クローズアップ現代「ついに発見!? 地球外生命に挑む科学者たち」 2015.04.14


この宇宙に地球外生命は存在するのか。
その答えに大きく迫る発見が先月発表されました。
太陽から遠く離れた土星の衛星エンケラドス。
マイナス200度を下回り分厚い氷に閉ざされています。
死の世界と思われていたこの過酷な環境になんと生命の生存を可能とする熱水活動の証拠が初めて見つかりました。
論文を発表したのは世界5か国から集まった科学者たち。
中でも中心的な役割を担ったのが日本人です。
鍵となったのは日本が30年近く前から続けてきた深海での熱水調査。
海で培った経験が宇宙での生命探査において重要な役割を果たしたのです。

今回の発見により現実味を帯び始めた未知なる生命体との遭遇。
その最前線に迫ります。

こんばんは。
「クローズアップ現代」です。
この広い宇宙に地球外生命は存在するのか。
もし存在するとすればどこから手をつけて探し出せばいいのか。
半世紀前、人類はこの謎を解き明かそうと探査を始めました。
生命が存在するとすれば太陽からちょうどよい距離にある生命の星、地球のような惑星に違いないと考え地球に近い金星、そして火星への探査が行われました。
生命が存在するに必要な3つの要素。
熱、水、有機物。
この3つがそろわないといけないと考えられています。
ところが、金星は太陽に近すぎて熱すぎまた火星は、乾ききっていて液体の水は見つかりませんでした。
生命探査は、失望の歴史とさえいわれてきました。
こうした中で先月世界を驚かせるような研究成果が発表されました。
太陽から遠い土星。
地球から太陽系の外に向かって火星、木星、土星となるわけですけれどもその土星の衛星、エンケラドスに生命が存在する可能性があると発表されたのです。
衛星の表面温度はマイナス200度と凍りついているためこれまで生命が存在するとは考えられていませんでした。
これを覆し生命が存在する可能性はどのように見いだされたのか。
研究の中心となってきたのは宇宙ではなく深い海を研究している若い日本人の科学者たちでした。

地球からおよそ13億キロ離れた場所にある土星。
その衛星の一つ、エンケラドスは太陽からあまりに遠いため全体が分厚い氷に覆われています。
長年、生命の生存に必要な熱も水も確認されておらず生命が存在できるとは考えられていませんでした。
ところが、2005年NASAの探査機が不思議な現象の撮影に成功します。
エンケラドスの南極付近から氷の粒子が噴き出していたのです。
その高さは、表面から100キメートル以上にも及んでいました。
画像を解析したキャロリン・ポルコさんです。

ひょっとするとエンケラドスの内部には熱が存在し氷がとけ出しているのではないか。
その証拠を探るためNASAは探査機を噴出物の中に突入させ繰り返し分析を行いました。
その結果、2010年にはシリカという宇宙空間にはほとんど存在しない水晶の成分が見つかりました。
しかし、探査に携わった海外の科学者たちはシリカがどのように出来たのか解き明かすことができません。
そこで重要な役割を果たしたのが日本で深い海の研究を行ってきた科学者たちです。
日本は30年近くにわたり有人潜水艇で熱水調査を続けてきました。
高温、高圧の過酷な環境に多様な生命が息づいていることを明らかにしてきたのです。
その経験を生かしてシリカの謎に挑んだのが関根康人さんと渋谷岳造さんです。
シリカは、深海の熱水のような環境で出来るのではないかと考え再現実験を行うことにしました。
用意したのは、エンケラドスの主要な成分とされる2種類の岩石。
これを圧力容器に入れて高温で熱します。
3年にわたる実験の結果探査機が捉えたのと同じシリカの微粒子を作り出すことに成功。
氷の下には海が存在し海底から100度近い熱水が噴き出していることを実験から証明したのです。
生命に欠かせない熱、水がそろった地球以外の初めての天体となりました。

