(赤沢可奈子)社長。
純様が…。
(日高)検視の結果溺死と判明しました。
外傷はありませんでした。
ビールを飲んでおられたようです。
過って海に転落したんでしょう。
(大社春見)純ちゃん…。
(大社りゅう)ひとりにしておくれ。
みんな出てっておくれ!純!純…。
純純…。
『レクイエム』社長…。
(草場一平)灰色の空から小さく落ちるこの雨濡れていくほうに故人の姿が偲ばれます。
亡くなられた大社純様は生まれ育った伊豆の海をこよなく愛しておられました。
純様は夢を花開かせることもなく愛する人と人生を共にする幸せも果たせず23歳の若さで旅立たれました。
純様が愛された歌をお見送りの歌とさせていただきます。
純様の遺骨は今愛する海に放たれます。
『夏をあきらめて』純様の魂は今深い海に包まれ癒されておいででしょう。
皆様どうぞお別れを…。
『夏をあきらめて』
(大社達也)兄さん!
(船の汽笛)
(横川好次)あのばあさん涙ひとつこぼさなかったな。
あの歳で現役大社コンツェルンの社長だよ。
すごいよ。
資産100億だって…。
100億!?ホテルに旅館ゴルフ場から別荘土産物屋まで手広くやってんだってね。
これだって会社の定期航路の船なんだからなあ。
へえ…。
故人の母親いやに若いねえ。
血がつながってないの。
やっぱりな。
後妻か…。
半分正解。
あの旦那は婿養子なんだ。
ばあさんひとり娘に養子を迎えたがその娘が亡くなって婿養子が再婚。
で生まれた子供があの子か…。
あのばあさんは社長のじつの妹。
その隣りが息子。
こっちのばあさんは?りゅうばあさんの亡き夫の妹。
つまり小姑だな。
さすがいっちゃん。
よく調べたね。
式の前にリサーチしたんだよ。
あの坊やに。
進行上失礼があっちゃいけないだろ。
失礼って?単なる趣味でしょ!?愛ですよ。
人様への…。
今日はご苦労様でした。
こちら金額をお確かめになってください。
恐れ入ります。
(かもめの鳴き声)葬儀屋さん…よく知ってたね。
純が大好きだった歌。
はい。
事前に弟の達也君に伺いまして。
しかしあんたが言ったように純の魂は本当に癒されているのかね?私は信じないね神も仏も。
今のつらいお気持ちはお察ししますがしかしこういうときこそ神仏と対話するのも救いになるんじゃないでしょうか?嫌いだね。
神さんに手を合わせてご利益待っているような怠け者は。
怠け者ですか…。
神や仏が孫を殺した人間を暴いてくれるわけじゃなし。
殺した…!?ああ…純は殺されたんだ。
間違いない。
純の魂を救ってやれるのは私だけだ。
散骨式もいいもんだね。
うちも積極的にやろうかな。
散骨式をオプションにしてセット価格で売るってのはどう?そのときは専属司会者のギャラも上乗せしてほしいね。
えっ?いっちゃん司会はアルバイトじゃなかったの?本業で稼ぐわけにいかないだろう。
ねえいくらもらったの?普通。
普通って?
(警報音)何?
(菊池雅人)何だ!?
(警報音)
(大社睦男)何があったんですか?これ社長のですか?
(警報音)
(竹中伸一郎)部屋にこんなものが…。
「純のもとへ参ります。
りゅう」
(大社八重子)お義姉さんが自殺!?まさかそんな…。
(教会の鐘の音)最近日本では命を粗末にする人が増えています。
若い人たちの中には自分の命どうしようと勝手だなんて言う人もいます。
しかしそれは不遜というもの。
人はとにかく与えられた命を生きなければなりません。
例えばこの花!たった1輪の花しか買えないと嘆くか「ああいい香りだ美しいな」と思うか。
幸せというのは待つものではありません。
見つけるものです。
そうすればしめたものです。
強くなれます。
強く!強く生きていけます!きれいだろ!?いいなあその笑顔!いっちゃん!乗ってくるものを考えろ!神父さんさよなら。
伊豆の大社家からたった今連絡があったの。
ばあさんの葬式やってくれって。
だけどまだ遺体があがってないんだろ?でも遺品が見つかったんだって。
ばあさんね散骨式のあとに言ったんだって。
自分の葬式もあの2人に任せたいって。
うれしいね。
お前本当うれしそう…。
今から打ち合わせ。
仕事仕事…。
(吉岡真司)俺仏さんのいない葬儀って初めてだなあ。
(田辺加世)なくてよかったわよ。
水で死んだ仏さん原型とどめてないんだって。
たいがい先に焼いちゃうらしいね。
だって「お別れ」なんてできないわよ。
どんな美人だってふやけたあんパンみたいにぐじゅぐじゅなんだって。
(横川武子)加世ちゃんもういいわよ。
(鈴の音)まず俺といっちゃんが先乗りして打ち合わせするから。
花屋や竹細工屋さんの手配頼むね。
了解。
料理は?地元の仕出し屋使ったほうがいいんじゃないですか?ねえ応援スタッフどれぐらいいるかしらねえ?
(真司)とりあえずいつものメンバー揃えておきますか?うんそうして。
いいこれは横川葬儀社創業以来の大仕事なんだから気合い入れてやってよ!そんなすごい会社なの?大社商事って。
当たり前だよ。
伊豆方面にホテル2つ旅館3つ土産物屋からレストランもう定期航路の汽船別荘まで手掛けてんだよ。
その社長の葬儀だよ。
会葬者だって1000人…1000人は下らないよ。
(真司)そいじゃ今度の仕事ボーナス出ます?
