8きょうの健康 ひざ人工関節 徹底解説「手術する? しない?」 2015.04.13


(テーマ音楽)「きょうの健康」です。
テレビをご覧の皆さんの中にはひざが痛いと悩んでいる方たくさんいらっしゃると思います。
今日明日の2日間はひざの痛みに対する治療法の一つひざ人工関節について詳しくお伝えします。
お話し頂きますのは高知大学教授の池内昌彦さんです。
整形外科特にひざの治療がご専門です。
どうぞよろしくお願い致します。
よろしくお願い致します。
それでは突然ですけれども桜井さんこちら人工関節です。
どうぞ手に取ってみて下さい。
これがひざの。
重いんですね。
結構重いですね。
そして金属なんですね?初めて見ました。
こんなものが体に入ります。
ひざの痛みのある方は1,000万人もいるといわれておりまして本当にたくさんの方が悩んでいらっしゃいます。
治療と致しましては運動とか薬手術などがありますけれどもこの人工関節の手術はひどいひざの痛みもとってしまう非常に優れた治療法なんですね。
たくさんの方が今この人工関節手術を受けておられます。
ただしひざの痛みがあっても手術する必要がないケースもたくさんあります。
そこで今日はですねこちら「手術する?しない?」というテーマでお話をしたいと思います。
お願い致します。
それでは今日の人工ひざ関節手術のポイントですがまず「痛みは○○から」。
次に「年齢の目安」。
最後に「手術の効果」についてお話をしたいと思います。
まずひざの痛みについてですが桜井さんひざって何をしていると思いますか?とにかく立ったり座ったり歩いたり行動の要といいましょうか…。
そうですね足の要ですね。
ひざっていうのはですね体を支えるという意味でも非常に重要なものなんですね。
「支える」はい。
我々ふだん日常生活で歩きますよね。
平地を歩くだけで片方のひざには2倍とか3倍体重の2倍も3倍もの力がかかってるといわれております。
歩くだけでですか?そうですね。
これがですね階段の上り下りこれになりますとそれ以上の力がかかっています。
過酷な労働をしてくれている訳ですね。
こういった大きな力をできるだけ和らげるためにひざにはクッション衝撃吸収剤というものがあります。
こちらの模型で説明させて頂きます。
こちらひざの模型ですけれどもここにありますのが青いのがひざ関節の軟骨です。
この軟骨はひざを滑らかに動かすという役割とそして衝撃を吸収するという役割があります。
この関節の軟骨と軟骨の間には半月板といわれるこれも軟骨の一種ですけれどもこういうものがあります。
まさに半月の形をしてるんですね。
こういう形で。
これも衝撃を吸収する役割があります。
そして忘れてはならないのはこのひざ関節の周りにある筋肉ですね。
この筋肉は歩く時の着地の時に衝撃力を吸収してくれる。
そういう役割を持っています。
こういったクッションだとか衝撃吸収剤の働きが悪くなりますとひざが痛くなるという事ですね。
どうしてそのクッションが悪くなるんですか?人間は生きている限り歩きますね。
年を取ればひざはずっと歩いて使う訳です。
そうしますとこの関節軟骨はすり減りやすい状況になります。
そこに体重が増えて肥満になったりしますとこの軟骨がすり減ってくる訳ですね。
また筋肉なんかが痩せてきますとこの軟骨がどんどんすり減ってこういう状態になります。
この関節軟骨のかけらこれが関節の周りにある膜ここには神経が通っているんですがここに炎症を引き起こします。
この炎症が原因になって立ち上がったり歩いたりする時に痛みが出る。
これが変形性ひざ関節症という病気です。
そこで初めのポイントの答えはこちらです。
「痛みは軟骨の減りから」という事ですね。
今日のお話は手術するかしないかという事なんですがではその軟骨が減ったら手術のポイントなんでしょうか?一般的には軟骨がすり減ってすぐに手術をするという訳ではありません。
まず手術以外の方法を考えます。
こちらにありますのは手術以外の方法で薬運動装具とありますね。
薬といいますのは一般的には痛みを止める作用のある薬炎症を止める作用のある薬を使います。
そして装具といわれるものはいくつかありますけれども代表的なものはこちらにあります。
これは靴の中敷き足底板といわれるものですね。
これよく見て頂きますとかかとの外側の部分が厚くなって高くなっているんですね。
こういうものを靴の中敷きとして使いますと体重のかかり方が変化してひざへの負担が軽くなるというものですね。
それは病院で処方してもらえるんですか?これは病院で処方して頂けます。
そして最も重要なのはこちらにあります運動療法ですね。
