NHKスペシャル「新アレルギー治療〜鍵を握る免疫細胞〜」 2015.04.15


今新たなアレルギーの治療に注目が集まっています。
(くしゃみ)完全に治す事は不可能だといわれてきた花粉症。
その完治につながる画期的な治療法の試験が始まっています。
これは花粉の粉。
部屋の中に降らせ治療の効果を確かめます。
試験に参加したのは花粉症の患者さんたち。
何だか平気そうですね。
投与されたのは最近になって開発されたこの薬。
数回の注射で症状の改善を示す値が急速にアップしました。
更に猫アレルギーに苦しんでいたこの女性。
試験的な治療によってアレルギーを克服しました。
そして今世界中で急増する…重度の場合死に至る事もあるこの危険なアレルギーについても予防の常識が変わる可能性が出てきました。
今ついに解明されようとしているアレルギーのメカニズム。
きっかけとなったのは私たちの体のある細胞の発見でした。
その名は制御性T細胞通称Tレグ。
アレルギーを根本から抑えこむ力を持っています。
1960年代以降なぜか急増を続けるアレルギー。
この深刻な現代病を食い止める事はできるのか。
Tレグが切り開くアレルギー治療の新たな潮流に迫ります。
(3人)こんばんは!今日の「NHKスペシャル」はアレルギーについてです。
さあこれ文字がいっぱい出てきましたね。
これ全てアレルギーの原因となる物質です。
うわ〜こんなあるんだね。
数百とも数千ともいわれているんです。
…で今日このメンバーなのはなぜでしょうか?はい。
理由があるんですね。
まず私花粉症です。
鈴木さんは花粉症。
この時期つらいんです。
そして松嶋さんは…。
私自身は何もアレルギーないんですけれども娘が卵とごまです。
うわ〜お子さんが卵とごまだとこれ大変じゃないですか?だから外食行く度に卵入ってませんかって。
聞かなきゃいけないもんね。
そして加藤さんは…。
僕はマンゴーアレルギーに5年ぐらい前になったんですよね。
えらいかわいいアレルギーやねんね。
普通に食べてたんですよそれまで。
でも急に。
急に何か一回食べた時に次の日辺りに唇の周りがバ〜ッと腫れだして。
あと子どもは長女が犬アレルギー。
えっ!…で一番下の女の子が卵アレルギー。
あっ一緒だ。
一緒。
アレルギーが本当多いんだよね家族にね。
本当に悩んでる方多いと思うんですけどちょっとこちらご覧下さい。
はい。
これはヨーロッパのデータなんですがアレルギーを持つ人の割合を年代を追って示したものです。
1960年代以降に増えているのが分かりますよね。
これ何が原因なの?ねえ。
この50年余りで一気に深刻化した。
給食って特別なものメニュー用意されてる子いなかったもんね学校で。
だってアレルギーに関してはケアはどんどんどんどん進んでるはずなのにアレルギーの人が今増えてるという。
逆の事が起きてるって事なんですよね。
こうしたアレルギーの増加を食い止めて根本的な治療の鍵になるかもしれないと今期待されているのが先ほど見たTレグなんです。
何でしょうね。
アレルギーを解決する鍵になるというTレグ。
その重要性はアレルギーの人がほとんどいないというある集団の調査から明らかになりました。
まるで映画のセットに迷い込んだような光景。
ここで暮らすのはアーミッシュと呼ばれる人々。
広さ35キロメートル四方の土地に2万人が暮らしています。
200年以上前先祖がヨーロッパから移住。
宗教的な理由で今なお当時の暮らしを徹底して守り続けています。
撮影される事を嫌うためその暮らしぶりはあまり紹介されてきませんでした。
今回交渉の末特別に取材が許されました。
ハローデイビッド。
ハイ!ハイアキラ。
この一家は子ども2人の4人家族です。
一見普通の暮らしに見えますが…。
基本的に自給自足の生活で牧畜が盛んです。
幼い頃から家畜の面倒を見る習慣があります。
そして本題。
彼らにアレルギーについて聞いてみました。
アーミッシュは都会で暮らす人に比べ花粉症はアトピー性皮膚炎は極端に少ない事が分かっています。