(武子)出すわよ!出す出す!だからしっかりやってちょうだいね。
いっちゃんのギャラも弾むからね。
俺やっぱり気が乗らねえな。
自殺は認めがたいよ神父として。
いいのいいの!いっちゃんは今から葬儀司会者。
そうですよ。
一平さんの名司会がうちの売りなんだから。
さっきのミサの寄付金いくらだったの?う〜ん…2315円。
教会つぶしたくないんでしょ?神様も許してくれると思うけどな。
純は殺されたんだ。
間違いない。
純の魂を救ってやれるのは私だけだ。
ばあさん本当に自殺かな?ええ?見たじゃない手書きの遺書を。
「純のもとへ参ります」って…。
しかしそんなにヤワなばあさんか?旦那を亡くしてひとり娘も亡くしてそれでもあの大所帯を引っ張ってきた女だよ。
どんな女帝だって年とりゃもうろくするさ。
いや。
ばあさんは孫の死に疑いを持ってたんだ。
真相を暴くことで悲しみを乗り越えてやるばあさんあのときそう決意してたんだ。
よし…。
何がよしなの?いいの。
お前はね花代の計算でもしてろって。
あっ。
ご苦労さまです。
あっどうも。
(菊池みつ子)純の死がよっぽどこたえたんですね。
姉さんにはねじつはとってももろいところがあったのよ。
私は子供のころから知ってますから…。
(八重子)今日のみつ子さんずいぶん雄弁だこと。
(みつ子)あらっそうですか…。
(八重子)頭の上の重しがなくなってせいせいしてるみたい。
(可奈子)失礼いたします。
葬儀社の方がお見えになりました。
どうも。
このたびはどうも…。
ご愁傷さまです。
(春見)ご苦労さま。
(八重子)手回しいいのね。
私は反対ですよ。
お棺に入れる遺体もないのに葬儀だなんて。
でも早くお葬式をあげてさしあげないとお義母様成仏できなかったらおかわいそうじゃありませんか。
(八重子)純のすぐあとにお義姉さん。
立て続けに…この大社の家がまるで呪われてるみたいじゃありませんか。
帰ってちょうだい。
家の中を葬儀屋にうろうろされちゃ生きた心地がしないわ。
シッ!竹中先生どうお思いになる?社長の残された遺書があります。
遺品も見つかった。
残念ながら社長の自殺は認めなければなりませんね。
じゃあ早くけじめをつけなくては。
それこそ大社家の恥になるわよねえ。
あらみつ子さんと春見さんいつからそんなに仲がよくなったのかしら?ほほほ…。
(可奈子)すみません。
我々参上するのが早すぎたようですね。
我が社をご指名くださったのはりゅう様ご本人ということですが?はい。
散骨式のあとで。
すでにりゅう様は死を覚悟されてたんですかねえ。
純様の散骨式も社長がご自身で新聞記事を見つけてらしたんです。
母親を亡くした子供が貯金箱を持って頼みに来たんですってね。
そのお金でちゃんとお葬式をあげてさしあげたって。
あれはですねある教会の神父さんに頼まれましてね。
神父さんというのはいくら心優しくてもひとりでは何もできません。
それで私が一肌脱いだっていうわけですね。
はあ…。
よお!元気ないな。
まあ無理ないけど…。
まだ信じられないんだ。
りゅうばあちゃんが死んじゃったなんて。
お柩はどういたしましょう?
(菊池雅人)そんなもんいらないよ。
中身がないんだから。
もったいない。
もったいない。
でも柩がなくちゃ祭壇間がぬけちゃうわ。
故人のお名声にかなったお柩をご用意するのがせめてものご供養かと…。
じゃあこれ。
では最高級の設えの物でよろしいですね。
次にあのお通夜のお料理なんですが…。
ああ…。
あらおいしそう。
ああ料理だったらさうちの店で作らせてくんないかな?そう!なんだー!おいっ!お前どこの葬儀屋だ?えっ?葬儀屋にも仁義ってもんがあるだろうが…おいっ!あっいっちゃんいっちゃん!地元の葬儀屋出し抜いてのこのこ東京から出張って来るんじゃねえよ。
いっちゃん…。
春見さん約束必ず守ってくださいね。
(春見)もちろんですわ。
お義母様の葬儀が済んだらすぐにでも雅人さんを部長としてお迎えいたします。
(雅人)よろしくお願いします。
あの…俺のレストランもどうか…。
(春見)ええ。
うちの系列店に入っていただきます。
葬儀…八重子さんが邪魔をしないかしら。
(春見)大丈夫。
今や大社グループの実権は私たちのものですわ。
ほほほ…。
誰?
