温泉若おかみの殺人推理 2015.04.14


(戸川恵子)この人なんですけど…見覚えありませんか?ちょっと知りませんが…。
(恵子)そうですか…。
すみませんこの人なんですけど見覚えありませんか?見たことないですねえ…。
すみませんこの人に見覚えありませんか?さあ…。

(相沢周平)おい!ちょっと由美!休憩…休憩…。
(相沢由美)ダメ!休んじゃダメ!冬のうちに鍛えておくといざっていうときに違うんだから。
周平さんいざのときに弱いから。
いくわよ!ファイト!・キャー!助けて!周平さん!あれ!ひったくりか?こら!何やってんだ!こらーっ!!大丈夫ですか?首絞められたの?はい。
手配お願いします。
何かとられたものは?ひったくりなんかじゃないわよ。
絶対に変質者!変質者…?後を尾けられていきなり襲われて首絞められたんですって。
君名前は?戸川恵子…。
地元の人じゃないね?
(恵子)東京から…。
こんな時期にひとりで観光旅行!?行方不明になった兄を捜しているんです…。
…お兄さんを?これが兄の戸川行夫です。
…あっ!ひょっとして幻のニホンオオカミを追ってる動物写真家の…?兄をご存じなんですか!?どこで…。
イタッ…。
大丈夫?
ここ岐阜県下呂温泉はいにしえから有馬草津に並ぶ日本三名泉のひとつと言われ1年を通じて全国から観光や湯治に訪れる人々が絶えません
その温泉郷の中ほどを流れる飛騨川のほとりに…私相沢由美が若女将としてつとめる下呂温泉ホテル水明館があります
気をつけて…。
(相沢政子)遅かったじゃないのよ。
事故にでも遭ったんじゃないかと思って心配したのよ。
大丈夫だよママ…いや母さん。
俺は署の方に行くから後でまた。
ありがとうございました。
(マツ子)若女将ジョギングは30分と…。
緊急事態発生。
休憩15分延長。
急いで救急箱!お義母さま…。
(マツ子)「大女将」!大女将ニホンオオオカミの…。
(政子)え…?…ああニホンオオカミの。
(政子)ああ「狼」ね。
はい。
オオカミの話をしてくださった戸川行夫さん覚えてますか?ええ覚えてますよ。
あの方が1年前から行方がわからないんですって。
…行方不明!?はい…。
こちら妹の恵子さんです。
ここへ見えたのは…去年の3月頃だったかしらね…。
お話がとっても面白くてね。
夜が更けるのも忘れてしまったくらい。
(戸川行夫)〔明治38年に奈良県の東吉野村鷲家口というところで猟師に射殺されたのを最後にニホンオオカミは絶滅したといわれてるんですがとんでもない話でね〕〔紀伊半島の大台ヶ原じゃ昭和50年代まで日常的にオオカミが目撃されたという話ですし今でも全国からオオカミらしい動物を見たという証言が後を絶たないんです〕〔でもオオカミに似た動物という域を出ないんでしょう?〕〔これは5年前に僕が十津川の上流で撮った写真でこちらはつい最近那須の山中で偶然ハイカーが撮った写真です〕〔山犬じゃない。
野犬でもない…〕〔じゃあ…オオカミ?〕〔学者さんは何と?〕〔みんな「写真じゃわからない。
実物を持ってこい」と言います〕〔オオカミは用心深くて捕獲するのが至難の業なんです〕〔かといって死体にしてしまえば絶滅に手を貸すことになる…〕〔だから鮮明な写真を撮って手がかりにするんです〕〔本当に飛騨の山にオオカミが住んでるんですか?〕〔今回の目撃証言は塞ノ神峠と清見村の2か所ですからね〕〔足跡や排泄物も発見されているしかなり信憑性は高いと思います〕〔決定的な写真をものにして日本中をアッと言わせてみせます〕あれから1年も…。
何週間も写真撮影で山にこもることはありましたけどこんなに長い間音信がないなんてことは一度も…。
警察にも再三捜索をお願いしてるんですけど事件の可能性でもない限り動きようがないと…。
ねえお兄さんオオタカの写真を1枚撮るのに1か月間も森の中でカメラを構えていたことがあるっておっしゃってたわ。
そのうちひょっこりいらっしゃるんじゃないかしら。
だといいんですけど…。
お兄さんの捜索はうちの周平におまかせなさい。
あの子なら絶対に捜し出してくれるわ。
その間ここでゆっくりなさいよ。
そうよ!宿泊料金はいただきませんよね?もちろん!ねっ?
(咳払い)失礼します。
若女将あと10分で団体のお客さまが到着します。
15時から県会議員桐野誠一さまのパーティーの打ち合わせ。
15時30分から内装業者との…。
ミーティング!失礼いたします。
支度してまいります!
(政子・由美)いらっしゃいませ。
…誠ちゃん!
(桐野誠一)よう!
(政子)いらっしゃい。
(北村正也)公衆の面前でそのような呼び方は…。
この人はね県会議員である前に私の幼友達なのよ。
かたいこと言わないでよ。
お政さん許してやってくれよ。
こいつはね頭は切れるが融通のきかない男でね。
直々にパーティーの打ち合わせってどういう風の吹き回し?
(桐野彩)努さんの家具の展示会を見に寄ったんです。
今日までとうかがって。
(政子)努さんの…展示会!?努くん!真木ちゃん!緊急事態発生!お父さんが…。
(桐野努)親父が…!?真木いつまでも逃げているわけにはいかないよ。
そうよチャンスよ!私たちもおおっぴらに応援できるし。
よう。
努…才賀の娘がどうしてここにいるんだ?父さん折り入って話が…。
結婚する!?