なぜアーミッシュはアレルギーが少ないのでしょうか。
その謎に迫ったのが小児科医のエリカ・フォン・ムティウス博士です。
ムティウス博士たちの研究グループは3年前アーミッシュの村で大規模な調査を行いました。
10歳前後の子どもたちに聞き取り調査を行い血液を採取しました。
その血液の成分をドイツの研究室で詳しく分析。
博士はアーミッシュがアレルギーに強い遺伝子を持っているに違いないと考えたのです。
しかし特別な遺伝子は見つかりませんでした。
では一体アレルギーが少ない原因は何なのか?そこで注目したのが家畜と触れ合う暮らしぶりでした。
それまで別の研究で子どもの頃に家畜と触れ合うとアレルギーになりにくいというデータが出ていました。
アーミッシュにアレルギーが極端に少ないのもこの生活習慣によるものと判断したのです。
では家畜と触れ合うと体の中で何が起こるのか。
アーミッシュの調査が終了したあとも博士は地元のドイツで家畜との接触が多い農家を訪ね歩き改めて血液を調べました。
期待を懸けたのは最新の血液分析技術。
免疫細胞のさまざまな種類を見分ける事ができます。
すると思いも寄らない特徴が明らかになりました。
血液の中のある細胞が35%も多かったのです。
その細胞こそ今日の主役。
家畜と触れ合うとアレルギーが少なくなるのはTレグが増えるからだと博士は結論づけました。
実はTレグの存在は20年前に確認されていました。
発見者は日本人。
その業績によって先頃ガードナー国際賞の受賞者に選ばれた…Tレグはどんな働きをするのでしょうか。
免疫はさまざまな種類の攻撃細胞がチームプレーで体に入ってきた異物を攻撃する仕組みです。
しかし坂口さんはその中に攻撃を止める役割を持つ細胞がいる事を発見しました。
それがTレグです。
そもそもアレルギーは体内に花粉などのアレルギー物質が侵入した場合害がないにもかかわらず攻撃細胞がそれを攻撃し続ける事で起こります。
ここで重要になるのがTレグの働きです。
アレルギー物質が体に害がない事を判断し攻撃を止める指令を出している事が分かりました。
つまりTレグがアレルギーになるかどうかの一つの決め手になるのです。
アーミッシュの場合Tレグが多いため攻撃する細胞を抑えこめる。
その結果アレルギーになりにくい。
一方Tレグが少ない都会で暮らす人は攻撃細胞を抑えこめないためアレルギーになりやすいと考えられます。
Tレグの存在と役割が明らかになった事で今アレルギーの治療が飛躍的に進む可能性が出てきました。
へえ〜すごいね!免疫細胞って攻撃するものだと思ってたらそれを抑える細胞がある。
それがTレグという事なんですね。
ここでそのTレグの発見者である大阪大学教授の坂口志文さんにお越し頂きました。
よろしくお願いします。
先生Tレグを増やせばどんなアレルギーでも予防できるんですか?基本的にはそうです。
ですから花粉症でもアレルギー性鼻炎でもアトピー性皮膚炎そういうものでもですね攻撃する細胞が過剰であるというふうに考えるならばそれを抑えるという事で治療が可能であろうという事ですね。
今日はこんなものを用意しました。
この青い玉がTレグ。
そして赤い玉が攻撃細胞です。
この2つのバランスでアレルギーになるかならないかが決まるという事ですね。
だからアーミッシュの場合はこちらのね青い玉Tレグが多いという事ですね。
多いからどんどんどんどん増えていって健康な方にグ〜ッと偏ってくって事ですね。
でアレルギーにならない。
私たちはこちら健康のこのTレグが少ない訳ですよね。
こういうふうに少なくなってるからアレルギーになるんだという事でよろしいですか?そういう事ですね。
攻撃する細胞がアーミッシュの人たちと我々は変わらなくてもやっぱり抑える方のTレグの方に差があると。
ですからアレルギーを起こしやすいんだろうと。
どうやったらTレグを増やせるんですか?アーミッシュの人たちの場合は仕組みはまだよく分かってないんですが…その考えで言ったら私のとこの子どもも家畜と触れ合いさせればTレグが増える?可能性はあります。
よし!Tレグが一番増えるのは成長の早い時期ですねやっぱり生後3歳くらいまでが一番よく増えるんじゃないかと考えられていますね。
間に合いますね1歳7か月。
そうですね。
我々の生活っていうのはきれいすぎるって言っていいんですか?そういう事になりますね。
環境をきれいにしていく。
そうすると免疫系があんまり刺激を受けなくなる。
こういうアレルギーや何かが起きやすくなるという事になりますね。
だから最初のグラフで1960年代以降にグ〜ッと増えてるのはその理由が大きいって考えていいんですかね?そういう事ですね。
でも先生単純に免疫というのは体を守るために…。
言ったらがんとかねがん細胞とか風邪とかそれと闘うために免疫ってどんどんどんどん働いてる訳じゃないですか。
それを抑えるTレグがどんどん増えてしまうと風邪とかになった場合これ闘ってくれなくなるんじゃないかってちょっと思ってしまうんですけど。
Tレグっていうのはやっぱり相手を区別するんですね。
風邪のウイルスに対して攻撃するやつは抑えなくてしかしアレルギーの原因物質に対しての攻撃する細胞それは抑えると。
そのようにうまく出来ておると。
それは安心するね。
安心する。
じゃあこのTレグ万能って考えてよろしいんですか?やっぱり免疫系っていうのはもう少し複雑でTレグっていうだけを増やしたり減らしたりで全てが解決するという事じゃないんですけれども少なくともアレルギー治療とか予防という事ではTレグっていうのは重要になっていくであろうと。
では続いては予防について見ていきます。
そもそもアレルギーにならないためにはどうすればいいのか。
このあとのVTRで子どもたちについての衝撃的なデータが出てきますがこれはあくまでアレルギーになっていないお子さんの予防の話です。
オハイオ州に暮らす…父親のアダムさんはピーナツと大豆のアレルギーに悩まされてきました。
娘たちをアレルギーにしたくない。
母ジェニファーさんは妊娠して以来授乳離乳食に至るまで徹底的にピーナツと大豆を避けてきました。
しかし…。
アレルギー食品を避けた効果は全くなく娘たちは父親以上にひどいアレルギーに苦しんでいます。
誤ってアレルギー食品を食べるとショックによって死に至る危険があるため緊急時に症状を抑える注射を常に持ち歩いています。
クロザさん一家は2000年にアメリカ小児科学会が出した指針を基に指導を受けアレルギー食品を避けてきました。
子どもをアレルギーにしないために妊娠中授乳中の母親はアレルギー食品を避ける事。
しかし指針に沿った指導に効果はありませんでした。
その後も食物アレルギーは増え続けたのです。
このためアメリカ小児科学会は8年後に指針を改訂しました。
…という内容でした。
しかし具体的にどうすれば予防につながるかは示されませんでした。
このため子どもを持つ親だけでなく医師の間でも大きな混乱が続いてきました。
クロザさん一家がこの日訪れたのはアレルギー予防のための指導教室です。
間もなく離乳食が始まる長男ディーンくんのために食事をどう与えればよいか相談するためです。
こうした中今年2月衝撃的な研究成果が発表されました。
世界中のアレルギー研究者が集うアメリカアレルギー学会です。
子どものピーナツアレルギーを未然に防ぐにはあえてピーナツを食べた方がよいというものでした。
発表したのはアレルギーの研究で世界をリードするロンドン大学のギデオン・ラック博士です。
ラック博士の行った研究には600人以上の生後6か月から11か月の赤ちゃんが参加しました。
まずこの赤ちゃんたちを2つのグループに分けました。
半数の300人余りには医師の指導の下ごく僅かずつピーナツを食べ続けてもらいました。
もう半数の300人にはピーナツを徹底的に避けてもらいました。
そして4年後5歳の時点でのピーナツアレルギーの発症率を調べました。
ピーナツを避けた赤ちゃんは17.3%がアレルギーを発症してしまいました。
食べ続けた赤ちゃんは僅か3.2%。
ピーナツを食べた方がアレルギーの発症が抑えられたのです。
ラック博士はピーナツなどアレルギー食品を食べるとTレグが増えるのではないかと考えています。
その根拠となるのがこちらの実験です。
生後間もないネズミにアレルギー食品を食べさせます。
その結果食べたネズミの方がTレグが大幅に増える事が分かりました。
体の中で何が起こっているのでしょうか?食べたピーナツは腸で吸収されます。
ピーナツが入ってくると攻撃細胞は異物だと認識し攻撃しようとします。
するとTレグが作られその攻撃を抑えこみます。
しかもそれはピーナツへの攻撃だけを抑えこむ専門のTレグでした。
生後間もなく卵を食べれば卵への攻撃を抑えこむTレグが作られる。
小麦を食べれば小麦への攻撃を抑えこむTレグが作られる。
そうした結果が動物実験では得られたのです。
ピーナツ以外の食品ではどうか。
いつどれくらいの量を与えればよいのか。
そして人でも同じようにTレグが増えるのか。
更なる研究が進められています。
今ご紹介した研究はまだピーナツアレルギーになっていない人がどう予防するかという話です。
既にピーナツアレルギーになっている方がピーナツを食べるのは危険ですので絶対に食べないで下さい。
アレルギーにまだなってない子たちが今後アレルギーにならないためにお母さんたちはいろいろ考えてるっていう事なんですね。
ここからはアレルギーの専門医で研究も行っている成育医療センターの大矢幸弘さんにも加わって頂きます。
大矢さんよろしくお願いします。
よろしくお願いします。
私妊娠中とか授乳中は何にも気にしてなかったんやけど離乳食あげる時に「そばナッツ生魚を3歳まであげない方がいいですよ」って言われたの。
それが違うという事だよね今言ってるのは。
ワオ〜!それはやっぱりこのアレルギーというのはアレルギーの原因物質を体に取り込まなければ別に反応は起こらないんですからお母さん妊娠中授乳中離乳食を始めるのを遅らせれば発症が予防できると考えるのはいかにもそんな感じがしますよね。
今も思ってる方多いと思いますよ。
そういう中で今回はピーナツアレルギーに対して実際に臨床研究をやってみた訳です。
そしたら食べてた人の方がなんとピーナツアレルギーが少なかったという事なので画期的な研究な訳ですね。
ただまあこれはピーナツアレルギーの事なのでじゃあ卵アレルギーはどうなのかという事については今研究が進んでるとこで私たちもそういう研究をしてますけれども多分年内には結果が出るように努力をしてるところです。
先生もうちょっと早めにしてもらえないですかねそれ。
それは早ければ早いほどいいけどね。
でもまた違ったって言われたらまた困るでしょう。
怖いもんねきっちりしてもらわんと。
ちゃんとしたデータが出てくるようにならないとという事なんですけど。
改めてこういう事でいいんですよね。
食物を食べていくとこんなふうにピーナツだったり牛乳だったり食物ごとのTレグが作られるって事ですね。
(坂口)そういう事ですね。
子どもの頃に作られたTレグがアレルギーの原因物質それにさらされる事によってそれぞれに専門的にコントロールするようなTレグが増えてくるという事です。
という事なんですね。
アレルギーを予防するために今現在できる事ってあるんですか?日本では既に2005年に小児アレルギー学会の方から出してる食物アレルギーのガイドラインにも妊娠中授乳中から避ける事には予防効果はないとは書かれてはいるんですね。
まず最初お母さんのおなかの中にいる時の話からすると…それから次お子さんが生まれました。
授乳してる時おっぱいあげている時にやっぱり基本的にはお母さんは何でも食べて下さい。
ただし授乳したらば赤ちゃんにじんましんが出来たとかあるいは戻したり下痢をしたり血便が出たとか何か変な症状があった時はもちろんそれは怪しいのでそれは医師に相談をしてほしいですね。
その時点で相談すると。
(大矢)その時点で相談をする。
いよいよ離乳食を始める時ですよね。
離乳食の段階でもいろんなたくさんの種類のものを食べてるお子さんの方が将来のアレルギーが少ないっていうそういうような疫学的な報告もあるんですね。
ですからなるべく避けて種類を減らしてしまうよりはいろんなものをたくさん食べさせた方がいいだろうと思われるんですね。
ただし気を付けなくてはいけないのはまだアレルギーになっていない子どもたちを予防するためにはという話であっても既にアレルギーになってしまった子どもたちは当然避けなくては危ないですからそこは間違えないようにして頂きたいんですね。
アレルギーって遺伝で起こる事もあるんですか?確かにアレルギーになりやすい遺伝子のタイプを持ってる人はいるけどその人に何らかの環境的な刺激が加わった時にその人たちは発症しやすいという事なのでなりやすいという事はある程度あるけれど必ずそうとは言えない。
例えば最初に示されたグラフを見てお分かりのように昔はほとんどなかった訳です。
1960年代から急に増えたという事は遺伝子がそんなに重要という訳ではなくやっぱり環境が重要。
だから親がアレルギーでも子どもは必ずなるとは限らない。
アレルギーでなかった人がアレルギーになる。
そのきっかけは何なのでしょうか?イギリスで過去に起きたある出来事から新たな事実が明らかになってきました。
その当事者を訪ねました。
現在大学生の…重度のピーナツアレルギーのためいざという時にショック症状を抑える注射をいつも持ち歩いています。
アレルギーになったのは3歳の頃。
きっかけは意外な事でした。
ポールさんはなぜピーナツアレルギーを発症したのか。
あのロンドン大学のギデオン・ラック博士が調査に当たりました。
ラック博士が注目したのはポールさんが使っていたスキンクリーム。
その中に含まれていたピーナツオイルが原因である可能性を突き止めたのです。
当時ピーナツアレルギーを発症した49人を追跡調査したところ実にその91%が赤ちゃんの時にピーナツオイル入りのスキンクリームを使っていた事が分かりました。
ピーナツを食べる事はむしろアレルギーの予防になる可能性があるのになぜ皮膚から入るとアレルギーになってしまうのでしょうか。
皮膚に傷が出来てそこから少々異物が入っても傷はすぐに塞がるため問題はありません。
しかし湿疹や肌荒れで皮膚のバリアが壊れっ放しになると問題が起こります。
皮膚の下にいる免疫細胞がいつ外敵が侵入してきてもいいように臨戦態勢に入ります。
そして外敵を捕らえようと腕を伸ばして備えます。
湿疹でバリアが壊れた皮膚の下を顕微鏡で実際に見てみると光の粒が見えてきました。
臨戦態勢になった免疫細胞です。
断面を拡大して見てみましょう。
ほら皮膚の壊れた場所の表面ぎりぎりまで腕を伸ばしています。
健康な肌と比べると腕の伸ばし方が違うのがよく分かります。
この細胞皮膚についた異物を捕まえて内部へ引っ張り込みます。
そしてこの異物を攻撃するよう攻撃細胞に伝えて回るのです。
これが何度も繰り返されると攻撃細胞はどんどん攻撃的になりついにはTレグの抑えこむ能力を超えアレルギーを発症してしまうと考えられています。
これ怖い。
ちょっと整理しますと腸から入った場合はこう傾くと。
健康になる。
Tレグ細胞が増えて。
でも皮膚から入る場合こちらに…アレルギーの方に傾いてしまう。
肌から侵入に対して免疫がこんなに過剰に反応するのは何でなんでしょうか?腸というのはもともと食物という異物を取り込む訳ですね。
ですから例えば牛肉でありますとか自分じゃないタンパクですよね。
そういうものを取り込む訳ですからもともと変な反応が起きないようにTレグもたくさんいます。
ところが皮膚というのは外から異物が入ってくるようになってない訳ですね。
ちゃんとバリアがあって保護されておると。
そこをバリアを破って細菌でありますとかそういう寄生虫でありますとかいろんなものが入ってきた時に過剰な反応をしやすいと。
じゃあ僕はマンゴーアレルギーになったのっていうのは…。
ひげそり跡とかにシュ〜って食べて。
もっと近い所の傷とかね。
どこか炎症がある所に繰り返し繰り返しマンゴーの原因物質がついてそのアレルギーになったという可能性はあるかとは思います。
え〜?びっくりこれ。
だから湿疹のある方がそれこそおそば屋さんに就職しておそばのアレルギーになっちゃって続けられないから今度はおすし屋さんで修業を始めたら今度は魚のアレルギーになってしまって。
それで駄目だから今度は洋菓子屋さんでパティシエになろうという事で修業していったら今度は小麦のアレルギーになってしまったなんていう事が報告されていますから…。
じゃあちなみに花粉症の花粉も皮膚から入ってなる…?皮膚から入る可能性もありますしそれからあとは気道の粘膜から当然入ってきますよね。
風邪をひいて炎症を起こしていたとか何か体の中で炎症のある所から入ってくるのがよくない。
おっさんになってくると湿疹ってあんまり気にしなくなるんですよ。
どうケアすればいいですか?やっぱりスキンケアをして保湿剤を塗って皮膚のバリアを強化するのがいいだろうと。
湿疹が出来た時になるべく早い段階で治した人の方が遅い時に治すよりもその後の食物アレルギーなんかが少なくなるっていうのは経験的には私たちは知っているので…。
ですからなるべく早い段階で湿疹を治してしまってスキンケアをしていった方がいいだろうと。
さてここからはこの状態。
既にアレルギーになってしまっている人をこんなふうに健康な状態に戻せるのかという事です。
これまでは治らない病といわれていたアレルギーですがTレグをコントロールする事で根本的な治療の可能性が見えてきています。
治療方法という事ですね。
アレルギーの治療の効果を確かめる特別な実験施設を訪ねました。
部屋の中にいるのは花粉症の患者さんたちです。
天井からあるものを降らせる事ができます。
花粉症の人にはなんとも恐ろしいこの部屋。
部屋の中で3時間過ごし症状を記録します。
この人たちが受けていたのは今話題の治療法です。
薬には花粉症の原因であるスギ花粉が僅かに含まれています。
この薬を毎日舌の裏側にたらす…これまでの研究では2年間治療を続けたおよそ50人のうち多少なりとも改善が見られたのは7割の人。
しかし3割の人には全く効果がありませんでした。
今回調べてみると症状が改善している人はTレグが増えているのに対し効果がなかった人はTレグが増えていない事が分かりました。
舌下免疫療法は少しずつ花粉を体内に入れる事で激しいアレルギー反応を抑えつつ花粉専門のTレグを増やす治療法です。
しかしこの方法入れる花粉の量が少ないため治療期間が長く体質によってはTレグがうまく増えない人もいる事が分かってきたのです。
もっと大量にしかし安全に花粉を体内に取り入れTレグを効率よく増やす方法はないのか。
それを可能にする新たな治療の試験が始まっています。
こちらの女性その参加者です。
重度の花粉症に苦しむ竹味さん。
今取り組んでいる治療は毎日1食特別なお米を食べるだけ。
お米が作られているのはつくば市にある国立の研究所。
実はこのお米花粉の成分を大量に含んでいます。
その成分に特別な仕掛けがあるのです。
アレルギーを引き起こすのは花粉の中のタンパク質。
そのタンパク質を最新技術で操作して作りました。
まずタンパク質の中にあるTレグを増やすなど免疫の反応と関わる部分を取り出します。
更にその中から危険なアレルギー反応を引き起こす部分を取り除きました。
こうしてTレグを安全に増やす花粉成分を作成しお米の中に入れたのです。
お米を使ったこの治療これまでおよそ50人が参加し臨床試験が行われました。
2か月間お米を食べた結果Tレグが増え花粉の攻撃細胞の働きが抑えられたと思われる結果が得られました。
こちらです。
花粉の攻撃細胞は平均で50%も減少していたのです。
へえ〜!舌下療法というのは知っていましたけどお米に花粉が入っている。
しかもTレグを増やす部分だけが入っている。
これ画期的ですね。
これはかなり画期的な事ではありますね。
2か月食べたら言ったら攻撃細胞免疫細胞が半分に減っている。
実際にこの新しい治療法が僕らのもとにやって来るっていうのはいつごろになりますか?今臨床試験が進んでますので5年後ぐらいを目標に今こういう試験が進んでいますね。
一生効果は続くんですか?数年はどうも効果は続くようなんですけれども全くやらずにそのまま続くのかどうかっていうのは今後の課題だと思いますね。
これ舌下を今やるかお米を待つか。
これ先生だったらどうします?舌下をまずやってみてそれでかなり自分がよくなるタイプだったらいち早く改善してしまうのでいいですよね。
駄目だったらお米が出るのを次待っていてそちらにっていう手もあるし。
そういう治療法を組み合わせる事によってかなり花粉症っていうのは症状自体を抑える事ができるようにはなっていってますね。
既にスギの舌下免疫療法は去年からもう既に使えるようになって保険も使えますね。
そして今年はアレルギー性鼻炎に対するダニの舌下療法が始まります。
舌下のバリエーションがどんどん広がっていく。
舌下とかお米以外でね最先端の治療ってありますか?まだ実用化はされてないんですけど既に人に対して臨床研究はされてるものがあります。
例えば猫アレルギーに対して安全な状態にお米のように改変して注射して数回それをする事によって治してしまおうとかいうそういう治療法は既に研究ではやられています。
マンゴーもいつかは治療できるんですかね?理論的にはもちろん…。
マンゴーを欲しがってる人はすごい少ないと思いますけどね。
後回しにされそうやな。
基本的には同じ事ですよね。
マンゴーのアレルギー原因物質をお米の中に入れて口からとると。
そういう意味ではこれから有効な治療法ですね。
そういうものがどんどん進んでくるんだと思います。
何でもそうかもしれませんけどやっぱりちゃんと最先端の事を理解してないとず〜っと間違えた事をやってしまうんだなと思いましたね。
もう常識って思ってた事が違う。
「目から鱗」やったね。
先生が発見したTレグ。
そこの研究をどんどんどんどん推し進めていったらその先にはアレルギーを根治できる可能性はすごい高いという事ですね?そうですね。
我々期待してよろしいんですね?先生。
そのように努力したいと思います。
うわ〜楽しみだねそれは。
3月スギ花粉症の季節が到来しました。
花粉症を治療するお米の試験に参加した竹味さんです。
マスクもなしに久しぶりのお花見です。
竹味さんの臨床試験の結果です。
2か月間お米を食べ続けた結果花粉を攻撃していた細胞は3/3近くにまで減りました。
Tレグが増えたおかげと考えられます。
ここ半世紀の急激な生活の変化と歩調を合わせるようにアレルギーは急増を続けてきました。
治らない病といわれてきたアレルギー。
制御性T細胞Tレグという解決の糸口を見つけた事で今アレルギーを予防し治療できる可能性が見えてきました。
深刻な現代病の一つアレルギーをついに抑えこめるその時が近づいているのかもしれません。
2015/04/15(水) 00:10〜01:00
NHK総合1・神戸
NHKスペシャル「新アレルギー治療〜鍵を握る免疫細胞〜」[字][再]

完治は不可能だと言われてきたアレルギー。“Tレグ”と呼ばれる免疫細胞が、根本的な治療の鍵として注目されている。花粉症や食物アレルギーなど最先端の研究現場に迫る。

詳細情報
番組内容
1960年代以降患者数が急速に増加し、根本的な治療は不可能だと言われてきたアレルギー。国民病とも言われる花粉症、食物・動物アレルギーなど現代社会はさまざまなアレルギーに悩まされている。今、“Tレグ”と呼ばれる免疫細胞が、アレルギーを根本的に治す治療の鍵として注目されている。“Tレグ”をコントロールすれば、免疫力を下げることなく、アレルギーを押さえ込めることが明らかになってきた。最先端の研究に迫る。
出演者
【出演】加藤浩次,松嶋尚美,【司会】鈴木奈穂子

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般
ニュース/報道 – 報道特番

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