(宮坂)でおたく死んだ純とはどういう関係だって?じつは純君とは教会で知り合って…。
ああ観光協会の人?ねえホントにホント?ヨットに不審なところがなかったって?あの日は海も静かだったよ。
純は泳ぎも達者だし過って海に落ちたとしてもおぼれるはずないんだけど。
君疑ってる?純君の死にかたに。
家族だってそうじゃないか。
だらしねえんだよあの親父。
もっと警察つつけばいいものを。
婿養子だからね。
今の奥さんはその後妻で。
りゅうさんはどうして再婚を認めたんだろうね?もう純君という跡継ぎがいたのに。
奥さんのお腹に達也がいたんだよ。
ああじゃあ達也君のために?ばあさんは純しか認めてなかったよ。
だから純には味方ができなかったんだ。
本人はいいやつだったのに。
そう…。
クソー!あの日純をひとりでヨットに乗せるんじゃなかった。
イヤな予感がしてたんだよな。
イヤな予感って?だからいつかこんな日が来るんじゃないかって。
(岩淵謙介)何してるんですか?どうも…。
社長が少し休みたいとおっしゃるのでこちらの部屋にいらしていただきました。
船の警報機がなったのはたしか8時ごろでしたか?この部屋にはどれぐらいいらしたんでしょう?1時間ぐらいですか…。
葬儀屋さん何をお調べなんですか?じつは私大いに疑問に思ってるんですよ。
社長は本当に自殺なさったんでしょうか?どう思われます?岩淵船長。
たしかに社長は気丈な方でしたからあの遺書には私も驚きました。
で社長がこの部屋にいた1時間の間にどなたか訪ねて来た方はいませんか?いるんですね!?じつはみつ子様が…。
社長の妹さんですね?
(みつ子)ねえ姉さんお願いします。
雅人だってね一生懸命やってきたのよ。
あのレストランだってもう少し辛抱すれば上向いていくと思うの。
1000万でいいの。
雅人は姉さんのたったひとりの甥っ子じゃないの。
ねえお願い。
助けてやって。
お前の育てかたが間違ってたんだ。
雅人に経営の才能はない。
さっさと潰してしまえ。
りゅう様とみつ子様日ごろから仲がよくなかった?あまりにご性格が違われるので。
その雅人さんのレストランわかりますか?菊池さん今日はいくらか払っていただけるんでしょうね?待ってください。
2〜3日で都合つきますんで。
本当です。
あと2〜3日。
お願いします。
待ってください。
お願いします。
ダメだね。
(携帯電話)はい。
「どこほっつき歩いてんだこっちは大変なことになってんだから」
(住職)親族の中に反対の方がおいでになるそうじゃないですか?あの一族のごたごたに巻き込まれたらろくなことはない。
どうかお引き取りを。
いやそうおっしゃらずに。
明日は檀家さんの三回忌の法要があるんです。
そういうことで…。
さあ早く祭壇の撤収を。
ったくもうどうなってんだよ。
さっきの怖いおにいさんたちが手を回したんじゃないの?地元の葬儀屋?住職の野郎抱き込まれたな。
ヤアー!バカヤロー!
(春見)うちの寄進がなければ本堂の普請だってできなかったんですからね。
そういうことならこっちにだって考えがありますからね。
何なのよあの坊主!あっ!?奥様葬儀はどういたしましょう?やります!何がなんでもやりますよ!なんだ。
ここ大社グループのホテルなんだ。
じゃあなきゃ私たち泊まれるわけないじゃない。
ああいいお湯だったわ。
お先にやってます。
打たせ湯にジャグジーにサウナもあったよ。
マジ!?俺あとでマッサージ取ろうかな。
慰安旅行じゃないんだよ。
ったくこんなに足止めくらっちゃ仕事になんないよ。
カリカリしないの。
社長のお葬式だもんちゃんとやるって。
ねえ一平さん何やってんの?ちょっとね…ご遺族様の研究。
この中にきっといる…。
殺人を仕組んだヤツが…。
お義母様の葬儀はグランドホテルにて執り行います。
(八重子)まあげんの悪い。
お葬式なんてやったら結婚式を挙げるお客様がいなくなるじゃありませんか?
(雅人)いまどきそんなことを気にする人いませんよ。
社長不在のままでは事業に支障をきたします。
葬儀の席で大社グループの後継者を発表するつもりです。
春見さんあなた何の権限があって…。
お義母様の遺言があります。
後継者はそれにのっとって…。
遺言って…お義姉さんが作ったのは純が死ぬ前でしょ?いえ。
社長は新たに遺言を書き換えてらっしゃいます。
私がお預かりしております。
(船の汽笛)葬儀屋さん。
はい。
お勉強中か…感心だな。
別にやりたくてやってるわけじゃないよ。
大人たちのごたごた聞かないで済むし。
なるほど。
可奈子さんはね東京の大きなホテルで働いていたの。
だから英語はばっちし。
人をおだてるヒマがあったら早く現在完了形をマスターしてほしいな。
じつは私現在進行形のことでお訊きしたいことが…。
はあ…。
八重子さんという方は船舶事業部を統括する副社長様で?ええ。
達也君のお父様睦男様が観光事業部奥様が不動産事業部。
皆さん同等の副社長様で?はい。
では亡くなった純様は?純様は経営企画室を任されておられました。
社長の補佐役として全体を見ておられたのです。
まさに帝王学を勉強されてたわけだ。
兄さん可奈子さんのことが好きだったんだよ。
へえ!何言い出すの。
ウソですよ!私のほうがうんと年上ですから。
いい写真でしょ!?あっ本当だ。
兄さん言ってたよ。
結婚するなら頭がよくてしっかりした人がいいって。
ほら早く問題やっちゃいなさい。
は〜い。
喪主様は睦男様ということで?はい。
