(無線)「本部から各局。
犯人は凶器を所持したまま逃走中」「まだ付近にいる模様」
(パトカーのサイレン)
(警察官)動くな!
(警察官)押さえろ!
(警察官)確保!
(警察官)20時15分容疑者確保!
(警察官)本部に連絡しろ!
(薄井昭三)お二人とも経費の精算今日までですからね。
(小暮茂雄)あっ忘れてた。
(長谷部吉伸)そっか…。
そうそうそうそう…。
はいこれお願いします。
はい。
お願いします。
はい。
あとは管理官か…。
早くしてくれないかな。
こっちも忙しいってのに!管理官遅いっすね。
また余計な事に首突っ込んでたりしてな。
(ドアが開く音)
(新海晶)おはようございます。
(小暮・長谷部)おはようございます。
遅くなって申し訳ありませんでした。
経費あったら出しといてくださいね。
あっこれよかったら皆さんでどうぞ。
あっいただきます。
気使ってるつもりですかね?っていうか賄賂じゃないですか?遅刻した事を黙っとけっていう。
今日は楽出来そうですな。
ハハッ!長谷部君ちょっと。
あぁ…はい。
(長谷部)あっこれ僕が検証した…。
読んで。
(長谷部)はい。
「被疑者は北野安彦35歳」「ホストクラブに勤めるホストです」
(野村日出子)ちょっと!時間外に出さないでっていつも言ってるでしょ!
(長谷部)「事件が起きたのは夜8時頃」「北野が出勤前にゴミを出したところ自治会長である被害者野村日出子が時間外にゴミを出すなと注意。
2人は口論となった」ホストなんてクズ。
何しでかすかわかんないんだからちゃんとチェックしてるわよ。
戻しときなさいよ!「その後被害者宅へ押しかけた北野はリビングにあった果物ナイフで被害者を刺殺」「目撃者の証言では物音がして外を見ると被害者宅から出ていく北野とリビングで倒れている被害者の姿が見えたそうで…」ストップ!え…。
何か問題でも?事件があったのは夜8時過ぎ。
なのにどうして被害者の姿が見えるわけ?普通ならカーテンがあって見えないでしょ。
それは…。
リビングのカーテンはレースだったそうでだから…。
おかしくない?夜の8時にレースのカーテンだけなんて。
行こう。
(主婦)いつもはちゃんと閉まってたわよ。
几帳面な人だったし。
閉め忘れるなんて事は…。
ねえ?
(主婦)ねえ会長さんでしたし。
管理官。
あ…。
ありがとうございました。
あらもういいの?何かあったらいつでも聞きにきてね。
あらゴミ…。
フフフじゃあ。
結構モテるんだ。
ええまあ。
あっいや…ちょっと待ってくださいよ。
あの俺もう少し聞き込んできます。
(松井洋子)あっ…。
いや…動かない…。
どうしました?なんか引っかかっちゃったみたいで。
あっちょっと待ってくださいね。
よいしょ!
