韓国と日本が安保関連協議を相次いで開催、関係改善模索のための「二重路線」が本格化したとの見方が出ている。
韓日両国は14日、ソウル市内で李相徳(イ・サンドク)外交部(省に相当)北東アジア局長と伊原純一外務省アジア大洋州局長を首席代表とする安保政策対話を開いた。両国の外交・国防当局者が2+2形式で安保について話し合ったのは2009年12月以来、5年ぶりだ。この対話で日本側は安保法制整備のほか、日米防衛協力の指針(ガイドライン)改正の際、韓国の主権を尊重するという考えを明らかにしたとのことだ。集団的自衛権行使に対する韓国側の懸念をある程度解消しようとする意図があるものと見られる。
参加者によると、日本側は韓日国防相会談の早期開催を提案したが、韓国側は「慎重に検討する」と答えたとのことだ。米ワシントンでは16日、韓米日3カ国外交次官会談が開かれる。これとは別に16・17日に3カ国の国防次官補が出席する「防衛実務者協議(DDT)」がワシントンで予定されている。1週間のうちに日本と集中的に安保協議をするのは非常に異例のことだ。
検察が同日、朴槿恵(パク・クンヘ)大統領の名誉を毀損(きそん)したとして起訴され、裁判中の加藤達也産経新聞前ソウル支局長の出国禁止措置を解除したのも、韓日間の安保関連協議が今週相次いで開かれているのと関係があると外交筋では見ている。これについて外交部は「法務部は出入国管理法など関連規定に基づき出国停止措置を解除したと聞いている。韓日関係とは無関係な事案だ」と述べた。加藤前支局長の出国禁止措置解除に「外交的考慮」は反映されていないという意味だ。検察も「純然たる独自の判断だ」と話している。
しかし、これについては政府が歴史認識問題・領土問題と安保・経済問題を切り離して対応する「二重戦略」を本格化させたいという考えから、「加藤氏出国禁止措置の解除」という切り札を使ったとの見方が有力だ。韓日関係改善のために多角的方策が検討されている中、負担の要因となっている「加藤問題」を取り除こうとした面が強い。外交消息筋は「加藤氏に出国を許可したことで、韓国政府は日本に関係改善に前向きなサインを送った」と話す。
韓国政府の「二重戦略」基調が本格化したのは、米国の圧力の影響もあるという。ある外交筋は「中国に対し、韓米日三角安保協力体制を強化しようとしている米国はこのほど、韓日両国に『確執を最小限に抑え、安保協力を強化しよう』とのメッセージを送った」と語った。