EUがグーグルを標的にする5分野 Emmanuel Dunand/Agence France-Presse/Getty Images
デジタル革命に取り残されたと感じ、製造業や自動車分野でシリコンバレーに出遅れることを恐れる欧州の当局は「全てのデジタル企業に公平な競争環境」を作るためとして、あらゆる方面で立法措置に動いている。欧州連合(EU)は主な標的であるグーグルに対し、次の5つの分野で挑もうとしている。
1:独占禁止
EUの執行機関である欧州委員会のベステアー委員(競争政策担当)は、グーグルがEU競争法(独禁法)に違反したとして同社を正式に訴える方針を固めた。他社はグーグルが検索アルゴリズムを操作して自前のサービスを不当に優先していると主張している。こうした行為は「検索バイアス」と呼ばれる。グーグルはこの件をめぐる法廷闘争の結果、巨額の制裁金を科されかねない。現行の独禁調査が飛び火し、グーグルのモバイル端末向け無償基本ソフト(OS)「アンドロイド」の管理方法も問題視される可能性がある。
2:税制
グーグルをはじめとするシリコンバレーのハイテク大手は、納税額を大きく引き下げるような財務の仕組みを使っているとして批判を浴びている。EUは、域内に単一のデジタル市場を構築する新構想の一環として米ハイテク企業への課税を検討している。英政府は多国籍企業の租税回避を阻む目的で25%の新税を導入する方針だ。地元メディアはこれを「グーグル税」と呼ぶ。
3:忘れられる権利
EU司法裁判所の2014年5月の判断を受けて、欧州市民は自分についての古い情報や不適切な情報の削除をグーグルに求められるようになった。グーグルはこの判断に猛反発する一方で、情報を削除する仕組みを導入した。EUはこの判断をグーグルに全世界で順守させたい意向だ。
4:著作権
スペインはこのほど、国内発行人の記事にグーグルがリンクを貼ることに料金を課そうとした。グーグルは支払いを拒み、スペインのニュースサービスを打ち切った。ドイツは地元紙の記事の抜粋の掲載についてグーグルは料金を支払うべきだとの見方を示した。だがグーグルは、トラフィックの8割を失ったメディア側が申し立てを取り下げるまで、単に抜粋の表示をやめた。
5:情報保護
米国家安全保障局(NSA)のスノーデン元契約職員の情報暴露事件におののいたEUは、欧州に進出している米国企業による個人情報の取り扱いを劇変させるような法案の仕上げに入っている。この法律は、各国の現行プライバシー関連法の寄せ集めに置きかわるものになる見通しだ。欧州当局はEUが米国と交わした情報保護の原則に関する枠組み協定を破棄することも検討している。このセーフハーバー協定は、欧州の顧客が生み出した情報の収集を米国企業に認めている。
原文(英語):5 Ways Europe Is Gunning for Google