西日本を中心に落雷や竜巻などの激しい突風に十分な注意が必要で、ひょうが降るおそれもあります。
ケンちゃんはもうランドセル買ったの?うん。
(東山久子)
昨日の午後うちの美容院で子供さんの髪をカットしてる時はちゃんと仕事ができていたんです。
でも…そのあとが問題でした
久しぶりに高校時代の…。
娘の婚約者のお母様に頼まれて髪をセットしたんです。
ところが…腕がなかなか思うように動かなくて…。
焦れば焦るほどうまくできなくなって…
痛い!
肩と胸の痛みに襲われました
(久子)これ以上できそうもないんです。
え!?
美容師になって20年余り。
こんな事初めてでした
先生私の体一体どうしちゃったんでしょうか?いやこれやばいんじゃないすか?完全にメンタルでしょう。
だって結婚する相手のお母さんをセットしてる途中でやめちゃったからこれは婚約解消でしょう。
破談ですね!でも美容師さんって立ち仕事だから大変ですもんね。
(水道橋博士)四十肩五十肩っていうのありえますもんね。
あっ絶対あると思います!私も突然手が上がらなくなった事あったもん。
でも押さえてる位置はこの辺ですけどね。
いやここ痛くなりますよ。
あなりますか。
齋藤先生ねいつも当てにくるんですよ。
でも当たらないんですけどね。
患者の声に耳を傾け体に問いかける。
総合診療医の武器は問診と診察だ。
症状は?仕事は?生い立ちは?病気を探るヒントはどこに潜んでいるのか?意外な手がかりを一つ一つつなぎ合わせ病気を探り当てる。
私たちは彼を「ドクターG」と呼ぶ。
ある大きな総合病院。
下痢はしてないですよね?次から次へとかかってくる電話は全て院内の他の科の医師からの相談だ。
細菌感染症のリスクももちろんあるけど…。
今回のドクターGは感染症内科のホープ…内科外科産婦人科あらゆる診療科に来る患者をカバーし治療するのが忽那先生の役目。
感染症専門医の知識と総合診療的なアプローチで病に苦しむ患者を救ってきた。
モットーは…数ある病気の中から難解な症例を持って登場だ!
(玉ちゃん)今回のドクターGは…先生初登場ですけれどもお若く見えますよね。
はい一応35歳です。
(柴田)若っ!感染症とかだったら海外から入ってくる病気もありますよね?私がいるところは特に国際医療センターという事で海外で何か病気にかかって帰ってきてから熱が出るというような方が多いですね。
先生稀な症例を診断したと…日本で初めて診断された病気があると。
「日本初の何とか」みたいなのは一応3つ報告を。
(玉ちゃん)じゃあ先生の名前が付くんじゃないですか?いや他の国では一応報告があるので。
病気の正体を探り当てるため全国から集まって頂いた研修医はこちらの皆さんです。
よろしくお願いします。
(拍手)よろしくお願いします。
(拍手)よろしくお願いします。
(拍手)村上先生何科をまわってきたんですか?最初は救急をまわりましてそのあと総合内科で循環器をまわって今は外科をまわらせて頂いています。
今のVTR見てどうですか?なかなか手ごわいなと。
(玉ちゃん)手ごわいですよ今回は手ごわい!鈴木先生VTR見てどうですか?やっぱり高齢の方なので血管が詰まって痛みが出たりとかそのような事も疑っていきたいかなと。
たくさん疑って下さい。
疑う事大事ですよね?そうですね。
(玉ちゃん)さあ寺田先生は?肩の痛みという事なんですが実際に肩にあるのか骨なのかとか先ほどおっしゃった血管なのかどこに痛みが出て原因があるのかというのを注目してビデオを見ていきたいと思います。
それでは病名を探るために再現ドラマをご覧頂きましょう。
ドタクーGの症例に研修医が挑みます。
テレビの前の皆さんも考えて下さい。
ドクタージェネラル!肩とか胸のあたりが痛いんです。
今は大丈夫です。
ズキズキというかジンジンというか…。
仕事柄肩が張る事はよくあるんですがいつもと違ってどんどん痛くなってきてるようで。
お仕事はどんな事をされているんですか?