凍りついていると思われていた天体になぜ、熱水があるのか。
その理由はエンケラドスの外側を回るもう一つの衛星にあります。
エンケラドスは、土星ともう一つの衛星とが一列に並んだときその引力に引っ張られ形が細長くひずみます。
このとき内部では、摩擦が発生し熱が生み出されます。
この熱が氷をとかし表面から噴き出すと考えられているのです。
今回の発見によってエンケラドス以外にも地球外生命が存在する可能性が一気に広がりました。
木星の衛星、エウロパやガニメデでも豊かな水が存在する証拠が見つかっているのです。
先週、NASAは木星や土星の衛星で本格的な生命探査に乗り出すことを宣言しました。

今夜は、生命の起源について研究され、地球外生命の探査にもお詳しい、海洋研究開発機構の高井研さんをお迎えしています。
今のVTRにありましたように、海の研究者、そして宇宙の研究者がコラボしながら、シリカという成分、この水晶の成分がどうやって出来たのか調べていったところ、そこには熱水が地下にはあるということが分かったと。
この発見のインパクトの大きさ、あるいは意義ですね、これを専門家の目から見て、どのように捉えてらっしゃいますか?
NASAの探査機カッシーニというのが、噴出の中を通って、そこに何が噴出しているかというのを調べて、これまでのところ、水、そして塩ですね、有機物っていうようなものが噴出の中にあるということが、いろんな状況証拠、あるいは間接的な証拠で見つかってきたと。
それを噴出させるために、恐らく熱が伝って熱水がないと難しいぞというのは分かっていたんですが、さてさて、その熱水が過去の熱水の残り湯として出てきたのか、あるいは今なお、あのエンケラドスの氷の下で熱水は噴いてて、その勢いで上がってきてるかというのは分かりませんでした。
今回の研究によって、シリカというものを作り出すには、今、熱水があそこで起きていないと、作れないということが分かったので、まず今、エンケラドス、今現在、エンケラドスの氷の下で熱水活動が続いているということが、初めて明らかになりました。
これが大きな一つのインパクトですね。
そうすると、その生き物がいる条件がこれ、そろったということなんですか?
そうですね。
その完全なる証拠が出そろって、熱水が噴いているということが分かったんですが、もう一つ重要な発見というのは、その熱水の特性が、どのような特性を持っているかというところまで迫ることができました。
例えば、論文では、90度以上の熱水が噴いてるに違いないとか、アルカリ性であるとか、あるいは岩石がこうであるとかそういうのが書かれてるんですが実際にあそこに噴いている熱水の性質が非常にこれまでにない精度で明らかになってきたので、実はこういう熱水が噴けば、こういう生物がいるんじゃないかというところまで、われわれは予想することができるようになったと、そういう意味で、今回の発見というのは、非常に大きな成果があったと、意義があったと言えると思います。
どんな生命がいると考えられるんですか?
僕はどちらかというと、いて当たり前だろうと、いるに違いないというタイプなので、あくまで、生命がいるという前提に立って話をしてしまいますけれども、まず生命がいるためには、あの熱水活動が結構長い期間続いてないといけないということを、押さえないといけないんですが、エンケラドスの中で、ああいう熱水活動が、40億年近い歴史の中で、何回も何回も起きて、ずっと続いたと仮定をするならば、われわれのような、大きな生物、目で見えるような生物まではなかなか進化ができないんですが、エンケラドスの内部の熱エネルギーで生きていけるような、もうそれは、地球の、今の地球の深海の熱水の周りにいるような、暗黒の生命たちがいるんですけど、そういう生命とよく似た生命が今なお、エンケラドスの氷の下で生きているという可能性が見えてきたということだと思います。
そうすると、地球が進化する前の状態に近いというふうに思ってもいいんですか?
そうですね。
実は、地球っていうのは、40億年前に海がほとんど出来てからですね、40億年間、熱水が続いてて、その間に生命が誕生して、進化して、そして途中から太陽の光を使えるような生命が出てきてから、地球っていうのは生命によっても変えられてしまっています。
ですので、今の地球に、例えば古い時代の熱水というのはなかなか残っていないんですが、われわれが想像している、非常に古い時代の熱水というのは、実はあのエンケラドスの氷の下で起きている、熱水に近いんじゃないかというふうに考えていて、ある意味、もうわれわれが見ること、直接見ることのできない、古い時代の地球を今、エンケラドスで見ることができるかもしれないし、あるいはわれわれが今、なかなか見えない、非常に古い時代の地球に誕生したような生命体が、あのエンケラドスの氷の下に生きている可能性があると。
今、一生懸命噴き出しているわけですから、早く行ってつかみたくなりますよね、何か。
もちろん。
今、探査計画というのはかなりあるんですか?
いや、現在のところ、本当に行けますよというような探査計画というのは提案は出てるんですけど、まだ本当にちゃんとした議論の場には乗っかっていなくて、われわれとしても、ぜひやりたいと思ってまして、アメリカとか日本からそういう提案が出てるんですけれども、本当にエンケラドスの今回の発見によって、そこに今なお、現在、熱水が噴いていて、そしてそれが支えている生命がいる可能性が非常に強くなったので、今の段階で、エンケラドスというのは、われわれが地球以外の生命を探す、最も可能性の高い。
これは生命がいることが可能性が高いという意味ではなくて、われわれが探すのに、一番適した可能性の高い星ではないかというふうに考えられると思います。
ほかにヨーロッパも。
ヨーロッパ?
ごめんなさい。
ヨーロッパの宇宙機構も、探査の計画がありますよね。
それは木星の衛星に行こうと。
こういった衛星には、熱水があると考えられてるんですか?ほかに、こうした木星にも、衛星がありますけれども。
もちろん、今回はエンケラドスというのは、噴水みたいなものが見えて、実際、熱水が噴いてて、一番熱水があるということが確実視されている衛星ですけれども、そのほかの探査によって、もう少し大きな氷の衛星であるエウロパとか、ガニメデにも、エンケラドスと同様の内部の海というのがあると考えられていまして、確かに宇宙空間に噴出してるのはなかなか確認はできないんですけれども、恐らく同様の、そして少し違った内部の海があるんではないかというふうに考えて、いろんな方々がそこを調査しようという計画を立てています。