(宮澤由紀)あっすみません!やりますから。
(由紀)ごめんなさい。
あっやりますよ。
あっすいません。
せ〜のよっ!よいしょ!ああよかった。
すいませんちょっとそこまで行ってたもんですから。
すいません。
ありがとうございました。
いいえ。
すいませんごちそうにまでなっちゃって。
(洋子)いいえ。
こちらこそお世話かけてしまって。
いえ…。
それにしても立派なお宅ですね。
いえいえ。
でもまあ一人にはちょっと広いかなフフフ…。
一人じゃ何かといろいろ大変ですね。
まあね。
でもね毎日由紀ちゃんが来てくれるから。
あの人ねとってもいいヘルパーさんなんです。
へえ。
刺繍されるんですか?車いすだとねこれぐらいしか楽しみがなくてね。
洋子さん。
ん?私お買い物行ってきますね。
あっお願いね。
ごはん出来てますから。
ありがとう。
それじゃあ失礼します。
失礼ですけどお仕事は?あ…私警察官なんです。
まあ!そうなんですか。
っていう事はこの間の事件の事で?まあそんなところです。
でも犯人はもう捕まったんじゃないんですか?ええ。
ただちょっと調べ事がありまして。
あぁ…。
随分と驚かれたんじゃありませんか?そりゃもう驚きましたよ。
だって私…見ちゃったんですもの。
見ちゃった?事件。
そこの窓から犯人が逃げていくところを偶然。
本当ですか?ええ。
もう私ビックリしちゃって。
ちょっと失礼します。
あの黒い服を着た男の人が犯人なんですか?黒い服?ええ。
ああ…でももう早く捕まってよかった。
あの…犯人は本当に黒い服を?ええ。
(永友真一)新たな目撃証言?被害者の近所に住む松井洋子さんという女性が犯人らしき黒い服の男を目撃したと証言しています。
(唐沢潤平)見間違いじゃないですか?こっちの聞き込みではそんな証言1つも挙がってませんけど。
それに大体北野本人が犯行を認めてるわけですからね。
じゃあ事件当夜のゴミはどこにいったんでしょうか?ゴミ?事件の前に北野と被害者はゴミ集積所で口論をしています。
という事はその時北野はゴミを持っていた。
でもそのゴミがどこにいったのかこの送致書には書かれていないんです。
(ため息)普通に考えるならその辺に放り出したか持ったまま被害者宅に向かったかですよね?被害者宅にはそんなゴミはありませんでした。
ゴミ集積所の付近には?そこまでは…。
(有富功)新海!また余計な口出しをしているのか?私はただ目撃証言による検証作業を。
これまでお前が円滑な捜査活動を妨げてまで検証した事件は全部で16件。
そのうち新事実が発覚したのはたったの2件だぞ。
そんなわずかな成果のために検察に借りを作るような事があっては我々のメンツだって立たんじゃないか!お言葉ですが本来ならそのわずかな成果すらあってはならないんじゃないでしょうか。
検証の結果新事実の発覚はゼロ。
それが望ましい結果だと思います。
屁理屈を言うな。
ただ私は迅速な作業をしろとそう言ってるんだ。
では北野の取り調べに行ってきます。
おい…。
(有富)待たんか!新海!主席管理官!大丈夫だ!小暮さん。
はい。
松井洋子さんにもう一度詳しく話を聞いてきてもらえます?え…はい。
それから係長は取調室で記録係お願いします。
係長?どうしたんですか?管理官が来てから検証にかかる経費が増えたみたいで嘆いてるんです。
嘆きの顔です。
失礼します。
あぁ…。
じゃあ記録係は長谷部君に…。
はい!いいえ結構です。
私がやりま〜す。
(北野安彦)ゴミ?そう。
どうしたのかなあと思って。
(北野)多分その辺に捨てたんじゃねえかな。
多分?だってカーッとしてたから覚えてねえよそんな事。
カーッとしてねえ…。
あんな言い方されたら誰だって腹立つだろ!ホストなんてクズ。
俺たちの事クズ呼ばわりしやがって…!だから刺した。
ああそうだよ。
っていうかなんなんだよこれ?俺はもう全部しゃべったんだ。
もういいだろ!お前らもか。
念のため話を聞いてこいって永友管理官が。
でどうだった?あなたもわたくしの事疑ってらっしゃるんですか?いえそんな疑うだなんて…。
年寄りの言う事は信用出来ないんですね。
まったくこれだから警察の人は…。
(ホストたち)乾杯!
