堀込泰三 - HOW I WORK,キーパーソン,仕事術,連載 07:00 PM
誰かにできて、自分にできないはずがない:Oneplus共同創設者、カール・ペイの仕事術
敏腕クリエイターやビジネスマンに学ぶ仕事術「HOW I WORK」シリーズ第89回。宇宙飛行士のロン・ギャラン(Ron Garan)氏に続く今回は、OnePlus共同創設者のカール・ペイ(Carl Pei)氏にインタビューしました。
『OnePlus One』は、安価なAndroidフォン市場に衝撃をもたらしました。契約不要で、「Cyanogenmod」を動かせ、ハードウェアは良質、価格は安いと4拍子そろっているだけでなく、シリコンバレーでデザインされた他機種とは異なり、中国は深センからやってきたのです。
「決して落ち着くな」(never settle)を合言葉にOnePlusが産声を上げたのは2013年。以降、多国籍チームが、妥協のないベストなデバイスを目指して取り組んできました。その共同創設者の1人であるカール・ペイ氏に、チームとのコミュニケーション法など、仕事術を聞きました。
氏名: カール・ペイ(Carl Pei)
居住地:深セン市
現在の職業:OnePlus Globalの共同創設者兼ディレクター
現在のコンピューター:Apple iMac 27インチ
現在のモバイル端末:OnePlus One
── 「これがないと生きられない」というアプリ・ソフト・ツールは?
OnePlus立ち上げからずっと使ってきた、いくつかのツールを紹介します。1つ目は、メッセージングアプリ「WeChat」です。これは特に、大きなグループでのチャットに便利です。画像やボイスメモの送信のほか、人を「タグ付け」して大規模なチャットでも注意をひくことができます。また、遠く離れたところにいる人とつながる上でも便利です。
「Google Drive」も重要なツールです。私たちは出張も多いなか、協力して仕事を進めているので、リアルタイム編集機能があることや、クラウドに保存したりデバイスに落としたりする手間が省けることは欠かせないのです。
個人的にもっとも大事なツールは、携帯電話です。当然ですが、Oneを使っています。すべてをここに保存しておくのがとっても便利ですし、バッテリーもよく持ちます。
Google Glassも使ってましたが、期待通りの発展がなかったので、売ってしまいました。
── 仕事場はどんな感じですか?
私の仕事場は、かなり散らかっています。仕事はできるだけオフィスで終わらせて、持ち帰らないようにしています。でもそれは、遅くまで帰れないこと、そしてデスクに物が溜まることを意味します。
使っているのは、27インチiMac。キーボードに左側に、マジックトラックパッドを置いています。音楽を聴くときは、「nuForce u-DAC 2」と「Graham Slee Soloアンプ」、そして「Sennheiser HD650s」を使います。これが、至上の喜びなんです。
スティーブ・ジョブズのフィギュアも持っています。それを見るたびに、完ぺきにこだわること、決して落ちつかないことを思い出させてくれます。
── お気に入りの時間節約術は何ですか?
いろんなハックを試しましたが、どれ1つとして長続きしていません。最近とても役に立っているのが、オフィスに導入したジムです。非常に小さく、ベルもホイッスルもないんですが、わざわざ車に乗って出かけなくても数メートル先にあるのは、大きな時間節約になっています。頭をクリアにして、仕事から一歩離れるのにも便利です。その結果、時間の使い方が効率的になります。
この1年で学んだのは、スタートアップの初期段階には、ショートカットが存在しないこと。影響力を持つには、とにかく時間を投入するしかないのです。スタートアップにいる人は誰もが、十分に効率的になれていないか、初期段階を乗り越え、短期的サバイバル能力に自信を持っているかのどちらかだと思います。
── 愛用中のToDoリストマネージャーは何ですか?
メールの受信箱とカレンダーが、メインのToDoリストです。会社がまだ小さかったころは、ほとんどのやり取りが直接かメッセンジャーアプリで済んでいました。今では、もっとうまく文書化するために、「Asana」「Trello」「Jira」のようなツールを使っています。まだ実験段階なので、オススメがあったら教えてください!
状況は刻一刻と変わっています。最近わかったのは、私の仕事の大半は人と話すことだということ。つまり、個人的なToDoリストより、どちらかというときちんとしたカレンダーの方が必要なのです。
── 携帯電話とPC以外で「これは必須」のガジェットはありますか?
かなり長時間、「Kindle Paperwhite」を使っています。明るい画面を見ているよりもずっといいですね。
最新ガジェットも試すようにしているのですが、気に入ることなく誰かにあげてしまうことがほとんど。Glassは数カ月で飽きたし、お気に入りのスマートウォッチも見つかってません。でも、職場では「Moto 360」を使っている人が多いですね。このところ写真に凝っているので、最近買ったガジェットは「Leica M240」です。
── 日常のことで「これは他の人よりうまい」ということは何ですか?
深セン本社には、たくさんの外国人が働いています。中国人社員は英語で話すことが多いのですが、外国人社員も中国語が上手です。でも、ときに深い意味が、言語の壁で伝えきれないことがあります。
私は中国生まれで、米国には2年ほど住んでいました。その後、主にスウェーデンで育ったので、複雑なニュアンスや口語表現を、言語を越えて伝えることに長けています。
── 仕事中、どんな音楽を聴いていますか?
私にとって音質は重要です。ですから、できるだけ劣化のない音楽を聴くようにしています。今は、Codplayの最新アルバム『Ghost Stories』にはまっています。John Mayerもよく聴きます。
PandraやSpotifyラジオもよく聴いています。誰かが作ったプレイリストから、自分では見つけることができなかったであろう、いい曲を見つけることがよくあります。
── 現在、何を読んでいますか?
ベン・ホロウィッツ著『HARD THINGS』を読み終えたばかりです。著者がスタートアップで経験した困難をつづったものなのですが、まさに我々も同じスケーリングの課題に直面しているので、いいヒントになりました。
会社が大きくなると、どんどん国際色豊かになるので、ベストなチームマネジメント法を常に探求しています。Eric SchmidtとJonathan Rosenbergの共著『How Google Works』は、本当に示唆に富んでいます。あらゆるビジネスに共通のアイデアのほかに、最近のテック業界で生き残ろうとしている企業におけるマネジメント法が特に役立ちます。
── あなたは外向的ですか、内向的ですか?
何をしているかによります。飽きるのも早いし、よそよそしく見えることもあるでしょう。でも、興味があることには、ものすごく首を突っ込みます。
── 睡眠習慣はどのような感じですか?
12時に寝て、8時に起きることにしています。目覚ましには携帯電話を使っています。出張が多いので、時差ボケとうまく付き合っていかなければなりません。今のところベストな方法は、フライト前はできるだけ長く起きておいて、搭乗と同時にワインを飲み、目的地に着くまでずっと寝ているというやり方です。メラトニンを摂取したり、できるだけ日光を浴びたりもしています。
── あなたが受けたものと同じ質問をしてみたい相手はいますか?
ジェフ・ベゾス(アマゾン創業者)です。彼は非常に長い視点で、強固なビジネスを築き上げてきました。それらをどう回していたのか、知りたいです!
── これまでにもらったアドバイスの中でベストなものを教えてください
スティーブ・ジョブズによる、有名なスタンフォード大学での卒業記念スピーチです。ジョブズは言いました。君たちの周りにある物は、過去のあるときに、誰かが作ったものだ。誰かが作れて、誰かが変えられるのなら、君たちにもできるはずだ。これを聞いてから、たとえとっぴなアイデアでも、やってみようという勇気を持てるようになりました。
Andy Orin(原文/訳:堀込泰三)