(健太)あっ。
えっ?どういうことですか?
(清水)生きのいい新人がいるっていうからさ試しに作ってもらったんだよ。
(健太)えっ?
(清水)どう?自分のと比べて。
(健太)いや。
(清水)まあ倉田君のはさ一目で内容が想像できるよね。
(健太)ああ。
ええ。
でもさ書店に2つ並んでるとするよ。
そしたらこっち手に取ると思わない?
(健太)あっいや。
あの。
僕は。
あの。
(健太)トラベルミステリーらしく旅情を感じさせる背景にしましたし作品のスピード感は列車の疾走感で伝えました。
あっ。
亀戸警部のあの少し影のある存在をイメージして色調も…。
(清水)倉田君。
倉田君。
それ全て僕が言ったまんまだよね。
(清水)相手の意見もくんだ上で自分なりの何かをプラスするっていうのがプロの仕事ってもんじゃないの?おっしゃるとおりです。
(清水)まっ今回はこっちの新人君でいきますから。
お疲れさまでした。
(清水)何?あっ。
これ。
失礼します。
失礼しました。
僕は臆病者だ
自分の力で勝負することから逃げてばかりいる
言いたいことを言わず
すいません。
相手の顔色をうかがって
とにかく周りに迷惑を掛けないように生きてきた
ごめんなさい。
争い事が嫌いだから
いや。
違う
ああー。
本当は争い事に関わるのが怖いからだ
(女性)降ります。
人当たりがよく思いやりがあるなんて言われることもある
だけど言ったもん勝ちやったもん勝ちの今の世の中では損をするだけだ
そして案の定今日も仕事を失った
そんな歯がゆい思いがちょうどあったからだと思う
その日僕はうっかり出してしまったんだ
ありもしない勇気を
(男性)ちょっと。
(一同)痛っ。
何…。
何だよ?じゅ…順番守ってください。
危ないじゃないですか。
ご…ごめんなさい。
(男性)そうだ。
順番守れよ。
(一同)危ねえだろ。
ケガするでしょ。
そうだよ。
ぶつかったら謝んなさいよ。
(明日香)すいません。
ごめんなさい。
すいません。
すいません。
ハァー。
(明日香)謝るか逃げるかどちらかしかないと思うんですけど。
(発車のベル)ハァー。
(発車のベル)
(発車のベル)
(アナウンス)ドアが閉まります。
あっ。
(アナウンス)ご注意ください。
(明日香)すいません。
ごめんなさい。
(明日香)あなたが取った行動はとても立派だったと思います。
いえ。
(明日香)それだけです。
えっ?勘違いしないでくださいね。
あっ。
はあ。
ハァー。
(運転手)ドア閉まります。
・
(ドアの閉まる音)
(運転手)はい。
発車しま…。
・
(ドアの開く音)
(男性)すいません。
降ります。
すいません。
(チャイム)
(アナウンス)バス停に停車するまでそのままでお待ちください。
・
(ブザー音)・
(ドアの開く音)
(運転手)毎度ご乗車ありがとうございました。
(運転手)他いらっしゃいますか?
(運転手)ドア閉まります。
・
(ブザー音)・
(ドアの閉まる音)あっ。
ああー。
・
(ブレーキ音)・
(ドアの開く音)あっ!?・
(従業員)いらっしゃいませ。
あっ。
(従業員)はい。
どうも。
あれ?ああ。
忘れちゃいました。
(従業員)アハハ。
そうですか。
痛て。
危ねえ。
足つりそう。
ああー。
ハァー。
ハァー。
よいしょ。
・
(足音)・
(門の開く音)あっ!
(ドアの開く音)
(七菜)何やってんの?何だ。
痛っ。
七菜かよ。
(七菜)「何だよ」って何よ?
(七菜)っていうかパンツ見たでしょ?はっ?見てねえよ。
(七菜)もうどいて。
邪魔。
はい…。
(七菜)ただいま。
(珪子)おかえり。
七菜。
遅かったわね。
(七菜)万里江とお茶してた。
(珪子)そう。
ただいま。
(珪子)おかえり。
(七菜)おなかすいた。
(珪子)ねえ?ご飯の用意するからちょっと代わって。
(七菜)えー?また?