(彩)真木さんと!?父さんが反対するのはわかってる。
僕は家を出てる身だし承諾を得ようとは思わない。
ただ報告だけは…。
努…才賀の家が山林経営が思うようにいかずどれぐらい借金を抱えてるのか知ってるのか?父さん!
(桐野)まあ聞け。
私には才賀が考えていることが手に取るようにわかる。
あいつが私が推進している基幹林道の建設計画に真っ先に反対したのはそいつを切り札に私から金を引き出そうという下心があったからだ。
そいつがうまくいかないとみるや娘を使ってお前をたぶらかす…。
山猿一家の魂胆がわからんのか?
(才賀真木)山猿一家!?真木の親父さんはそんな人じゃない。
思い過ごしだよ。
基幹林道に反対してるのも飛騨の森を守りたいからなんだ。
森を守る…?フンッ!基幹林道はな飛騨の林業の効率化活性化をするための道路だ。
森を壊すどころか才賀たち林業家の仕事を後押ししようというものだ。
いいか努…目の前の木に惑わされず森を見ろ。
飛騨の林業を活性化させる!?森を見ろ!?笑わせるんじゃないよ!工事を請け負って自分の会社を太らせたいだけだろう!やっと山猿が本性を現したな。
努こんな女と一緒になったら食い殺されるのがオチだぞ。
なにぃっ!
(桐野)なんだっ!?父さん!父さんたちの争いに巻き込まないでくれ!何を言うか!誠ちゃん…。
(桐野)ほっといて。
いいか私はこの結婚を許さん!断じて許さん!!努さんどうしてもと言うなら桐野の籍を抜くことね。
ああ抜いてやる!あんたと違って財産なんかあてにしてないんだ!
(携帯電話の着信音)岡本だが…。
…森八幡の境内で桐野と才賀の若い衆が!?真木ちゃん!地上はこのありさま…。
山で野生動物を追いかけてるお兄さんの方が何倍も幸せかもね。
若女将!なんでしょうあんな格好してはしたない!
(タエ子)若女将と真木さんどっちが早いんでしょうね。
若女将に決まってるでしょう。
インターハイに出たこともあるんだから。
へえ…。
(マツ子)あっ若旦那!やめなさい!やめて!やめてくれ!やめてくれよみんな!やめろよ!やめろっ!こらっ!お前ら!やめないと暴力行為の現行犯で逮捕するぞ!やめろっ!・イターッ!イタタタ…!
(才賀竹男)イターッ!…竹男!!痛いよ!痛いって!腕が痛い!この程度のケガで大騒ぎして…。
山の男の面汚しだよ。
だってさ本当に腕が折れたかと思ったんだよ。
・竹男!親父…。
(才賀力造)桐野建設の連中がお前を狙ったのは本当か?ああ。
向こうから絡んできたのは本当だよ…。
ケガは脱臼程度向こうも本気じゃない。
どうってことないよ。
お前…やけに近頃桐野の肩を持つじゃないか。
それは姉ちゃんのお相手が…な?
(真木)竹男!桐野の奴こうまでして基幹林道を造る気か…!
(県知事)桐野くんのわが県の公共事業における数々の輝かしい業績は長く県史に残るものであります。
その金字塔が清見村基幹林道であり私県知事以下県政をあげて支援していく所存です。
では円滑な計画遂行と桐野くんのますますの活躍を祈って乾杯!
(一同)乾杯!
(才賀林業の若者たち)どけどけ!基幹林道反対だっ!あぶねえぞ!ケガすんぞ!才賀…。
(若者)見せもんじゃねえぞ!おらぁ!どけどけ!お義母さま…。
周平さん!何の真似だ?倅をよくも痛めつけてくれたな…。
そんな脅しにのると思うのか!脅し…?バカなっ!そっちこそ娘を使って私の息子をたぶらかすのはやめてくれ。
なにっ…!?わしの娘がどうした?才賀…これだけは言っておく。
この基幹林道建設計画は農林水産省の肝煎りだ。
お前が土地の買収にどんなに反対しても最後は手放さざるをえない…。
そうか…。
だったらわしらの屍を踏み越えていくんだな。
屍…?ふざけるんじゃない!
(若者たち)なんだと!?誠ちゃん!ママ…。
誠ちゃん!力ちゃん!ふたりともここをどこだと思ってるの!?このホテル水明館は私の家も同然よ!私の家でのもめ事は許しません!ふたりともさっさと出てって!34年前…私が…あなた方のプロポーズを同時に断ったのは…ふたりで仲良く生きてほしかったからよ。
お願いだから私の前でいがみ合うのだけはやめてちょうだい…。
ね?…桐野今日のところはお政さんに免じて引き上げる。
しかし基幹林道だけは何があってもわしの山は通らせん!覚えとけ。
ちょっと待ってください!その双眼鏡…あなたのですか?ああそうだよ。
俺の双眼鏡だよ。
失礼ですけどお名前は…?佐山竜次…。
じゃあイニシャルは「R・S」ですね。
もしその双眼鏡に「Y・T」のイニシャルが入っていたら私の兄の双眼鏡です。
なんだよあんた。
俺が人から盗んだとでも!?娘さんの言うとおりイニシャルは「Y・T」だ。
竜次こいつをどこで手に入れた?いや俺は何も…。
竜次さんこの人のお兄さんね1年前から飛騨地方のどこかで行方不明になってるのよ。
正直に言わないと署まで来てもらうぞ。
竜次!…去年の春頃山の中で拾ったんですよ。
どこの山ですか?清見村からだいぶ入ったところで説明しろって言われても…。
案内してください。
竜次!わかったよ。
案内するよ…。
竹男お前もついて行け。
明日の朝ふたりをここへよこしますんで。
周平さんあなたもね。
ああもちろん行くよ。
(竜次の鼻歌)だっ…誰だ!?…ったくもう!竜次の奴何やってんだよ!竜次さん寝坊してるのよ。
竹ちゃん社員寮は雨情公園の近くだったわよね?私ひとっ走り行ってくる!おい!ちょっと…由美!…あっ!!竜次…。
なんてこった…。
双眼鏡…。
恵子さんのお兄さんの双眼鏡は!?こいつが凶器か…。
ハンマーで頭を…。
ひどい…。
由美…。
桐野建設のマークだ…。
…竹ちゃん?もしもし?殺しです。
雨情公園へ急行してください。
クソッ!パーティーの仕返しに竜次の奴をやりやがったんだ!俺たちはやせても枯れても飛騨の山子のはしくれだ!コケにされて黙ってられっか!!行くぞ!桐野建設に殴り込みだ!!