(一条聖也)刑事!?嘘嘘!こんなきれいな刑事さんいるわけないって。
あの北野安彦さんの事詳しく教えて頂けますか?ボトル入れてくれたらなんでもしゃべっちゃうんだけどなあ…。
あいや…やっぱ今日はやめよっか…。
係長!いいから早く聞いてください。
あと5分で延長かかっちゃうんで!あ〜経費の事で。
フルーツなんか頼むからもう…。
(柴崎龍一)北野って人の気持ちがわかるっていうのかなあ。
客の悩みや愚痴をちゃんと聞いてやったりするんですよね。
ガキの頃に両親をなくして親戚中をたらい回しにされたらしくて。
だからじゃないですかね。
誰にも相手にされない寂しさを知ってるっていうか。
恋人とかはいなかったんですか?いやそんな素振りもなかったしいなかったと思いますよ。
そう…。
最近何か変わった事とかは?あっ!店辞めたいって言ってました。
店を辞めたい?ええ。
ちょうど事件の前日がこの店のオープン10周年記念でみんなで温泉旅行に行ったんですよ。
その時に今月いっぱいで辞めたいって。
理由は?いや特には何も。
(柴崎)ただもうこの仕事が嫌になったって。
どうかしました?北野はホストの仕事が嫌になったと店を辞めるつもりだったんですよね。
なのに…。
俺たちの事クズ呼ばわりしやがって…!殺害の動機がホストをバカにされたからなんておかしいと思いません?まだ検証したい事があるんです。
「すいません係長。
もう一度お願いします」ああわかりました。
(薄井)「はい管理官どうぞ」はい。
用意…スタート。
ストップ。
どう見ても白だよな…。
(薄井)「何かわかりました?」街頭や月明かりでもしかしたら違う風に見えるかなとも思ったんですけど…。
あんな感じですか?ええ。
白か…。
管理官さっきから…。
さっきから通行人にジロジロ見られてますよ!じゃあ次お願いします。
管理官早くしてください。
被害者はあんな風に?ええ間違いありません。
お疲れ様でした。
何か収穫ありましたか?いえ目撃者の証言にも特に不自然な点はありませんでした。
ああそうですか。
うわあ!うわっ!これ被害者の血ですかね?うわあ嫌だな〜こういうの。
うわっ!不謹慎だけど嫌だなこれ。
(薄井)うわあ取れない!うわ〜!これ嫌でしょ。
車いすですとねこれぐらいしか楽しみがなくって。
(薄井)うわっもう帰りましょう。
あっええ。
(ノック)
(武邑嗣雄)はい。
(橘ひとみ)失礼します。
また止まってるそうですが…。
現在検証作業中です。
あまりこちらで時間を使われますと検察での取り調べの時間が減り結果裁判にも影響を及ぼす事になります。
至急送検手続きに入るんだ。
検証作業が終わりましたらすぐに。
(武邑)いいか新海警察は組織だ。
そして警察官である以上その規律には何があっても従わなければならん。
送致書は今日中にこっちに回せ。
これは課長命令だ!わかりました。
今日中に終わらせます。
おい。
何をまだこだわってるんだ?なぜカーテンは開いてたんでしょうか?助けを求めるために開けた可能性はあるな。
じゃあ北野の捨てようとしていたゴミはなぜなくなったんでしょうか?ゴミが見つかったところで事件とは直接関係ないだろ。
どうも納得いかないんだよなぁ。
(長谷部)なんで今さら北野の部屋なんですか?事件に関係するものならとっくに捜査一課が調べてますよ。
それ以外に何かあるかもしれないでしょ。
管理官こんなものありましたよ。
「花と緑をつくろう会」?ボランティア?
(斎藤)ええ。
公園や町の空いたスペースを利用して花を育てていく会です。
あっそれは花壇を作るための使用許可証ですよ。
じゃあこの人がこの公園で…。
あ〜!実は声をかけたのは私でしてね。
(斎藤の声)酔いでも覚ましてたんでしょうけど毎朝のように顔を合わせるので…。
よかったらやってみませんか?俺が?
(斎藤)ええ。
すぐに始めて。
毎朝のように熱心にやってましたよ。
へえ…なかなかきれいじゃないですか。
ねえこの花なんていう花か知ってる?え…さあ?でも意外でしたね。
ボランティアやってたなんて。
由紀さんは今日はいらっしゃらないんですか?うん。
さっき帰ったところなの。
そうですか。
由紀ちゃんは本当によくやってくれてるわ。
あの子ね去年介護してたお母さんが亡くなったみたいでどうせうちに帰っても一人だからって毎日朝早くから夜遅くまで働いてるみたいなの。
でもね…体だけは大事にしてもらわないと。
あの子がいなくなったら私…。
あっあの…今日もあの話?すいません。
何度聞かれても答えは同じよ。
あの日私が見たのは黒い服を着た男の人だったわ。
何度も申し訳ありませんでした。
どうかしました?あっいえ…なんでもありません。
(薄井)事件を目撃してない?正確には「見えない」って言った方が正しいんですけど。
え…どういう事ですか?車いすに乗ったままではあの窓から被害者の家は見えないの。
つまり事件を見たっていうのは嘘だった。
でもなんでそんな嘘を?あのおばあさん…松井洋子さんにとっては警察は敵なんです。
敵?話聞きに行った時彼女こうつぶやいたんです。
まったくこれだから警察の人は…。
その言葉が引っかかったんで調べてみたらあの人の娘さん10年前にストーカー被害にあってました。
ストーカー?