(珪子)面倒だったら足で踏んでればいいから。
(太一)七菜。
頼むよ。
(七菜)もう分かったよ。
しょうがないなぁ。
(珪子)甘えた声出して。
(太一)七菜ちゃん。
腰だけでいいからさ。
(七菜)甘えた声出して。
(太一)フフフ。
はいよ。
(七菜)うわっ。
硬っ。
(太一)うーん。
通勤時間倍になっただろ。
(珪子)ねえねえ。
健太。
うん?どうだった?仕事。
ああ。
あっいや。
次に期待しますみたいな。
(珪子)そう。
(七菜)またボツ?ねえ?ヤバくない?仕事。
就活中の学生に言われたくないよ。
(珪子)頑張ってね。
(七菜)ねえ?お兄ちゃん。
どうしたの?ここ。
(珪子)あら。
ホント。
ケガしてるじゃない。
痛い痛い。
いや。
これさっき駅でちょっともめて。
(七菜)もしかしてケンカ?
(珪子)えっ?
(七菜)ってお兄ちゃんがそんなことするわけないか。
うるせえな。
順番守んないやつがいたから注意しただけだよ。
(七菜)へえー。
結構やるじゃん。
まあな。
(珪子)そういうことしてればきっといいことあるわよ。
神様はちゃんと見ててくれるんだから。
(太一)でも気を付けろよ。
余計なことするとろくなことになんないぞ。
余計なことって何だよ?
(太一)今どき何されるか分かんないんだから。
(珪子)そうね。
いきなり刺されちゃったりしたら大変よね。
(太一)とにかく余計なことに首を突っ込まないのが一番だ。
うん。
風呂入る。
(珪子)えー?もう茶わん蒸し入れちゃったわよ。
食べてきたからいいよ。
(七菜)えー?じゃあ私2個食べる。
(珪子)追いだき41℃にしといてね。
いつも熱過ぎるから。
(太一)うーん。
もっと上。
(七菜)えっ?
余計なことに首を突っ込まないのが一番だ
親父は昔からああだ
あれは小学校の夏休みだった
いつも土日返上で働いていた銀行員の親父が僕のためだけに1日休みをつくり釣りに連れてってくれた
最高に楽しい時間だった。
親父もうれしそうだった
でもそのとき…
2人組の男がやって来て僕らの隣で釣りを始めた
2人は場所を横取りしようと僕らを脅してきた
楽しい気分が一瞬でしぼみ僕は怖くて震えながら親父に助けを求めた
(健太)《お父さん》
(太一)《行こう》
(健太)《えっ?》
僕は悔しかった
何でお父さんは何も言わずに引き下がるんだろう?
でもあのときの僕が今の僕を見たらどう思うだろう?
結局僕は親父と同じような人間になってしまったんだ
争い事に関わるのが怖い人間に
(七菜)お兄ちゃん。
早く起きて。
おおー。
(七菜)「おおー」じゃないよ。
もう大変なんだから早く来て。
早くね。
どうしたんだよ?
(太一)健太。
えっ?
(太一)お前これ知らないよな?
これがあいつとうちの家族の戦いの始まりだった
花大丈夫だったの?
(珪子)うん。
大丈夫。
抜いてあるだけだったから。
(珪子)どしたの?ううん。
いってきます。
(珪子)いってらっしゃい。
気を付けてね。
うん。
(太一)妻がね何年もかけて大事に育ててきたのにそれを全部根こそぎだよ。
(高橋)マジっすか?ヤバいっすねそれ。
(太一)まったく誰がやったんだか。
(若葉)高橋。
部長にお茶。
(高橋)あっはい。
(太一)ああ。
いいいいいい。
・
(摂子)高橋君。
棚卸しの準備は?
(高橋)あっ。
おはようございます。
西沢さん。
だいたいは終わってます。
(摂子)リストは?
(高橋)まだです。
(摂子)棚卸しあさってだよ。
よろしくね。
(高橋)あっすみません。
急ぎます。
(若葉)普通に言え。
(高橋)はい。
(摂子)若葉ちゃん。
また数字間違ってた。
(若葉)はーい。
(摂子)倉田部長。
おはようございます。
(太一)あっ。
おはよう。
(摂子)あのう。
昨日お渡しした試算表確認していただけました?
(太一)あっ。
あれね。
あっ。
今ちょうど見ようって思ってたんだよ。
うん。
ああ。
うん。
面目ない。
・
(真瀬)おいおいおいおいおい。
倉田さんよどういうことだよ?これ。
(太一)おはようございます。
真瀬部長。
どうされましたか?
(真瀬)どうされましたもこうされましたもないよ。
(真瀬)JP電子さんとのゴルフコンペの景品代。
5万で請求したのに何で3万までしか認めないんだよ?