はい小さな美容院を経営しています
(久子)今日はどんな感じにしましょうか?お食事はお花見兼ねてですか?
これまで自分の腕一つで頑張ってきました。
若い頃に離婚をしたので娘がお嫁にいくまではと仕事も子育ても必死にやってきたんです
それが…3日ほど前からなんです
(千秋)ただいま。
おかえり。
ああ太一君も?すみません突然。
いえいいのよ。
太一君にも見てもらって感想を聞かせてもらうわ。
(太一)ありがとうございます。
実は来月娘の結婚式が控えていてこの日は髪型を試してみる事になっていました
う〜ん髪飾りはもっと左の方がかわいいんじゃない?え?左?うん。
でもやけに肩が張っている感じがしてなんだかうまくできなかったんです
こんな感じでどう?う〜んちょっとなぁ…。
いいえないと思いますけどそれよりも痛いです。
実は1か月前似たような事がありました。
その日はやけに肩が張ってる感じがして洗濯物が干しづらかったんです。
同じ姿勢でいると腰に痛みもありました
(くしゃみ)千秋〜。
ちょっとこれ干してくれない?
(千秋)大丈夫?風邪でもひいたんじゃないの?
確かに体がダルかったんです
その日の朝運動をすると息が上がって肩や胸が痛みました
(せき)
ただ不思議な事にウォーキングをしている時だけは腰痛が少し楽になった気がしました。
でも結局その日は寝込んでしまいました
いいえ。
寝返りをすると胸や肩は痛いし寝苦しくてあまり寝られませんでした
翌朝も良くならなかったので近所の病院に行きました。
それで先生に肩や胸の痛みの事などお話ししたら一応レントゲンを撮ろうという事になりまして…
えっ!肺に影ですか?分かりますかね〜。
先生は「多分軽い肺炎だから外来で様子を見ましょう」という事でその日は薬をもらって帰ったんです
鎮痛剤と抗生物質です
それで薬を飲んだら胸も肩も腰も痛みがピタッと治まって熱も下がったのでホッとしました
2日後と念のため一週間後にも診てもらいましたが「問題ない」と
そうですか…。
ところで…ええ行きましたけど…。
40日前にタイへ行きました。
嫁に行く娘が感謝の気持ちだって旅行をプレゼントしてくれたんです
おいしいものを食べたりお寺巡りをしたり…。
あとは娘に勧められてタイ式マッサージをしてもらったくらいです
ええなかったと思いますが…。
それでは肩や胸の痛みが強くなったという…
はい
昨日子供さんの髪をカットしている時もだるさはありましたが体の痛みはありませんでした
いつもお世話になっております。
でも娘の婚約者のお母様が来られた時に強い痛みを感じたんです
今日はね久しぶりに高校時代のお友達と銀座で会食をするんですよ。
何時からですか?6時には出たいんですけどお時間大丈夫ですよね?