まだ取引先に連絡しないで改めて社葬は行いますから。
今回は親族だけでいきます。
わかりました。
(竹中)八重子は会社の金を流用して株につぎ込んでたんだ。
3000万も損してる。
(春見)だから葬儀を引き延ばして時間を稼ごうってわけね。
ありがとう先生。
で…あれ用意できた?一応はね。
気が進まないな。
今さらどうして?遺言書の偽造なんて簡単だって言ったのはあなたよ。
しかし発覚すれば弁護士として命取りになる。
だからそれ相応のお金約束したじゃない。
純もばあさんも消えてくれたのよ。
早くうちの達也を後継者として認めさせなくちゃ!私が今まであの鬼ばばあにどんなに足蹴にされてきたことか。
睦男をたらし込んで大社の家を乗っ取りに来たなんて露骨に言われたんだから。
歯を食いしばって我慢してきたのはみんな達也のためなのよ。
じゃああえて手を汚した僕のことももう少し考えてほしいな。
一生田舎弁護士で終わってたまるか。
私…亭主なんかもうとっくに見切りつけてるわ。
あなただけなの心から頼れるパートナーは…。
信じていいのかな?もう…2人で走り出してるじゃない。
大社グループ俺たちのものにしたいね。
できるわよ。
どうかなさいましたか?いえちょっと…。
(可奈子)急に社長がお気の毒になって…。
誰も彼も自殺だって片付けて涙を流す人もいない。
もし社長がこの様子をご覧になっていたらさぞかしおつらいだろうと思って…。
まったく…そのとおりだ。
じつは私が勤めていた東京のホテル倒産してしまったんです。
私には身寄りがいないし誰にも頼れなくて…。
そのとき大社グループから募集があったんです。
私を採用してくださったのは社長なんです。
可奈子さんは社長は本当に自殺だと思いますか?えっ?どうですか?じゃあ草場さんは誰かが社長を?遺書なんて強制的に書かせることができます。
あるいは偽造かもしれない。
じつは…。
どうしました?今度の葬儀で社長が残された遺書が公になるそうですけど…。
らしいですね。
純様が亡くなられた後社長が遺書を書き換えたという話は伺ってません。
竹中先生が勧めたとき社長はお断りになりました。
「今はまだとてもそんな気持ちにはなれない」って。
書いてないはずの遺書をなぜ竹中弁護士が持っているのか。
ああ達也君だ。
ふう〜ん。
達也君は絵が好きなんだ。
将来はニューヨークに行って勉強したいんですって。
母親は達也君を跡継ぎにしようと画策しているっていうのに子の心親は知らず…か。
葬儀を延期する?なんで!?腑に落ちないんだよ。
純って青年がヨットで死んだこともばあさんが後追い自殺したことも。
2つとも殺人のにおいがする。
神様のお告げでもあったの?一平さん。
イヤなんだよ。
殺人犯が平然と参列するような葬式やるのが…。
じゃあ2人を殺した犯人は身内ってこと?
(真司)あらまあ…。
葬儀はやるよ。
だいたい俺たちの立場でスケジュール動かせるわけないじゃない。
そこを何とか理由作ってさ…。
突然ばあさんが死んで気持ちの整理がつかない人間だっているんだから。
葬儀はそういうもんなの。
いっちゃん誰かに頼まれたな?そんなんじゃないよ。
若い女だ…。
あっ!あの秘書のおねえさん!?えっ!何言ってんだよお前…。
聖職にありながら女に弱いんだから。
何にもありませんよ!葬儀は予定どおり。
お金返すわけにいかないもん。
もうもらったの?向こうからくれたの。
いくら?小切手で500万。
あの鬼嫁!?お前本当に金に弱いよな。
うわーこれホンモノですか?一十百千万十万百万…本当だ。
ちょっと持たせてもらっていいですか?
(携帯電話)あっ!先生だ。
先生?また忙しいときに…。
好次お前出て。
えっ!?いっちゃん!はい!好次です。
(鏡)やっぱり違うね喜楽庵のそばは…。
月に一度はこれ食べないと調子が悪いんだ。
ハハハッ…。
どうもごちそうさま。
(一平・好次)お粗末さまでした。
あっありがとう。
このホームに末期ガンと診断された人がいてね。
昨日病床洗礼をしてさしあげたんだ。
さすが先生。
聖職者をまっとうしてらっしゃる。
その点いっちゃんは未熟ですね。
すぐ女の色香に迷って。
ええ?いえ好次こそ金の匂いに敏感すぎます。
君たち!初心を忘れちゃいけませんね。
君たち少年院を出るとき私に何と約束した?先生…お声が元気すぎます。
(一平・好次)喧嘩はしません!かつあげはしません!これからは世の中に奉仕できる仕事をやります!
(鏡)そして好次は葬儀屋になった。
一平は神父になった。
初心は忘れてません。
しかし先生僕は今どうしても暴かなければならない悪事に立ち向かっているのです。
ウソですよ先生。
いっちゃんは探偵ごっこを楽しんでるだけなんですから。
それは人様の生き様をのぞき見してそれを楽しんでるということかな?そのとおり!好次は昔から調子がいい。
相変わらず告げ口の達人だ。
あはは…。
言われてるよ。
一平!はい。
悪事というものはおのずとその姿を現すものだ。
暴くなどと大それた気持ちを持つものじゃない。
しかし先生…。
2人とも罰としてお祈り10回。
今やりなさい。
今ですか?あっ!あっそうだ…。
僕教会に戻らなくちゃ!好次送ってくれ。
うん。
先生続きはまた今度…。
失礼します!失礼します!ああ…おいっ!あなたは健やかなるときも病めるときも夫として愛と忠実を尽くすことを誓いますか?
(新郎)はい誓います。
あなたは健やかなるときも病めるときも妻として愛と忠実を尽くすことを誓いますか?