(太一)それは。
あの。
規定どおりに。
(真瀬)JPさんとは大口の取引が決まったばかりなんだよ。
感謝の気持ちを上乗せするのが当然でしょうが。
(太一)そ…そういうことでしたら事前に相談していただかないと。
(真瀬)そんなこと言われなくったって分かってよ。
うちみたいな中小は社員同士のあうんの呼吸で回ってんだからさ。
これだから銀行から来たお偉いさんは困るよな。
(一同)ハハハ。
とにかくあと2万上乗せしてくださいよ。
(太一)はい。
分かりました。
あの。
配慮が足りずに申し訳ございませんでした。
(真瀬)チッチッチッ…。
ハァー。
倉田部長の家に嫌がらせしたの真瀬部長じゃないですか?さっきの話聞いてたんですか?見てますよこっち。
ああ。
あっ。
はい。
(川辺)今週いっぱいでできるか?大丈夫です。
抱えてる仕事これしかありませんから。
(川辺)あれ?高栄館の表紙は?あの。
別のデザイナーに頼むって。
(川辺)悪いな。
一緒に事務所立ち上げたのに俺だけ抜けて。
やめてくださいよ。
いつも仕事回してもらって川辺さんにはホントに感謝してるんです。
これも絶対結果出しますから。
(川辺)そっか。
はい。
(川辺)頼むな。
はい。
アッハハ。
ウフフ。
うん。
あっ。
どうも。
あの。
えっ?昨日ここで。
ああ。
ああ。
(明日香)すいません!この人ストーカーです!いや。
違…。
違います違います。
(明日香)んじゃあ昨日のあの男が家の花壇の花を抜いたってことですか?たぶん。
いや。
ちゃんとまいたはずだったんですけどね。
(明日香)あの男年齢は30代後半ぐらいでしたよね。
ニット帽で一見怪しげでしたけど。
かばんはヴィトンだし時計はフランクミュラーでわりと品のあるファッションだったんですよね。
よく見てますね。
注意されたぐらいで家まで後をつけてくるような人には見えなかったんだけどな。
でも実際僕あいつに追い回されてんですよ。
それでただ逃げるっていうのもどうかと思いますけど。
あっ。
失敬。
あっ。
いや。
あのう。
あいつもう気が済みましたよね?
(明日香)うん?いや。
だからあの。
またうちに来たりしないですよね?気になるなら調べましょうか?あなたもしかして探偵さんとか?
(明日香)あっ。
失礼失礼。
あっ。
ああ。
違うか。
そっか。
すいません。
あのう。
倉田です。
(明日香)神取明日香と申します。
ああ。
神取明日香さん。
プロレスラーみたい。
(明日香)おととしまでリングに。
えっ?
(明日香)んなわけないでしょうが。
すいません。
雑誌の記者やってます。
もしかしてそれって記事にするってことですか?ちょっとしたトラブルをきっかけに謎のストーカーに狙われることになる。
これは誰にでも起こり得る出来事です。
多くの読者の共感を得ると思います。
あの。
ちょっと待ってくださいよ。
(明日香)もちろん犯人を捕まえるために協力もします。
それなりの謝礼も。
お断りしますよ!ああ。
すいません。
大きな声出しちゃって。
まっ仕方ないか。
じゃあ私はこれで。
ああ。
あの。
いいですよお金は。
もう会わない人に借りなんてつくれませんよ。
さよなら。
(珪子)えっ?
(珪子)お父さん。
お父さん!
(七菜)ねえ?どうする?警察に電話する?
(太一)警察ってちょっと大げさじゃないか?
(珪子)えっ?もしかして指紋が付いてるかもしれないから触らない方がいいのかしら?
(太一)フフッ。
どこに付くんだよ?指紋なんて。
(珪子)葉っぱ?
(太一)葉っぱ?結構ざらざらして…。
(七菜)ねえ?もう指紋とかどうでもいいけどさ同じこと2回もするとか気持ち悪くない?
(珪子)よっぽどうちに恨みがあるのかしら?それともゼラニウムが嫌いなのかしら?そんなわけないでしょ。
(太一)でもご近所の目もあることだしあんまり大ごとにしない方がいいんじゃないのか?
(珪子)うーん。
それもそうね。
(太一)うん。
おはようございます。
・
(明日香)いいですね。
シェアオフィスって。
えっ!?
(明日香)固定デスクで月2万8,000円。
法人登録もできるのは助かりますよね。
何なんですか?
(明日香)じゃあお邪魔しました。
これよかったらお一つどうぞ。
いや。
いらないですよ。
(明日香)えー?いや。
っていうか何でここに?
