社説

【社説】学校司書配置 役割、広く理解すべきだ

  • 神奈川新聞
  • 公開:2015/04/14 12:06 更新:2015/04/14 12:07
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 学校司書を法的に位置付け、配置を努力義務とした改正学校図書館法が今月、施行された。

 これまで法的な根拠がなかった学校司書は、法で配置が定められた司書教諭と協力し、学校図書館の仕事を支えてきた。

 学校司書を配置したことで子どもの読書欲が刺激され、貸出冊数が大幅に増えたケースも報告されている。努力義務ではあるが、児童や生徒、教諭の要望に応え、改正法の施行を機に各自治体での導入が大いに進むことを期待したい。

 文部科学省はこれまでも学校図書館の役割を重視して整備を進めてきた。今、学校図書館は「読書センター」の機能だけではなく「学習センター」や「情報センター」としての機能も求められている。

 本の管理、調べ学習の手助け、教諭が授業で使う資料の準備、読み聞かせなど、学びの場で学校司書が担う仕事は多岐にわたる。

 教育委員会などが主導する形で、専門性を向上させるための体系的な研修制度を整備する必要もあるだろう。司書教諭と学校司書に任せるだけではなく、すべての教諭たちが積極的に図書館を利用する姿勢を持ちたい。

 保護者や地域のお年寄りに読み聞かせボランティアを担ってもらうなど、多方面からの参加を促す試みも期待できる。学校図書館の運営に関して校長も積極的にリーダーシップを示していくべきだろう。

 国は2012年から、使途を特定せずに交付する地方財政措置で、図書の整備に加え、学校司書の配置を促している。しかし、措置を活用して実際にどれだけの予算を計上するかは自治体首長の判断次第。そのために学校司書の配置や図書整備は自治体によって大きな差が出ている現状がある。

 横浜市ではおととし10月から非常勤特別職として学校司書の採用を始めており、16年度までに市立学校全500校での導入を目指している。配置後に貸出数が大幅に増えたという好例が出ている。

 子どもたちの知的な好奇心を刺激し、未知なる世界への扉の前にいざなう。学校司書の役割をしっかりと理解し、学びの場での有用性を広く知ってもらうことが大事である。

 いつでも開かれ、いつでも司書がいる図書館。教室以外での子どもたちの心の居場所となるはずだ。

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