(一同)おう!待って!殴り込みなんてかけたら向こうの思うつぼだよ!才賀林業をぶっつぶす口実を与えるだけさ!真木の言うとおりだ。
みんな頭を冷やせ。
おやっさん!俺たちは真木の言うことが信用できねえ!桐野の倅といい仲になっていったいどっちに肩入れしてんだか…!黙れ!!父さんそのことだけど…。
お前が誰とつき合おうとわしはかまわん。
お前の問題だ。
だがなわしに内緒にするのは許さんぞ。
竜次のことは警察に任せろ。
わしらには先祖から授かった森を守る仕事がある。
人の手が入らなければ滅んでしまう森がわしらを待ちわびているんだ。
さあ仕事だ!確かにこれにはうちの社の刻印が入っている…。
しかしこれをわざわざ死体の側に置いておくというのはいかにも見え透いていないかね?おっしゃるとおりで。
桐野建設の関係者に疑いを向けさせる狙いがありありです…。
といってこちらでの捜査を割愛するわけにもいきません。
それに桐野さん犯人は我々の裏をかくということも考えられます。
なるほどよくわかった。
得心がいくまで調べてくれたまえ。
北村捜査には全面協力するように。
かしこまりました。
若女将大女将がロビーラウンジでお呼びです。
じゃあこれを松風の間ね。
えーとどこだっけ?ロビーラウンジ!しっかりしてください。
タエちゃんに言われたくないわよ。
これどこだ?恵子さんその格好は?高山へいらっしゃるんですって。
高山へ…?やはり兄はオオカミの目撃証言のあった清見村から山に入ったんだと思います。
もう一度あの周辺をくまなく捜してみようと…。
周平は今度の事件で忙しくなってしまって…。
お兄さんの捜索できなくてごめんなさい。
でお仕事の方は?実は私…会社を辞めてきたんです。
兄の行方がわかるまで東京には戻らないつもりで…。
そう…。
ひとりで歩きまわるのは心配だわ。
できたらここにいてほしいんだけど…。
でも兄のことを思うとじっとしていられないんです。
そうよね。
だったら…。
このオークヴィレッジっていうところに行って。
オークヴィレッジ?努くんと真木ちゃんがきっと力になってくれるわ。
田口さんこの方をオークヴィレッジまでお送りして。
はい。
本当に何から何まで…。
必ず電話してね。
(田口)どうぞ。
お気をつけて…。
聞いた?どう思う?
(努)桐野の人間の仕業じゃない。
じゃあ誰が竜次を…。
わからないけど犯人は才賀と桐野の争いを煽る気だ。
放っておいても私たちのことで血の雨が降る…。
努の父親は私を殺す気だよ。
いや親父はそのうち折れる。
問題は後妻の方だ…。
今日仲間から裏切り者呼ばわりされた…。
そうか…。
でももう後には戻れない。
ああ。
私はいつでも努と死ねるからな…。
真木…。
おかえりなさい。
いやあ頭も体もグチャグチャでさ…。
お疲れさま。
桐野建設関係者ほぼ全員にアリバイあり…。
あまりに完璧すぎて気味が悪いよ。
凶器のハンマーは?会社の建設作業場にあったものらしい。
そう…。
恵子さんのお兄さんの双眼鏡は?結局見当たらないんだ…。
やっぱり犯人が持ち去ったってことよね…。
そうかもね。
ハッキリしてるのは犯人は双眼鏡のいきさつを知ってる人間…。
ということは…桐野さんのパーティー会場にいた誰か…。
ああ。
確かにあの中にいたってことだな…。
佐山竜次さんは戸川さんの双眼鏡を拾った場所に妹の恵子さんを案内しようとした矢先何者かに殺されて双眼鏡は持ち去られた…。
これってさ犯人の動機は戸川さんの失踪に関係あるってことよね?でそれをカモフラージュするために犯人は桐野建設のハンマーを凶器に使ってまるで犯行の動機が桐野家と才賀家の確執にあるように見せかけた…。
どうこの推理?バッチリでしょう!でもさその逆だって考えられるだろう。
戸川さん失踪の方に目を向けさせるために双眼鏡を持ち去った…。
あそうか。
なるほどね…。
さすが名刑事。
あーあどっちが真実でどっちがカモフラージュか…。
でも私どうしても気になるのよね…。
恵子さんに会ったあの日のこと…。
〔助けて!〕ねえあれが単なる行きずりの事件じゃなかったとしたら?誰かが何らかの目的で恵子さんを襲ったんだとしたら…佐山竜次さんを殺したのもあのときと同じ男じゃないかしら。
由美…。
恵子さんひとりで高山に行かせたのはまずかったかもしれないな。
そうよね。
引き止めるべきだった。
ねえどうしよう!?とにかく電話しろ。
(携帯電話の着信音)もしもし…?恵子さん!よかった!周平さんと心配してたのよ。
いいのよどんな遅い時間になっても。
ねえ今どこ…?オークヴィレッジです。
真木さんが明日から兄の捜索を手伝ってくれるそうです。
努さんと真木さんも今ここに…。
よかった…。
安心した…。
努さんと真木さん兄の写真集を見たことがあるんですって。
そう。
ねえ真木ちゃんに代わってくれる?はい。
真木さん由美さんです。
もしもし?真木ちゃん?頼みがあるの。
黙って聞いてくれる?恵子さんから絶対目を離さないでほしいの。
今は理由は言えないんだけど…彼女を守ってほしいのお願い。
…わかった。
ねえ戸川さんは幻のニホンオオカミを追って飛騨の山に入ったのよ。
失踪の原因って何かしら…?ありがとうございました。