(明日香)何だかあれから気になってきちゃったんですよね。
えっ?事件のこと。
ああ。
(明日香)だってやっぱりおかしいですよ。
何でわざわざ倉田さんの家の近くまで追い回してきたんだろ?それはねちっこい性格だったからじゃないっすかね。
(明日香)うん。
じゃあニット帽の男が異様にねちっこい性格だったと仮定しましょう。
はい。
でも花壇の花が抜かれたのは夜中ですよね?うん。
たぶんそうだと思います。
ってことは倉田家の皆さんが寝静まるまで彼は家の近くで待っていた。
あしたも仕事があるのに夜はそこそこ寒いのに終電なくなっちゃうかもしれないのにひたすら花を引っこ抜くチャンスを待ち続けた。
っていくらねちっこい性格だからっていい大人がそんな面倒なことします?あのう。
実はけさまた花壇が荒らされてたんです。
また!?駅で注意されたぐらいでそこまでやるかな?ですよね?
(明日香)ニット帽の男は家の近くでまいたんですよね?まあたぶん。
はい。
だとしたら犯人はニット帽の男ではないかもしれないですよね?えっ?じゃあ誰が?
(明日香)例えばご近所トラブルとかありますか?いやー。
母がうまくやってると思いますけどね。
(中嶋)民子さんのそのお茶わんすてき。
(民子)えー?
(松原)エリート商社マンの奥さまは作るものも気品があるわよね。
(民子)そんな。
珪子さん。
これすごくいいじゃない。
(珪子)いえ。
私なんてまだまだ。
・
(波戸)すいません。
遅くなりました。
(一同)ああ。
先生。
こんにちは。
(波戸)こんにちは。
ああ。
もうご覧になっていましたか。
下村さんの作品は繊細な筆遣いが素晴らしいですね。
(民子)ああ。
(波戸)薬の使い方も上手ですよ。
(民子)ありがとうございます。
(波戸)でも僕はこのお茶わんもすごく好きですね。
(民子)ほら。
(珪子)えっ?
(波戸)倉田さんは素晴らしい素質を持ってると思いますよ。
そんな。
(明日香)他にご家族は?両親と妹と4人暮らしです。
(明日香)じゃあ妹さんかもしれないですね。
(万里江)もうそれ絶対辻本の仕業でしょ。
(七菜)何で?
(万里江)あいつ高校時代別れた彼女にストーカーしてたらしいよ。
嘘。
(万里江)ホント。
もう超しつこくって。
でその元カノ結局引っ越しちゃったんだって。
辻本君が?
(万里江)そう。
あっ。
辻本君。
(万里江)七菜。
見ちゃ駄目。
(明日香)ストーカー被害の原因のほとんどは恋愛トラブルです。
妹さんに心当たりがないか一応聞いてみてください。
はあ。
(明日香)ちなみにお父さまにお仕事上のトラブルとかは?親父は余計なことに首を突っ込まないタイプなんで。
では倉田さんご自身はいかがですか?仕事のことで恨まれることはないと思いますけどね。
恋愛トラブルは?そうだな。
(明日香)なさそうですね。
ほっといてくださいよ。
じゃあ何かありましたらいつでも連絡してくださいね。
何なんだ?あの人。
(摂子)倉田部長。
ご相談したいことが。
(太一)うん?
(摂子)真瀬部長が回してきた旅費の伝票なんですけど。
どうも裏ありみたいなんです。
裏?
(摂子)チバ電子さんっていう取引先あるじゃないですか。
秋田に工場がある会社。
(太一)ああ。
名前は知ってる。
(摂子)その秋田の工場へ出張するために真瀬部長に交通費出してますよね?
(太一)ああ。
もちろん。
(摂子)チバ電子さんからも出てるらしいんです。
(太一)えっ?
(摂子)伝票に不備があってチバ電子さんの経理担当者に問い合わせたんです。
そしたらたまたま真瀬部長の秋田までの交通費をチバ電子さんが現金で渡してるって話が出て。
(太一)それじゃうちから払ってる分と合わせて真瀬さんは交通費の二重取りをしてるってことか。
参ったな。
真瀬さんか。
・
(社員)おうおう。
おかえりなさい。
・
(社員)ただ今戻りました。
・
(社員)どうでした?部長。
春日製作所との契約は。
(真瀬)何とかこっちの言い値でねじ込んできた。
(一同)おおー。
(真瀬)力業だよ。
(太一)真瀬さんの営業成績抜群ですし。
いやー。
少しぐらいの役得ならば。
(摂子)少しじゃありませんよ。
去年だけでも15往復。
80万円近く支払ってます。
(太一)えっ?こんなに?倉田部長。
こういうのをはっきりとただすのが私たちの仕事なんじゃないんですか?ああ。
おっしゃるとおりです。
(摂子)ではお願いします。
(太一)はい。
あっ。
いや。
あのう。
その前に。
あの。
足立建機さんの入金を確認しないと…。
倉田総務部長。
(太一)分かりました。
行きます。
(摂子)よろしくお願いいたします。
(社員)ちょいちょいちょい…。
・
(真瀬)はい。
OK。
はい。
はい。
(太一)あのう。
あのう。
真瀬部長。
お話が。
チバ電子さんの交通費の件です。
(太一)去年1年間当該区間の請求額はおよそ80万円。
それをうちとチバ電子さんの両方からもらってる。
(真瀬)じゃあその80万返せとでも言うのかよ?
