(パトカーのサイレン)
(浅輪直樹)被害者はこの店の経営者近田武35歳。
死亡推定時刻は昨夜の午後8時から10時までの間です。
(小宮山志保)じゃあ営業中じゃない?なのに朝まで発見されなかった?
(浅輪)それはですね表の札が「CLOSED」になってたのでまあ入ってこなかったってのもありますしたとえ入ってきたとしても…。
この感じだとね。
(志保)見えないか。
で表の看板がですねライトがついたまま外に出てたんですって。
それを近所に住んでる大家さんが発見して不審に思って中に入ってきて遺体を発見して通報といった流れですかね。
なるほど。
(鑑識官)はい?ん?何やってるの?
(村瀬健吾)いやなんでもない。
ん?お願いします。
なんでもないよ。
(矢沢英明)凶器店の物みたいですね。
(青柳靖)ああそう。
(矢沢)なんすか?一応当たっとくか。
ええ…。
いや…。
シーッ。
(矢沢)ちょっとちょっと!もう〜っ。
(矢沢)なんでもありません。
(加納倫太郎)浅輪君浅輪君。
はい?ちょっと。
なんすか?CRって何?CR?CR…。
これ最後のお客さんの伝票なんだけど「CR」。
CRってなんすかね?CR…。
(志保)私たちは監察医務院に行きますから青柳さんたち…は?あら?なんかどっか行っちゃいましたね。
またかよ!係長たちは付近の聞き込みをお願いします。
ああわかりました。
行きましょう。
はい。
早く早く。
ちょっと待ってって…。
(早瀬川真澄)死亡推定時刻は昨夜午後8時から10時の間。
微量だけど睡眠薬の成分が検出されたわ。
じゃあ眠ってる間に殺害されたって事?そうかもしれないしそうじゃないかも…。
ああそうでしたそうでした。
それから遺体の腕にこういう細かい傷が…。
えっ?じゃあ犯人と争った末に刺されたって事も?傷がそういう意味ならね。
わかった。
ありがとう。
ちょっとちょっと!刑事さんよね?はい。
私ね犯人見たのよ。
えっ?
(女性の声)昨日の夜この店から慌てて出て行く人見たのよ。
(クラクション)
(ブレーキ音)
(宅間則夫)すいません!大丈夫です。
本当に大丈夫です!大丈夫ですか!?それって何時頃でした?9時半頃でちゅねえレオちゃん。
ねえいつも夜のお散歩9時半でちゅねえ。
9時半…。
そのタクシー会社とかってわかんないですよね?
(秘書)少々お待ちください。
(御木本祐介)いやあ本当にありがとうございます。
(佐竹恵子)こちらこそよろしくお願いします。
お願いします。
どうぞ。
(御木本)お送りして。
(秘書)かしこまりました。
(御木本)どうぞ。
ああ失礼します。
1件電話いいですか?
(矢沢)ああどうぞ。
もしもし俺だ俺。
ああ…あの佐竹恵子さんうちに来てくれる事になったぞ。
飲食店を経営してる会社です。
ああそう。
青柳さんあれ。
警察からの感謝状。
(青柳)なんで?
(矢沢)「振り込め詐欺」「検挙」協力…。
(御木本)よろしくな。
ああ…。
すいませんバタバタしちゃって。
(青柳)いいえ。
さっきの彼女転職してこられるんですか?え?あっいやいや…。
電話でちょっと聞こえてきちゃったもので。
ああ彼女南青山のシオタールという店でスーシェフをやってるんですがぜひうちの店で働いてほしいと声をかけていたんです。
腕がいいんでしょうね。
ええ。
実は彼女旦那さんを亡くしてるんです。
その旦那さんも料理人でいつか2人で店を持つ事が夢だったみたいで…。
ああそうですか。
ところでご用件は?早速なんですが近田武さんご存じですよね?近田…。
近田?荻窪のはずれにあるスナックGOLDっていうお店をやってる…。
ああ!ああはいはいはい。
知ってますよ。
近田が何か?昨夜近田さんと電話されてますよね?電話?ええ…したかな?近田さんのスマホにあなたの着信履歴があったんですけど。
近田さんとはどういうご関係で?ああ幼なじみです。
似たような商売やってるからそれで付き合いが続いてるっていうだけで。
ああ!昨日の電話は近々飯でも食おうかってそんな事でしたね。
そうですか…。
近田がどうかしたんですか?今朝遺体で発見されました。
えっ!?近田が遺体で?ええ。
で関係者の方にお話しを…。
ああ…そういう事だったんですか。
電話で何か変わった事はありませんでしたか?いやよく覚えてませんけど特には…。
近田さん何かトラブルがあったとかそういう事は?思い当たりません。
そうですか。
ちなみに昨日はどこで?昨日は店のほうに…。
この店です。
具合悪いんすか?え?なんも喋んなかったし。
別に。
あっそうっすか。
うわ!顔色悪いっすね。
いつもだよ!うん…そうっすね。
(宅間)ああ…本人が大丈夫だって言ったんで警察には知らせなかったんですけど…まずかったですか?ああいえそういう事じゃなくて接触しそうになった女性っていうのはどんな人でした?
