(新海晶)「去る3月25日にあきる野市内で発生しました強盗傷害事件におきまして同市在住高宮康行氏を被疑者として逮捕拘留致しましたがその後の捜査で誤認逮捕である事が判明致しました」「当初捜査本部は高宮氏を住居不法侵入の容疑で逮捕しました」
(唐沢潤平)この歳で署長か…。
どんだけ頭いいんですかね?頭がよくても部下から総スカンじゃ意味ないだろう。
(ヘリコプターの飛行音)5年前から空き物件だったようなんで放火の線が濃いですね。
了解。
みっともないから泣くのだけは勘弁してくれよ。
(パトカーのサイレン)遺体発見!焼死体です。
焼死体!?こっちです!「捜査員は地道に周辺住民に聞き込み捜査を行い適切な証拠固めを行って参りました」「しかし高宮氏の自供を重く見過ぎてしまった事も事実であります」「結果的に高宮氏に対し長時間の勾留取り調べを行う事となってしまった事を心よりおわびしたいと思います」「本当に申し訳ありませんでした」さすが警察庁イチ押しだけはありますね。
あれじゃあ突っ込みようがありませんよ。
やっぱりねえ謝罪は女に限るよ。
はい。
(広報官)「では以上で会見を終了させて頂きます」どうした?新海。
一応言われたとおり原稿は読みましたから。
は…?「すいません!警視庁の公式見解は以上ですが次に私の個人的な見解を話させてください」おい…。
先ほど捜査が適切であったと述べましたが必ずしもそうとは言えない事実がありました。
おい!どうなってんだ!?強引な取り調べで自白を誘導した結果がこのような誤認逮捕を生んだんです。
目撃証言の裏付け捜査も満足に行われていない中高宮さんは長時間の取り調べを強いられ正常な判断力を失っていました。
そんな中で自白調書は作られたんです。
(有富)はい時間です!署の会見は…はいこの辺りで。
(記者)ちょっと待ってくださいよ。
前言を撤回したんじゃないすか。
(記者)その事について…。
(有富)はい行きましょう。
(記者)署長は行き過ぎた捜査だったと認めるんですよね!?そういう事です。
(記者)じゃあさっきの謝罪文は全て撤回ですか!?ちょっと待ってください。
こんな毒にも薬にもならないような謝罪原稿読んでたら警視庁はこれからも同じ失態を繰り返し続けると思います。
(記者)内部告発を思い立った理由を…教えてもらえますか!?
(記者)今後の進退に影響はないんですか!?
(武邑)警視庁のメンツが丸潰れですよ。
(武邑)ろくに現場経験もない小娘に所轄署を任せるなんて…。
ですが…ちょっとこれ見てください。
記者会見へのインターネットの書き込みです。
中傷だけじゃなく称賛の意見もたくさんあるんです。
そりゃあ…外野はおもしろがってるでしょう。
人事権はあなたにあるとはいえあんな事をした以上は警視庁管内で彼女に仕事はさせられませんな。
でも彼女を切り捨てたらそれはそれで…またバッシングされるんじゃないですか?偶然目についた建物に放火したら偶然その中に人がいたって事か!?そんな虫のいい言い訳通用すると思ってんのか!?
(河島敬之)本当なんですよ!どう見たって廃虚にしか見えなかったし人殺しになるってわかってたらあんな事しませんよ!刑事さん…信じてください…。
はい2部。
こっちも2部。
お願いします。
よーし!これで終了だ。
みんなお疲れさーん。
(一同)お疲れです!