(太一)あっ。
いや。
ちょっと待ってください。
そういう言い方されても。
あの。
(真瀬)倉田さん。
俺はこの会社の業績が悪かったころからずっとやってきたんだよ。
交通費もろくに出ないで全部自腹で動いてきたんだよ。
そんなこと言うんだったらそのころにさかのぼって全部俺に払ってくれんのかよ?
(太一)あっいや。
そういうことでしたらきちんと請求していただかないと。
(真瀬)お前ら銀行の連中はみんなそうだよ!何かというと数字を盾にへ理屈ばかり並べやがって。
仕事なんてなそう簡単に割り切れるもんじゃないんだよ。
(太一)お話は以上です。
失礼します。
(真瀬)おい。
(真瀬)社長に全部話すつもりか?はい。
報告せざるを得ません。
それが私の仕事ですから。
(蟹江)それマイク?つくし?
(明日香)人間です。
(蟹江)深いな。
あるいは浅いな。
えっ?これが何なの?
(明日香)いや。
だからホームで注意したあのニット帽の男性ですよ。
(蟹江)ナスカちゃん。
(明日香)明日香です。
(蟹江)そのねたはさっき駄目だって言ったでしょうが。
分かってます。
分かってますけど。
何か引っ掛かるんですよね。
(蟹江)そんなにいい男だった?
(明日香)違いますよ。
(蟹江)じゃあ俺はシルビアちゃんと約束があるからいってくる。
あれ?これ引くんだっけ?押すんだっけ?あっ。
引くんだ。
こっちは押すんだよ。
知ってんだ。
どっかで見たことある気がするんだよな。
(太一)へえー。
アヒージョ?
(珪子)お昼の番組でやってたの。
たこ焼き器でやると簡単においしくできるんだって。
(七菜)へえー。
(珪子)どう?
(七菜)うん。
おいしい。
(珪子)うーん。
あのさ。
七菜って彼氏とかいるの?何よ?いきなり。
あっいや。
あの。
ストーカー被害者の9割は女性で原因のほとんどが恋愛トラブルなんだって。
(珪子)へえー。
あっ。
ほら。
だから。
あの。
花壇の花抜かれてたのもしかして七菜の彼氏とか関係ないのかなと思って。
何言ってんのよ?全然ないってそんなの。
(健太・珪子)うん。
ああ。
(七菜)それよりさ自分はどうなのよ?彼女とか。
いないか。
おっしゃるとおり。
(七菜)じゃあお母さんは?
(珪子)うん?
(七菜)うっかり浮気とかしてさ恨まれてない?
(太一のせき)
(珪子)ウフフ。
いくらお母さんでもそこまでうっかりしてないわよ。
そっか。
(珪子)フフフ。
じゃあお父さんは?そんな度胸ないか。
(太一)フッ。
面目ない。
(七菜)そうだね。
(珪子)ねえねえ。
他にもねブロッコリーとかベーコンとかちくわあるけどやってみる?
(七菜)うん。
ハァー。
よし。
やるか。
ああー。
できた。
ああー。
(女性)おはようございます。
おはようございます。
ああ。
えっ?
(珪子)ゼラニウムはポットでまとめて買って3,000円くらいですけど。
肥料とか水道代とか入れると。
(七菜)お母さん。
そういうのはだいたいでいいの。
(珪子)だって悔しいじゃない。
一生懸命育ててたのに。
(太一)うん。
(木下)ではサドルと合わせて8,000円でよろしいでしょうか?はい。
(珪子)えー?あっ。
それで大丈夫です。
(木下)はい。
すいません。
(太一)あの。
何か対応はしていただけるんでしょうか?
(木下)最近この町内で落書きや器物の破損が数件起きてまして。
ちょうどパトロールを強化してたところなんですよ。
はあ。
(木下)もしかすると同じ犯人かもしれませんね。
(太一)そうだったんですか。
(木下)まあとにかく戸締まり。
これだけはくれぐれも忘れないようにしてください。
(一同)はい。
分かりました。
(持川)この報告書なんですけどね。
証拠はあるんですか?
