9サイエンスZERO「エコな水素社会は実現するか?」 2015.04.12


(チャイム)さあ冒頭から今日はいきなりクイズです。
おっ。
2015年はH元年といわれているのですがこのHは何のHでしょう。
えっこの間ウエアラブル元年ってやったばっかですよね。
やりましたけど今年は「H」もすごいんですよ。
えっ。
みんな分かるかな?Hといえば?それ意味分かんない。
あ違う違う!ハッピー元年?
(不正解の音)すいません。
竹内さんちょっと!誰も分かりませんよ!と思いきや…。
(スタッフ)正解!ありがとうございます。
いつもありがとうございます。
という事で正解は元素記号のHで…今年本格的な生産が始まった水素で走る燃料電池自動車。
多くのメーカーがこの次世代の車の開発に力を注いでいます。
水素で発電しモーターを動かします。
水素ステーションも続々建設。
全国100か所で燃料電池自動車に水素の補充ができるようになる予定です。
更に巨大な燃料電池を使った発電も世界に先駆け始まっています。
いよいよエコな社会が走りだす!でもそこには大きな壁が…。
その壁を乗り越えようと今研究者たちが奮闘中!おっ水の音がしますよ。
これがヒント。
徹底的に迫ります!燃料電池自動車かっこいいですね。
乗ってみたいですよね。
うん。
あと水素ステーションが100か所。
ねえ!これもすごいですよね。
すごい。
という事で今日のテーマは「水素を使うとエコ社会がやって来るのかな?」です。
はい。
あっ何か出てきましたね。
はい。
まず最初に水素でエネルギーを作るとエコな理由を実験してみましょう。
ここにあるのが燃料電池なんですよ。
これが水素のタンクでここから水素が入ります。
そしてこちら側が空気が入る穴があります。
これと同じようなものが車にも入ってるんですね。
ここで発電をしてモーターを回すっていう仕組みなんですね。
じゃあちょっと水素を入れてみましょうか。
開けますよ。
はい。
えいっ。
おっ動き出した。
ここで水素と酸素が反応して電気が出来ていると。
ここで水素から電気が作られているんですね。
この真ん中に入っている燃料電池の本体はジャジャ〜ンこれなんですね。
これが真ん中に入ってるんです。
薄い部分が高分子膜で黒い部分両側から挟んでるのが電極なんですよ。
いやすっごいぺらぺらですね。
へえ〜。
分かりやすいように燃料電池の横幅を広くしてご説明しましょう。
右側から酸素が左側から水素が入ってきます。
中心にあるのが高分子膜。
その両側が電極です。
まずは左側にご注目。
水素は電極に入ると水素イオンになり高分子膜を通り抜けます。
一方水素が放出した電子は導線の方を通ります。
こうして電気が生まれるんです。
右側の電極では電子と水素イオンが酸素と結合して水になっています。
これならCOを出さずに電気が作れるからエコですよね。
ですよね。
でおまけに水素も酸素も地球上に実はた〜くさんあるんですよ。
あ〜そっか。
もうそれは使わない手はないですね。
ですね。
日本の大学とか研究所っていうのは今一生懸命水素を使おうとしていてなんと燃料電池の特許の出願数が世界一なんですね。
え〜!うわ〜!ほら。
半数以上ですよ。
すごい!特に高分子膜とか電極の改良の研究開発が盛んなんですね。
ですが今年話題のあの車では意外なものが燃料電池の性能アップに貢献してるんですよ。
先月開業した…その開通イベントでひときわ注目を集めたのがそう最新の…なぜ今この車が話題になっているのか?その理由の一つが燃料電池の性能です。
車の前方から取り込まれた空気の中の酸素とタンクから運ばれる水素。
その2つが出会い大きな電力を生み出す燃料電池。
ここに370枚入っています。
これがその実物をカットしたものです。
厚さ1.34ミリのこの燃料電池に意外な技術革新がありました。
それが電極の更に外側にあるチタン製のメッシュです。
無数に穴が開いています。
従来反応で発生した水が電極に貼り付く事がありました。
この水滴が反応を妨害。
水問題と呼ばれ発電効率を大きく落としていたのです。
水問題の解消のために作られたのが電極の外側に置かれたメッシュです。
どのように水問題を解消するのでしょうか?その秘密がメッシュの表面に隠されています。
小さな穴が少しずつ位置をずらして配置されそのずらし方が途中で何度も変わっています。
するとなぜか水滴が剥がれるんです。
メッシュの穴から空気が入り電極に向け激しい空気の流れが発生します。
実はメッシュは水を引き寄せやすいよう表面加工されています。
そのため水滴が自然と外に導かれ吹き飛ばされるのです。
水問題はこうして解消しました。
このような技術革新の結果燃料電池の体積あたりの発電効率は6年前と比べて一気に2.2倍に上昇!しかも満タンで650キロ走るという実用性の高い走行性能を実現しました。
すごい効率上がりましたね。
上がりましたね。
ところで650キロ走るってすごい事なんですか?これはね非常にすごい事ですよ。
僕車大好き人間なんで早速呼んでみましょうか。
あっ来た。
まずは燃料電池自動車ですね。
これ水素を3分間補充するとJC08モードで650キロ走れるんですね。
でお次が同じくCOを出さない電気自動車。
こちらは急速充電でフル充電30分。
でJC08モードで230キロ走れます。
はあ〜こうやって比べてみると650キロってすごいですね。
でも燃料電池って車以外にも水素の使いみちってあるんですかね?