(薄井昭三)長谷部〜。
これまだ誤字3つもあんぞ。
こんなんじゃ検証したって言えんだろう。
(長谷部吉伸)あっすいません…。
なんかこう一斉にサッと文字修正してくれるソフト誰か発明してくれませんかねえ?バーカ!そんなもんがあったらうちらは食いっぱぐれだ〜よと。
よし!検証終了。
(唐沢)失礼します。
(扉の開閉音)これ先日の放火事件です。
「過失致死」!?んだよ…殺人罪じゃないの?結局犯人の殺意は立証出来ませんでした。
気合入んないんだよね〜。
殺しじゃないと。
(足音)それにしても今時の刑事は…調書が下手になったねえ。
(長谷部)なんかデスクワークばっかだと体なまりません?お前なあ…現場は地獄よ〜?あきる野署みたいに上司が平気で部下をさらし者にするご時世だ。
(薄井)残業もなくて9時〜5時で帰れる。
ここぐらいなもんだ平和なのは。
だったらもうちょっと早くここで働きたかったなあ。
本日付であきる野署から異動になりました新海です。
この部署の仕事ってなんだっけ?捜査本部がまとめた送致書をここで検証して送致手続きを行います。
そう!行くわよ。
どこへ?検証。
何するんですか?こんなところで。
送致書読んで。
え?いいから。
(長谷部)「4月2日午前3時頃東京都三鷹市深大寺元町8丁目峰岸不動産所有の工場が放火された」「この工場は以前は印刷工場だったが5年前から空き物件になっていた」犯人はここまで車で来たんだっけ?はい。
車で建物を物色して偶然この建物が目について火をつけたそうです。
車を止めたのは…ちょうどあの辺りです。
しゃがんで。
(長谷部)は?よっ!ちょっ…何やってんですか!?よっ…続けて。
(長谷部)「犯人は河島敬之31歳」「会社経営がうまくいかずそれが原因で離婚しむしゃくしゃしてどこでもいいから燃やしてやろうと思った」いいんですか?勝手に入ったりして…。
私語は禁止。
続けて。
(長谷部)「事故直後はただの放火事件だと思われていましたが現場検証中に焼死体が発見されました」
(長谷部の声)「被害者は塚田裕三55歳」「塚田は事件の数日前から姿を消し行方不明になっていた」「事件から1週間後報道を見た被害者の妻が歯科医の診断書を提出し身元が判明した」「司法解剖の結果気管支内粘膜に煤が付着していた事から死因は一酸化炭素中毒と判定された」一酸化炭素中毒?という事は…。
(晶の声)出火した時被害者はまだ生きてたって事か…。
(長谷部)はい!遺体は建物中央の…事務所から見つかりました。
どうして事務所なんかに逃げ込んだんだろう?「工場内には可燃性の塗料が置かれていたため…」普通火事になったら外に逃げるでしょう。
ですから塗料に着火して火が…。
なんか不自然なんだよなあ。
この穴って事件の前から開いてたのかなあ?はい。
犯人の河島もここから侵入したと供述しています。
じゃあ河島はあんな遠くに車を止めてわざわざここまで灯油を運んできたって事?ええ。
河島は最初からこの穴の存在を知っていてはなからこの建物を放火するつもりだったんじゃない?え!?やっぱりそうだ。
この送致書おかしいわ。
書き直し。
書き直しって…。
ちょっと待ってくださいよ…!うちが現場検証やり直してるなんて一課の連中が知ったら怒るだろうな〜。
キャリアにありがちなタイプですよ。
現場経験なんかないくせにやたらに口出したがる。
お前拒否すりゃよかったんだよ。
あぁでもお前デスクワークで体なまってたんだから現場に出れてよかったんじゃないの?んなわけないでしょう!?余裕だね〜。
2日目から遅刻ですか〜!
(峰岸龍夫)いやビックリしましたよ。
まさか死人まで出るなんてねえ。
あの工場はずっとこちらが?ええ…まあ上物は古かったんだけど機材を入れ替えれば借り手がつくと思ったんでね。
やっと契約が決まった矢先にこの事件ですよ。
工場の裏のフェンスに穴が開いてますよね?半年前から放置されてたみたいですけど。
フェンス…?あああれね。
いや直そうとは思ってたんだけどほら全面張り替えなきゃいけないから経費がかかっちゃうでしょう。
放火犯罪ってどういう動機が多いかご存じですか?知りませんよそんな事。
不満やストレスの発散それに恨みを待つ相手に対して嫌がらせ目的で行う場合も多いんです。
つかぬ事をお伺いしますが容疑者の河島に恨まれていた可能性は?ちょっと待ってくださいよ。
そんなわけないでしょう。
大体河島なんて全然知らないし第一人に恨まれるような仕事はしてませんよ。
可能性を聞いただけですけど。
こっちは新しく搬入した機材全部やられて大損してるんだよ。
冗談でもそんな事言われたくないよ本当に。
係長。
被害者の資料まとめてもらえます?え?ああ…はい。
小暮さんはホワイトボードの用意。
ええっ?