(久子)たっぷりあるから大丈夫ですよ。
お母様はセットだけのご希望だったので時間には余裕があったんですが右腕を上げる時痛みまして…
もう少し上の方を膨らませて下さい。
はい…。
痛くて体は思うように動かないしおまけに時間ばかりかかってしまうし…
美容師になってこんな事初めてでした
すみません。
今日は何だか…肩や胸が痛くてこれ以上できそうもないんです。
え?困ったわ。
この頭じゃ友達に会えないわ。
どうしましょう。
千秋ちゃんの髪も心配ですわ。
このままでは来月結婚式で娘の髪を結う事もできません。
先生どうにか治して下さい
さあVTR見て頂きましたが。
患者さんの久子さん54歳の来院時のバイタルデータです。
熱は微熱といってもいいのかもしれませんけど日内変動でこれくらい出てもおかしくはないかもしれないです。
あとは脈拍が少し速いかなというところですね。
さあ研修医の皆さん疑われる病名をフリップにお書き下さい。
「海外」という情報は決定的だと思いますね。
また感染症の先生ですからね。
海外に行ったとしても海外じゃない可能性もあるんでしょ?もちろん。
そうですね。
ただのワナかもしれないよね。
(笑い声)私もたまに手上げたら「痛い痛い」とかなったりする時はあるから。
四十肩五十肩はねえ…。
(柴田)そういうプラス肺炎に四十肩五十肩たまたまそうなったとかそういうのでは?何か3つくらい重なってればね。
研修医の皆さん書き終えたようです。
では一斉にフリップをどうぞ。
(玉ちゃん)さあ村上先生から読み上げて下さい。
「結核性胸膜炎」。
(玉ちゃん)寺田先生!「結核感染症」です。
(玉ちゃん)鈴木先生!「結核」です。
「結核」とそろいましたがこれからドクターGと研修医の真剣勝負です。
カンファレンススタート!3人とも皆さん同じ「結核」という事なんですけどじゃあまず「結核」という疾患病気について…では村上先生。
有名なのはせきが出たり呼吸器の肺の症状が主ですけれどもそれ以外にもいろいろ症状がありまして全身がしんどいとか風邪とか肺炎とかと比べて割とゆっくり1か月とかそういう長い単位で起きてくる病気。
これは結核が疑わしいなと思った理由を教えて頂けますか?かなり寝汗をかいていたという事と割と長い40日という経過でくしゃみとかせきもあっていろんな症状があるというところから結核らしいなと思いました。
「胸膜炎」と書いてますが…。
肺を覆っている胸膜という膜に炎症が及ぶと息した時に胸が痛くなるとか痛みの症状が出てくる病気です。
寺田先生はいかがですか?多彩な症状があるという事と胸部X線で異常陰影が認められていた事と抗生物質と鎮痛薬で一見症状が良くなっている事があった事結核に疑わしいものだなと思いました。
鈴木先生は何か他に付け加えで…?胸の痛みは胸膜炎で説明できるかなと思いまして肩が痛いのは胸膜だけの症状ではなくて骨にまで浸潤しているという事も考えられるかなと思いました。
結核菌って何?結核菌ってほんとに不思議な菌でこれだけ医療が発達した時代でもまだこんなにたくさん患者さんがいるような…。
昔は結核ってすごかったけど今もうないんじゃないですか?いえ。
今も結核の方たくさんいらっしゃいます。
知らなかった。
これは結核としては合わないなというところってありますか?村上先生から。
洗濯物干してる時に腰が痛くなったという事なんですけども動かして腰痛いのが良くなるというのは結核の関節炎としてはどうなのかなと。
ウオーキングの時に腰痛がなくなったわけですもんね。
歩いてると痛みが楽になるって言ってましたよね。
寺田先生はいかがですか?通常安静時に痛いと考えていたのですがそうではなさそうなのでその辺りが結核で病気が飛んだらという説明がしづらいと思います。
鈴木先生はいかがですか?結核にしては呼吸器症状が少し乏しいのではないかなという印象があって…。