(2人)お〜。
お待たせしました。
その疑問には私がお答えします。
うわ〜かっこいい登場でしたね。
燃料電池の用途は車以外にもいろいろあるんですね。
早速ですけどこちらをご覧下さい。
九州大学では水素エネルギー関連の研究に力を入れてます。
例えば学内では燃料電池で発電する時に出る廃熱を使って足湯もやってるんですよ。
うわ〜こんな使い方もあるんですね。
面白い。
気持ちよさそう。
そして今年3月に設置したのがこの燃料電池発電システムです。
これが燃料電池ですか。
大きいですね。
そうですね。
横幅が13m高さが3.5mあります。
ちょうど大型バス1台ぐらいの大きさになるんですけれどもこれで365日安定的に電力を出せるかどうかメーカーと共同で今運用試験をしてるんですね。
ちょうどこの燃料電池システムが大体250kWぐらい電気を出せます。
ですからこの1台で実はその周りにある研究棟の電力を大体賄えるぐらいがあるんですよね。
へえ〜すごい。
もう何か水素を使う技術って出来上がってきてるからもう水素社会の準備は万端っていう感じですよね。
何か出てきましたね。
はい。
「水素エネルギーはまだエコではない」。
え〜っ!だって水しか出さないんだからエコですよね。
燃料電池はですねエコなんですけれども実はこの水素そのものはまだエコじゃないんですね。
え〜!という事は掘って出てくる訳ではないので何かから水素を取り出さないと駄目だと。
水素を作るっていう事ですか?天然ガスの主成分っていうのが実はメタンなんですね。
でメタンと水蒸気っていうのを高温で反応させますと水素が出来るんですけれども同時に二酸化炭素も出来るんですよね。
COも出ちゃうんですね。
ですから本当にエコかどうかっていうのは燃料を作るところから全部カウントしないと駄目なんですよね。
そっか。
そこで走行1キロあたりに出すCOの量を試算したデータがあります。
燃料電池自動車は天然ガスから水素を作った場合COを78g排出。
エコカーの代表ハイブリッド車は95g。
電気自動車は発電所でCOが出るので55gです。
結局水素を使ってもCOが出てしまうんではこれまでのエネルギーと比べていまいちメリットが感じられないんですけど。
今はまだそういうような天然ガスとかそういうものから水素を作ってるんですけれども当然我々としてはできるだけエコな水素を作りたいというのがありますし実はその取り組みをいろいろやってるんですよね。
でその中で1つ是非注目して頂きたいのが下水処理場から出てくるもので水素を作るという取り組みなんですよね。
下水処理場ですか。
福岡市にある下水処理場です。
その敷地内に先月なんと水素ステーションが造られました。
軌道に乗れば燃料電池自動車およそ2万4,000台分の燃料が賄えるんだそうですが下水処理場でどうやって水素を賄うのでしょうか?その秘密を教えてくれるのがこの施設の考案者…汚泥からどうやって水素を取り出すんでしょうか。
ここにはおよそ35万人分の生活排水が集まっています。
これは水分を抜き取って汚泥を作る工程。
一日125tの汚泥が発生しています。
出来た汚泥にはその量を更に減らすために消化と呼ばれる作業が行われます。
その過程で消化ガスが発生。
消化ガスの中にはメタンが6割も含まれているんです。
そこで田島さんはこのメタンから水素を取り出す実験を行いました。
ところが下水処理場のメタンの場合一筋縄ではいかなかったんです。
実験に使うのはこの装置。
管の中のこの触媒で水素を作る反応を起こします。
ニッケルという金属が使われています。
ニッケルには実は炭素と結び付きやすいという特徴があります。
そこでこの触媒にメタンを通すとニッケルが炭素を引き寄せ水素を取り出せるはず。
実際にはここに水蒸気を混ぜていて水素と二酸化炭素を発生させる反応です。
ところが消化ガスを通過させたところニッケルの触媒が黒く変色しあっという間に使えなくなってしまったんです。
原因は消化ガスに含まれる不純物でした。
そこで消化ガスにはどんな物質が含まれていてその中のどの物質がニッケルに悪影響を及ぼすのか徹底的に調べ上げました。
そして特に重要な2つの物質を特定したんです。
一つが石油製品に含まれる硫化水素。
もう一つがシャンプーなどに含まれるシロキサン。