(ドアの開く音)どうして被害者の資料が必要なんだ?どちら様?一課の永友だ。
なんでうちがまとめた事件をあんたが蒸し返してんだよ?なんでって…ここは検証捜査係ですけど。
捜査権は捜査本部にある。
あんたの仕事は本部がまとめた資料に不備がないかどうか検証する事だ。
現場にまで出向いてあれこれ詮索するのは越権行為だろ。
おかしいなぁ…。
これ発足の時の記事ですよね?「冤罪事件や捜査ミスが相次ぎ警察の権威が失墜しかけている事を憂慮した警察庁は第三者的に捜査を検証する検証捜査係を警視庁に設立した」って書いてありますけど。
あのな新聞になんと書かれていようが…。
越権行為かどうかなんて問題じゃない。
問題なのはこの部署が検証機関として機能しているかどうか…でしょ?何?漢字の間違い直すだけならバイトでも出来ますよね?あんたさ…そうやって仲間を信用しないからあきる野署の連中にシカトされてたんだよ。
俺はこれをまとめた自分の部下を信用してる。
だからあんたに指一本触れられたくない。
以上だ。
(ドアの開閉音)じゃあ始めようか。
えっ?ちょっ…ちょっと…!放火…。
現場を見てみるとあの建物を偶然見つけて放火したっていう河島の証言に信憑性がないんです。
考えすぎだと思うけどねぇ…。
偶然フェンスの穴を見つけたからそこから侵入したってだけの話だろ。
車の停車位置が遠すぎます。
すぐに逃げるつもりならもっと車で接近出来る建物を選ぶはずでしょ?そんな事はないよ。
普通は車は離れた場所に止めますよ。
根拠は?…勘ですけど?勘…!?何それ?うける!アハハハ…!管理官。
はい?過失致死の「致死」の字が間違ってます。
あとこの字も…。
もう気になっちゃって話に集中出来ないんですよ。
でもしそれが偶然じゃなかったらどうだって言うんですか?論点が見えないんだよなぁ。
最初からここにいる塚田を殺害するために河島は放火をしたんじゃない?もしそうなら殺人罪ですけど。
フフフ…ちょっと待ってよ。
一課の刑事が束になっても河島の殺意は立証出来なかったんだよ?それをあんたうちらのこの…このメンツで立証しようと思ってんの?アハハハ…!うける!
(読経)警視庁検証捜査係の新海です。
ご主人と容疑者の河島との接点を探してるんですけど…。
(塚田綾乃)警察には心当たりはないと伝えました。
主人の携帯電話も知り合いの連絡先もお渡ししてあります。
ギャンブルで借金をして行方不明になっていたそうですね?
(綾乃)はい。
でも警察には捜索願は出されていなかった…。
主人取り立ての日が近づくとすぐにいなくなってしまうんです。
捜索願なんか出していたらきりがありませんから。
通夜に出るなら喪服ぐらい用意したらどうだ?あんた日本語が理解出来ないのか?検証ごっこはやめろと言っただろ。
永友さん…でしたっけ?なんだよ?のどが渇きました。
聞いてんのかよ人の話…。
うまっ!食べないんですか?家で食える日はなるべく外食しない事にしてる。
ああ…。
じゃあ遠慮なく。
で何をまだこだわってんだよ?河島は最初から被害者の事を知ってたんじゃないかって思っただけです。
あんた本当に送致書読んだのかよ?2人の過去は十分に捜査してなんの接点も見つからなかったんだよ。
仕事上接点は見つからなくてもプライベートであった可能性はありますよね?ギャンブルとか。
河島はパチンコすらした事がない男だよ。
河島は誰かに命じられて塚田を事件現場に呼び出し殺害した。
その殺害した証拠を消すためにわざと建物に火をつけて放火を装った…とか。
あのなあの工場はずっと廃虚だったんだよ。
殺害してそのまま逃げれば遺体はずっと見つからなかった可能性だってある。
それをわざわざ放火して大事にするバカがいるか?いるかもしれませんよね。
(ため息)とにかくすぐに送致手続きに入れ。
俺のせいで送致が遅れてるって検察に思われたくないんだよ。
それにしても随分寂しい通夜でしたね。
あの奥さん本音じゃ葬儀なんかしたくなかったんだろう。
被害者の塚田は調べれば調べるほど下劣な男だ。
会社をリストラされてからギャンブルに溺れろくに仕事もせずに借金の山を作った。
奥さん事務員の仕事をしながら今でもその借金を返し続けてる。
へえ〜。
そんな事送致書には書かれてなかったけどな。
ごちそうさまでした。
なんだよ?あっこれお会計です。
(小暮遥花)あっトイデジ!よかった欲しかったんだよこれ!静かに。
みんな寝てるんだから。
(遥花)ありがとね。
薬飲んだか?