結核菌というのはそんなに自由自在に飛ぶんですか?そうですね。
結構血流に乗っていろんなところに飛んでいったりとかする事が多いので。
あとリンパに乗ってとかですね。
そこまで飛んでいるとするともっとせきやタンが出ていいんじゃないですか?おっしゃるとおりですね。
多くの場合はどこかに結核を持ってる方は肺結核を一緒に持ってる事が多いですね。
研修医たちが挙げた結核では久子さんの症状と矛盾する点がある。
しかしこの時点で…ここでドクターGは久子さんの来院前日の様子からどんな疾患の可能性があるか改めて考えてみる事にした。
私うちのおじいちゃんが床屋さんだったんですけどこの間までできてたのに急に「イタタタタ」って手が上がらなくなったみたいな事があったんです。
さっきお子さんの時は割と位置下でできてたじゃないですか。
次大人の人をやった途端に「ああ痛い」とかって言うから。
確かに来院前日の久子さんの様子を振り返ってみると子供の髪をカットしている時は普通に仕事はできている。
しかしそのあと大人の髪をセットするために腕を上げた時痛かったと話していた。
この方主訴は何でしたっけ?肩が痛い。
肩と胸のあたりが痛い。
この方動かした時に痛みが「イタタタ」ってなってますよね。
普通に「肩が痛い」という人にどういった疾患を考えますか?私であればリウマチ性多発筋痛症という病気を挙げたいかなと思ってます。
「リウマチ性多発筋痛症」。
なるほど。
原因不明の病気です。
あとは?「肩が痛い」っていうと…。
救急とかに患者さんが来られた場合はまずは心筋梗塞とか緊急の病気がないかというのを除外する必要があると思います。
何の痛みですかね?関連痛といいまして本当は胸が痛いのに肩が痛いというふうに勘違いしてしまう。
他に何か考えるものありますか?皮膚。
どういった疾患を考えますか?帯状疱疹。
そうですねいいですね。
確かに帯状疱疹というと最初に痛みだけ出てきてあとから皮疹が出てくるという事もありますので最初は気付かないという事もありますよね。
胸郭出口症候群などといったように神経が通るところを血管や筋肉などで圧迫される事によって痛みが生じるといった疾患も考えられるとは思います。
胸郭出口症候群は鎖骨と肋骨の隙間を通る神経や血管が圧迫され腕にしびれやだるさ痛みが現れる病気。
肩とか胸のあたりが痛いんです。
カンファレンスでは感染症の結核をはじめ膠原病や心臓疾患などさまざまな病気の可能性が挙げられた。
ちょっとここでこの方の経過を振り返ってみましょうか。
果たして久子さんの経過を振り返る事で病気を探る手がかりは見つかるのだろうか?40日前タイに行った!タイから始まってんだな。
(柴田)タイ怪しいね。
1か月前にちょっとくしゃみが出て風邪っぽくってだるいという事があった。
(柴田)洗濯物干してたら「うっ」って。
来院30日前は胸や肩の痛みと腰痛。
更にせきやくしゃみなどの風邪のような症状と寝汗や微熱だるさといった全身症状が出ている。
そして翌日近所の病院を受診。
レントゲンで肺に影があるのを指摘された。
他に。
3日前肩が張って胸が痛い。
またここで同じような症状が出てきたわけですね。
症状としてはその限りなんですけども30日前から3日前までに症状が続いているわけじゃなくて一度なくなったというのも重要な情報かなと思います。
久子さんの経過を整理してみると来院30日前からの不調は一旦症状が消失。
しかし来院3日前から再び症状が現れているのが分かる。
こうした特異な経過に合致する病気は一体何か?帯状疱疹は急性の経過で1か月以上の経過で変化するような疾患ではないので…。
そうですね。
帯状疱疹に関しては可能性は低いかもしれないですね。
他は?心筋梗塞と言ったんですけども時間の経過的に心筋梗塞だったらこんな長く痛む事は考えにくい。
