集団的自衛権:行使は「存立危機事態」 与党協議を再開

毎日新聞 2015年04月14日 11時45分(最終更新 04月14日 12時13分)

 自民、公明両党は14日午前、安全保障法制整備に関する与党協議会を再開した。政府は、日本の存立が脅かされるなど集団的自衛権の行使が可能となる事態を「存立危機事態」として新設する方針など、関連法案の全体像を提示した。協議会では今後、自衛隊を海外派遣する際の国会の事前承認などの歯止めなどについて詰めの協議を行い、今月末までのとりまとめを目指す。

 自民党の高村正彦副総裁は、協議会の冒頭で「5月中旬には法案提出の方向で進んでいる」と述べた。

 集団的自衛権の行使を巡っては、政府は昨年7月の閣議決定で、(1)密接な関係にある他国への武力攻撃が発生し、日本の存立が脅かされ、国民の生命などの権利が根底から覆される明白な危険がある(2)国民を守るために他に適当な手段がない(3)必要最小限度の実力行使−−の新3要件を定めた。政府が14日に提示した全体像では、新3要件を満たす事態を「存立危機事態」とし、武力行使が可能な事態を定義する武力攻撃事態法を改正して盛り込む方針を示した。

 また、他国軍を後方支援するため、随時自衛隊を海外派遣する新たな恒久法の名称を「国際平和支援法」とするとした。

 朝鮮半島有事などの日本の周辺有事の際に、米軍を後方支援するための現行の周辺事態法も大幅改正し、法律名を「重要影響事態安全確保法」(重要影響事態法)とする方針を示した。事実上、地理的制約とされてきた「周辺概念」を撤廃し、「日本に重要な影響を与える事態」と政府が判断すれば、自衛隊は世界中どこでも後方支援が可能となる。米軍以外の他国軍隊の支援も可能とし、弾薬提供など支援メニューも拡大する。

 公明党は、自衛隊の派遣要件について、(1)国際法上の正当性(国連決議)(2)国会の関与など民主的な統制(国会承認)(3)自衛隊員の安全確保−−を安保関連法案で担保するよう求めており、今後の与党協議会では条文にどこまで具体的に反映できるかが焦点となる。

 公明党は国会の関与を高めるため、国際平和支援法にもとづいて自衛隊を海外派遣する際には例外なく国会の事前承認を必要とする規定を同法に盛り込むよう求めている。自民党は、国会閉会中などは事後承認とすると主張している。【飼手勇介、宮島寛】

◆政府が示した安保法制の全体像(骨子)

・「存立危機事態」で集団的自衛権の行使を容認

・周辺事態法を「重要影響事態安全確保法」に改正

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