これはひざ関節の曲げ伸ばしストレッチングそしてひざの周りの筋力を鍛える筋力訓練こういったものが中心になってきます。
こういった保存的な治療法を組み合わせる事で多くの方は症状が改善します。
一般的には数か月半年くらいはこういった保存治療をしっかりとやるという事が重要だと思います。
なるほど。
そして運動も非常に効果があるんですね。
運動は非常に効果がありますね。
それも半年ぐらい…。
続けなければという事。
続けなければいけません。
でもこの保存的な治療法でもなかなか難しいという場合もありますよね?そういう方もいらっしゃいます。
特に軟骨がすり減ってなくなってしまいますと保存的治療の効果があまり期待できなくなってくるんですね。
残った軟骨が更にすり減りますとこの軟骨の下にある土台ですねこの白く見えます骨。
骨ですね?骨がむき出しになるんですね。
軟骨には神経は通っていませんけれども骨には神経が通っているんですね。
こういった神経の通った骨がガツガツゴツゴツ当たると。
これで非常に強い痛みが出るという事です。
こういう状況になりますと耐え難い痛みになりますし手術を考える一つのタイミングであるという事が言えると思います。
軟骨がなくなったといいましょうかねそれはどういうふうにして判断するんですか?一般的にはX線で分かります。
こちらがX線検査の画像ですね。
骨と骨の間の隙間を見て頂きますときれいに隙間が空いているのがお分かりかと思います。
これが軟骨です。
隙間があるように見えた方がいい訳ですね?そうですね。
これが軟骨ですね。
こちらが変形性関節症の方の写真でこちらを見て頂きます。
骨と骨がくっついていますね。
隙間がないという状況です。
これは軟骨がない状態というふうに判断されます。
そうしますとその軟骨がなくなったとそれは手術をするポイントという事になりますか?軟骨がないというのが人工関節手術を受ける一つのポイントだと思います。
一つのポイント?そうですね。
やはり軟骨がなくなっても痛みがない方って結構いらっしゃるんですね。
そうなんですね。
ですから軟骨がないという事ともう一つ先ほどお話ししました保存治療があまり効果がなくて痛みが強い。
この2つの事が組み合わさりますと手術の目安という事が言えるかと思います。
でもよく骨は再生すると聞いた事があるんですが軟骨の場合は再生はしないんですか?骨はおっしゃるとおり再生するんですけれども軟骨は一般に再生しません。
しないんですねなるほど。
そこで一旦軟骨がなくなってしまいますとこのような人工関節という治療が必要になってくるんですね。
この人工関節は関節骨のここの部分を削って金属製の人工関節を入れます。
そしてこの金属と金属の間にはポリエチレンでできた人工軟骨がこのように入ります。
白い所ですね。
そして骨と骨がぶつからなくて滑らかに動くようになる。
これが人工関節手術です。
随分滑らかに動きますけど。
そうですね。
この人工関節も最近のものはいわゆるひざの屈伸運動だけではなくて人間の体のひざ関節の動きに似せたような動きをするんですね。
このタイプの人工関節ですとこのようにひねり動作まであるという事でより人間のひざ関節に近い動きをしてくれるという事ですね。
これが最近の人工関節です。
それにしても一度手術をした場合ですねずっとそれは長くもつものなんですか?比較的長くもちまして一般的には20年くらいもつといわれております。
もちろん個人差はありますけど20年くらいはもつという事ですね。
次のポイントにも関係する訳なんですけれどもやはり一回入れた人工関節は生涯にわたって使いたいという皆さんそういう思いがあると思います。
そういう意味で年齢の目安ですが…。
2番目の。
次のスライドをお願いします。
これが手術を考える年齢の目安というふうな事が言えます。
この年齢よりも若い時に軟骨がなくなってしまった場合やむをえず人工関節手術を受けて頂く事もありますけれど将来的に入れ直しをしないといけないという事が…。
20年という事ですとね。
そうするとやはり一生涯1回の手術で終わりたいという事でこれぐらいの年齢になってくる訳ですね。
でもあれですよねどうして6065がいいかというと高齢になってくると手術もなかなか難しくなってくるという事になりますか?ご高齢になってきますとやはり体のほかの部分に併発症が起こってきますし人工関節を挿入する骨自体も骨粗しょう症になってきてもろくなってくるんですね。
ですからやはり手術のタイミングというのはあると思いますね。
ベストは60から65歳以上?そうですね平均的には70代ぐらいの方が一番多く手術を受けられております。
気になるのはですね手術をしたら本当によくなるんでしょうかと。