地球外生命の探査を各国が計画はしていますけれども、そこで注目されているのが、また日本の技術、まだまだあります。

ヨーロッパを中心に22か国が参加しているESA・欧州宇宙機関です。
実はESAでも地球外生命の発見を目指し7年後をメドに木星に向けて探査機を打ち上げる予定です。
この探査計画で大きな期待を寄せられているのが実は、日本の電波観測の技術です。

起伏に富んだ地形の日本では標高の高さや気象条件などが過酷な環境でも複数の電波システムを組み合わせることで必要な情報だけを送受信する技術が培われてきました。
激しい温度変化が想定される宇宙空間でも、天体からの微弱な電波を正しく受信し精度の高いデータを取ることが不可欠です。
そのため、今回の探査では日本の持ち前の電波技術を生かし天体の表面や大気にある微量の分子を観測。
生命が生息できる環境を探し当てたいと考えています。

探査機に搭載される各国の機器は、実に11種類。
中でもプロジェクトの成否を分けるのが日本の観測機器です。
この性能を落とさずにいかにして軽量化できるか調整が続けられています。
一方で、宇宙空間の微生物を直接採取しようという日本独自のプロジェクトも動きだしています。
生命科学者の山岸明彦さんです。
山岸さんは宇宙空間に漂うちりに注目し、生命の起源に迫ろうと考えています。
これまでの宇宙探査は遠くから天体を観測しデータを解析することが主流でした。
しかし、山岸さんたちは宇宙空間にあるちりを直接採取しその中にある有機物を持ち帰って分析することで生命がどこから来たのかを確かめたいと考えています。

たんぽぽの綿毛のように宇宙空間を漂うちりを採取するその名も、たんぽぽ計画。
しかし、課題があります。
採取する宇宙のちりはピストルの弾よりも速い秒速8キロ。
このスピードの衝撃にも耐えかつ、ちりの微粒子を壊さずに採取できる素材が不可欠です。
この難題を解決したのは全く異なる分野の科学者でした。