(新婦)はい誓います。
では指輪の交換を。
あるかい?はい。
1個2000円のやつ見つけたんで。
おっ!プラチナだな。
うん。
君たちの心がプラチナだ。
(達也)兄さん可奈子さんのことが好きだったんだよ。
(春見)あなた!喪主のご挨拶もう準備できたんでしょうね?知らなかったよ。
お義母さんが遺言を書き換えてたなんて…。
竹中先生がおっしゃるんだもん。
間違いないわ。
お前はいつ聞いたんだ?先生から。
私に言うのもあなたに言うのも同じじゃない。
いい?達也が成人するまであなたが大社グループ引っ張っていかなくちゃいけないのよ。
周りにとやかく言われないようにしっかりやってちょうだい。
(電話)
(雅人)金はまだかよ!今日明日にでも払わなきゃこの店持っていかれるんだぞ!姉さんの葬儀が終わったらきっと春見さんが融通してくれるから。
本当に当てになるのか?雅人。
大社グループに入ったらいい仕事しなくちゃダメだよ。
八重子さんは老い先短いし睦男さんはあのとおり頼りないし。
雅人!乗っ取ってやるぐらいの気概でやらなくちゃ。
わかってる!母さんね姉さんには子供のころからずっとバカにされてきたんだよ。
でもさ人間ってのは生きてるものが勝つんだ。
さしずめ私の逆転勝ちだね。
さぞかし姉さん海の底で悔しがってるだろうね。
フフッ…アハハ…!お話って何でしょうか?いえね…あなた弁護士の竹中先生とずいぶん懇意にしてらっしゃるようだけど…。
懇意って?人間本人は隠しおおせてるつもりでも周りにすっかり知れてることってあるのよね。
信用できないわね竹中って男は。
あんまりのさばらせてると痛い目に遭うわよ。
それを一言言いたくてね。
で…叔母様お義母様の葬儀には?出ません!あなたは葬儀の席で達也を後継者として公認させるおつもりなんでしょうけどそれはまだ時期尚早じゃないかしらね。
私心配ですの。
叔母様が欠席したのをいいことに誰か批判的なことを言い出したりはしないかって…。
いえちょっと噂話を耳にしたものですから…。
叔母様が株でずいぶん損をなさったとか…。
誰がそんなことを!?そんなことで叔母様の今までの業績に傷がつくなんて…。
叔母様はご自身の結婚を断念してまで今まで会社を支えてこられたんです。
それをお義母様がさっさと社長のいすに座られて…。
私叔母様の無念お察しいたします。
達也が成人するまで叔母様には会社の顔として活躍していただきたいんです。
あなたも大した女ね。
葬儀の日お待ちしております。
あなたまさかみつ子や雅人につまらない約束はしてないでしょうね?いいえ何も…。
りゅうの身内なんか一切会社に入れませんからね!もちろんですわ。
(携帯電話)
(竹中)はい竹中です。
ああ君か…。
好次…。
うん?スピード出しすぎ。
大丈夫だよ。
ほら!パトカー来ちゃったよ。
ああ〜…。
ウソ?ウソじゃないよ。
(パトカーのサイレン)こらっ入っちゃいかん!竹中さんでしょ?あんた知り合いか!?はあ…。
(日高)お話聞かせてもらいましょうか。
《跡取りの孫が亡くなり社長のばあさんが亡くなり今度は弁護士。
3人が死んで得する奴は誰だ?》《ひょっとしてまた新たな犠牲者が…》何で…。
竹中先生殺されるなんて…。
・失礼します。
(雅人)何だよ葬儀屋。
弁護士の竹中先生の訃報を伺いまして取り急ぎ駆けつけた次第で…。
あの…警察の取り調べがあったとか…。
どなたか疑ってるんでしょうか?お前には関係ないだろうが!
(みつ子)私は違いますよ。
弁護士の先生のことなんかよく知らなかったもん。
一番親しかったのは春見さんでしょ。
お義姉さんの遺言先生から受け取ってないの?知りません。
親しかったって?だからそういうことですよ。
睦男さんだって気づいてたんでしょ?あぁ〜どんどん人が死んでいって本当にこの家呪われてるみたい。
お義母様の葬儀は予定どおり明後日執り行います。
仕方ないわね。
睦男さんしっかり喪主を務めてくださいよ。
あの…でも遺言がなくちゃ。
跡継ぎのことなんか…。
達也しかあり得ないじゃない。
彼が成人するまで私たちがしっかり大社グループを守っていけばいいんです。
そうよね。
私たちで力を合わせて守っていきましょうよね。
お2人は結構よ。
あの春見さん…。
何でしょう?約束したじゃないか!俺を部長に迎えるって。
アハハ…そんなまさか!アハハハ…!あんただましたのね!?おやめなさい!出張るんじゃないよ!気取ってたってわかってんだからね。
この女に丸め込まれたんじゃないか!りゅうの身内にとやかく言われる筋合いないわよ!ああ〜!母さん!コノッ!何てことするのよ!やめてくださいみっともない!それでも社長のお身内ですか!?みなさん自分の利益ばっかり!竹中先生は殺されたんですよ!どうして誰も社長の死を不審に思わないんですか!?何言い出すのよ!秘書のぶんざいで!どう考えても変です。
社長は自殺なんてなさる方じゃありません。
きっと誰かに…。
あなた!何を企んでるの?わかってるのよ。
あなた純をたぶらかしてこの家の人間になるつもりだったんでしょ。
でもそれが叶わなくなったんで大社の家ムチャクチャにしたいのよ!もうよしなさい!あんたなんてねいつだって首にできるのよ。
わかってるの!?結局あなた方はいつもそうだ。
従業員のことを紙クズぐらいにしか思ってない。
可奈子さんだけじゃありません。
あの日船に居合わせた乗務員だって社長の自殺には疑いを持ってる。
身内の中に社長を殺した人間がいるんじゃないかってそんな噂まで立ってるんです!首にしたいんだったらすればいい。
みんな経営陣に愛想つかせてますから。
それにしても…大胆発言でしたね。
何だか無性に腹が立ってきてしまって…。
おつらかったでしょう…。
純様をたぶらかせたなんて言われて。
ちゃんとお付き合いしてたのにねぇ。
いえそれは違います。
彼の気持ちはわかってました。
でも結婚なんて無理です。
身分が違います。
私は身寄りのない女だし…。
ご両親は…?早くに亡くなりました。
私は施設で大きくなったんです。
後継者の純さんと結婚なんて…。
お断りになった…?はい。
お断りしました。
(ピアノの音)何だね?いや〜八重子様もひどいことをおっしゃる。
奥様と弁護士先生のことあれはないですよね…。
睦男様は純様の事故については納得しておいでなんでしょうか?納得?息子に死なれて納得できる親がいるかね。
事故ではなかったと?純様は秘書の可奈子さんとお付き合いされていたんですか?純から聞いたよ…。
何年かして事業家としての目端がついたら可奈子さんと結婚したいって。
じゃあ可奈子さんも承知だったということですか?純はそう言ってた。
そうですか…。
ちょっと…何やってるのよこんなところで!
