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産経新聞前支局長 韓国出国禁止を解除
4月14日 16時42分

産経新聞前支局長 韓国出国禁止を解除
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韓国政府は、パク・クネ(朴槿恵)大統領の名誉を傷つけたとして裁判が進められている産経新聞の加藤達也、前ソウル支局長に対して取ってきた出国禁止措置を14日解除し、前支局長は14日にも帰国する見通しです。
産経新聞の加藤前ソウル支局長は、自社のウェブサイトに掲載したコラムで、去年4月に起きた旅客船沈没事故の当日、パク・クネ大統領が一時、所在不明になっていたと伝えた韓国紙を引用するとともに、大統領が元秘書の男性と一緒にいた可能性を示唆して大統領の名誉を傷つけたとして、インターネットを使って名誉を毀損した罪に問われています。
加藤前支局長は去年8月から韓国政府によって出国禁止の措置を受けており、東京本社への異動が発令されたあとも帰国できない状態が続いていました。産経新聞によりますと、ソウル中央地方検察庁から14日弁護士に連絡があり、現在の出国禁止措置が15日期限を迎えるのを前に、14日づけで解除することを決めたと伝えられたということで、これを受けて前支局長は14日にも帰国する見通しです。
加藤前支局長への出国禁止措置はこれまで8回にわたって延長され日本政府が重ねて懸念を示していたほか、先週には、韓国に駐在する外国人記者で作る団体もパク大統領に書簡を送って憂慮を表明していました。韓国政府が出国禁止措置の解除を決めた背景には、安倍総理大臣の訪米を前にアメリカ政府も憂慮を示していたこの問題を一段落させておきたいという思惑があったとみられます。

外務省幹部「当然のことだ」

外務省幹部は記者団に対し、「日本政府として、韓国側に、あらゆるレベルで懸念を伝えてきたことが実を結んだということではないか。マイナスだったものがゼロに戻っただけであり、出国禁止措置の解除は当然のことだ」と述べました。

韓国側 出国禁止解除の理由は

事件を担当しているソウル中央地検によりますと、出国禁止は期限の15日を前に14日付けで解除したということです。
解除の理由については「加藤前支局長本人と産経新聞が、これからの裁判に必ず本人が出席するという誓約書を提出しているうえ、裁判の重要な争点についての審理が終わっており、出国禁止の必要性がある程度解消された。また、家族のことなど人道的な点も考慮するなど総合的に判断し、法務省に出国停止の解除を要請し法務省が解除を決定した」と説明しています。
また、出国禁止措置の解除について、産経新聞社の小林毅東京編集局長は「前支局長の移動の自由がようやく回復されたことは大変喜ばしい」とするコメントを発表しました。そして、「名誉毀損罪に問われている裁判はなお継続している。これは重大な言論の自由の侵害であり、一刻も早い起訴の取り下げを求める」として、さらなる韓国政府の対応を求めました。

産経前支局長「1つの節目」

産経新聞の加藤前支局長は帰国を前にキンポ(金浦)空港で取材に応じました。この中で、加藤前支局長は出国禁止措置の解除については14日朝、弁護士から連絡を受けたとしたうえで、「ホッとしたということではなく、1つの節目という気持ちがした」と連絡を受けた際の感想を話しました。
そして、「日本に帰って仕事に戻り家族や友人などに会えるという点は率直に喜びたい。出国禁止措置が解けたことで心理的な圧迫感は相当に取り除かれたと思っている」と述べました。また、家族については「妻から『よかったですね、気をつけて帰ってきてください』と言われた」と話していました。
一方、裁判については「裁判で主張していかねばならなかったが、国柄や法制度、常識の違いもあり、かみ合わない思いを抱え、出国も禁じられ、重苦しい気持ちで過ごしてきた。今後もこれまでどおり、無罪を主張していきたい」と話していました。

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