関連痛だとどうですかね?動いた時に痛むというのがおかしい。
心臓からの関連の痛みだと動いた時に痛くなるというのとはちょっと違う痛みですよね。
他はいかがですか?胸郭出口症候群も肩に限局したような疾患であるので全身症状が出るような疾患としてまず考えるものとしては順位は低いかなと。
どんどん減っていってますが…寺田先生どうぞ。
リウマチ性多発筋痛症も考えづらい理由としては通常両肩で痛みが出てくる事が多いという事と急性は急性ですが2週間程度で痛みが出てくるのでちょっと合わない経過だと思います。
3日くらいで悪くなってるのでもう少しゆっくり悪くなってくるかなという感じですよね。
どんどんなくなっていくな〜。
研修医が挙げた病名は結核以外全て久子さんの経過とは矛盾する事が分かった。
果たして…じゃあこの患者さんのこういう問診を聞いてみたいこういう所見をとりたいとか教えて頂けますか?そうですよね。
前はレントゲンで影があるって言ってましたけど今回もあるかどうか分からないので一応撮ってもいいかもしれないですよね。
他に?じゃあ寺田先生。
…があるかを診たいです。
実際そこのところを触ったり診たりというのが大事ですよね。
総合診療医の方が書いた本を読んだんですよ。
「患者は物語る」というの。
それを読んだら触診がすごい大事だと言ってますね。
おっしゃるとおりですね。
今そういう話にちょっとなってきていますよね。
押してみたらとか。
そこがポイントじゃないかなって。
(玉ちゃん)なるほど〜。
さあ診断を絞り込むためにVTRの続きをご覧頂きます。
ドクタージェネラル!胸の音を聞かせてもらいたいので上着を脱いでもらえますか。
はい。
ちょっと失礼しますね。
心臓の音も呼吸の音も異常ないですね。
先生レントゲンが出来ました。
影は…見当たりませんね。
じっとしてると腰は痛いですけど胸や肩はあまり痛くありません。
胸や肩は…体を動かすと痛いです。
実は仕事柄どうしても肩こりがあるので体をほぐすために家で簡単なヨガをしてるんですが…
(千秋)お母さんこんなのもできないの?え〜だって難しいじゃない。
そう?
そういえば3日前娘の婚約者にマッサージをしてもらったんですが…
ああ…気持ちいいほんと上手ね。
お母さん休みの度にマッサージ行ってるくらいだもんね。
今度から太一にやってもらいなよ。
望むところです。
肩をもんでもらっていた時はよかったんですが…
痛い!すみません。
ポンポンとたたかれた時に強い痛みを感じたんです
同じような強い痛みを感じるときはほかにありましたか?そうですねぇ。
(くしゃみ)
くしゃみをした時痛かったです
(せき)
せきをしても痛む事がありました
はい。
実は3日前からまた腰痛がひどくなった気がするんです。
じっとしてると痛くて痛くて…。
あとこれは職業柄しかたないんですが最近手荒れがひどくてハンドクリームが欠かせなくなりました
そうですか。
では腕を上に上げてもらえますか?左は大丈夫ですね。
右はどうですか?これ以上痛くて無理です。
ここはどうですか?少し痛いです。
ここは?そこも。
ここは?痛いです!痛みは完全に特定されましたね。
場所はね。
ああいう所って何でしょうね。
甲状腺とかリンパとかありますよね。
ピンポイントで押さえて痛がってらっしゃいましたね。
(玉ちゃん)皮膚か筋肉か骨か。
心音とか呼吸音レントゲンも異常なし。
影は消えちゃうものなんですね。
手荒れひどいっていうのどういう事なんだろう?パーマ液で荒れちゃったりとか毛染め液とかねそういうのあるのかなとか思った。
年取ると荒れますよ20代の時よりも全然荒れるもん。
研修医の皆さん病名を書き終えたようです。
最終鑑別フリップオープン。
どうぞ。
じゃあ村上先生からお願いします。
(玉ちゃん)寺田先生は?