(美佐)私もお線香の1本ぐらいあげて行こうと思って。
帰ってよ!そんなに邪険にしなくたって…。
ねえいくらか都合つかない?この間あげたばっかりでしょ!それがさ病院代が思ったより高くついちまってさ…。
うう〜ん頼むよ。
ねっ?
(シャッターをきる音)この人ご存知ですか?
(教会の鐘の音)
(子供たち)ただいま!こんにちは!こんにちは。
その後はお変わりはないですか?ありがとうございました。
悪事はおのずと姿を現す。
なるほど。
先生の言うとおりだ。
(宮坂)これ水中銃の矢だよ。
やっぱり…。
ダイバーが海の中で魚仕留めたりするやつ。
実際ダイバーが魚捕るのは禁止なんだけどね。
あんた本当に教会の人だったんだね。
ダイバーか…。
純は殺されたんだ。
間違いない。
純の魂を救ってやれるのは私だけだ。
では皆様亡くなられた大社りゅう様が神の御許に導かれますように。
(聖歌合唱)
(聖歌)これより故大社りゅう様の告別式をしめやかに執り行いたいと存じます。
本日は東京より日本聖霊教会の神父様にお越しいただいております。
皆様ご起立の上お迎えくださいませ。
どこが神父だ!葬儀屋じゃないか。
どうも胡散臭いと思ってたわよ。
あなた…!一体どういうつもり!?あなたね…。
どうぞご着席ください。
私は東京めぐみ教会を扱っております神父草場一平と申すものであります。
ただ今より亡くなられた大社りゅう様が神の御許に導かれますよう祈りを捧げようと存じます。
大社りゅう様は亡きご主人から大社グループを受け継いで20年。
着実に事業を拡大してこられたたぐいまれな事業家であられました。
さて皆様りゅう様が自殺したというのは真実でありましょうか?りゅう様はその独裁がゆえに親族の方の憎しみを買い命を奪われたのではないでしょうか。
おやめなさい!失礼ですよ。
例えばあなた八重子様…。
あなたはりゅう様が独断で社長を継承したことがおもしろくなかった。
無理もありません。
あなたはご自分の結婚を断念し会社に生涯を捧げてきたのですから。
私は殺しちゃいませんよ!みつ子様…あなたは息子の放漫経営のレストランを助けてくれと頼んだとき実の姉にもかかわらずむげに断られてしまった。
さぞ悔しい思いをされたことでしょう。
りゅう様は孫の純様を溺愛し大社グループの後継者は純様しかいない…。
そう断言されていた。
春見様あなたはせっかく男の子をもうけたというのに後妻に入ったうまみがまったくなかった。
純様が海で亡くなったとき誰もが不審に思ったはずです。
これは単純な事故なのか…。
そうです。
実際純様は何者かによって命を奪われたのです。
犯人は純様が溺死したと見せかけるためにダイバーとして近づき襲ったのです。
神父さん知ってるんだろ?兄さんとばあちゃんを殺した奴…同じ奴なんだろ?ねえ言ってよ!どうやら本気なのは達也君だけのようですね。
ほかに誰も犯人を突き止めたいと思う人はいないんですか!?他に誰も犯人を突き止めたいと思う人はいないんですか!?姉さんは自殺したのよ!間違いないんだから!葬儀屋!前金返してもらうわよ!義姉さんを早く成仏させてあげましょうよ!・あんたたちそんなに私を殺したいの!?うわぁ〜!ああ〜!ばあちゃん!社長…。
りゅう様はご自分が死んだ後に本当に大社コンツェルンの将来を考えているのは誰なのか後継者にふさわしい人物は誰なのか…。
それを見極めるために狂言自殺を試みたのです。
草場さんはご存知だったんですか?社長が生きておられることを。
いいえ。
つい昨日のことです。
可奈子さんあなたの言葉がヒントになりました。
(可奈子)急に社長がお気の毒になって誰も彼も自殺だって片付けて涙を流す人もいない。
もし社長がこの様子をご覧になっていたらさぞかしおつらいだろうと思って…。
あのとき私は何気なく聞いていましたが昨日あることでふと思ったのです。
りゅう様は骨肉の争いをどこかでじっと観察しているのではないかと…。
それで私は改めてあぜりあ丸に行ってみました。
りゅう様がどこかに息を潜めて隠れているのではないかと思い…。
やっぱり来たね。
岩淵!あなた知ってたのね?申し訳ありませんでした!この大芝居には協力者が必要でした。
りゅう様は信頼する岩淵船長を相棒に選んだのです。
散骨式の後にやると社長がそうおっしゃいました。
(岩淵)社長が少し休みたいと言ってひとりになったときその準備は始まりました。
あのときとりあえず使っていない冷凍室に社長の身を隠しました。
何があったんですか!?これ社長のですか?
