集団的自衛権:新3要件満たす事態を「存立危機事態」
毎日新聞 2015年04月14日 21時34分
◇安保法制整備の与党協議会を再開 政府が全体像示す
自民、公明両党は14日、安全保障法制整備に関する与党協議会を再開した。政府は安保関連法案の全体像を示し、日本の存立が脅かされるなど集団的自衛権の行使が可能となる事態を「存立危機事態」として新設する方針を示した。協議会は今後、自衛隊を海外派遣する際の国会の事前承認をはじめとする歯止めなどを巡る詰めの協議を行い、今月末までのとりまとめを目指す。
自民党の高村正彦副総裁は、協議会で「5月中旬には法案提出の方向で進んでいる」と述べた。
集団的自衛権の行使を巡っては、政府は昨年7月の閣議決定で、(1)密接な関係にある他国への武力攻撃が発生し、日本の存立が脅かされ、国民の生命などの権利が根底から覆される明白な危険がある(2)国民を守るために他に適当な手段がない(3)必要最小限度の実力行使−−の新3要件を定めた。政府が14日に提示した全体像では、新3要件を満たす事態を「存立危機事態」とし、武力行使が可能な事態を定義する武力攻撃事態法を改正して盛り込む方針を示した。
また、他国軍を後方支援するため、随時自衛隊を海外派遣する新たな恒久法の名称を「国際平和支援法」とした。朝鮮半島有事などの日本の周辺有事に事実上限定してきた周辺事態法を改正し、法律名を「重要影響事態安全確保法」(重要影響事態法)として、米軍以外の他国軍の後方支援も可能とする方針も示した。
国際平和支援法を巡っては、政府が迅速な派遣を可能とするため、国会閉会中などは事後承認としたい考えなのに対し、公明党は14日の協議会で、例外なく国会の事前承認を必要とするよう求めた。
一方、政府は協議会で、国連平和維持活動(PKO)などでの治安維持任務や在外邦人を救出するための武器使用について、任務遂行のための威嚇射撃は認める一方、相手に危害を与える武器使用は「正当防衛・緊急避難」に限定する方針を提示した。また、武力攻撃に至らない「グレーゾーン事態」で自衛隊の迅速な対応を可能とするため、(1)外国軍艦が日本の領海に侵入した場合(2)武装集団による不法上陸(3)公海での民間船舶が武装集団に襲われた場合−−で、特に緊急な判断が必要な場合は電話による閣議決定を可能とした。【飼手勇介、青木純】