(玉ちゃん)鈴木先生。
研修医の病名は3つに分かれた。
村上先生と鈴木先生は最初のカンファレンスで挙げた結核から病名を変えた。
一方寺田先生は結核の可能性を更に強めた。
それでは最終カンファレンススタート。
ではそれぞれ疾患を考えて頂いた理由というのをご説明をして頂きましょうか。
じゃあ寺田先生「肺外結核症」という事で。
一番除外したい…今回の中では結核は除外できていないと思ったので「マストルールアウト」の疾患として鑑別で挙げました。
一番否定しておきたいっていう感じですね。
これだったら困るので早いうちにこれじゃないのを確認しておきたいという意味で。
鈴木先生はいかがですか?今回もう一度身体所見をとっていて心音と呼吸音に異常がないという事から結核の方は否定的かなと思いました。
「多発性筋炎」は腕や太もも首などの筋肉に炎症が起きる膠原病の一種。
女性にやや多く発症し筋力の低下や痛みが現れ肺炎を合併する事もあります。
肩の症状なんですけれどもたたくと痛いとかくしゃみで痛いとかせきすると痛いという事で骨とか筋肉とかそのようなものが原因で起こっている痛みだから動かしたりとか運動によって痛くなっていると考えて全身症状が寝汗とか微熱が続いてるとかそういうような事を考えて膠原病を考えました。
では村上先生。
くしゃみとか動いた時に痛いという事で恐らく痛みとしては筋骨格系筋肉とか骨とかの痛みかなと考えました。
代表的な症状の頭文字を取った病名で多くは胸の関節に炎症を起こしたり「膿疱」と呼ばれる皮膚症状が手や足に現れます。
触診触った時に特に痛がっている部位がここで一番痛がっていたと思うんですけどこれが「SAPHO症候群」で一番起きやすいと言われている場所というのが一つと先ほどのVTRで手が荒れるという事と腰が痛いというのもSAPHOにある症状ではあるのでこれで説明がつくのかなと。
実際に触ってみるというのはすごい情報を得られるんですね。
はっきりとここが痛いってなってましたもんね。
ここでもう一度この方の症状を整理してみましょうか。
ドクターGは2番目のVTRで新たに分かった症状を整理し研修医の挙げた病名が合致するか検証する事にした。
新たに分かった症状は大きく3つ。
(くしゃみ)1つ目のポイントはくしゃみやせきで肩や胸が痛み…。
痛い!たたかれても痛むという特徴。
3日前からまた腰痛がひどくなった気がするんです
2つ目は再び起こった腰痛。
痛いです。
そして3つ目は診察の際特定の部位だけにあった圧痛だ。
まずは最初のポイントである…もんでると痛くないのにたたくと痛いっていうのは…。
そうでしたね。
たたくと痛い…。
鈴木先生多発性筋炎という事ですが多発性筋炎というのは筋肉に炎症が起きる病気ですね。
どうですかね?筋肉に炎症は。
なさそうです。
肩もんでましたよね。
肩もんでて筋肉に炎症があったら「把握痛」とかあってもおかしくないかもしれないですね。
もまれても痛くないんですもんね。
気持ちいい。
肩をもまれても痛くなかったという情報から…この事から鈴木先生が挙げた…2つ目のポイントは3日前から再発した腰痛だ。
寺田先生は「腰が痛い」と言っていたのは?カリエスのような状態でそこから菌が飛んでるという事もありうるのかなと思いました。
椎体炎の事ですね。
(寺田)はい。
寺田先生は久子さんに起きた腰痛を椎体炎と考えた。
腰痛については久子さんは最初のVTRでこうも言っている。
不思議な事にウオーキングをしている時だけは腰痛が少し楽になった気がしました
久子さんの言葉は何を意味するのか。
椎体炎だとして合わないとか椎体炎の症状でこんな事あるのかなみたいな。
ウオーキングで良くなるっていうのが合わないかなって。
「歩くと楽になります」みたいなそんな事ってありますかね?逆に悪くなっちゃう。
椎体炎の時って…。