(春見)「お義母様の遺言があります」
(岩淵)翌日からは船長室に移っていただき私が食事を運びました。
皆様の会話を録音したテープと一緒に。
全部聞かせてもらいましたよ。
私がここに舞い戻ってくるってわかってたんですか?ちょっとした勘さ。
しかし私だけじゃないかもしれませんよ。
純様を殺した人物もこの大芝居に気づいているかも…。
純様を殺した人物…おそらく竹中弁護士もその人物を察し脅迫を試みたのでしょう。
犯人はその竹中弁護士も消した。
そして次にりゅう様の命を狙っていた人物はこの会場にいます。
どうでしょう?潔く名乗り出られては?そうですか…では続けましょう。
(教会の鐘の音)命を狙われている方がいるのです。
どうぞお力を貸してください。
(聖歌)私はりゅう様をシスターたちに紛れ込ませ修道院へと避難していただきました。
まあお義姉さんが修道院に…。
アハハハ!しかしそれでりゅう様は命拾いをしたのです。
でもばあちゃんの命を狙ってるやつがどうして今までばあちゃんのことを生かしておいたんだろう?いい質問ですね。
それはりゅう様本人にりゅう様を嫌う身内の正体を見せつけるためですよ。
犯人はとことんりゅう様に打撃を与えたかったのです。
純様を殺してりゅう様を打ちのめしたついでにね。
そうなんでしょ?犯人はとことんりゅう様に打撃を与えたかったのです。
純様を殺してりゅう様を打ちのめしたついでにね。
そうなんでしょ?可奈子さん。
どうして私が!?私には純様や社長を殺す理由なんてありません。
あなたのお母様はりゅう様の亡き夫の愛人だった。
そしてあなたはその落とし種。
違いますか?りゅう様は愛人に生まれたあなたを決して認知しなかった。
あなたのお母様はあなたを産んでからほどなくしてあなたを施設に預けた。
あなたは働きながら大学を卒業なさったそうですね?あなたは自分を認知せずお母様を追放したりゅう様をずっと恨み続けてきた。
あなたのお母様はまだ生きてらっしゃる。
これがあなたのお母様だ。
りゅう様もちゃんと認めていますよ。
私がこれを撮ったときあなたは気づいていましたね。
私があなたの身元を調べだしたこともわかっていた。
だから私をも襲った。
私は今の今まで知らなかったんです。
社長があぜりあ丸に潜んでらしたなんて。
仕方がない。
証拠をお見せしましょう。
私は昨夜りゅう様を修道院に避難させた後船長室にビデオカメラを設置しておいたんですよ。
きっと犯人がりゅう様を狙いに来ると思ってね。
可奈子さん。
あなたはりゅう様の居所を知っていました。
これが何よりの証拠です。
でも私はダイビングなんてやったことがないし純様を襲うことなんてできません。
そのとおり。
あなたには共犯者がいたんです。
あなたの復讐に共感した共犯者がね。
これがあなたの共犯者が着ていたダイバージャケットです。
岩淵船長。
あなたのものですね?私はただ社長の狂言自殺をお手伝いしただけで…。
いいですか?社長があぜりあ丸の船長室に潜んでいたことはあなたしか知りえない事実なんだ。
私が突き止めた途端可奈子さんがあぜりあ丸にやってきた。
それが岩淵さんあなたが共犯者だという何よりの証拠じゃありませんか。
お2人にはまず復讐劇のシナリオがあったんです。
純様殺害の後にりゅう様を消すつもりでいた。
しかしそこにりゅう様が岩淵さんに狂言自殺の話を持ちかけたのです。
2人にはもってこいの話でした。
りゅう様に骨肉の争いを散々見せつけた後に殺しても遅くはない。
何しろりゅう様は自殺したことになっている。
いつ殺しても誰にも疑われない。
純様を殺した人物はこの大芝居に気づいているかも。
誰ですか?それは。
あのときすでに私は見つけてたんですよ。
冷凍室にあったダイバージャケットを。
すみません。
大社家のお宅に行って親族の方々の様子を見てきてくれませんか?何か異常があったら知らせてください。
わかりました。
あのときあなたは可奈子さんのもとに直行したはずだ。
私の失言によって犯行計画の変更を余儀なくされたんですからね。
ここを出ましょう!あなたの命が危ないんだ。
私を狙った水中銃。
あなたは可奈子さんがこの会社に来たときから好意をもっていた。
しかし同様に亡くなった純様も真剣に可奈子さんを思っていた。
あなたは財力によって純様が可奈子さんをものにするんじゃないかと気が気でなかった。
そのとき可奈子さんはあなたに接近してきた。
大社家への恨みを晴らしたい。
そう打ち明けられてあなたは可奈子さんと運命を共にしようと決めた。
しかし岩淵さん。
あなたの敵は純様だけじゃなかった。
・
(竹中)君が岩淵にやらせたんだろ?あの日岩淵のダイビング姿を見たって警察に証言したら事情聴取は免れないね。
君組む相手を間違ってるよ。
大社家に恨みがあるんだろ?僕と組めばそっくり乗っ取るのも夢じゃないと思うけどね。
(可奈子)竹中先生ですか?おお君か。