(宅間)ああそれは…あれです。
タレントの立花はるかって人だったらしいです。
ああ立花はるか…。
えっ?ちょっとすいません。
「らしい」ってどういう事ですか?乗せてたお客さんが知ってたんで。
ああそういう事ですか。
浅輪君。
はい。
(志保)なんでこういうのをコソコソ運ばせるわけ?
(村瀬)別にコソコソしてないよ。
コソコソしてました。
「いやなんでもない」とか言っちゃってさ。
違うよ。
こういうの現場に置いておくとまた青柳さんが勝手にいじりまくって単独行動取りかねないだろ?やってる事同じなんですけど。
(ため息)それにしてもなんにも出てこないな。
そっちはどう?何よ。
自分は感触ありそうな新しいほうのパソコン調べるとか言っちゃってさ。
な…ハア…。
ん?どうしたの?これ何かしら?えっ?ただの名簿じゃないの?これ。
(志保)そうよね。
でもなんの名簿?直接聞いてみるか…。
(志保)えっ?いくわね…。
(呼び出し音)あっもしもし高橋さんのお宅ですか?わたくし警視庁捜査一課の村瀬と申します。
(高橋)「警視庁!?もういい加減にして!」
(不通音)なんだよこれ。
え?ちょっとどいて。
小宮山君何コソコソしてんだよ。
(ピアノ)
(垣内妙子の歌)これでオッケーね。
はい。
青ちゃん。
おう。
妙子さん今ここのステージで?そうなの今月いっぱいまで。
ああ…。
それならそうって言ってくださいよ。
関係ないだろ?たまたまこれがあれなんだから。
仕事?いや。
いやいや仕事ですよ。
いいよ。
なんすか!早く聞いてこいよ。
裏行って。
はい。
ハハハ…。
(咳払い)へえ〜。
あっはいどうぞ。
ありがとう。
そうだ青ちゃん。
ん?昨日の夜倫子さん見かけたの。
係長の?うん。
浅輪さん知ってるのかな?う〜ん別にそんなもんほっときゃいいんじゃねえの?まあお互いもういい大人なんだし。
そっか…。
裏取れました。
えっ?取れちゃった?あっそう。
仕事が早く片付いたらまた顔出すね。
うん。
俺も顔出すね。
お前は出さなくていいんだよ。
フフ…。
立花はるかさんあなた昨夜荻窪のGOLDって店に行かれましたよね?店から出てきたあなたを見たって人がいるんですけど。
(立花はるか)いいえ。
人違いです。
店から飛び出した人物はその後タクシーとぶつかりそうになったらしいんですが…。
これドライブレコーダーの映像です。
あなたですよね?私あの男に…近田に脅されてたんです。
(店内のBGM)
(近田武)まずいでしょアイドルの立花はるかのこんなもん出回っちゃったりなんかしたら。
どうすれば…。
どうすんだよ?まあ…買い取ってもらうのがいいんだけどな。
それで昨日の夜お金を持って…。
(はるか)あの…。
あのすいません!近田さん。
(店内のBGM)どなたかいらっしゃいますか?本当に誰もいなかったんです!本当です!信じてください!本当に…本当に誰もいなかったんです!お願いです!