(太一)私自身が昨日チバ電子の経理担当者に確認をいたしました。
(持川)今私からチバ電子の社長さんに確認しましたが真瀬個人に交通費を支払った事実はないという話でしたよ。
まさか…。
(持川)いや。
確かにチバ電子さんは真瀬の交通費を負担していました。
あっ。
ああ。
でしたら。
(持川)ただし真瀬が直接受け取ったわけではありません。
先方がうちの会社に請求する売値から真瀬の交通費分を差し引く形で負担していたそうです。
つまり真瀬は交通費の二重取りなんてしていない。
チバ電子から交通費を負担してもらいそれをうちの会社から真瀬に支払っていただけです。
しかし私が聞いたときには先方の経理担当者は…。
(持川)先方の経理担当者はまだ担当になったばっかりで勘違いしていたようです。
というわけで倉田部長が上げてきたこの報告書は間違いです。
(太一)あっ。
申し訳ございませんでした。
(持川)いやいやいやいやいやいや。
いや。
ハハハ。
いや。
私はいいんです。
ただ真瀬がねぇ。
いやー。
怒ってましたよ。
忙しいのにろくに確認もしないでぬれぎぬを着せられたって。
わだかまりのないようきちんと関係を修復しておいてくださいよ。
いいですね?
(太一)誠心誠意善処いたします。
ああー。
(川辺)《それは不採用だ》《いやいや》《ちょっと待ってくださいよ。
ちゃんと説明してくださいよ》
(川辺)《そのパティスリーレーヌさんに何枚もいたずらファクスが届いたらしい》《いたずらファクス?》
(川辺)《デザイナーの倉田健太には仕事を発注するなって》《えっ?》
(川辺)《レーヌさんからクレームの電話受けてお前はこの仕事から外すことになった》《えっ?そんな》もしもし?
(珪子)あっ。
健太?家のポストにね変なものが入ってたのよ。
えっ?
(珪子)パティスリーレースさんってとこのデザイン画なんだけど。
いや。
レーヌだよ。
何かね破いたのをね張り合わせてるみたいなんだけど。
えっ?誰かがごみをあさって電話したんだ。
(珪子)えっ?何?パティスリーレースさんってとこの。
(真瀬)倉田さん。
ちょっといいかな?ハァー。
社長から話は聞いてるよね?
(太一)あっ。
はい。
(真瀬)正直相当傷ついてんだよ俺は。
(太一)あっ。
ご迷惑お掛けいたしました。
(真瀬)はあ?それだけ?せめて土下座ぐらいしてみせてくれないと収まりがつかないんじゃないのかな?どうなんだよ?青葉銀行から来た倉田さんよ!・
(摂子)真瀬部長!怒る相手が違うんじゃありませんか?
(真瀬)フッ。
何言ってんだ?お前。
(摂子)そもそもチバ電子さんの経理担当者がそういう話をしたんですよ。
謝れとおっしゃるならその担当者の方に言うべきではありませんか?それに倉田部長は報告書を上げる前に事前確認しているはずです。
違うならどうしてそのときにはっきりおっしゃらなかったんですか?何か言えない理由でもあったんですか?
(真瀬)ふざけたこと言ってんじゃねえぞ。
そんな理屈っぽいから旦那にも逃げられるんだよ。
ハハハ。
ハハハ。
(社員)危ねっ!
(真瀬)何やってんだ!?お前!やり方が汚いんですよ!どうせ裏から手を回したんでしょ!
(太一)やめなさい。
西沢さん。
やめるんだ。
(摂子)私許せないんですよ!こういうずるい人!
(真瀬)放せ。
おら。
(社員)あっ。
すいません。
(真瀬)フフフ。
付き合いきれねえな。
ほら。
仕事だ。
(一同)はい。
(真瀬)仕事するぞ。
ほら。
(一同)はい。
(摂子)すいません。
あっ。
お騒がせしました。
(八木)今日は忙しいのに呼び出しちゃって申し訳ない。
(太一)青葉銀行人事部の八木部長代理さまの呼び出しとあらばいつでもはせ参じますよ。
お前は同期の花だからな。
(八木)ああ。
(太一)で俺の人事の話か?
(八木)さすが察しがいいね。
分かるよ。
もうすぐ1年たつから。
(八木)うん。
そろそろ先方から人事契約を延長するかどうかの通達が来るんだ。
だからその前に倉田本人の意思を確かめておこうと思ってな。
(太一)俺の意思?
(八木)うん。
戻りたいっつったってポストなんかないんだろ?