このシンポジウムは森を守り育てる山仕事の現場からメディアの現場である都会へ今を正しく見すえた地に足のついた森林観自然観を発信していこうという試みです。
それぞれの立場から活発なディスカッションを交わしていただき今後の林業の発展と自然保護の両面から改めて見直したいと思います。
それでは才賀さまお願いします。
みなさん本日はお集まりいただきありがとうございます。
わしら山持ちというのは昔から資産家の代名詞のように言われてきましたが今はその影もない…。
わしは500ヘクタールの山や森を所有し間伐中心の山林経営をしてきたが安い輸入木材に押され状況は悪化の一途だ。
それでも森を放置することはできない。
枝打ち間伐下刈りを欠かせば森の木はやせ衰え死んでしまう。
しかしその経費と人件費は年々増大し林業だけではとうていまかないきれない。
さらにわしらの息の根を止めるのは相続税だ。
現行の税法では山持ちは自分の命である山を売るしかない…。
これがわしらの現状だ。
桐野さんお願いです。
騒ぎをおこすつもりはない。
努を連れて帰るだけだ。
もめ事だけは…。
父さん…!?桐野さん。
努!お前はいつまでこんな連中に利用されてるんだ!?さあ帰るんだ。
早く来い!僕はもう31だ。
みっともない真似はよしてくれ!なにい!?バカモン!うちの大事な婿になんてことするんだ!婿…?きさま!!おう!!50年ぶりに勝負といくか!きさま!!おふたりともいつまでいがみ合ったら気が済むんですか!ご自分のお子さんをちゃんと見てください。
親が仇同士なのを知りながら心を通わせ助け合って飛騨の自然を守る運動に一生懸命なんです。
あなた方はお子さんの倍もどうして憎み合うことしかできないんですか?話し合いのひとつすら持てないんですか!?一度でもいいですからおふたりだけで話し合ってください。
ここにいるみんなからの心からのお願いです。
誠ちゃん力ちゃんお願い。
私からもお願いするわ。
一生のお願い!…えっふたりが話し合い…!?本当か!?本当よ。
水明館の若女将もちょっとはやるでしょう。
それでねえ周平さんにお願いがあるのよね…。
…えぇっ!?俺たちがオブザーバー!?そりゃあちょっと荷が重すぎやしないか?おふたりの希望なんだからやるしかないでしょう。
でねお義母さまも行司役として行くんだってよ。
ねえ努くんと真木ちゃんの幸せのためなんだからお願い周平さん。
わかったよぉ。
愛してるっての!ワハハハ…!おい行くぞ…。
あっ…。
アイテッ!落ち着きないわねえ。
ほんとにもう…。
私たち子どもの頃よく3人で飛騨川の河原や八幡さまへ遊びに行ったもんよねえ!よくお政さんに川へ突き落とされた…。
だって私柔道部でしたもの。
うん。
お山の大将やった…。
その頃からこの大女将ぶりの片鱗があったということだ…。
まあ私のことはいいから。
誠ちゃん力ちゃん…よろしく頼みます。
失礼いたします…。
お酒のほうお待たせしました。
わしらがこうして向かい合うのは何年ぶりだろうな…。
うーん…40年になるだろう。
40年か…。
いったいこうなったのは…。
さっきから考えているが…わからん…。
バカな…。
もう1時間か…。
うまく…いってますよね?ねっ!力ちゃん…。
桐野が折れた。
やったよ…。
やったねおい!ほんとよかった!最高!努くんに連絡しよう…。

(政子)周平!由美さん!ちょ…ちょっと来て!桐野さん…!ママ!桐野さん!しっかりしてください!おい!まだ息がある!救急車!!はい!誠ちゃん!誠ちゃん!桐野さん誰にやられたんですか!?桐野さん!か…か…か…。
かえり…ぐも…?「かえりぐも」って…。
何のことですか?桐野さん…。
桐野さん!誠ちゃん…!裏木戸から侵入し機をうかがってたようだな…。
・警部!あれは山で下草刈りに使う鎌だ…。
…はいわかりました!努…努!父さん…。
父さん…!父さん!!父さん!!竹男…!?まさかお前が…。
違う!俺は何も…。
竹男…その鎌に見覚えあるか?俺が下刈りに使ってる鎌だ。
いつも自分のジープの荷台に積んである。
その地下足袋と同じ足跡が現場に残ってた。
お前のジープの荷台にあったものだよ…。
だからなんだよ?そんなもん誰かが俺のジープの荷台に入れたんだろ。
俺は事件と無関係だよ。
まあ言い分はもっともだ。
お前に罪を着せようとしたとんでもない奴がいるってわけだ。
だったら竹男自分が無関係だってことを証明しろ。
証明…?簡単なことだろう。
桐野さんが首を切られた午後2時前後どこで何をしてたか証明してみろ。
どうした?たった2〜3時間前の話だろう。
竹男…シラを切ったらそれだけ罪が重くなる。
竜次を殺された仕返しに桐野さんを殺ったんだな!?俺じゃねえ!やっちゃいねえよ!だったらアリバイを証明しろ!証拠を出せよ!いいか竹男…お前の親父さんはな40年ぶりに桐野さんと仲直りをするところだったんだ。
お前はそれを知らなかったのかもしれない。
知らずに桐野さんに手をかけたんだろう。
そのことは十分考えておく。
だから竹男何もかも素直に話してくれないか?私のせいです。
私が余計なお節介をしたばっかりにこんなひどいことになって…。
(政子)あなたのせいなもんですか。
何事にもめげない由美さんじゃなかったの?今度ばかりは立ち直れそうにありません。