安静です。
安静にしないと骨がもろくなっているので動くとボキッと折れちゃって潰れちゃいますからもう絶対動いちゃ駄目という感じですよね。
久子さんの様子から腰痛は結核による椎体炎ではないと考えられる。
寺田先生の挙げた…ではあの腰痛は一体何なのか。
動くと楽になってじっとしてると痛いこういう腰痛の事を何というか知ってますか?「炎症性腰痛」という言葉聞いた事ないですか?聞いた事あります。
炎症によって腰痛が起こってる場合にそういうふうに言うんですね。
炎症性腰痛どこでしょう?そうですね。
「仙腸関節」は骨盤内にある仙骨と腸骨との間にある関節の事。
この仙腸関節が炎症を起こすと安静時に痛み動くと楽になるという炎症性腰痛になる事があります。
仙腸関節炎の所見のとり方やった事ありますか?例えばですねここの骨盤両側から押さえてあげると痛い痛みが出るとか逆に開いてあげるとそれでまた痛みが出たりそれで痛みがあるようであれば仙腸関節炎に合致するかなと。
ドクターGは動くと痛みが和らぐという久子さんの言葉を聞いて仙腸関節炎を疑い腰の診察を行っていた。
腰の所見を見てみましょうか。
それでは腰の診察をしていきます。
はい。
こうすると痛いですか?痛いです。
ではこれはどうでしょう?痛いです。
村上先生SAPHO症候群で炎症性腰痛に関してはどうですか?動くとマシになるという点は合うかなと思うんですけど。
そうですね。
SAPHO症候群で仙腸関節炎炎症性腰痛になる事ありますよね。
最後のポイントは診察の際特定の部位だけにあったあの圧痛だ。
村上先生ちなみにここの関節何ていう関節ですか?胸鎖関節。
胸鎖関節を押さえるとかなり痛がってたというVTRもありましたね。
胸鎖関節手を上げるだけで痛かったのはとどのつまり突き詰めるとそこだっていう事ですか?そうですね。
皆さんここを押さえつつ肩を上げてみて下さい。
ここ動いてますよね。
ここに炎症があると肩を上げる時痛いんですよね。
胸鎖関節を押さえた時…。
痛いです。
つまり…症状を一つ一つ検証していくと3つのポイントを全て説明できるのは村上先生のSAPHO症候群だけ。
その時…。
仙腸関節炎症起こすので思いつくといったら「強直性脊椎炎」があるかなと思います。
更に…。
2人は仙腸関節炎を起こすものとして3つの病名を挙げ…「反応性関節炎」は若い男性に多く…「乾癬性関節炎」は肘と膝に…仙腸関節炎を起こすこれら3つの病気は実は…つまり久子さんの肩や腰の症状を説明できるのだ。
村上先生のSAPHO症候群かそれとも鈴木先生と寺田先生が挙げたいずれかの病気なのか。
じゃあどう鑑別するかという事になるとどうでしょう?足の裏をよく見るとプツップツッというようなちょっと皮疹というかそれが「掌蹠膿疱症」みたいかなと思いましてそれもSAPHO症候群の一つの症状。
掌蹠膿疱症はその文字のとおり手のひらと足の裏に膿が溜まった「膿疱」と呼ばれる皮疹が現れる病気でSAPHO症候群の患者に多く見られます。
(柴田)足の裏ブツブツしてましたよね。
ブツブツしてましたね。
気付かれました?鈴木先生。
ごめんなさい。
見逃してました。
じゃあその問題になるようなところ見てみましょう。
これは村上先生が掌蹠膿疱症を疑ったシーン。
確かに久子さんの足の裏には皮膚症状のようなものがある。
(齊藤)よく見逃さなかったね。
(柴田)すごいですね。
これを見るかぎりは掌蹠膿疱症かもしれないというところはありますが何を確認したいですか?そうですね。
もしSAPHO症候群であれば久子さんが手荒れを訴えている事から足の裏に加え手のひらの確認が必要だ。
という事で手の所見を確認するという事ですね。
久子さんちょっと手のひらを見せてもらえますか。
はい。
(齋藤玉ちゃん)あるね。
足の裏も見せてもらえますか。
はい。
(玉ちゃん)ああっ!