この間のこと2人っきりでもう少し詳しくお話させていただきたいんですが…。
お時間取っていただけますか?可奈子さんが竹中弁護士を呼び出し…。
うわあっ!違う!俺がやったんだ!純も!竹中も!可奈子さんは何も知らない!俺が殺したんだ!・
(睦男)岩淵っ!!違います!私が計画してこの人にやらせました。
最後は自分でやろうと思ってた。
でなきゃ復讐が遂げられないから。
私は後悔してない!純が死んだときあなたは憔悴しきって見る影もなかった。
あなたは一気に老け込んで情けないただの年寄りになった。
他人の私の前でもあなたは無警戒に弱音をさらけ出した。
あなたの背中は本当に小さくなったわ。
やっとわかったのよ。
人から愛情を向けられずに生きていくのがどんなに孤独か。
いいえ。
まだ足りないくらいよ。
生まれてこなければよかった。
そう思いながら生きてきた人間の気持ちがあなたにわかる?私のたったひとりの母をあんなふうにしてしまったのもあなたなんだから!!可奈子さんは復讐を糧に生きてこられたのですか?そうするしかなかったのよ…。
しかしあなたの魂はそれで救われるのでしょうか?救われる?必要ないわ。
確かに可奈子の認知は私が反対しました。
そこまでして大社家の血族を守りたかったのですか?ええそうよ。
しかし生まれてくる子に罪はない。
私だってお腹を痛めて娘を産んだんだ。
初めてお乳を含ませたときのことは今だって忘れない。
女がたったひとりで赤ん坊を産むことを考えると胸が詰まったよ。
できるだけの面倒はみてやろう。
そう誓ったんだ。
達也!ご存知でしたか?りゅう様はあなたが成人するまでずっと養育費を送り続けていたのです。
あなたの勤めるホテルが倒産するとわかったときあえて求人を出したのもあなたに仕事を提供するためだったのです。
父親の会社で働くこともいとわない。
もしそうお前が思うんだったら応募してくるだろうと思ってね。
皮肉ですね。
そこからあなたの復讐計画が始まってしまった。
あなたは可奈子さんが大社家の血を引く人間とは知らなかったんですね。
可奈子さんと純様は叔母と甥の関係になるんです。
しょせん結婚はできなかったんだ。
りゅう様。
どうしてこのことを純様におっしゃらなかったのです?大社家の恥を愛するお孫さんに見せたくなかったからですか?しかし遅かれ早かれ言うべきことだった。
純様だって可奈子さんのことはあきらめたでしょう。
可奈子さんだって長年の誤解がとけたはずだ。
そうすればこんな悲劇は起きなかった。
純には知られたくなかったの。
私が可奈子にした冷たい仕打ちを…。
純だけには…。
マタイによる福音書の中にこんな言葉があります。
「悲しむ人々は幸いである。
その人たちは慰められる」りゅう様可奈子さん。
今あなた方は深い悲しみの中にあります。
それは嘘偽りのない真実の姿です。
いつの日かお2人には互いの悲しみに心を寄せ合う日が来ることでしょう。
私はそう信じます。
最初からご存知だったんですね?私が神父だってこと。
ああ。
だから神も仏も信じないって。
社長!私のおっちょこちょいを見抜いて犯人捜しに走らせたんだ!さあ?やっぱりすごい人だ。
それで?持ってきたの?はい。
こんな大金。
あの嫁もどうかしてるよ。
あっ…。
あのう…必要経費だけでも。
最近じゃ生前契約っていうのが流行ってるらしいね。
葬儀屋も営業力の時代だね。
しかし零細葬儀屋にはそこまで手が回らないようで。
私の生前契約の手付金。
アーメンの葬式でもやってもらおうかね。
ありがとうございます!20万か…。
うん?200万!神父さん…人は変われるものだろうかね?はい?この歳になっても…。
フッ別に善人になろうとは思わないが。
いえ。
りゅう様はちゃんと善なるものをお持ちです。
周りの人々にもきっと伝わります。
そうだといいんだが…。
おばあちゃん!行こうか!ああ行こう。
やっぱり後継者は達也君かなぁ。
本人は画家志望なんだがなぁ。
いっちゃん行くよ!もらえたの!?バンザーイ!!ねえねえっいくら?いくらもらえたの!?ねえっねえっ!?なになに?一平ちゃ〜ん!早く!お金が出た!お金!ええ皆様の中に貧乏を恥じている方はいませんか?いらっしゃいますねぇ。
ある神父の言った言葉にこんな言葉があります。
「貧乏は偉大なる人生の学校である」2015/04/13(月) 14:09〜16:00
ABCテレビ1
神父・草場一平の推理[再][字]
資産100億の相続人 ヨット水中殺人!遺体無き通夜 死体が生きていた!?
詳細情報
◇出演者
水谷豊、淡路恵子、中山忍、坂上忍 ほか
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
OriginalNetworkID:32723(0x7FD3)
TransportStreamID:32723(0x7FD3)
ServiceID:2072(0x0818)
EventID:25583(0x63EF)