それが一番気になるところで。
そちらが最後のポイントです。
手術の効果という事です。
次のスライドお願いします。
この人工関節手術はひどい痛みでも痛みをとる可能性が高いという事ですね。
特にとれる痛みというのもいくつかありまして歩くときの痛みというのが改善する可能性が高いですね。
ほかにひざの屈伸するときの痛みだとか…。
屈伸もできるんですね。
ですね。
じっとしてるときの痛みだとかいう事もありますけどまず初めにとれる痛みがこういうような痛みです。
そして次に旅行を楽しんだり軽いスポーツ運動を楽しむっていう事も可能になる事が多くなってまいります。
最後にですね足がまっすぐになるという事ですけれども多くの患者さんはO脚で足が曲がってますよね。
この足がまっすぐになりますので足がきれいになったとか姿勢が伸びたと喜んで頂ける方もいっぱいいらっしゃいます。
伺ってるといい事ずくめのように思うんですが何か心配な事ってないんですか?いい事ずくめのように聞こえますけれどもやはり手術に伴ってこういう危険性というのも知っておかないといけないと思います。
こちらには代表的な合併症を挙げておりますけれどまず初めに細菌感染。
傷口からばい菌が入って人工関節で繁殖して化膿するという事ですね。
次に出血をしますので貧血が進んでしまう。
最後に血管のつまりこれは血栓というものが血管の中でできるというものですね。
そういう危険性がありながらもでも一応終わりました。
手術後の注意点というのがあるんでしょうか?そうですね。
術後にもいろいろと注意をしなければならない事があります。
まずは手術を受けられる方は和式の生活というのが既に難しくなっている方がいらっしゃるかと思いますが術後もやはり和式よりは洋式の生活をして頂くと。
このようにベッドを使ったり椅子を中心とした生活をして頂くという事ですね。
次にですねひざに負担をかけ過ぎないようにという事で適正な体重を維持するという事も重要だと思います。
最後に「感染症に注意」とありますがこれはですね術後何年たってもこの感染症というのはいつも注意をしておかなければいけません。
といいますのはひざ以外の体の離れた部位例えば手だとか足だとかそういう所に傷を作って化膿しますとその菌が血の巡りに乗って人工関節にたどりついてそこで繁殖して化膿してしまう事もあるんですね。
ですから痛んだり腫れたりした場合にはすぐに病院へ行くという事が重要です。
どうでしょう?すぐに元の暮らしに戻れるんでしょうか?そうですね手術を受けられるとすぐによくなるというふうに思われている方いらっしゃいますけれども人工関節がなじむまでに少し時間がかかります。
一般的には3か月程度かかるという事ですね。
その間はリハビリを頑張って頂かないといけないんですけど目標を持ってですね旅行を楽しみたいとか軽い運動をしたいとかそういう目標に向けてリハビリを頑張って頂きたいと思います。
ありがとうございました。
いずれにしても本当に自分自身がどういう状況かとそういう事をある程度きっちり考えそして先生にも相談をしてという事が大事になってまいりますか?そうですね自分のひざの状態をしっかりと診て頂くと。
そして今後どういう事をして頂きたいという事を相談して手術を受けるという事ですね。
ありがとうございました。
2015/04/13(月) 20:30〜20:45
NHKEテレ1大阪
きょうの健康 ひざ人工関節 徹底解説「手術する? しない?」[解][字]

傷んだ「ひざ関節」を人工関節に置き換える手術は、痛みの改善に効果があると言われている。手術のタイミングや、どういう人にこの手術が適しているか、詳しく解説する。

詳細情報
番組内容
ひざに痛みがある人は1000万人いると言われている。治療法には、運動・薬・手術などがあるが、ひざ関節の軟骨がすり減り、強い痛みがある場合は、傷んだ関節を人工関節に置き換える手術が適している。この手術を行うと、特に歩くときの痛みの改善に効果がある。しかし、運動・薬などの治療法を十分行うことや、手術を受ける年齢など、タイミングの見極めが大切だ。どういう人にこの手術が適しているか、専門家が詳しく解説。
出演者
【講師】高知大学教授…池内昌彦,【キャスター】桜井洋子

ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
福祉 – 高齢者
趣味/教育 – 生涯教育・資格

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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