この先努くんと真木ちゃんだってどうなることか…。
こんなことなら仲直りなんてしない方がよかったんです。
そんなこと言わないでよ。
あのふたりは私にとってとっても大切な人なんだから。
それにね周平だってきっと自分のことを責めてるわ…。
目と鼻の先で起きた殺人事件を止めることができなかったんだもの…。
私だって泣きたいぐらいよ…。
お義母さま…。
でもふたりでメソメソしてたらこの水明館はどうなるの?暗い顔してお客さまの前に出るわけいかないでしょ。
おっしゃるとおりです。
千人以上のお客さまが待っていらっしゃるんですからメソメソしてる暇なんかありません。
いってまいります…。
(政子)いってらっしゃい。
(僧侶の読経)大女将若女将お忙しいところありがとうございました。
ねえ…後妻さんどう思った?ずいぶんハンカチを目に当てていらっしゃいましたね…。
でも泣いてるようには思えなかったけど…。
そりゃあ桐野さんの財産の半分を相続するんですからね。
でも奥さまを亡くされた桐野さんが柳ヶ瀬の高級クラブで彩さんを見初めたっていう話ですよね。
そんなこと絶対ないわよ。
誠ちゃんはそんな人じゃない!そうか…。
竹男…今日お前の親父に会った。
いつもは豪快な親父が十ぐらい老けて見えたよ。
わかったよ本当のことを言うよ。
女と湯ヶ峰橋近くのラブホテルにいたんだ。
ラブホテル?女ってのは?桐野のところの後妻だよ。
なに!?本当か!?本人に訊いてみろよ。
ええ彼の言うとおりよ。
もう4〜5回は会ってるかしら。
主人はとっくに還暦よ。
私だってたまには若い子と遊びたいわよ。
去年の暮れ高山のゲームセンターで見かけて私から誘ったの。
まあそれはそれとして…ラブホテルで会ったのは?私が部屋に入ったのは午前11時あの子は10分ほど遅れてきてそれからちょっとビデオを見て…。
〔主人に知れたら殺されるわね〕〔俺の親父にだって殺されちまう〕〔殺される前に殺すってのはどう?〕〔桐野が死んだら湯水のようにお金が使えるのよ〕〔金か…。
やっぱ金だよね〕〔じゃあまたね〕あんたが竹男をそそのかしたようなものじゃないか。
ジョークよ真に受けるなんて誰が思うのよ。
でラブホテルを出たのは?午後1時半ごろ。
その足で萩原町のダンススタジオに寄ったわ。
2時間ほどしっかり汗を流して帰宅したら主人が殺されたって大騒ぎになってた。
それじゃかえって竹ちゃんの容疑がかたまったってわけ?ああ本人は依然犯行を否認してるけどね。
周平さんはどう思うの?竹男のことはガキのころからよく知ってる。
カッとなって暴れることはあるけどもともとは気が小さいんだ。
人を殺せるような男じゃない。
そうよね竹ちゃんがそんなことできるわけないもんね。
てことは誰かが竹ちゃんを罠にはめたってことね。
ねえ一番怪しいのは桐野さんの後妻の彩さん。
二重丸。
大枚払って殺し屋に亭主を殺させることも平気な女だ。
佐山竜次殺しだって今度のことの伏線とも考えられる。
ただしあの女が犯人だとすると矛盾がひとつ残るんだよな…。
恵子さんが温泉寺の境内で襲われた件でしょ?やっぱりあれはこの事件と関係ないのかしら…。
ああそのことを切り離して考えれば桐野彩主犯殺し屋実行犯説がすべてをおさえてダントツだよ。
周平さんちょっと。
桐野さんが死に際に残した言葉って…〔かえり…ぐも…!?〕〔「かえりぐも」って…?〕「かえりぐも」だったわよね。
ああ間違いない。
驚いたねこんなに…!?うん…。
片山よし子歌集のタイトル。
庄川峡近くにある民宿。
連載マンガの悪玉の名前。
演歌のタイトル。
白川村にある山の名称。
その近くにあったと言われる戦国時代の城の名。
さる有名人のあだ名。
妖怪…。
何かピンとくるものありますか?皆目見当もつかないね。
桐野さんが最期の力を振り絞って残した言葉よ。
犯人を名指しするより伝えたかったラストメッセージ。
何が何でもこれを解かなきゃね。
どいてどいて!あら重そうなつまようじ!重いでしょ気をつけてよ!重い…!若女将ここおはし抜けてますよ!あ〜!!何もう時間ないんだから!こちらの能舞台の名前ですが石橋の間と名づけられています。
「石橋」という演目がありますのでそちらから取りました。
ではこちらへどうぞ。
私もこの子も訊きたいことが山ほどある。
そうよねもう少しで一段落するからラウンジで待ってて。
かえりぐも?うん…何事も単刀直入で合理主義の桐野さんがどうしてそんな謎めいた言葉を残したのか…。
どう考えてもわからないのよ。
どっちにしても彩って女が竹男に罪を着せたんだ。
努が家を出たのも財産目当てで入り込んできたあいつのことが我慢ならなかったからさ!あの女…!真木ちゃん彩さんが犯人だという確証はないんだからね。
もうこれ以上ひどいことはたくさん!お願いだから無茶はしないでよ。
あの…殺された竜次さんが持っていた兄の双眼鏡ですけど…。
まだ行方はわからないんですって。
犯人が持ち去ったとしか考えられないわね…。
それからずっと気になってたんですけど竜次さんが山で拾ったのは双眼鏡だけだったんでしょうか?どういうこと?兄はあの双眼鏡をカメラと同じぐらい大切にしていました。