(八木)うーん。
まあサラリーマン人生を全うするんだったら今の会社に骨をうずめるってのが一番の選択だな。
(太一)うん。
(八木)ところでナカノ電子部品は出向した人間がみんな1年で返却されてるっていうのは知ってるよね?二代目社長は癖があるし営業部長は妙に銀行員のこと嫌ってるしな。
(八木)だから人事部は倉田太一に白羽の矢を立てたんだよ。
(太一)えっ?
(八木)ああ。
つまり我を張らずに周りの人間とうまくやっていける倉田だったら鬼門のナカノ電子部品へ行ってもじゅうぶんやっていけると判断したんだな。
フフフ。
おい。
(八木)あっ。
俺ってずいぶん都合のいい人間なんだな。
いや。
すまない。
うちとナカノとの関係もあるんだ。
だから倉田には何としてでも踏みとどまってほしいんだよ。
できたら俺もそうしたいと思ってる。
(従業員)お待たせしました。
(八木)うん。
しかしお前すっかりひげが様になってきたな。
ハハハ。
銀行にいたときにはできなかったからな。
(八木)うん。
家族は何にも言わないのか?
(太一)うん。
定年間近の父親のことなんて誰も興味持たないよ。
(八木)元気か?珪子ちゃんは。
(太一)ああ。
(八木)うん。
おい。
開けて。
・
(七菜・珪子)お兄ちゃんだ。
えっ?・
(七菜)ちょっと待って。
開ける。
・
(珪子)健太?何で今日に限って?痛え。
(七菜)ごめん。
痛っ。
何?何?
(七菜)もうよかった。
何?どうしたの?
(珪子)いいから。
上来て。
上。
(七菜)早く。
何?何?何?何?もう真っ暗じゃん。
(七菜)あっ。
(珪子)キャー!
(七菜)さっきから外にずっと変な人がいるの。
はっ?
(七菜・珪子)ああ。
閉めて閉めて。
(七菜)そうっと見て。
えっ?
(七菜)1時間ぐらいずっといるんだけどさ。
(珪子)何かこっち見てるみたいでしょ?ちょっと行ってくる。
(珪子)気を付けてね。
ちょっと見てくるだけだから。
(七菜)頑張って。
鍵締めといてよ。
(珪子・七菜)うん。
あいつだ。
・
(足音)うわっ。
ああー。
ああー。
痛え。
あっ。
おおー。
・
(物音)
(猫の鳴き声)何だ。
猫かよ。
うわっ!?・ああー。
うわっ。
ああ。
何だ。
親父か。
(太一)「何だよ」ってお前。
お母さんに聞いてきたんだよ。
おい。
怪しいやつってのは?分かんない。
(太一)たまたま公園でたばこ吸ってただけじゃないの?
(七菜)そうかもしれないけど。
ねえ?
(珪子)一応警察には連絡しておいたわよ。
今夜は俺も外見張るよ。
(珪子)大丈夫?昨日も徹夜したんじゃないの?平気平気。
(七菜)じゃあ私もそろそろ四次面接だし今夜は頑張るか。
(珪子)何頑張んの?
(七菜)メークの練習とか?
(蟹江)ナスカちゃん。
その後どうなった?
(明日香)分かりません。
取材拒否されてますから。
(蟹江)じゃあ暇か。
たまには一杯飲んでくか?
(明日香)えっ?どの店ですか?
(明日香)ああ。
お疲れさまでした。
編集長。
(蟹江)うんうんうんうん。
パブ空揚げ?深いな。
あるいは浅いな。
ああ。
シルビアちゃん。
シルビアちゃん。
(女性)あっ。
カニー。
(蟹江)呼び捨てすんな。
(女性)いらっしゃい。
(蟹江)バカ。
うっさい。
バカ。
いやー。
今日もきらっきらしちゃってんね。
・いらっしゃいませ。
(蟹江)ねえねえ。
今週ね皆勤賞なんだよ。
ありがとうございまーす。
(蟹江)ハァー。
気のない返事が100点。
・
(足音)何だよ?親父。
まだ起きてたのか。
(太一)ああ。
どうだ?外は。
別に。
雨降ってきたみたいだし今日はもういいんじゃないか?あしたも仕事だろう?まあ大丈夫だよ。
うん。
なあ?健太。
うん?お前仕事楽しいか?何だよ?急に。
自分の好きなことをやって食っていけりゃそりゃ最高だよな。
こんなときに説教かよ?いや。
俺はさ根っからのサラリーマンだから聞いてみたかっただけだ。
ああ。
頑張れよ。
・
(珪子)ああー!ああー!