(齋藤)うわ〜すごい。
という事でどうでしょう?掌蹠膿疱症。
大体診断はつきましたかね。
それでは最終診断をどうぞ。
(鈴木)せ〜の。
(拍手)という訴えで来院した久子さんの…原因不明で…普通肺炎が起きる事はありませんが久子さんの場合はこの病気の影響でレントゲンに異常が見られたのです。
何で肺炎が起こったのか非常に疑問だったんですけどこの方のCTの画像があるんですがこれですね。
黄色で囲っている所が肺炎の影なんですけど…患者さんは?この方は幸い解熱…消炎鎮痛剤を処方するとスッと症状が良くなって。
じゃお相手のお母さんとの仲も良くなったんですか?そうですね。
無事に結婚式もちゃんと髪整えて。
あ〜よかった。
感染症内科医忽那先生が中心となって立ち上げた勉強会がある。
その目的はただ一つ。
「一人でも多くの患者を救う事」だ。
関東近県から消化器科膠原病科精神科などの若手・中堅医師たちが集まってくる。
そしてそれぞれが実際に体験した珍しい症例や診断が難しかった症例の情報を共有しているのだ。
我々内科医は稀な病気というのもある程度知っておく必要があるかなと思います。
こういうSAPHO症候群という病気って診断されずに日本にたくさんいらっしゃるかもしれません。
そういう患者さんって自分の病気が何なんだろうってすごく不安に思ってると思うんですよね。
不安に思ってる患者さん診断される事で安心するという事もすごくあると思うし診断されてようやく治療をする事ができると。
こういう稀な病気が存在するという事を知識を少しずつ積み重ねていくとそうする事で患者さんの診断が一つ増えていくかもしれない。
ひょっとしたら知らないから見逃してるという事があるかもしれませんからそういう病気も少しずつこれから覚えていって頂ければと思います。
実際にこういうふうに関節を触ってその診察によってきっちり診断するっていう過程を今日初めてお聞きする事ができたので知識と実際の診察の差を埋めれるようにこれからもっと勉強していきたいと思います。
ちょっとしたサインを出すんですね人間っていうのはね。
稀な病気でもそれを知っていれば「足の裏見せて下さい」って言えるわけですからね。
普通診ないところまで診ますよね知っていれば。
疑えばそういう所見を診にいこうと思うので。
最終的に導かれてよかったですよね。
さあ次回はどんなカンファレンスが繰り広げられるのか。
はいさようなら。
どうも皆さんお疲れさまでした。
2015/04/14(火) 14:12〜15:00
NHK総合1・神戸
総合診療医 ドクターGセレクション「肩が痛い、胸のあたりも…」[字]
「肩が痛い、胸のあたりも…」と訴える54歳の女性美容師。カットが思うように出来なくなり、とうとう腕があがらなくなった!五十肩?ドクターGは意外な病気を解明する!
詳細情報
番組内容
女手一つで小さな美容院を経営する54歳の女性。まもなく結婚式を迎える娘の髪を自分で結いたいと夢をふくらませていたが、カットが思うようにできなくなった。肩なのか、胸なのか、痛みが襲う。実は、ひと月前にも同じような症状があり、近くの医院でレントゲンを撮ったところ、胸に影が…。症状はいったん治まったが、とうとう腕が上がらなくなった。ドクターGは的確な問診と身体診察で謎の病気を突き止めた!
出演者
【出演】国立国際医療研究センター医師…忽那賢志,【ゲスト】柴田理恵,齋藤孝,【司会】浅草キッド,【語り】小野寺一歩,佐竹海莉
ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
バラエティ – クイズ
ドキュメンタリー/教養 – 宇宙・科学・医学
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