さわやか自然百景「沖縄 真栄田岬」 2015.04.13


(テーマ音楽)黒潮に削られ荒々しい断崖が続く沖縄の真栄田岬。
3月岬では春の始まり。
野草や樹木が花や芽を付けるとチョウや鳥が集まってきます。
岬周辺はサンゴの海。
暖かい海流は海の中にも春を運んできました。
サンゴ礁では産卵も始まっています。
沖縄真栄田岬南国の春を探しに出かけました。
沖縄本島のほぼ中央東シナ海に突き出した真栄田岬。
岬は100万年前のサンゴ礁が隆起して出来ました。
石灰岩で出来た海岸は浸食されやすく不思議な造形があちこちで見られます。
波打ち際が削られどの岩もキノコのような姿です。
石灰岩の岩を地下水が溶かした穴。
海水が入り込んで海中洞窟となっています。
魚の群れがいました。
深海魚のような大きな目をした魚はアカマツカサです。
こちらの黒い魚の群れはハタンポ。
暗い場所を好む魚たちで夜になると活動を始めます。
海中洞窟から外海に出てみます。
荒れ果てたサンゴ礁が続きます。
ここは1998年から始まった白化現象とオニヒトデによる食害で大きな打撃を受けました。
10年以上かかって黒潮が運ぶサンゴの卵が定着しやっと育ち始めました。
生育が速い柔らかいサンゴの仲間はあちこちで大きく育っています。
サンゴが回復するにつれて魚たちも戻ってきました。
サンゴ礁の生き物は種類が多く色彩も豊か。
しかもその生態は実にユニークです。
鮮やかな赤いカニはサンゴガニ。
派手なメガネはメガネゴンベ。
どちらもサンゴの枝の透き間を住みかにしています。
こちらでは大きな魚が小さな魚に体の掃除をしてもらっています。
このサンゴは昼間も触手を伸ばしてプランクトンを捕まえています。
貝殻を持たない貝の仲間がウミウシ。
ところがこのウミウシは珍しく貝殻を背負っています。
岩のくぼみで見つけたアオギハゼ。
おなかを上にして泳ぐ変わった魚です。
派手な模様はモンハナシャコ。
サンゴ礁に小さな生き物が増えると大きな魚も戻ってきました。
サンゴは陸上でも大きな影響を与えています。
岬の先端を覆う亜熱帯の植物の林。
石灰岩の台地を好むイヌビワの仲間が多く見られます。
海岸ややせ地でもたくましく育つ樹木です。
たくさんの実を付けているのはイヌビワの仲間のアコウです。
食べ物が少ない冬の間も実を付けるため沖縄で冬を過ごす渡り鳥などの貴重な食料となっています。
一方実がなくなった隣の木では新芽が開き始めています。
これも鳥たちの貴重な食べ物となっています。
夜になるとアコウの実に集まるお客が変わります。
枝に止まると夢中で実を食べ始めました。
このコウモリは冬眠する事はありません。
沖縄の冬をアコウの実を食べて乗り越えます。
岬の南側にはサンゴのリーフがあります。
干潮の時はリーフが堤防となり内側には大きな池が出来ます。
この池は地元では「イノウ」と呼ばれ別のサンゴ礁の景色が広がります。
大きな石のテーブルのように見えるのはハマサンゴ。
外海と遮断され太陽にさらされる浅瀬のハマサンゴは高温に強くオニヒトデも食べません。
日当たりの良いイノウでは植物プランクトンがよく育ちます。
それを食べて若い魚が育つのです。
外海の深場に散っていたツバメウオはこの時期イノウの入り口に来て産卵のために群れをつくり始めました。
ハマサンゴの間に広がるのは砂地です。
ヨメヒメジがあごに付いたひげで砂の中の小さな生き物を探しています。
鮮やかな紫色をしたヒメハナギンチャク。
砂に付いた有機物を捕まえています。
星の形をした有孔虫です。
星砂で知られる砂浜は死んだ有孔虫が堆積して出来たものです。
敵が多いサンゴの海を生き抜く戦略の一つがお互いに助け合う共生です。
クマノミはイソギンチャクに食べ物を与える代わりに外敵から守ってもらいます。
このエビはクマノミと一緒にイソギンチャクの中に住み触手の間を掃除します。
袋のように見えるのは変わり種のミズタマサンゴ。
ここにも住み着いている小さなエビがいます。
サンゴのポリープの透き間を掃除します。
海底の砂地でよく見かけるハゼとテッポウエビの共生。
同じ穴で暮らしています。
せっせと砂を運び出すエビと巣穴の前で身構えるハゼ。
ハゼの仕事は見張りです。
外敵が近づくと穴に逃げ込みます。
逆さまになって泳ぐヘコアユ。
いつも集団をつくり大きく見せています。
黒潮が運ぶ温かい海水はサンゴ礁の生き物に春の息吹を届けます。
ガラスハゼは枝に卵を産みました。
卵の中にはもう稚魚の目が見えています。
ウミウシはサンゴの仲間ヒドラの枝に卵を巻きつけています。
ウミウシの好物はヒドラ。
子供は卵からかえるとすぐに食事にありつけます。
岩陰にスズメダイの仲間オヤビッチャが集まっています。
辺りの岩の表面にはたくさんの卵が産み付けられています。
親は卵がかえるまで新鮮な海水を送り続けます。
海からやって来た沖縄の春は陸でも始まりました。
若葉の緑に染まった岬ではチョウが集まっています。
沖縄で冬を越すアサギマダラ。
もうじき新しい世代が海を渡って北上します。
亜熱帯の短い春は駆け足で過ぎ去りすぐ間近に夏が迫っています。
沖縄本島の真栄田岬。
黒潮が運ぶ春の息吹に輝きだす命の営みをサンゴ礁の陸と海で見つめました。
2015/04/13(月) 15:41〜15:55
NHK総合1・神戸
さわやか自然百景「沖縄 真栄田岬」[字]

黒潮が洗う沖縄本島の真栄田岬。春先まで実が残る岬のイヌビワには多くの動物が集まる。同じ頃、沖のサンゴの海は繁殖の季節の始まり。陸と海に訪れた沖縄の春を描く。

詳細情報
番組内容
沖縄本島の中央部にある真栄田(まえだ)岬。この岬で春、活発に動き始める生きものを見つめる。隆起サンゴの海岸にはイヌビワの木が林立。食べ物が少ないこの季節、その実は多くの動物を支えている。渡り鳥のシロハラ、夜にはオオコウモリも訪れる。沖合のサンゴの海にも一足早い春。外洋の魚ツバメウオが回遊してくる。この時期は繁殖の季節。ウミウシやスズメダイが産卵を始めた。真栄田岬の陸と海に訪れた沖縄の春を描く。
出演者
【語り】森山春香

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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