双眼鏡が単独で落ちていたとは考えにくいんです。
例えば何かのことで双眼鏡を体から離すとすれば恐らく他の持ち物も…。
じゃあ佐山竜次さんは双眼鏡以外にも何かを拾ったかもしれないってこと…?ええそれが竜次さんの身の回りで残っていないかと…。
待ってよそういえばいつだったか…。
・ホントかよ。
あんたの兄さんのものに間違いないよ。
竜次があんなカメラを買うわけがない。
それどうなったか…!竜次のことだから飲み代にしちまったろうな。
う〜んとお金に換えるとしたら質屋か古道具屋か写真屋…。
真木ちゃんとりあえず竜次さんの仲間に当たってみて。
でもそのカメラを見つけ出したからって…。
そのカメラの中にフィルムが入っていたとしたら…どう?かわいい!またぁ!・マツ子さんタエちゃん!今日は非番ですよね?はい!頼みがあるのお願い。
…あっ!もうせっかくの非番なのに…。
ステキな男性との運命的な出会いがあったかもしれない今日の大切さを若女将はちっともわかってない。
私だってマツ子さんの顔を見ないですむ大切な一日なのに…。
はい!?お?この店からいきますか?…はい!ちょっとちょっと!ここ「考古館」てあるよあるわけないじゃないこんなところに!でもちょっといってみるか。
あ周平さん?頼みがあるの。
お願い。
竹男に?うんわかった。
訊いてみるよ。
竜次の行きそうな店?ああ何かを金に換えようとしたらどこへ持ち込むか。
確か高山にあいつの親類がやってる質屋があるな。
名前は確か…。
これが竜次から買ったカメラです。
兄のカメラです。
間違いありません!あのフィルムは入ってませんでしたか!?ああ確か抜き取ってね…。
ああこれだと思うがね。
このフィルムこのカメラの持ち主の消息がわかるかもしれない大切なものなんです。
いいよ持っていって。
人助けになるなら竜次も浮かばれる。
ありがとうございます!ありがとうございます。
お待ちどうさまでした。
ありがとうございます。
これ…石よね?うん。
人工的なものにも見えるけど…。
城壁の一部のようにも見えるな。
この辺りで城壁といえば神岡高山八幡しか思い当たらないわ。
真木ちゃん場所はわからないか?私たちの手が入ってない森だ。
ここに写ってるのが御前岳だとすると下小鳥ダムから大牧ダムに向かって20キロほど入った辺りだろう。
ひょっとすると地元の猟師が「亡霊の巣」と呼んでるこの辺りかもしれない。
亡霊の巣…!?この時期に行けるかな?私なら行ける。
一緒に行ってくれるか?ああ。
周平さん行くの?今度の事件は恵子さんの兄さんの失踪と関係しているような気がしてしかたない。
恵子さんのためにも行くしかないだろう。
やっぱりそうだ…。
なに真木ちゃん?努の父親たちが計画してる基幹林道のルートさ。
見ろよ。
亡霊の巣の真ん中を突っ切ってる。
竹男は私の弟だ。
努の父親を殺すはずがない。
山子は森も人も殺さない。
山子は…森も人も…!お母様のお許しが出たの!体力も根性も真木ちゃんに負けないから。
ありがとう。
気をつけてね。
行ってきます!よしじゃ行こうか。
何だお前ら誰の差し金だ!?彩って女に決まってる!どこからでもかかってきな!
(努)やめろ!やめろよ!もう争いはたくさんだ。
頼むからおとなしく帰ってくれ!どうしてもやるっていうなら僕をやれ!がんばってね!がんばるのよ!
(真木)これから先は私の指示に従ってもらう。
ペースはこの子に合わせる。
熊は冬眠を終えたばかりで猪も出る。
もっと怖いのは雪崩だ。
私が先頭若女将恵子兄イ。
この隊列は最後まで守ってくれ。
了解。
了解。
了解。
ここで休憩しよう。
お待たせ。
サンキュー!あったかい…!どれぐらい来た?この辺りだろう。
まだ4分の1さ。
4分の1!?まだまだ…。
恵子さんのお兄さんに聞いた話なんだけど日本にすんでたオオカミって滅多に人を襲わなかったそうよ。
それどころか気立てがよくて律儀なんですって。
律儀…。
うん…。
昔山里に住む老夫婦がある朝縁側の外で変なうめき声がするので障子を開けてみると1匹のオオカミが大きな口を開けてよだれを垂らして苦しんでいたんですって。
おじいちゃんが近寄って口の中をのぞくと動物の骨がノドに刺さってたんですって。
おじいちゃんは「これオオカミわしの手を噛まなければ取ってやるが承知か?」と訊くとオオカミはうなずいたそうよ。
おじいちゃんは手拭いを巻いた手をオオカミの口の中に入れて骨を取ってやったの。
そうするとオオカミはうれしそうに何度も頭を下げて山の中へ帰っていったそうよ。
次の日そのオオカミがやってきて口にくわえていた大きな山鳥を軒先に置いていった…ってそういうお話。
私もお兄さんが言うようにこの森にはオオカミがすんでるような気がするな…。
…そうね。
真木ちゃんの前世って絶対オオカミよ。
出発するぞ!恵子さんしっかり!あともうひと息よ。
ここだよ!えっ?間違いない。
周りを見てくる。
気をつけて!ねえちょっと遅すぎない?ああ…彼女に置いていかれたら3人ともここでオシャカだな。
シャレにならないわよ!ねえ!?・
(真木)おーい!行こう!真木ちゃん!おーい!どこにいるんだ!?真木ちゃ〜ん!・崖の下だ!右の方へ回ってロープを使って下りてきてくれ!オッケー!・こっちだ!