(遥花)うん飲んだ。
ねえこれ今やってみてもいい?もう遅いよ。
まあでも…ちょっとだけな。
(シャッター音)むちゃな上司が来やがってよこんな遅くまで残業させられて明日朝から聞き込みだってよ。
ヘックシ!仕事じゃしょうがないよ。
私はもう大丈夫だし帰って寝なよ。
そっか。
じゃあお菓子でも食べて帰るかな。
ヘヘヘヘ…。
へへへへ…。
今さら容疑者の家族に何聞けっていうんだよ。
事実関係をチェックすればいいんじゃないですか?ほう〜やる気だねぇ。
じゃあ聞き込みお前に任せたから。
マジっすか?自分でやるの初かも。
ああどうもすみません。
どうぞお構いなく。
(柴田雪実)どうぞ。
えっと…。
河島さんと離婚されたのは半年前で間違いありませんか?はい。
会社の経営悪化が離婚の原因になったという事で間違いないですか?はい。
(ドアの開く音)
(雪実)どうしたの?
(柴田蓮)薬の時間だよ。
(雪実)もうちょっとで終わるから部屋で待ってて。
あの失礼ですが河島さんは離婚してから息子さんとも一度も会ってないんですか?当然です。
確かにあの人との関係がこじれたのは会社の経営悪化が原因です。
でもそれだけじゃありません。
…と言いますと?女です。
不倫されちゃったって事ですか?バカお前…失礼だろ。
あっ…すいません。
仕事が忙しいふりをしてあの人は私と息子を裏切っていたんです。
飽きません?一日中漢字ばーっかり直してて。
飽きません。
続けてください。
薄井さんギャンブルは?遊び程度ですけど。
ギャンブルにのめり込むのってどういう心境なんだろう?心境も何も勝った時の快感が忘れられずにそれが得られるまで賭け続けるただの病気ですよ。
なるほど。
病気なら支えたくもなるか…。
確か被害者の妻は税理士事務所の事務員ですよね。
大変だったと思いますよ。
事務員の給料で生活費も旦那の借金も返すのは。
戻りました。
いや〜疲れるねぇ。
聞き込みなんて久しぶりだからさぁ。
あの離婚前に河島は不倫してたみたいです。
不倫?ええ。
それで関係者に話を聞いたんですけど不倫相手に心当たりのある者はいませんでした。
どうしました?河島は不倫をしていた。
でもその不倫相手が誰なのか関係者は誰も知らない…。
被害者塚田の妻は夫の借金に苦しんでいた。
失礼します。
河島を取り調べたいんですけど。
理由は?河島と被害者との接点はなくても被害者の妻と繋がっていた可能性はありますよね。
バカバカしい。
何を言うかと思ったら…。
河島は不倫をしていたんです。
それは送致書にも載っていなかった事なんです。
その不倫相手ってもしかしたら…。
あのな俺たちは推理ゲームをやってるわけじゃないんだよ。
根拠はあんのかよ根拠は!勘です!勘?バカにしてんのか?してません!ただ気になる事は全て検証するのがうちの部署の仕事ですから。
わかった。
取り調べは俺がやる。
その代わりもし何も出なかったら今度こそ送致手続きに入れよ。
河島を呼べ。
「正直に言え」「工場に人がいた事を知ってたのか?」知らなかった。
本当に…。
お前は塚田を事務所に閉じ込めそこから出られないようにした。
違うか?俺は…。
(河島)「とんでもない事をした」ところでお前は不倫してたらしいな。
「しかもその相手は塚田の嫁さんだって噂だ」「お前その嫁さんにそそのかされて塚田を殺したんじゃないのか?」黙ってちゃわかんねえだろ!答えろ!俺の放火で人が死んだ!俺のせいで人が…。
私には嘘を言ってるようには見えませんがね。
薬の時間だよ。
(携帯電話)
(携帯電話)はい。
新海です。
小暮です。
すいません。
さっきちょっと言い忘れた事がありまして…。
河島の息子の薬の処方箋見たんです。
その薬移植手術を受けた患者が服用する免疫抑制剤でした。
移植?ええ。
それで近所の人に話聞いてみたんです。
ちょっとお伺いしたいんですけども…。
そうですか。
やっぱり息子さん入院してましたか。
河島の息子は先月肝臓の移植手術を受けてました。
かなり費用のかかる手術です。
そんな大手術を控えた夫婦が離婚するとは思えませんね。
ええ。
ましてや不倫なんて私には考えられません。
しかも手術は先月だったって事は河島は息子の手術が成功したのにむしゃくしゃして…。
「放火したって事になる」詳しいんですね。
移植の事。
「えっ?いや…」昔ちょっと調べた事がありまして。
ありがとうございます。
失礼します。
(すすり泣き)
(長谷部)あの…なんで歯医者なんですか?塚田の奥さんはこの歯医者で診断書を出してもらって遺体の本人確認をしたの。
えっ?ひょっとして診断書偽造とか?殺人事件は毎日のように起きてる。
身元不明の事件もたくさんある。
これ事件後に出た新聞。
「遺体は火災で性別がわからないほど破損していた」報道されたのはたったそれだけのあいまいな情報なの。
この新聞見て自分の夫だって思う?確かに。
(赤城)奥さんが診断書を申請に来たのは4月9日ですね。
事件から1週間後か。
塚田さんが最後に治療に来られたのはいつですか?