(はるかの泣き声)なんか恋人とホテルに行ったらしいんですけどそのホテルに盗撮のカメラが仕掛けられてたらしいんですよ。
あっちゃ…。
そんな映像握られてたらいつまで経っても強請られ続けるね。
それで殺そうと思ったのかね?いやそれはわかんないっすけど。
とにかく今話聞ける状態じゃないんで落ち着くまで待ちますよ。
青柳さんたちは?うん収穫なし。
っていうか本当に地取りしてました?してたよ。
全然覇気がないんすけど。
してたっつーの!なあ?ええまあ。
なんか無理してんだよな…。
あっお疲れさまです。
とんでもない事が判明した。
(青柳)また大げさだね。
一応聞いとくか。
被害者のパソコンからこんな名簿が出てきたの。
これなんの名簿ですか?二課に聞いたらこれ結構有名な名簿らしくて振り込め詐欺グループの手にも渡ってるんだって。
振り込め詐欺?実際この中には被害届を出してる人もいるのよ。
(村瀬)殺された近田は振り込め詐欺に手を染めてた。
俺はそう睨んでる。
つまり振り込め詐欺の被害者がその恨みで近田を殺害したという線が浮上してきたってわけだ。
振り込め詐欺なわけですから顔わかんないんじゃないっすか?何?つまり電話と振り込みだけなわけですよね?そうしたらお互いの顔わかんないんじゃないっすか?とにかく我々はこの名簿の被害者たちを洗う!行くぞ小宮山君!まあそういう訳なんであとよろしく。
いってらっしゃい。
意外に重要な情報でしたね。
う〜ん振り込め詐欺な…どっかで見ちゃったな。
(矢沢)ちょっくら行っときますか?そう?ええ。
(熊沢)え〜…と。
8年前でしたか…。
おかわり欲しいよな?おかわりが…。
おかわり欲しいですねこれね。
聞いてないやこの人。
これですね。
御木本祐介さん。
ええ。
確かに署長表彰を贈っています。
(矢沢)「振り込め詐欺」「犯人検挙に貢献」。
ええ。
当時御木本さんは北堂不動産に勤務してて詐欺グループのアジトと疑われる部屋を通報してくれたんです。
ああそういう事ですか。
ここからこう…普通に入ってきたと。
はい。
でも誰もいなくて。
なんか音を聞いたとかそういうのはないですか?いえ何度か声をかけたんですけど返事がなくて…。
じゃあ他に気になった事とか気づいた事とかっていうのもないですか?他に…。
あの…現場はここなんですけどね。
あっ…カレーライス。
カレーライス?ここにカレーライスがありました。
(はるかの声)食べかけのお皿で。
あっ!…あっ!あっ…カレーライス。
カレーライス?ここにカレーライスがありました。
食べかけのお皿で。
あっ!…あっ!「CR」カレーライスって事だったんすかね?そういう事。
御木本さんこちらで働いてる時振り込め詐欺グループのアジトを警察のほうに通報したと聞いたんですが。
(河野京子)ああまあそうなんですけどね…。
(青柳)うん?ん?なんかありそうですね。
ああ…。
いや…ここだけの話っていうか噂なんですけどね。
御木本君はオーナーさんの審査の緩い物件をね…。
そういう連中に紹介してたみたいなんですよ。
えっそういうっていうのは振り込め詐欺グループって事ですか?ほらそういう連中って結構頻繁に場所移すじゃないですか。
だから御木本くんも数字稼げるしまあお互いにメリットがあったんじゃないですかね。
なるほど。
ほらその表彰された件も自分で入居させた案件でしたし。
それを通報したんですか?ええ。
裏で繋がっててなんか揉めたんじゃないかって。
そういう事だったんですか…。
いやだから噂ですよ。
あのあとすぐ御木本君会社を辞めてしまったので。
ふ〜ん。
(青柳・矢沢)う〜ん。
(青柳)んっ?う〜ん。
なんかいい感じにきな臭くなってきたね。
そうですね。
私が詐欺グループの仲間?どこでそんなデタラメを聞いたんですか?