(号泣)「いきなり誰かに背中を突かれ崖の下へ転落した」「手足を骨折し身動きは取れないが意識はある」
(戸川)「しかしあんな森の中に人がいたとは…それになぜ自分を殺そうとしたのか…見てはならないものを見てしまったのか…。
それとも噂の亡霊か…?」「かろうじて右手だけは動く。
このままでは死を待つだけだ」「誰かに見つけてくれと祈りつつ双眼鏡とカメラを沢の方へ投げる」「2日目の朝まだかろうじて生きている」「時折意識が遠のく。
死がそこまできている」「恵子すまない」「兄さんはいつか森で死ぬと言ったがそのとおりになった」「獣の遠吠えが聞こえる。
オオカミか?」「恵子さよならしあわせに」お兄さん…!あの山は?帰雲山だよ。
帰雲山…?周平さん!別名「かえりぐも」…!雪崩だ!上に人影が見えた。
(村上)今から500年前白川郷を120年間支配した内ヶ嶋家という戦国武将の一族がありましてな。
内ヶ嶋家?彼らは元々山師集団でもあり全国を渡り歩くうち白川郷に豊かな金脈を発見しそこに居ついたと言われている。
掘り出した金の一部を差し出すことによって他国の侵略を免れ長きに渡って繁栄を誇ったが1585年の11月29日午後11時ごろ飛騨地方をかつてない大地震が襲ってね。
山崩れによって流れた土砂が城と城下を埋め尽くして「城下の家三百余軒男女数百人一人残らず死亡城におりし内ヶ嶋一族全員圧死」と史書に記されております。
そしてその崩れた山が帰雲山…崩壊した城が帰雲城…。
「きうんじょう」もしくは「かえりぐもじょう」と呼ばれた。
「かえりぐもじょう」…。
問題はその先でね…当時城内の蔵にあった今に換算すれば数兆円という黄金も城と一緒に埋没したと言われている。
数兆円…!?あの…その黄金は?それを求めてやってきた山師たちは数知れないが結局帰雲城の場所が特定できず未だに誰にも発掘されないという話です。
例えばね例えば…誰かがその埋没場所を突き止めて掘り出そうとします。
そうするとかなりの費用がかかりますよね?一説には数億円はかかると言われてますな。
戸川さんの写真に写ってたあの石のようなものだけどあれは土砂で流された帰雲城の城壁の一部じゃないかしら。
じゃあの下に数兆円の黄金が?うん。
あ〜ちょっと…ダメだ頭がクラクラしてきた…。
周平さん!…大丈夫大丈夫。
戸川さんは偶然あの場所を見つけたことで誰かに崖の下に突き落とされたのよ!これですべてがつながってきた。
いい?まず犯人は戸川さんの失踪の原因を知られたくなくて妹の恵子さんを…。
〔助けて!〕次に山の中で双眼鏡とカメラを拾った佐山竜次さんを…。
(叫び声)そして黄金発掘の協力者だった桐野さんも…。
桐野さんが黄金発掘の協力者?ダイイング・メッセージの「かえりぐも」そして基幹林道建設計画…ねえ周平さん名刑事でしょ?ピンとこない?ピーンと…!そうか…!はなから帰雲城の黄金発掘のために林道建設を…。
すばらしいアイデアじゃない?本来は数億円かかる費用を林道建設をすることでタダで発掘ができるのよ。
例え黄金が見つからなくても工事はするんだもの桐野建設はそれなりの利益を上げる。
ハハハ…恐れ入ったな…。
でも桐野さんはどうして…?うん…いろいろ批判はあっても桐野さんは飛騨の人間なのよ。
自分から息子さんの心が離れて殺人まで起きて…林道建設の計画を推し進める気がなくなったんじゃないかしら。
さして才賀さんとの和解…そこで犯人は口を封じるために桐野さんまで殺さざるを得なくなったってわけ。
それで桐野さんの口からあのダイイング・メッセージが…。
結論を急ごう。
犯人は桐野さんの後妻の桐野彩これで決まりだ。
彼女が犯罪のプロを雇って恵子さんを襲わせ竜次や桐野さんの殺害を指示しそして一昨日は我々までも…。
待って…名刑事と若女将の名推理といきたいとこだけどひとつだけ…。
何を?いい?この一連の事件は1年前に戸川さんを崖の下に突き落としたことからよ。
ということは犯人は山の中のことをよくわかっている人間なの。
しかも黄金や埋蔵金発掘のスペシャリスト。
一級のトレジャーハンターよ。
トレジャーハンター!?そう!桐野彩じゃ荷が重すぎるのよね…。
昨日の晩過去の埋蔵金発掘のデータを調べてたら偶然ある人物の名前が出てきたのよ!桐野彩は恐らくその人物に操られているんだと思うの。
それで誰よその黒幕は?う〜んまだ内緒!「まだ内緒」って…刑事をじらすことないだろう。
きっちり裏をとりたいのよ。
中途半端な推理だったら刑事のあなたが恥をかくじゃない。
お義母様に休みをもらわなきゃ…。
そうですか…お仕事中すみませんでした。
(携帯電話の着信音)もしもし…ああ俺。
でどうなのよ。
黒幕だよ黒幕。
数年前の徳川埋蔵金発掘にもかかわってた知る人ぞ知るトレジャーハンターよ。
犯人はあの人に間違いないわね。
いや…しかし物証がない。
それじゃ逮捕できないよ。
手は考えてあるの。
任せて。
「初めまして。
私高山の写真館で現像の仕事をしている埋蔵金マニアのA子です。
仕事中に偶然奇妙な写真を見つけたんです。
これです」「背景に写ってるのは帰雲山です。
ということはひょっとしてこれ…」「トレジャーハンターの北村さんのご意見をお聞きしたくメールしました。
お返事待ってます」
(北村)「メール受け取りました。
大変興味ある写真です」「どのようにしてその写真を見つけられたかまずその経緯を…」年に一度の田の神まつり本来なら厄年の人が踊るんだけど…。
どうママ?う〜ん…お父さんに生き写しよ…。
あなたは高山の写真館で働く現像技師。
…名前は?大山エイ子!オッケーメール番号も覚えた?はいバッチリ!タエ子さん。
はい!