こんにちは。
こんにちは。

山岸さんが探し当てたのが千葉大学で物理学を研究する田端誠さんです。
注目したのは田端さんだけが作り出せるというある素材でした。
その不思議な見栄えから凍った煙とも呼ばれるエアロゲル。
体積の9割以上が空気で占められていて極めてクッション機能が高い素材です。
物質の衝突実験を専門的に研究してきた田端さん。
独自の技術を駆使し6年がかりで、2種類のエアロゲルを組み合わせた新素材の開発に成功しました。
宇宙空間を想定した衝突実験を繰り返した結果。
エアロゲルは撃ち込まれた有機物を柔らかく包み込み分子を壊さずに回収できることが裏付けられました。

いよいよあすこのエアロゲルを搭載したロケットが打ち上がる予定です。
山岸さんはこの日本発の技術を将来地球外生命を探査する要にしたいと考えています。

エアロゲル、いよいよあす、打ち上げられるわけですけれども、何を捕まえて帰ってくるか、楽しみですね。
そうですね、宇宙に漂うちりから有機物を見つけたり、あるいはもしかしてひょっこり、宇宙にいる微生物を捕獲できれば、非常に大きな成功になると思います。
本当に、研究者と科学者と技術者、なんか、いろんな分野の人たちがコラボしながら、こうして進んでるんですね。
そうですね、やはり人の行けない所に行って、非常に最先端のことをやろうとすると、いろんな技術、いろんな分野の研究者の力を結集してやらないと、なかなか達成できないので、そういう意味では、本当に最先端のことをやろうとするわれわれのこの宇宙探査というのは、そういうコラボレーションで成り立っているなというのが、分かっていただけるかなと思います。
地球外生命いるかいないか、本当に今、それを直接、採取して、調べられるような時代になってきた。
生命の起源をずっと研究されてきて、今、どんな思い、何を、どんなことが分かるということを期待してますか?
そうですね。
まず、地球外生命を見つけることっていうのは、もう科学の、2600年のこの歴史を持つ科学の究極のゴールの一つであるということなんですが、実はこれはゴールではなくて、これから実は、われわれがどうしてこの地球に生まれたかというところまで探っていく、いわば急がば回れの近道なんですね。
そういう意味では、宇宙に生命を見つけることもすごく重要なことなんですけど、それによって、われわれがこの地球でどのように誕生したのかというところに迫れるんじゃないかと思います。
一つ言うならば、もし同じ宇宙で同じ生命のシステムが同時に誕生していたならば…。
例えば土星の衛星、木星の衛星、それぞれでいたとしたら?
もし同じだったら、われわれのシステムっていうのは、ある意味、必然のプロセス。
ところが、もし、われわれがこの太陽系で別々の生命が誕生していたならば。
プロセスが違っていたら?
違っていたら、実は宇宙で生命が存在する、誕生するシステムにも多様性があって、その中で、それぞれの環境に適した生命が選択されたという、シナリオが見えてくる。
そうすれば、われわれがどのようにこの地球で誕生したかというところにまで、われわれは迫ることができるんではないかなという気がします。
全く新しい時代が始まろうとしてますね。
それがもうこの10年以内に誕生するんじゃないかというのが、すごくわくわくしますね。
2015/04/14(火) 01:00〜01:26
NHK総合1・神戸
クローズアップ現代「ついに発見!? 地球外生命に挑む科学者たち」[字][再]

土星の惑星エンケラドスで発見された熱水活動。地球外生命発見の可能性を大きく広げた。日本人チームの研究を支えた技術とは?生命の起源に迫る宇宙探査の最前線を取材。

詳細情報
番組内容
【ゲスト】海洋研究開発機構 深海・地殻内生物圏研究分野…高井研,【キャスター】国谷裕子
出演者
【ゲスト】海洋研究開発機構 深海・地殻内生物圏研究分野…高井研,【キャスター】国谷裕子

ジャンル :
ニュース/報道 – 特集・ドキュメント
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事

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