(赤城)もう5〜6年前ぐらいかな。
そんなに前なんですか?旦那さんはその時一度きりでしたけど奥さんの方はうちによく通ってくれてましてね。
奥さんが?あの奥さんかわいそうな人でね。
ドメスティックバイオレンスっていうんですか旦那さんから受けた暴力で前歯折った事がありましてね。
頬骨を骨折して入院した事もありました。
彼女いつでも長袖を着て手袋してるでしょ。
旦那さんの暴力で生傷が絶えないからって言ってました。
こっちは新しく搬入した機材全部やられて大損だったんだよ。
(長谷部)どこ行くんですか?中古品を新品と偽って高い保険金をかけてたって事か?建物の火災保険と合わせればかなりの額が峰岸不動産に支払われます。
つまりこの事件保険金目的の放火だったんじゃないかと思って。
保険金目的?ある建物を放火すれば莫大な火災保険が入ってその実行犯になってくれれば金を援助する。
そういうふうに河島は誘われたんじゃないでしょうか?じゃあ河島は刑期を終えてからその金を受け取る事になってるって事か。
いえ恐らくすでに前金で受け取って息子の移植手術に充てられてます。
移植?はい。
先月肝臓の移植手術に成功してます。
ちょっと待て。
河島はとっくに離婚してるだろ。
家族を事件に巻き込みたくないと思ったんじゃないでしょうか?だから不倫してたと嘘をついて離婚して慰謝料という形で奥さんに手術費用を与えた。
でも1つだけ河島には知らされていない事があった。
建物の中に塚田がいたっていう事です。
河島に殺意がなかったっていう永友さんの判断は正しいと思います。
河島は殺人を犯すつもりはなかった。
だからいまだに罪悪感に苦しんでいる。
じゃあどうして塚田はあの工場の中に?その答えはもう出ています。
先日はどうも。
お時間ちょっといいですか?少しでしたら…。
今回の事件すごくわかりにくかったんです。
放火した河島殺害された塚田さんそして建物を燃やされた峰岸不動産。
この三者に接点がないから放火と殺人とは無関係だと警察は思っていました。
でもそこにあなたという人間が加わればバラバラのパズルの答えが見えてくる。
あなたの勤める税理士事務所に聞いたら峰岸不動産は半年前まで顧客だったそうですね。
もうどうにもならない物件つかまされちゃってさ。
印刷工場だったんだけど全然借り手がつかねえんだよ。
峰岸不動産は工場の借り手が見つからずに持て余していた。
そして河島とは病院で知り合った。
借金だってあるのにあんな高い手術代どうするのよ?
(河島)だからってこのまま放っておけるわけねえだろ!金はなんとかするしかねえよ。
河島は移植手術の費用を工面するために金が必要だった。
そしてあなたはご主人のDVの苦しみからどうしても逃げ出したかった。
あの事件が起きた事で一見全く関係がないように見える3人がそれぞれに利益を得たんです。
(ドアが開く音)河島が全部吐いたよ。
あんたが裏で指示を出して奴を動かしてたって…。
自分で手を汚してなくても人をそそのかせば同等の刑が科せられる。
わかってるな?裏で指示を出してただけじゃありませんよ。
彼女も自分の手を汚してます。
どういう事だ?その手のやけどは火災現場で負ったものですよね?つまり事件当日あなたはあの現場にいたんです。
ご主人の死因は一酸化炭素中毒でした。
「出火した時はまだ生きていたのにどうして外に逃げずに事務所で遺体が見つかったのか?」ご主人を事務所に閉じ込めたのはあなたですよね?この計画殺人を成功させるには実行犯は河島1人に任せた方が捜査をかく乱出来たはずなんです。
でもあなたはそうはせずに現場にまで出向いてやけどを負うまで逃げようとしなかった。
それはご主人が苦しむ姿を見たかったからなんじゃないですか?はい。
その目的は達成出来ました。
もう満足です。
お前は自分じゃ何一つ出来ない。
俺がいないとなんの役にも立たないって主人の口癖でした。
(塚田裕三)何度言ったらわかるんだ!お前は自分じゃ何一つ出来ない。
俺がいないとなんの役にも立たないんだよ!
