住宅街出没:激増ハクビシン 被害に泣く横浜市

毎日新聞 2015年04月15日 10時43分(最終更新 04月15日 18時04分)

市街地でも出没しているハクビシン
市街地でも出没しているハクビシン

 ジャコウネコ科のハクビシンが民家にすみつくなどの被害が、神奈川県内全域に広がっている。山林が近い地域だけでなく、近年は市街地の住宅街にも出没。いったいどこにどれほど生息しているのか−−。自治体も実態を把握できずにいる。

 ハクビシンは夜行性で木登りが得意。果物が好物だが、雑食で何でも食べる。寝床は複数あり、転々と移動するという。県内では農作物の被害のほか、民家の屋根裏にすみついて排せつ物をため込んだり、ペットのエサを食べたりする被害が広がっている。

 県によると、県内のハクビシン捕獲数は2000年度は4頭だったが、年々増加し、10年度以降は1000頭を超える状態が続いている。

 特に多いのが横浜市。14年度の捕獲数は約250頭に上り、10年前の約5倍に膨らんだ。同市から駆除を委託されている駆除業者「明誠」(横浜市戸塚区)によると、天敵がいない▽1頭が1年で3、4頭出産するなど繁殖力が高い−−などが増加の要因という。同社スタッフは「裏山があるような家だけでなく、近年は住宅が密集している地域でも出てきている」と話す。

 ハクビシンは鳥獣保護法で捕獲が原則禁じられているが、生活環境に被害を与えている場合などに限り、自治体が捕獲許可を出せる。同市は天井裏にハクビシンがすみつくなどの被害があるケースについて、捕獲オリを貸し出している。

 被害は広がっているものの、生息実態は不明のまま。県の担当者は「生息数や分布は正確に把握できないが、『何とかしてくれ』という住民の声が増えているのは確か。市町村の対策を支援していきたい」と話す。【宇多川はるか】

 <ハクビシン>体長約1メートル、体重3〜4キロ。額から鼻先にかけて通る白い筋が特徴で、名前の由来にもなっている。環境省によると、東南アジアや中国などに多く分布し、外来種とされる。一方で、江戸時代に国内にいたという文献もあり、在来種という説もある。人間の移動や物流が盛んになり始めた明治時代以降に海外から持ち込まれた生物について対応する外来生物法の指定からは外れている。

 ◇ハクビシンを寄せ付けない工夫

・換気口や戸袋など、侵入口になる隙間(すきま)をふさぐ。

・ペットフードの残りや、採取し残した果物を放置しない。

・池には網を設置し、鳥小屋などは金網を丈夫にして鍵をかける。

・煙の出るタイプの殺虫剤をたいて追い出す。

※横浜市による

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