(青柳)この感謝状も仲間売ったって話みてえじゃねえかよ。
はあ?バカバカしいですよ!それ。
殺された近田っていうのは強請りやってたんだよ。
あんたも昔の悪さネタに近田に強請られてたんじゃねえの?それで私が近田を殺したとでも?私のアリバイは確認出来たでしょ?ええ。
そんなもの人雇ったらなんとでもなんだろ?あんた金持ってそうだもんな。
これ…。
じゃあ証拠は?私が誰かを雇って近田を殺したという証拠はあるんですか?証拠は?ありません。
ないよ!今日のところはこのぐらいにしといてやる。
今度来る時は逮捕状持ってくるからな!足洗って待ってろ!首です。
首で洗って待ってろ!いや首では洗えないです。
首「を」洗えです。
…とか言っちゃったけどあいつ犯人かな?どうっすかね?犯人じゃなかったら俺相当かっこ悪いよな?相当かっこ悪いです。
相当かっこ悪いよな。
(2人の笑い声)顔色悪い…。
いつもだよ!そうっすね。
はい。
はいありがとうございます。
ただいま〜。
あれ?何?このカレー。
どうしたの?これ係長が。
(青柳)あっいいんすか?
(志保)美味しそう!
(一同)いただきまーす!でいたの?店でカレー食ってた客。
ああ一応常連客に当たってみたんですけどあの店で飯食ってる奴なんて見た事ねえよって言われちゃいましたよ。
まあこのカレーを食べればあの店で食べなかった人がいるっていうのも頷けますけどね。
ん?どういう事?このカレーなんなの?これあの店のカレーですよ。
えっ!?これあの店のカレーなの?そんな美味しくもないし…ごちそうさまでした。
浅輪君アイドルの子は?とりあえず帰しました。
ああそうか。
物証ないもんね。
まあ逃亡するとも考えられないですしね。
あっなんすか?それ。
ああこれね例の名簿の中で被害届を出してる人たちに事情を聞きに行ったの。
そしたら犯人の顔を見た人がいたのよ。
犯人の顔見たってどういう事ですか?
(青柳)おかわりもらいます。
はい。
この名簿の被害者の何割かは振り込みではなくて犯人が自宅に直接金を受け取りに来る手口だったんだ。
あっそっちか。
(村瀬)そこで近田の写真を見せて確認したところやっぱり近田が金を受け取りに来てたんだ。
(志保)要するに近田が受け子だったってわけ。
被害者が犯人の顔を知っているって事は騙された恨みという動機も考えられるわけですよね。
だから一応洗っとこうと思って詐欺の被害者をリストアップ中なの。
まだ数件しか当たれてないが近田を殺したいほど憎んでいるっていう被害者は見つかっていない。
この赤い線で引いてあるのはなんですか?
(志保)ああ佐竹和弘さん?この方は亡くなってるのよ。
亡くなってる?あっ。
えっ?青柳さんこれ!ん?
(青柳)「佐竹恵子」?誰だっけ?もう〜っ!
(矢沢)御木本のところで働こうとしてる…。
ああ〜!ちょ…ちょっと来て!行ってきます。
このカレー本当美味しくないっすね。
(志保)ちょっと!御木本って誰?あ…あの近田の幼なじみで振り込め詐欺の共犯をしてるかもしれない人物です。
これが資料です。
駄目だろうお前!言っちゃ。
青柳さん!はい大事な情報を隠してました。
こいつが。
すいません。
で佐竹のところ行ってきます。
ちょっと待って!この御木本と佐竹恵子さんどう繋がってるのよ!?お前ちゃんと報告しろよ!ほらっ!なんでだよ〜…。
御木本の経営するレストランにこの佐竹恵子さんを引き抜こうとしてたんですよ。
はいじゃあ僕ら行ってきます。
駄目!!そこには私たちが行きます。
えっ!あのね!もうそういう抜け駆けとかそういうの本当に絶対に許さないからね!許さないからね!いい?わかった?
(青柳)いい?わかったのかよ!
(志保)あんたに言ってんのよ!
(青柳)はい。
(村瀬)お願いします…。
(志保)あんたにも言ってのよ!
(青柳・村瀬)はい。
なんで言うんだよ!なんで俺が叩かれるんだよ〜。
矢沢君。
…はい。
取り込んでるとこ悪いけどそれ。
ああ…ごちそうさまでした。
いやいやそれじゃなくてそれ。
これ。
まず…。
はいありがとう。
(村瀬)「佐竹恵子さんあなた8月11日…」職場のレストランをお休みされてますよね?何をされていたのか教えて頂けますか?
