想より早く5日後のおとといには健康を取り戻した
父親は今息子と2人サンマ漁を夢みている
こんにちは久しぶりです
世界初のハイブリッド肺移植手術を終えた翌日去年肺移植を手がけた少女が検査入院してきた
どこ行ってきた?遊びました遊んだ!おっ
生後2か月の頃から酸素ボンベと共に暮らしてきた少女
それは9時間に迫る難しい手術だった
脳死ドナーの肺は小さな胸の中で左右共に力強く膨らんだ
今は元気に高校生活を送っている
どう?体力的に…ちょっとずつきてる?クイックイックイってこげるようになった!お〜すごいじゃんめちゃめちゃ楽になりましたねよかったよかったようん…でも僕らが一番癒やされるのはこういう元気になった患者さんの笑顔ですよ
新たな未来を手に入れた患者たち
忘れられないいくつものほほ笑みが大藤剛宏を駆り立てる
困難は乗り越えるためにあるのだと
ふ〜う!あれ…あら…何か急に風が強くなってきたあいたた葉っぱが飛んできた
その名はアジアアロワナ
一人っきり…誰も知らない世界の虜になった
カンボジアそこは魚の楽園
2015/04/12(日) 23:00〜23:30
MBS毎日放送
情熱大陸[字]【大藤剛宏/世界初手術…肺移植医救命の瞬間!命救うワザ】
肺移植医/大藤剛宏▽生体肺移植と脳死肺移植を同時に行う前代未聞の“ハイブリッド肺移植”手術に挑み、今月世界で初めて成功した移植チームの独占密着ドキュメント
詳細情報
番組内容
重い肺の病気をもつ59歳の男性患者に対し、片肺を息子から、もう片肺を脳死ドナーから移植する前代未聞の手術を執刀した岡山大学病院の大藤と、彼を支える移植チームのドキュメントを送る。「与えられた肺を最大限生かす」ことを信条に、これまで革新的な手術を成功させてきた彼が、約10時間を要した世界初の手術現場はどのようなものだったのか。「命を救う」、その一点に向かって走るチームワークや情熱に迫る。
出演者
【プロフィール】
大藤剛宏
肺移植医。広島県生まれの47歳。
外科医6年目に、岡山大学病院で行われた日本初の生体肺移植にドナーの主治医として立ち会う。その後肺移植医を目指し、移植先進国のオーストラリアへ。5年間で200の症例を経験、初診から手術、退院後のフォローまで全てのノウハウを習得。帰国後、日本では臓器提供が少なく、助かるはずの命が助かっていない現状に直面。移植によって人を救うため、日々奮闘。
制作
【製作著作】MBS(毎日放送)
【制作協力】メディア・メトル
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