くらし☆解説「安全保障と国民の視線」 2015.04.14


生字幕放送でお伝えします岩渕⇒こんにちは。
きょうの担当は島田敏男解説委員です。
テーマはこちらです。
安全保障といいますと、どうも日頃なじみが薄いのであまりぴんとこないという人も少なくないと思うんですけれども。
社会保障でしたら年金、医療介護の話だなと身近に感じると思うんですけれども安全保障といいますのは自衛隊を動かして国を守るという話ですので少々縁遠いかもしれません。
でも社会保障も安全保障もどちらも税金を使って国民の暮らしを守る点では共通なんです。
きょうは安倍内閣が進める安全保障の取り組みを中心にNHKの世論調査を見ていきたいと思います。
本題に入る前に毎月見ています安倍内閣の支持率ですが今月は変化があったようですね。
先月よりも5ポイント上昇しました。
今月の調査で安倍内閣を支持すると答えた人は先月より5ポイント上がって51%。
支持しないは3ポイント下がって34%という結果でした。
3月に内閣支持率がいったん落ち込んだんですがこれが若干回復したという格好です。
支持率回復の理由はなんでしょうか。
数字のうえではっきり出ていますのは安倍内閣の経済政策を評価するという答えが先月よりちょうど5ポイント上がっている点です。
デフレ脱却を掲げる安倍内閣はその時々の経済政策に対する評価と内閣支持率が連動しているというのが特徴です。
今月もそうした傾向が現れています。
調査の直前の10日に東京株式市場で日経平均株価が一時2万円の大台を回復したこれが先行きに対する期待感を強めたという面が大きいと思います。
ほかの政策に対する評価は影響していないんでしょうか。
あまりはっきりしないんですよ。
きょうの本題の安全保障を見ましてもこのあと詳しくお伝えしますが安倍内閣の方針に賛成や評価するという答えは決して多くないんです。
やはり景気回復への期待感というのがいちばんの浮揚力になっているようです。
安全保障ですが安倍総理が熱心な集団的自衛権を行使できるようにする法案作りが続いていますね。
統一地方選挙の前半戦が終わりましてきょうから自民党と公明党との詰めの協議が再開されました。
政府は来月15日ごろに必要な改正法案の閣議決定を目指しています。
集団的自衛権の行使を可能にするための法律を整備する政府の方針について聞いた結果は賛成が23%反対が35%どちらともいえないが33%大きく割れていますね。
詳しく見てみますと野党支持者と無党派層では、反対が5割6割と多いですね。
そして与党支持者を見ますと反対は少ないんですが賛成という人それとほぼ同じぐらいですどちらともいえないと答えている人がいるんです。
まだ法案の中身も明らかになっていない。
だから十分な判断材料がそろっていないという慎重な人が少なくないと見ることができると思います。
それにしても安全保障の法整備と言われている問題は分かりにくいですね。
ポイントを整理してみたいと思います。
今回の法整備の土台になっていますのが去年7月の閣議決定です。
この内容は幅広いんですけれども分かりやすくするために大きな2つの柱を抜き出してみました。
1つ目の柱は集団的自衛権の行使を限定容認すること。
2つ目の柱が外国軍隊への後方支援を大幅に拡大することです。
先ほどの世論調査の質問はこの1つ目の柱についての質問ということですね。
この点について説明します。
武力行使を禁じた憲法のもとで従来は、日本が外国から攻撃された場合に限って武力を使って反撃できるとしてきました。
これが個別的自衛権です。
これに対して安倍内閣は憲法解釈を、変えてできることを積み増ししました。
日本が攻撃されていなくても密接な関係にあるアメリカなどが攻撃されてそれによって日本の存立が脅かされる国民の権利が根底から覆される明白な危険があるときには集団的自衛権で武力の行使ができるとしたわけです。
さらに政府与党が進める法整備はもう1つの柱についても同時に進んでいるんですよね。
外国軍隊への後方支援の拡大ですね。
これは2つの方法で進んでいます。
1つは今ある周辺事態法。
主に朝鮮半島の有事に備えた法律なんですが、これを抜本改正する方法。