(村瀬)「荻窪に行ってたんじゃありませんか?」あの晩近田の店の近くで客を拾ったタクシーがありましてね。
これはその防犯用の車内カメラの映像です。
これあなたですよね?亡くなられたあなたのご主人佐竹和弘さん自殺だったそうですね?振り込め詐欺で騙され事が原因で自殺…。
そういう事だったんじゃないですか?犯人が自宅に現金を取りに来る手口そして取りに来たのが近田だった。
恐らくあなたはどこかで偶然近田を見かけあとをつけて殺害した。
(携帯電話の振動音)あれ?はい浅輪です。
あ…わかりました。
すぐ行きます。
すいません。
(青柳)おう。
係長なんすか?カレーなんだけどさ…。
はい。
あの晩の最後の客カレーしか食べてなかったよね?ええ。
あの店基本的に飲み屋さんなんだけど…。
まあスナックですからねぇ。
食事だけをするってのは不自然ですかね?まあとは言えきれないとは思うけど気になって売上伝票調べてみたのよ。
そしたらこの2週間の間にカレーだけの客が6回。
という事は犯人は近田さんを殺害するまでの間に6回通っている。
そしてお世辞にもうまいとは言えないこのカレーを毎回頼んでいた。
つまり酒は飲まない。
あっ…。
そう。
そういう事か…。
ちょっと調べてみます。
頼む。
やはり御木本さんが近田さんの店まで乗車した記録残ってました。
あっそれともう一つすごい事がわかっちゃいましたよ。
わかった。
ありがとう。
(無線)「港区五本木3の25の17」「株式会社フロード前御木本様1台」1台了解。
すぐです。
(窓を叩く音)あっすいません。
今お客さん待ってるところなんで。
御木本さん来ませんよ。
えっ?桜田門の警視庁までお願いします。
宅間さん御木本さんを乗せてどこに行くつもりだったんですか?どこにって…。
それはお客さんが決める事ですから。
じゃあ聞き方を変えます。
どうして御木本さんがあの時間にタクシーを呼ぶ事を知ってたんですか?別に知ってたわけじゃありません。
たまたま近くにいて無線を取っただけです。
御木本さんは佐竹恵子さんと約束があると言っていました。
あの…なんの話をしてるんでしょうか?
(宅間)「その佐竹恵子さんっていうのは誰なんですか?」近田さんが殺された日にあなたが乗せた客です。
客?お客さんの名前はいちいち知りません。
そうですか…。
タクシー運転手の宅間則夫任意同行しました。
御木本は?保護しました。
そうですか…。
なぜ知ってるんですか?宅間が御木本さんを乗せようとしていた事を。
それは…。
答えて頂けますね。
宅間さんの会社の乗務記録を見せてもらいました。
2週間前の7月29日あなたは御木本さんをタクシーに乗せています。
今日と同じく御木本さんが呼んだタクシー無線をあなたが取って近田さんの店の住所まで乗せているという記録が残っています。
だからいちいち覚えてないって。
御木本さんと近田さんは会った。
これは僕の考えですけどあなたはあの2人の会話を聞いたんじゃないんですか?宅間さんこれ…あなたが会社に提出した履歴書のコピーです。
その家族欄に里美さんって一人娘の名前が記載されてます。
ところが6年前亡くなってますよね。
しかも結婚後半年新居のマンションから転落した事故死。
ちなみに里美さんの夫の名前は御木本祐介さん。
御木本さんは里美さんの事故死で多額の保険金を受け取りました。
御木本さんと近田さんはその事について話してたんじゃないですか?そしてあなたは2人の会話を聞いた。
偶然だったんです御木本を乗せたのは。
(御木本)新宿。
高速使っていいから急いで。
あっ…はい。
(宅間の声)里美と結婚してた頃もほとんど付き合いがなかったんで御木本は私に全く気づいてないようで…。
(御木本)お前もしつこいな。
もうお前に払う金なんてないんだよ。
里美の件に関しては証拠なんてどこにもないだろうが。
まあとにかく今からちょっと行ってやるから待っとけ。
(宅間の声)電話で話してた内容が気になって…。
超かっけえ時計見つけちゃってさ…100万。
おい証拠ってなんの証拠だ?おめえが保険金目当てで女房殺しを俺に頼んだっちゅう証拠だよ。
(近田)おい…あん時おめえ事故に見せかけるのに結構頭使ったぞ。
(御木本)その証拠ってどこにある?御木本〜!俺ら幼なじみだよ〜。
なんかおめえだけいい思いしちゃってさぁ〜。
俺にももうちょい分けてよ〜。
まあ心配すんなや。
証拠は俺が肌身離さず持ってるからよ。
ぜってえ誰にもばれるような事はねえからよ。
(宅間の声)御木本が保険金目当てに里美を殺したって聞いて…。
私はその証拠を見つけたくて近田の店に客として通いました。
(近田)まあタクシードライバーじゃ飲むわけにはいかねえよな。
この辺で遅い時間に食事出来るとこあんまりないからこれからもちょくちょく寄せてもらいますよ。
まあうちにはまともな食い物カレーしかねえけどな。
それで事件の日は…。
(宅間の声)近田がいつも飲んでるミネラルウオーターに薬を入れて…。
(いびき)おい…おい…。
その証拠を捜すために?
