米アマゾン・ドット・コムが配達に使う計画を打ち出すなど、軍事用に登場した無人小型飛行機(ドローン)を民間で活用する動きが拡大している。そのために必要な「最大積載量」と「バッテリー容量」の二つの課題に挑戦しているのが、2014年に米国で「トップフライト・テクノロジーズ(トップフライト)」というベンチャー企業を設立したマサチューセッツ工科大学(MIT)出身のロング・ファン最高経営責任者(CEO)兼CTOだ。ブームとなるはるか前から約20年にわたって研究してきた「ドローンオタク」は「約2時間半の飛行時間を可能にしており、人も運べるドローンも3年以内に開発して投入する」と意気込む。
――ロングさんは約20年前からドローンを研究開発している、この分野の第一人者と聞いています。
MIT時代に学生や研究者として、ロボット工学やセンサー技術など多岐にわたる視点からドローンについて研究し知識を蓄積してきました。いってみれば、僕は「ドローンオタク」。ドローンを使って、人々の生活上の課題をどのように解決できるかばかりをずっと考えています。
トップフライトを設立したのは、大学の世界を出ないと、僕の考えていることを実現するのはなかなか難しいと判断したからです。アカデミックな議論から脱して「アイデア」という原点に立ち返ろうと、MITの仲間5人を集めて会社を立ち上げました。トップフライトで、僕自身は経営を率いながら、技術開発を統括します。オフィスは、ボストン近郊に置いて、今もMITと密に連携しながら事業を軌道に乗せようとしています。
■2時間半の長時間飛行が可能
――ドローンの民間活用で課題となっているのは「最大積載量」と「バッテリー容量」の二つです。現時点で、ほとんどのメーカーの製品が最長飛行時間は30分程度と短いと聞きます。これらの課題をどのように解決するのでしょうか。
私たちのドローンは、まさにバッテリー技術が強みだと自負しています。ハイブリッドカーのように燃料と電気の両方を採用することでバッテリー性能を向上。今のところ、およそ2時間半と、民間用ドローン分野では世界一を誇る飛行時間を可能にしています。今後は、それをさらに伸ばすほか、人を運ぶことができるよう、モーターの強化などによって最大積載量を高めたい。
――ドローンが人を運ぶ? まるでドラえもんのようですね。
その通りです。
冗談はさておき、ドローンで人を運ぶことができるようになれば、活用シーンが大きく広がると捉えています。例えば、地震や津波で道路が寸断され救急車が通れなくなったときにドローンでけが人を病院に運んだり、ヘリコプターではアクセスしづらい山奥で倒れた人をドローンに乗せて救済したりといった、いろいろな場面が考えられます。もちろん、そのための技術としてはまだ初期段階なだけでなく、これからドローンの「交通ルール」などを整備する必要も出てくるでしょう。ですが、当社としては3年以内に、人を運ぶドローンを開発し、将来のビジネスとして展開したいと考えています。
マサチューセッツ工科大学、アマゾン・ドット・コム、ドローン、トップフライト
米アマゾン・ドット・コムが配達に使う計画を打ち出すなど、軍事用に登場した無人小型飛行機(ドローン)を民間で活用する動きが拡大している。そのために必要な「最大積載量」と「バッテリー容量」の二つの課題に…続き (4/15)
今、世界のものづくりが大きく変わろうとしている。最新の生産技術や加工技術、生産方式などを導入し、従来にない造り方をする工場が世界で続々と誕生しているからだ。キーワードは「フレキシブル」。生産数量や納…続き (4/15)
各種サービスの説明をご覧ください。
・日本精工、視覚障がい者向けロボ、手を引き案内
・スマートバリュー、車両の運行状況を遠隔管理
・日本郵船、既存コンテナ船を改造、燃費効率向上
・アサヒペン、サビの上からも鉄を塗装
・日通、海上ドバイ直航便…続き