(窓ガラスが割れる音)
(絵美子)キャー!警察は?恋愛関係のもつれだろうとまともに取り合わなかったそうです。
そんな…。
その後ストーカーを恐れた絵美子は家を飛び出してどこかに身を隠していたそうなんですがその居場所はいまだ知らされてないそうです。
つまりあの人にとっては警察は娘を見捨て追い込んだ憎き相手。
だから「事件を見た」「犯人は黒い服を着てた」なんて嘘をついた。
彼女なりの警察に対するささやかな復讐として。
(電話)
(薄井)はい検証捜査係。
はいありがとうございます。
管理官…管理官?はい。
例のホストクラブの連中ですが確かに事件の前に2泊3日で箱根に出かけています。
そうですか…。
ん?2泊3日?
(薄井)ええ梅郷って旅館です。
これがまた高級なところで…。
もしかしたら北野は事件当夜ゴミを持っていなかった可能性があります。
ゴミを持っていなかった?北野が住む町内の燃えるゴミ収集日は月曜と木曜日週2回。
そして事件があったのは木曜の前日の水曜の午後8時過ぎ。
でも北野は月曜の午後から事件があった水曜まで箱根に出かけていたわけだから家からゴミが出るわけはないの。
月曜日に出せなかったんじゃないですか?いえ月曜日には正しい時間に出しています。
近所の主婦が目撃しています。
だから北野の部屋には燃えるゴミはなかった。
じゃあ北野と被害者がもめる理由なんてないじゃないですか。
そういう事!それなのに殺人事件は起きたの。
2人の間にゴミ以外の接点があるか?あるいは答えは別のところにあるのかも。
別のところ?
(医師)お大事に。
ありがとうございます。
やったな〜来週退院だってよ。
(小暮遥花)よかった。
よく頑張ったな。
私退院したらねまずはゆっくりお風呂に入るでしょ。
それから美容院行って洋服買いに行ってそれで…。
あでもその前にお母さんとこ行かなきゃね。
そうだよ。
ちゃんと退院の報告しないとな。
じゃあ洋子さん私お金払ってきますね。
お願いね。
はい。
はいお願いします。
はいお預かりします。
あら。
やだ…。
あすいません。
まあ刑事さん!先日はどうも。
どうもすいません。
ありがとうございます。
あのお見舞いですか?ああはい。
どこかお身体でも?
(洋子)いいえ。
いつもの定期健診なんです。
(由紀)お待たせしました!ああ。
洋子さんこれ。
ありがとう。
それじゃあお先に。
どうも。
(由紀)はい動きま〜す。
(洋子)ごめんください。
失礼します。
もう1時間以上もああしてますよ。
送致書昨日までだったんだろ?さすがにまずいと思ってんだよ。
(長谷部)おはようございます。
(薄井)ああおはようございます。
失礼します。
小暮さん何やってんすか!まあ〜おきれいな手ですね。
何か?料理も洗濯も何もしてないって手だ。
余計なお世話です。
松井洋子さんもきれいな手してましたよ。
まるでなんにもしてないような手を。
洋子さんですか?そりゃそうですよ。
生活面の事はほとんど由紀さんが…。
どうかしました?いくら洋子さんでも車いすの車輪だけは誰もいない時は自分で回すしか…。
そうです。
そして車いすを使ってたらここのところにタコが出来たりするもんなんですがね。
あの人の手は実にきれいだった。
という事は洋子さんは普段あまり車いすを使っていない。
本当は歩ける!?だとしたら…?事件を目撃した可能性がある。
本当の事?はい。
事件の夜本当は何があったんですか?あ…。
前にも申し上げたでしょ。
「黒い服を着た男の人を見た」って。
お嬢さんの事は私も大変心苦しく思っています。
同じ警察官として恥じてもいます。
でも…。
それとこれとは別です。
あの日あなたはあの窓から事件を見た。
一体何を見たんですか?ですから先ほども申し上げたとおり…。
それ以上の事は何も知りません。
どうして今さら被害者の遺留品なんか。
何か気になる事でも?うん…。
ん?どうかしたんですか?どうしてこの1か月だけ空白なんだ?