(マツ子の笑い)ねえ大丈夫ホントに?若女将や若旦那のためですもの。
それにマツ子さんじゃこの役つとまらないでしょ?男の人がひいてしまいますもの。
そうねハハハ…!タエ子!大山エイ子です。
周平さん。
いいか?じゃママ…。
行ってきます。
(お囃子)あなた!あの人を捕まえて!北村!…観念しろ。
観念?ちょっと待て…これは一体どういうことだ?「どういうことだ」?とぼけるのもいいかげんにしろ!あなた2週間前お寺の境内で私を…!〔助けて!〕ほう…しかしそれが私だという証拠がどこにあるんだね?ありますよ…証拠。
北村さん…けっこうあるんですが何からいきましょうか?まず恵子さんを襲ったときあなた左の首筋を血が出るくらい恵子さんに爪でひっかかれましたよね。
ここ見せてくださいますか?やっぱりあなたたち共犯だったのね!?あなたたち今までの埋蔵金発掘の失敗で3億円の借金を背負って債権者から逃げ回っていたそうですね!?よけいなことを調べやがって!帰雲城の黄金の埋没場所の発見は借金を一挙に返済する絶好のチャンスだった。
でもそれを発掘するためにはさらに数億円ものお金が必要だった。
あなたは愛人の彩さんを使って資産家の桐野さんに接近した。
〔先生欲しい物があるの〕〔何かな?〕あなたたちの計画どおり彩さんは桐野さんの後妻になった。
よくそこまで調べたわね。
あなたは桐野さんに埋蔵金発掘の相談を持ちかけそれに乗った桐野さんは基幹林道建設の計画を打ち立てた。
そして北村さんあなたは桐野さんの秘書にうまくおさまったのよ。
ところがカメラマンの戸川さんが幻のニホンオオカミを追って山へ入り問題の森を見つけた。
計画が表沙汰になるのを恐れたあなたは戸川さんを崖下に突き落とした…!そのことを知られまいとあなたは妹の恵子さんを温泉寺で襲い双眼鏡を拾った佐山竜次さんまで…!ところがそのことで桐野さんと才賀さんの仲は修復へ向かい桐野さんは基幹林道建設の計画もあきらめる方向に傾きかけた。
そこであなた口封じのために桐野さんまで殺した…!
(うめき声)その罪をあなたたちは竹男くんに被せようとしたわね!そのとおりよ。
(北村)言うことはそれだけかい。

(パトカーのサイレン)・
(パトカーのサイレン)結局埋蔵金なんて夢のまた夢なんだ!そのために人殺しまでして…ついていけないよ!黙れ!桐野の後妻におさまっときゃ莫大な遺産が転がり込んできたんだ。
とんだ疫病神だよ!このアマ!北村!やめろ!大丈夫かおい!怖かった〜!遅い〜!ごめん!周平さん署長賞おめでとう。
まあ半分は由美のおかげだけどね。
でもね…今度の事件は私にとってとても悲しい事件だったわ。
いやわかるけどさとりあえず…。
だから推理どころじゃなかったのよ。
わかったからとりあえず…。
とにかくよかったわねおめでとう。
じゃとりあえずかんぱ〜い!・失礼します。
…あ〜!2人だけで乾杯!?…キャビア!?あんたもグラスを持ってらっしゃいよね。
あのねとにかくご先祖様に報告。
座って!恵子さんいつまでこちらにいられるの?実は努さんにお願いして私オークヴィレッジで働かせてもらうことになったんです。
ヘェじゃあこっちで。
彼女を引き止める奴がいましてね。
そういうことか…。
ところで恵子さんこの写真どうする?この石の下に眠っているかもしれない数兆円の埋蔵金…。
どうしたらいいと思います?あなたが決めることよ。
兄が追い求めていたのは幻のニホンオオカミです。
埋蔵金じゃありません。
兄もきっとこうしたと思います。
私大女将の相沢政子と申します。
若女将の相沢由美でございます。
日ごろのお疲れを癒し楽しいご旅行になりますように私ども従業員心を込めてサービスをさせていただきます。
どうぞごゆっくりおくつろぎくださいませ。
(拍手)2015/04/14(火) 14:00〜15:51
ABCテレビ1
温泉若おかみの殺人推理[再][字]

下呂温泉〜飛騨高山、失踪した宿泊客雪山の白骨死体が三重完全犯罪をあばく…!真犯人に50%の罠を

詳細情報
◇出演者
東ちづる、岡田茉莉子、布施博、大寶智子、寺田農 ほか

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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