(宅間の声)肌身離さず持ってるって言ってたんで…。
全身くまなく捜したんだけど…。
全身ってな…。
うん…。
見つからなくて…。
おいてめえ何やってんだよ!証拠は?はあ?お前と御木本が里美を殺した証拠だ。
何訳わかんない事言っちゃってんのお前。
(ため息)ちょっと待ってろ。
とりあえず財布出せ。
警察呼ぶぞ。
てめえこの野郎。
財布出せって言ってんだろ!うぉー!おらっ!
(刺す音)うっ…。
(近田)うぅ…。
はぁ…はぁ…。
(恵子)はっ…。
あっ…違うんですこれは…。
これ…違うんです。
聞いてました。
この男に娘さんを殺されたんですよね?私もこの男に夫を殺されました。
振り込め詐欺でお金を騙し取られたんです。
うちにお金を取りに来たのがこの男だった。
刑事さんの言うとおり私は2週間ほど前に近田を偶然見かけたんです。
ああ。
えっ…へへ…えぐいね。
マジで?うんうん…。
あの男の顔は忘れるわけがなかった。
(恵子の声)夫がケンカをしてケガをさせた相手に示談金が必要だと言われてそのお金を取りに来たのが弁護士事務所の職員をかたった近田だった。
では早速これから相手の方にお渡ししてきます。
私これで失礼します。
よろしくお願いします。
よろしくお願いします!そのお金は夫婦で店を持つために必死になってためたお金だったんです。
(恵子)それを騙し取られた…。
夫は…。
(佐竹和弘)そんなに落ち込むなって。
お金なんてまたためればいいじゃないか。
(佐竹)あっそうだ。
あれ食べたいな。
恵子のロールキャベツ今夜作ってよ。
じゃあ決まり。
頼むよ。
そう言ってたんですが…。
(踏切の警報音)あの人をあそこまで追い詰めた近田を許せるわけがなかった。
だから私はあの日近田に復讐するつもりで店に行ったんです。
(宅間)彼女は自殺した旦那さんの敵を取るために来たんだと言いました。
(恵子)この男あなたが殺さなければ私が殺すつもりでした。
だから私あなたの事誰にも言いません。
ありがとう。
あの…。
あなたの娘さんには何があったんですか?あっ…。
ごめんなさい。
私行きますね。
待って。
この男には共犯者がいます。
えっ?娘の結婚相手だった男です。
(宅間の声)彼女に全てを話しました。
近田と御木本がグルになって保険金目当てに里美を殺した事。
そしてその御木本を罪に問うためには近田が持ってる証拠が必要な事。
その証拠がいくら捜しても見つからないんです。
こうなったら御木本も殺して自首します。
その御木本って男私知ってます。
(宅間)えっ?もしもし御木本さんですか?佐竹です。
実は折り入ってお話ししたい事がありまして…。
今日は無理ですか。
ではいつなら?あさってですね。
わかりました。
ではまたその時に…。
あさっての19時半御木本と待ち合わせしました。
その時間確実に御木本は1人になるはずです。
これで私も共犯者です。
御木本も近田と一緒に詐欺をやっていたと聞いて…。
だからあの人の復讐に協力したいと思ったんです。
どうして?えっ?あなたはご主人との夢を忘れたわけじゃなかったんでしょ。
もちろんです。
2人で店を切り盛りする…。
今でもそんな事を想像してしまう事だってあります。
でも絶対に叶う事はないんです。
だから…。
それでもあなたはその夢を大事に生きてくべきだったんです。
亡くなったご主人のためにも。
(泣き声)
(恵子の泣き声)御木本が佐竹さんとの待ち合わせにタクシーを使う事を予想して会社の前で待ち伏せました。
あなたに止められてしまった。
敵を取りたかったのに…。
そんな事をさせるわけにはいきません。