(太一・健太)おお。
(太一)お母さんの声がした。
(七菜)えっ?何?
(太一)大丈夫?どうしたの?お母さん。
(健太・七菜)お母さん?何?
(珪子)ああ。
ああ。
(七菜・珪子)うわー!キャー!
(太一)おおー。
えっ?えっ?・
(太一)中入ろう。
ねっ?・・何だよ?これ。
ささいなことをきっかけに穏やかな日常が一瞬のうちに崩れ去ってしまうことがある
・
(七菜)ねえ?何か変。
(珪子)ああ。
(太一)お水飲みなさい。
(珪子)ありがと。
何?どうした?
(ファクスの作動音)
臆病者の僕がありもしない勇気を出してしまったあの瞬間からわが家は全てが変わってしまった
このとき僕らはまだ知らなかったんだ
この恐ろしいゲームが始まったばかりだということを
(ファクスの作動音)2015/04/13(月) 21:00〜22:09
関西テレビ1
[新]ようこそ、わが家へ #01[字][デ]【恐怖のゲームが始まる!池井戸潤VS相葉雅紀!】
「恐怖のゲームが今夜始まる」
作・池井戸潤 相葉雅紀 沢尻エリカ 有村架純 佐藤二朗 山口紗弥加 眞島秀和 堀内敬子 高田純次 竹中直人 南果歩 寺尾聰 ほか
詳細情報
番組内容
とある郊外の一軒家。そこには長男の倉田健太(相葉雅紀)、父親の太一(寺尾聰)、長女の七菜(有村架純)、母親の珪子(南果歩)の家族4人が暮らしている。
健太は人と争うのが苦手で、つい相手に合わせてしまう気弱な青年。職業はデザイナーだが自己主張のない作品ばかりで売れていない。太一は健太とそっくりな気弱な男性。勤めている大手都市銀行の出世レースから脱落し、今は取引先の中小企業に出向中だ。
番組内容2
七菜は大学生で今は就活中。元カレに追い回されていることに悩んでいる。専業主婦の珪子は子育ても一段落し、自分の時間を作ろうと陶芸教室に通っている。
幸せとは言い切れないが不幸せではない、平凡な家族の日々。それは突然、終わりを告げた。
ある日のこと、健太は駅のホームで割り込み乗車をしようとした男を注意する。たまたま居合わせた神取明日香(沢尻エリカ)は「とても立派だったと思います」と声を掛けた。
番組内容3
誇らしさが込み上げる健太だが、注意された男は、なんと健太を尾行してくる。自宅付近でまくことができたが翌朝、家の花壇の花が無残にもすべて引き抜かれていた。
あの男がやったのだろうか—?疑惑が頭から離れない健太は、駅のホームでまたしても明日香と出くわし、明日香の意外な正体が明らかに…。
時を同じくして太一は会社で不正の疑惑を見つける。よもや、それが姿の見えない謀略との闘いの始まりとは知らずに…。
出演者
相葉雅紀
沢尻エリカ
有村架純
佐藤二朗
山口紗弥加
眞島秀和
堀内敬子
足立梨花
藤井流星(ジャニーズWEST)
高田純次
・
竹中直人
・
近藤芳正
南果歩
寺尾聰
他
スタッフ
【原作】
池井戸潤「ようこそ、わが家へ」(小学館文庫)
【脚本】
黒岩勉
(『上流階級〜富久丸百貨店外商部〜』『ストロベリーナイト』『謎解きはディナーのあとで』など)
【プロデュース】
羽鳥健一
(『信長協奏曲』『東京にオリンピックを呼んだ男』『高校入試』など)
【演出】
中江功
(『若者たち2014』『海の上の診療所』『Dr.コト—診療所』シリーズなど)
スタッフ2
谷村正樹
(『ラストホープ』『最後から二番目の恋』『全開ガール』など)
【主題歌】
嵐『青空の下、キミのとなり』(ジェイ・ストーム)
【制作】
フジテレビドラマ制作センター
ご案内
ドラマを生で見よう!各ドラマ総額100万円が当たる『DRAMA !S LIVE』!ドラマ放送中にリモコンのdボタンを押してね。第1話と第2話のキーワードを集めるとより豪華なプレゼントに応募できるよ!
対象ドラマ:月9『ようこそ、わが家へ』火10『戦う!書店ガール』水10『心がポキッとね』木10『医師たちの恋愛事情』
詳しくは各ドラマのHPをご覧ください!
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
OriginalNetworkID:32724(0x7FD4)
TransportStreamID:32724(0x7FD4)
ServiceID:2080(0x0820)
EventID:25620(0x6414)