
担当飼育員の三上さんからミルクをもらうカピバラの「フッキ」=香川県東かがわ市松原、しろとり動物園
香川県東かがわ市松原のしろとり動物園で、カピバラの双子の赤ちゃんが誕生した。同園のカピバラは2013年に仲間入りし、通算3度目の出産。しかし、今回は母親が子育てを放棄するそぶりが見られ、飼育員が同園のカピバラでは初の人工保育に挑戦している。
2匹が誕生したのは3月30日早朝。1匹は間もなく乳を飲み始めたが、もう1匹は母親が乳を与えようとせず、数時間後に衰弱し始めたため、人工保育に切り替えた。
担当飼育員の三上悠太さん(24)は「母親に見放されている雰囲気があり、このままでは危ないと思った」と振り返る。衰弱していた赤ちゃんカピバラに温かいシャワーを浴びさせ、ドライヤーの熱を当てると、体に力が戻り、同日正午ごろ通常の状態に回復した。
ただ、三上さんの悪戦苦闘はここから。同園で人工保育の経験がないだけに、「少量しか飲まないので、2、3時間に一度のペースで」というミルクやりは、配合やほ乳瓶の形を変えて試行錯誤。便や尿を衣服にかけられるのは当たり前。すばしっこく活発な赤ちゃんに手を焼き続けている。
それでも「フッキ」と名付け、日に日に体を寄せてくるようになるにつれて愛着がわき、三上さんは「とても臆病な動物だが、人間の手で愛情を込めて育てることで、これまでにない一面を見せてもらえれば」と期待を寄せている。同園では、フッキを群れでの集団生活に慣らしてから一般公開する予定にしている。