(塚田)ああ!?
(綾乃の声)だから私は頑張れば出来るんだっていうところを見せたくて主人には絶対に気づかれないような計画を一生懸命夜も寝ないで考えたんです。
あの人に私の苦しみを感じてほしかった。
(綾乃の声)私が味わった恐怖の何分の1かでも彼に知ってもらいたかった。
だから…必ず彼の最期に立ち会うって最初から決めてました。
あの人もうけ話をしてくれる人がいるって言ったら喜んで工場に出かけていきました。
(綾乃の声)眠くなる薬を飲ませていたので着いた時には…。
おい!助けてくれ!
(塚田)おい!誰か…!
(壁をたたく音)お…おい…開けろよ…。
ああ…何やってんだ!お前…。
(塚田)開けろよ!こら…!
(綾乃の声)私は夫が炎に包み込まれるまでその顔を見ていました。
その時ようやくトンネルから抜け出せるんだって思いました。
(綾乃の声)私だって頑張れば出来るんだっていうところをようやくあの人に見せる事が出来たんです。
(塚田)助けてくれー…!!
(塚田)熱い…!
(塚田)綾乃…ああ…!
(綾乃)刑事さんの言うとおりです。
私が主人を殺しました。
後悔はしていません。
どうして河島の家族まで巻き込んだんだ?どうして病気で苦しんでいる子供まで巻き込んだんだ?どうせ主人を殺すならせめて誰かの命が助かった方がいいと思いました。
だから河島さんを誘ったんです。
移植は成功したと聞きましたしこれで主人の死も無駄にならずに済みました。
何…?そうやって助かった命がこれからどれだけ重い十字架を背負って生きていかなければならないのかそんな事もわからないの?命を助けるなんて…。
笑わせないで!バカな人…。
そんな事に巻き込まれて…。
息子さんを助けたい一心でやった事だと思います。
…だとしても許される事じゃありません。
ママ大丈夫?うん大丈夫よ。
なんでもないからね。
手術費用は何年かかっても私が返します。
この子が胸を張って生きられるように。
新しい送致書上がりました。
見てください。
河島の動機の記述が全て書き換えられてます。
それに…ここほら。
僕が聞き込んだ不倫証言も入ってます。
すごくないですか〜?いいねえお前は能天気で。
どうしたんですか?お前ねえその見返りとして俺たちは一課を完全に敵に回したんだぞ。
それがどういう事かわかってんのか?いやそれは…。
見返りはそれだけじゃありませんよ。
残業手当が出た。
え〜!?
(東出)警視庁の幹部連中大激怒してるらしいんだよ。
新海みたいにうるさいのがいたら捜査に集中出来ないから地方に飛ばせって。
ハハハ…。
あの…人が煙たがられてる事を嬉しそうに話すのやめてくれません?悪い悪い。
まあ頭の固い警視庁の意識を変えるには悪くない人事だったろ?私はただ普通に仕事が出来ればいいんです。
警視庁の意識を変えようとか興味ないんで。
それで十分だよ。
おいこれからメシでもどうだ?いえ今日は戻ります。
部下たちが待ってると思うんで。
お疲れさま〜。
え…?あいつらもう帰りやがった。
(カメラのシャッター音)おはようございます今週のあるき目ですは伊丹にやって参りました2015/04/13(月) 09:55〜10:53
ABCテレビ1
[新]Answer〜警視庁検証捜査官[再][字]
「緊急謝罪!!4万3千人の警察官を敵にした女」
詳細情報
◇番組内容
容疑者逮捕から始まる検証捜査ミステリー!出世コースを外れたキャリア管理官・新海晶(観月ありさ)が捜査資料の中に隠された手がかりから、真実の「答え」を解き明かす!
◇出演者
観月ありさ、田辺誠一、五十嵐隼士、橘慶太、片岡鶴太郎 ほか
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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