(唐沢)妙ですね。
おい車回してくれ。
(捜査員たち)はい!
(携帯電話)はい新海です。
永友だ。
被害者の手帳を調べていたら面白い事がわかった。
被害者は3か月前…。
そうですかわかりました。
それから今唐沢たちに当たらせているが北野はな…。
私も今それを考えていたところです。
おそらくそれで間違いないと思います。
ええそれじゃあ。
(携帯電話)はい新海です。
(武邑)「送致書はどうなってるんだ?」「約束は昨日のはずだったんだが」あと半日だけ待ってやる。
だが万が一間に合わなかった場合はわかってるな?大丈夫です。
答えはもう出ています。
お呼び立てして申し訳ありません。
ようやく事件の謎が解けたものですから。
この花ガーベラですよね。
こまめに手入れをしないとこんなにもきれいには咲かないそうです。
ではなぜこの花が北野の逮捕後もこんなにきれいに咲いているのか?それは誰かが毎日手入れをしていたからです。
事件当夜犯人は果物ナイフで被害者を刺殺。
その場に現れた北野は本当の犯人を逃がした。
そして被害者から凶器の果物ナイフを抜き…。
事件が少しでも早く発見されるようカーテンを開けて…。
(割れる音)その場を立ち去った。
では北野がかばいこの花壇の世話をしていた人物とは一体誰なのか。
洋子さんご存じですよね?あの日あなたが見た人物とは…。
由紀さんあなたですね?由紀ちゃん。
事件の事を知った洋子さんは由紀さんが犯人なのではないかと思ったはずです。
でも逮捕されたのが北野だったためにそれは勘違いだと思った。
しかしそんな時に事件を検証する私が現れ洋子さんは再び由紀さんが犯人なのではないかと思った。
そして由紀さんを守るために嘘をついた。
犯人はこのトレーナーとは似ても似つかぬ黒い服を着ていたと。
由紀さん全部話して頂けませんか?本当の事を。
あなたは北野と愛し合っていたんですよね?俺知りませんよこんな女なんて。
じゃあこれはなんだ?お前のゴミの中から出てきたメモだ。
被害者が持っていた。
こんなもん知らねえ!こんな女俺は知らねえ!知らねえったら知らねえんだよ!
(唐沢)おい北野!大人しくしろ!あの花は私たちにとっての希望でした。
朝早くから夜遅くまで働く私と朝まで働く彼。
まったくすれ違いの生活を送る私たちが出会ったのがあの公園だったんです。
(由紀の声)スーツ姿で花を世話してるのが不思議で気付いたら私の方から声をかけてました。
きれいですね。
でしょ。
(由紀の声)それから毎日出勤前に公園に行くようになって。
あそこに行けば彼に会える。
話が出来る。
そう思うと毎日が楽しくなりました。
朝から晩まで働きづめで仕事で話す以外は誰とも話さず家に帰っても一人っきり。
仕事に行けば利用者さんたちはよくしてくれたけどそれは私が掃除や洗濯をするヘルパーだから。
このトレーナーを脱げば誰も私を必要としなかった。
(由紀の声)それは彼も同じでした。
どれだけ必要とされてもその心が満たされる事はなかった。
でも彼は違った。
彼はありのままの私を見てくれた。
話を聞いてくれた。
そばにいてくれた。
彼に出会って私の生活が変わったんです。
お前はホストを辞めて由紀と同じ介護ヘルパーになろうとした。
彼が資格を取って仕事が出来るようになったらいつか小さくてもいいから自分たちの会社を作ろうって。
毎朝そんな夢みたいな話ばっかり。
本当に幸せでした。
なのに…それをあの人が全部台無しにした。
今から3か月前1か月間だけ被害者がゴミのチェックをしていない月がありました。
調べてみるとそれは足を骨折したためでしたがその時ある介護ヘルパーを雇っていました。
由紀さんあなたです。
(由紀の声)最初は洋子さんみたいによくしてくれてた。
いいなあ。
(由紀の声)でも…。
(日出子)何してんのよあんた!すいません!人のもの勝手に使わないでよ!申し訳ありませんつい…。