ケイ素を含んだ化合物です。
その2つの物質を取り除く設備を下水処理場に設置しました。
するとニッケルの触媒の手前で邪魔な物質を取り除く事ができ水素を安定的に取り出す事ができるようになったんです。
そこで作られる消化ガスのうち7割は発電などに既に有効利用されています。
しかし残りの3割は使い切れずに捨てられているんです。
捨てられていた消化ガスを利用すれば全国でおよそ100万台分の燃料を確保できると田島さんは試算しています。
下水から100万台分の燃料が取り出せるってすごいですよね。
すごいですよね。
この汚泥は365日毎日出る訳ですからそれを活用して水素を作るというのはすごいエコですよね。
一説によると1,600か所ぐらいあるといわれてますんでそこにも今お見せしたような施設を造って水素を取り出す事ができれば単純に計算すると数百万台ぐらいの燃料電池自動車の燃料を賄えるぐらいになるんですね。
へえ〜。
ただ今現在軽自動車も含めて日本国内の乗用車っていうのは6,000万台といわれていますからもう一声欲しいところですよね。
畜産でもガスって出ますよね。
非常にいいご指摘だと思うんですよね。
例えば畜産が盛んなところは家畜のふん尿とかあと植物を使うところ要は農業が盛んなところはそういう植物から得られる木質ペレットとかそういう植物性の資源があるんですよね。
そうすると都市が持ってるエネルギーそれから地方が持ってるエネルギーをそれぞれ使う事ができまして…でもCOは出るんですよね?要は汚泥を利用せずにそのまま捨てても自然界で微生物がそれを分解してCOって出すんですよね。
ですから水素を取り出しても新たにCOを出すという訳ではないんですよね。
だけど完全にCOを出さないで作る事ってできるんですかね?電気から水素を作り出す。
どうやるんでしたっけ?さあこちらの実験器具ですが。
おお〜。
これ学校で使いましたね。
懐かしい。
水の電気分解といいます。
ここに水とプラスとマイナスの電極が入っていて電気を通すと水素と酸素が出来ます。
今日はエコな方法で電気を作らないといけないので奈央さんにこの自転車で電気をおこしてもらって。
「奈央ちゃん発電機」って書いてあったんで私がやるしかないんですね。
どうぞ。
じゃあやります。
よし。
じゃあいきます。
発電。
来い!あ!出てきた出てきた。
出てきた!この細かい泡が水素なんですよ。
あ〜それが水素!実はこれが初歩的な電気分解の実験なんですけれども残念ながら効率がすごく悪いんですよね。
え?効率が3割もいかないんですね。
え〜3割もいかない。
いや頑張ったのにちょっと残念です。
電気の量がそのまま水素になる訳じゃないんですね。
そうですね。
こちらでは水が電気で分解されてさっきモワッと出てきたのが実は酸素のガスなんですね。
そうすると残った水素が水素のイオンという形でこの真ん中の管を通って反対側に行きます。
見て頂いたら分かるようにこの水素イオンがここからここまでかなり長い道のりを通っていかないと駄目なのでそこでエネルギーをロスするんですね。
ですから一生懸命こいでもほとんど水素が出来なかったという事なんですね。
そうなんだ。
そこで燃料電池を思い出してほしいんですね。
この燃料電池のこれを逆に作動させるというとこれで逆に電圧をかけると…。
はいこのように水素ガスが出来るんですね。
本当だ。
このいいところは先ほどは数センチ離れてたんですけれどもこの高分子膜というのは非常に薄いんですよね。
0.1ミリもしくはそれよりももっと薄くできるという事ですから水素イオンが通る距離というのがはるかに短くなると。
ですからエネルギーのロスも減らす事ができるというメリットがあるんですね。
その実物を見てみましょう。
現在主流の電気分解の装置がこちらです。
横向きに置いてあるのが電極に挟まれた高分子膜。
上下に水が流れていて水素はこの上の部分に発生します。
実は水素が発生する様子カメラで見る事ができるんです。
それがこちら。
隙間から見えるデコボコしているのが電極の表面。
この奥に高分子膜があります。
流れている泡が水素です。
発生した水素を回収するために水を流しているんです。
もっとゆっくり見てみましょう。
赤い矢印にご注目。
あ〜こうやって出来るんだ。
へえ〜何かかわいい。
ねえ。
初めて見ましたねこれ。
結構ボコボコ出てくるんですね。
ですから初歩的な電気分解ですと例えば1kWhという電力から恐らく10gの水素も出来てないのかなと思いますがこういうような最新の技術を使いますと1kWhで20gもしくはそれ以上の水素が出来るんじゃないかなといわれてます。
実際にこのように電気分解で水素を作ろうという取り組みはあるんですか?例えばですね海外で使われてないような再生可能エネルギーこれを使うという試みもあるんですね。
例えば南米でも南の方に行きますと風が非常に強い所がありましてそこの風力発電で電気ってたくさん出来るんですよね。
でもそこでは電力を実際に使う所からかなり離れているのでなかなかその電気を有効に使ってないんですね。
ですからそういう現地でそれを電気から水素に作ればその地域だけじゃなくて日本にも運んでこれるとそういうような構想も実はあるんですね。
できれば日本国内で水素作りたいですよね。
という事で再生可能エネルギーと電気分解を組み合わせてどれくらい燃料電池自動車が動くのか番組で試算してみました。
これはですね実際に番組スタッフの家で使っている太陽光パネルで大きさが20m^2あるんですね。
ここで1年間発電をすると電気分解で大体90kgの水素が出来るんですよ。
これで燃料電池自動車がどれぐらい走るかというと大体1万3,000km。
へえ〜。
これって大体普通の自動車の年間平均走行距離に近いんですよ。
お〜!じゃあ20m^2の太陽光パネルさえ家にあれば燃料電池自動車が1年間走らせる事ができると。
地域とか屋根の傾きとか太陽光パネルの品質とかいろんな条件はあるんでしょうがいい線いってますよね。
水素というのは長期間ためる事ができるんですよね。
ですからそういう形で長期間ためておいて使いたい時に電気に戻して使うとそういう取り組みがこれから日本全国で始まるんじゃないかなと思います。
ただ今これ新しい技術なのでやっぱり課題もあるんですよね?そうですね。
やはり輸送したり蓄えたりそれを使ったりという事でまだまだいろんなロスも大きいんですよね。
ですからまだまだ至らぬところも多いんですけれどもこれから技術開発をしていくと地域のエネルギーを地産地消で使える。
で排気ガスが出ない社会。
それからガソリンの値段に一喜一憂しないような社会がこれが普及すれば実現すると思っているんですね。
うわ〜何かエコな水素社会が近づいている感じがしますね。
何か日本発で世界が水素社会に生まれ変わるみたいなそんなポテンシャルを感じますよね。
そうですね。
楽しみですね。
佐々木さん今日はどうもありがとうございました。
ありがとうございます。
ありがとうございました。
それでは「サイエンスZERO」。
次回もお楽しみに。
2015/04/12(日) 23:30〜00:00
NHKEテレ1大阪
サイエンスZERO「エコな水素社会は実現するか?」[字]

「水素元年」といわれるが、実は水素エネルギーは「まだ」エコではない。水素は化石燃料から作られているからだ。本当にエコになるための最新の取り組みをご紹介する。

詳細情報
番組内容
今年、水素で走る燃料電池自動車の本格的な生産や、水素ステーションの本格的な整備が始まって、官民挙げて「水素元年」として盛り上がっています。燃料電池などの技術革新が背景にありますが、現状では水素は天然ガスなどから作られています。つまり、もとは限りある化石燃料で、水素を作る過程では二酸化炭素が排出されているのです。そこで、エコな方法で水素を取り出すための最新の取り組みに注目します。
出演者
【ゲスト】九州大学水素エネルギー国際研究センター長…佐々木一成,【司会】竹内薫,南沢奈央,【語り】土田大

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 宇宙・科学・医学
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境
情報/ワイドショー – その他

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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