大事な…娘だったんです。
(里美)お父さん!里美はね…本当に幸せそうだったんですよ。
(宅間)これでいくつめだっけ?お守り。
結婚したらもういいからなお父さんの分は。
何言ってるのよお父さん。
変わらないよ今までと結婚してからも。
ありがとな。
娘を殺した御木本は当然の報いを受けるべきだ。
証拠がないからといって奴の犯した罪が消えるわけじゃない。
だから…だから…この手で殺すしかないと思って…。
わかります。
あなたの気持ちわかります。
ですが彼を裁くのはあなたじゃない。
だったらあなたたち警察がなんとかしてください。
娘の敵を…。
娘の敵をあなたたち警察が取ってください。
(矢沢)やっぱいっときますか?
(青柳)うん…。
だけどな手ぶらじゃ頼みにくいだろ。
遺体をもう一度調べろ?
(2人)はい。
それって私の解剖に不備があるって言いたいわけ?いやいやそういう事じゃなくてですね。
体の中に証拠を隠してるかもしれないんですよ。
体の中に証拠を?
(2人)はい。
(2人)えっ…?お金か…。
これはこれは…昨日は本当に命拾いしましたよ。
今日はどういったご用件で?
(青柳)この間首洗って待ってろって言ったろ。
ああ…ハハハ…。
(御木本の声)「絶対にうまくいくよ」「変に争った形跡なんか残すな。
事故って事にならないからよ」大丈夫だよ任せな。
一人でいるはずの時間にベランダから落っこっちゃうんだから。
あいつ…本当に持ってたんだ。
これどこにあったんだよ?
(矢沢)奥歯に仕込んであったんだよ。
肌身離さずってのはそういう事だったんだな。
本当ですか?はい。
ありがとうございました。
あなたの娘さんの事故死の真相我々が早く究明していれば…あなたが犯罪者になる事はなかった。
本当に申し訳ありませんでした。
(ピアノ)
(歌)妙子さんの歌染みるなぁ…。
(歌)
(戸塚篤志)別にさ夢なんて変わっても全然おかしくないし自分らしい生き方とかそんな肩ひじ張らずにもっと楽に構えてもいいんじゃない?
(石川倫子)えっ?
(歌)
(拍手)
(戸塚純子)結構シッターさん泣かせなのよ。
えっ?全然そんな感じしなかったけど。
じゃあさシッターさんの都合がつかない時とかまたお願いしちゃうかも。
うんいつでも言って。
先週までは山梨だったんだけどしばらくはこっちにいるつもりだから。
(純子)ねえ倫子って案外子供相手の仕事とか向いてるんじゃない?ん?どうだろう?考えてみた事もなかったなぁ…。
係長の娘さん元気?えっ!?ああ…倫子ちゃんですか?うん。
元気なんじゃないですかね。
ふ〜ん…。
なんすか?それならいいんだけどさ…。
お前さ相談したい事とか…。
えっ?えっ?いやなかったらいいんだけどさ。
はあ…。
もし相談したい事とかあったら…矢沢に言え。
えっ?えっ?いや…まあ俺でもいいんだけどさ。
はあ…。
2015/04/15(水) 16:00〜16:58
ABCテレビ1
警視庁捜査一課9係 season9[再][字]
「殺しの感謝状」
詳細情報
◇番組内容
規格外の捜査官7人で織りなす最強捜査チーム9係、ふたたび始動!先の読めない展開と、重厚かつ濃密な人間ドラマにさらなる磨きをかけた刑事・群像劇シリーズ第9弾!
◇出演者
渡瀬恒彦、井ノ原快彦、羽田美智子、中越典子、吹越満、田口浩正、津田寛治、原沙知絵 ほか
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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