つい?立派な泥棒じゃない。
申し訳ありません!それからというもの…。
それ終わったらお風呂場ね。
それからあとで肩揉んでちょうだい。
(由紀の声)契約以外の仕事をやらされ契約が終わってからも毎日夜遅くまで家の中の事をやらされて…。
それにあの人…。
もう解放してくれ?泥棒が何言ってんの?私泥棒なんかじゃ…。
あんな男と付き合ってるからそんな風になっちゃうのよ。
え?「洗濯物が溜まってたから洗濯しておきました由紀」何これ?どうしてそれを?燃えないゴミん中に入ってたのよ。
ゴミひとつまともに出せないあんな男のどこがいいのかしらね。
ホストなんて女だまして貢がせるだけの寄生虫じゃない。
社会のゴミよ!私が何を言われてもかまわない。
でも彼の事だけは…。
あなたに彼の何がわかるんですか!?何よ!泥棒のくせに!あんたもしかしてあいつの?あんな男の子供なんてろくな人間にならないわよ!やめなさい。
あんたはまだまだこき使ってやるんだから。
ハハハッヘヘヘッ!
(由紀の声)気が付いたら私…。
あの日あいつすごい慌てた様子で電話してきたんです。
由紀!どうしよう…。
私…私…。
お前は行け。
ここは俺がなんとかするから。
え?いいから早く行け。
でも…。
でもじゃないだろう!お前が捕まってどうすんだよ!この子刑務所で産むつもりか?俺は嫌だぞ。
俺たちの家族を…そんな事出来ないよ!
(北野)元気な赤ん坊産んでくれよな。
(北野)さあ行け!早く行くんだ!頼んだぞ。
彼きっと私の事恨んでますよね?こんな事に巻き込んでしまって…。
これ見てください。
北野さんの部屋にあったものです。
名前の付け方や画数のページにこんなにたくさん付箋が貼ってあります。
きっと繰り返し何度も読み返したんでしょうね。
どのページもこんなにヨレヨレで赤線もこんなにたくさん。
きっと心待ちにしていたんでしょうね。
あなたが元気な赤ちゃんを産んでくれる事を。
北野。
待っててやれよ。
立派な父親になって。
父親?ああ。
ご苦労。
あとはよろしくお願いしますよ。
それでは。
どうして歩けないふりなんか?車いすなら必ず誰かがそばにいてくれますものね。
お嬢さんは今こちらにいらっしゃいます。
謝っておられましたよ。
ずっとあなたに連絡しなかった事を。
でも私のせいでお母さんには二度とあんなつらい思いをさせたくなかった。
そうおっしゃってました。
あの子元気にしてますか?会いに行かれたらいかがでしょうか?
(嗚咽)北野は証拠隠滅罪で処理し直す事になった。
今回はありがとうございました。
礼を言われる筋合いはない。
ひとつ聞いてもいいですか?なぜ被害者の遺留品を調べる気になったんですか?ん?そんな事はどうでも…。
「やっとやる気になった」とか?なんだと。
これからもその調子でよろしくお願いします。
ったく…。
おはようございます今日のあるき目ですは神戸にやって参りましたジャーン今週ですね2015/04/14(火) 09:55〜10:53
ABCテレビ1
Answer〜警視庁検証捜査官[再][字]
「車椅子は見た!!ゴミ捨て殺人の秘密」
詳細情報
◇番組内容
容疑者逮捕から始まる検証捜査ミステリー!出世コースを外れたキャリア管理官・新海晶(観月ありさ)が捜査資料の中に隠された手がかりから、真実の「答え」を解き明かす!
◇出演者
観月ありさ、田辺誠一、五十嵐隼士、橘慶太、片岡鶴太郎 ほか
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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日本語
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