そしてもう1つは自衛隊をいつでも海外に派遣することができるようにする新たな立法です。
この2つはどう違うんですか?周辺事態法は日本の安全を守る活動をしているアメリカ軍などに物資の提供や輸送といった支援をこれまで以上に拡大するという法改正です。
海外派遣恒久法は国際社会の平和と安全のために活動する外国軍隊を支援するための法律なんです。
例えば2001年の9.11そのあと、アフガニスタンでのテロとの戦いを支援するために日本が特別立法で行いましたインド洋での各国の軍艦への給油支援といったものが、該当します。
本当に幅広い内容ですね。
先ほどの集団的自衛権に関する世論調査の結果を男女別に見てみますと女性では賛成が少なくて反対と、どちらともいえないがほぼ横並びの格好になっています。
この傾向というのは全体の答えの傾向にもほぼ連動した格好なんです。
政府与党の関係者はこういうことからとりわけ女性に理解してもらう必要がある。
その努力が大事だといいます。
ただ法案の決定国会での審議と進んでいきますと自衛隊の海外での活動を大幅に拡大する内容に対して、国民がどういう反応を示すのか。
そしてそれが安倍内閣の支持率どう左右していくのかこの点はまったくまだまだ不透明ですね。
そのほかにも安全保障といいますと沖縄の普天間基地の問題がありますね。
政府が進める普天間基地の代替施設を名護市辺野古に建設する計画に対して賛成、反対、大きな差はなくどちらともいえないが44%となっています。
与党支持者を見ましても、どちらともいえないが賛成という人よりも多くなっています。
沖縄県内で計画に反対する声が高まっていることによって迷いが出ているという傾向がうかがえます。
この問題では政府が沖縄側ともっと話し合うべきだという声も聞きますが。
政府の沖縄県への対応が適切かどうかを聞いた結果です。
適切だが16%適切でないが34%どちらともいえないが41%となっています。
どちらともいえないが41%に上っています。
野党の支持者と無党派層ではほぼ半数の人が適切ではないと指摘していて与党支持者でも適切だが少なくどちらともいえないというのが半数近くに上っているということなんです。
政府の対応はこのままでいいと考える人は決して多くないということですね。
そういうことですね。
先日翁長知事と菅官房長官の会談が初めて実現しましたが平行線に終わりました。
翁長知事が望んでいる安倍総理大臣との会談の話し合いの見通しは立っていません。
政府与党関係者は翁長知事がすべてノーと言わないで新たな条件を前提に話し合う余地というものを示してくれればいいんだがなと漏らします。
しかしまず大事なのは政府の対応ですね。
最後になりますけれども各政党の支持率は今月は大きな変化はあったんでしょうか。
自民党の一強。
全体の構図は変わっていません。
統一地方選の前半戦でも自民党が優位に立ちました。
後半国会では安全保障の問題を中心に、改めて各党の議論の力が試されます。
政府与党は国民の疑問や懸念に丁寧に応えることができるか野党各党は安保政策が、さまざまに異なっているんですが必要な論点を国民の前にきちんと示すことができるかどうか。
戦後70年のことしです。
歴史の評価に耐えうるような国会論戦を期待したいですね。
島田敏男解説委員でした。
2015/04/14(火) 10:05〜10:15
NHK総合1・神戸
くらし☆解説「安全保障と国民の視線」[字]

NHK解説委員…島田敏男,【司会】岩渕梢

詳細情報
出演者
【出演】NHK解説委員…島田敏男,【司会】岩渕梢

ジャンル :
ニュース/報道 – 解説
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
情報/ワイドショー – 健康・医療

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

OriginalNetworkID:32080(0x7D50)
TransportStreamID:32080(0x7D50)
ServiceID:43008(0xA800)
EventID:11833(0x2E39)

カテゴリー: 未分類 | 投稿日: | 投稿者: