お友達と一緒だと意外に子どもはちゃんと食べるんです。
大好きなものだけじゃなくて時には苦手なものもトライさせてみてはいかがでしょうか?
(川島)あっおはようございます。
いらっしゃいませ〜!毎日元気な声が響き渡るレストラン。
その店の名前はえがおです。
安くておいしい食事を提供するだけでなくお年寄りたちを笑顔にしてくれるレストランです。
このレストランをきっかけに住民同士がお互いを見守り助け合うようになりました。
え〜?住み慣れた場所で最期まで暮らしたいと願うお年寄りたち。
その日々を見つめました。
三重県四日市市。
その中心から車で30分。
2,300人が暮らす…団地が出来て半世紀。
今では住民の3人に1人は70歳以上の高齢者です。
この団地の真ん中にあるシャッター商店街。
ここに3年前えがおが出来ました。
朝9時50分開店。
この日は今年初めての営業日です。
(取材者)あんまり1週間もお休みってないですもんね。
運営しているのは長年この地域の高齢者を支援している社会福祉法人です。
この店で働く…以前は小学校の給食で調理を担当。
その手際のよさを生かし店を切り盛りしています。
あっいらっしゃいませ!おはようございます。
今年最初のお客さんがやって来ました。
1人で団地に暮らす常連客の女性です。
まずは出しそびれた年賀状でご挨拶。
あ〜すごい!これどこ行ったんですか?え〜とね京都のね。
京都?ありがとうございます。
頂きました。
年賀状で〜す。
写真つきですね。
そうなんです。
愛さんはね旅行が好きでいろんな所にいつも行かれてるんです。
加藤さんおはようございます!おめでとう。
お昼近くになると次々とお客さんがやって来ます。
そのほとんどがお年寄りです。
客のお目当ては1日限定10食の日替わり定食。
管理栄養士が考えたバランスのよいメニューでお年寄りにも食べやすいように軟らかく調理されています。
およそ30種類のメニューにはそれぞれ2つの値段が書かれています。
65歳以上なら赤い文字の値段で2割ほど安く食べる事ができます。
むちゃ軟らか炊けとる。
本当!うん。
この店一番の常連がやって来ました。
こちらこそ。
はじまらんな。
90歳になる…毎日11時前にえがおを訪れ昼のひとときを過ごすのが日課です。
またまた常連客がやって来ました。
おめでとうございます。
どうも。
いきなり相席ですか龍田さんと?ほかのテーブル空いててもですか?うん。
なぜです?前からのお知り合いですか?
(堀尾)おはようございます。
この店の責任者で社会福祉士の堀尾栄さん。
何気ない会話から困り事をいち早くキャッチするようにしています。
高齢者が気軽に立ち寄り日常生活の相談もできる。
えがおには大きな意義があると堀尾さんは考えています。
戦後大型コンビナートが建設され一大工業地帯として活気づいた四日市市。
全国からやって来た労働者を受け入れるため県は郊外に大規模な団地を建設。
その第1号として造られたのが高花平団地です。
丘を切り開いて1,400世帯が住める住宅地が造られました。
しかし半世紀過ぎた今人口は減り空き家も目立つようになりました。
ここで生まれ育った子ども世代は都会に出ていき団地に残ったのはお年寄りたち。
65歳以上の住民は全体の38%と全国平均を10%以上も上回っています。
何ですか?長年この地域で暮らすお年寄りを見守り続けてきた堀尾さん。
この10年でお年寄りだけで暮らす世帯が増加し孤独死も発生。
そんな状況に危機感を抱くようになりました。
堀尾さんたちは高齢者の生活実態を把握するためアンケートを実施。
一週間以上外出しない事があるという高齢者が3割もいる事が分かりました。
そこで始めたのがレストランえがおです。
食事の準備に困る高齢者も多かった事から考え出しました。
予想以上に多くのお年寄りたちが通うようになりました。
いらっしゃいませ〜!この団地にえがおが出来て間もなく3年。
新しいつながりが生まれています。
今日はなブリの照り焼きって。
ふ〜んまあええわ。
なあブリはおいしいな。
ブリも好きやな。
おはようございます。
(堀尾)あっおはようございます。
(堀尾)彼氏がきた。
団地の…2日に1度えがおにやって来る市川さん。
龍田さんとはここで知り合い意気投合しました。
週3回決まった曜日に来る常連の男性客がこの日姿を見せていませんでした。
独りで暮らす男性の自宅まで様子を見に行く事にしました。
(ノック)定森さ〜ん?定森さ〜ん?・はい。
こんにちは!堀尾です。
・はあ?はいはい。
男性は軽度の認知症で正月明けいつからお店がオープンするのか分からなくなっていました。
まあ何にもないのやったらよかったわ。
何もない。
はいはい。
は〜いすいません。
はい。
無事でよかった。
午後3時半えがおの一日が終わります。
今日も1万円を超えたのでまあまあだと思います。
店の売り上げだけでは維持が難しいため法人全体で費用を負担しています。
それでも続けているのはここでお年寄りたちの日々の変化をキャッチできるから。
日報にもお客さんの様子を細かく記録しています。
やっぱり毎日来られる方とかの顔色とかもねたまに違う時とかもね顔が腫れてたりとかやっぱり何かあったんかな〜て思うとこっちもね心配になるし。
毎日来てくれてた人がたまに来なくなったりとかすると「あれどうしたの?家で倒れてないかな?」とか。
ねえ独り暮らしの方が多いので。
小さなおせっかいなんですけど。
おせっかいな喫茶店っていう感じなんですかねここ。
高花平団地では5世帯のうち1世帯は高齢者の独り暮らしです。
19年前にこの団地に引っ越してきた龍田さんもその一人です。
えがおからゆっくり歩いて10分の所にある市営住宅で暮らしています。
龍田さんは18年前に夫を亡くし3年前にはがんで息子も亡くしました。
(鈴の音)南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏。
今帰ってきましたでね。
ありがとう。
南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏。
お独り暮らしで寂しいって思う事ないです?離れて暮らす娘から「一緒に暮らそう」と誘われた事もありましたがここで気楽に暮らしたいと独り暮らしを続けています。
しかし年々体力が落ち家に籠もりがちになっていた龍田さん。
そんな時に歩いていける場所にえがおがオープン。
龍田さんが毎日出かけられる場所が出来ました。
私にとって。
いい場所があっていいですね。
おはようございます!
(宮本)おはようございま〜す!毎朝欠かさず小学校の前であいさつ運動をする…長年四日市の港でクレーンオペレーターとして働き定年後は積極的に地域のボランティア活動に参加してきました。
おはようございます。
2年前に妻を亡くした宮本さん。
ほぼ毎日昼ごはんを食べにえがおを訪れます。
この店に通い団地のお年寄りたちの困り事を知る中で新しい活動を始めました。
おはようございます。
もしもし住友さんです?え〜昨日お邪魔しました宮本というんですけども…。
宮本さんが始めたのは団地の中での困り事を手助けするちょっと手を貸して運動です。
僅かな手助けがあればここで暮らし続けられるお年寄りが多いと知った宮本さん。
去年仲間と一緒に会を立ち上げました。
ゴミ出し庭掃除病院への送迎から話し相手までさまざまなニーズに応えています。
費用は50円からと格安です。
住民同士の顔が見え困った時は助け合える絆をつくるのが目的です。
活動の輪を更に広げたい宮本さん。
えがおの常連客で高齢者の事をよく知る民生委員の市川さんにもスタッフに加わってもらいました。
団地のお年寄りが集うえがおにはちょっとした日常生活の困り事も集まります。
宮本さんたちは気軽に相談してくれるように声をかけています。
遠い親戚より近くの他人の方が大事だと思います。
まあ隣近所がね向こう三軒両隣みたいにね絶えず顔が見える日常だったら一番いいと思いますね。
誰でも生まれた住んどるとこで亡くなっていきたいと思うと思います。
毎日えがおにやって来る龍田さんの姿がいつもの場所にありませんでした。
風邪をひいて家で寝込んでいるという龍田さん。
心配したスタッフが様子を見に行く事になりました。
(ノック)龍田さ〜ん!あっこんにちは。
龍田さんちょっとね…手を貸してくれるのがえがおで知り合った市川さんならと龍田さんは病院への付き添いを頼む事にしました。
(ノック)
(市川)先生こんにちは。
龍田さんの掛かりつけの病院です。
せき止め。
せきがひどいと言うとんで。
多分夜の方がようけせくと思うんで…。
市川さんは病院に送るだけでなく龍田さんの代わりに薬の説明も受けます。
よっこいしょ。
薬さ5日分出すで必ずのんでなあ。
熱冷ましと肺のたん。
靴ここ置くなぁ。
じゃあさいなら!今年2月から新しい活動が始まる事になりました。
えがおで作った食事をちょっと手を貸して運動のメンバーがお年寄りの家に配達するのです。
えがおやちょっと手を貸して運動を通じて団地全体にお互いを見守り助け合う意識が芽生えればと堀尾さんは考えています。
龍田さんがえがおに顔を見せなくなって1週間。
龍田さ〜ん!閉まっとうかな?こんにちは龍田さん!
(堀尾)座ってもいいですか?
(龍田)はいはいどうぞ。
戻ったわ声が。
よかった。
そうかお薬はじゃあもうちょっと。
半分食べたん。
本当や。
大丈夫。
大丈夫ですね。
(堀尾)そんな事。
ハハハハッ。
笑えてくるな本当やな。
いらっしゃいませ〜!高花平団地の真ん中にあるレストランえがお。
今日もおいしい食事と笑顔がお年寄りたちの暮らしを支えています。
(テーマ音楽)2015/04/14(火) 20:00〜20:30
NHKEテレ1大阪
ハートネットTV「ずっと“えがお”でいたい〜三重県四日市市 高花平団地〜」[字]
三重県四日市市高花平団地にある「えがお」と名づけられたレストランを中心に、高齢者の見守り・住民どうしの助け合い活動が進んでいる。その日常を追った。
詳細情報
番組内容
三重県四日市市にある高花平団地。住民の3人に1人は70歳以上のお年寄りだ。2年前、「えがお」と名づけられたレストランがオープンした。安くて栄養バランスがとれた昼ごはんを求め、高齢者が集う場所になった。今では新たな交流が生まれ、住民どうしがゴミ出しや買い物などを手伝う「ちょっと手を貸して運動」が始まった。高齢化していく地域の中で長く住み続けるためにはどんなことが必要なのか、考えていく。
出演者
【語り】河野多紀
ジャンル :
福祉 – その他
福祉 – 高齢者
福祉 – 障害者
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音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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