<アシアナ機事故>低空で進入か、アンテナに接触
毎日新聞 4月15日(水)11時26分配信
広島空港(広島県三原市)で韓国・仁川発広島行きアシアナ航空162便(エアバスA320)が着陸の際に滑走路から外れた事故で、同機は左側水平尾翼の折損に加え、左右の主翼や左側主脚が壊れ、胴体後部の下側にこすったような痕跡があることが国土交通省への取材で分かった。国交省は15日、負傷者の数を乗客25人、乗員2人の計27人と発表。重傷者はいないという。同省によると、アシアナ機は進入する航空機に電波を発射して誘導する「ローカライザーアンテナ」(着陸誘導用アンテナ、高さ6.4メートル)に接触。アンテナは滑走路の東端から325メートル離れていることから、かなり低い高度で空港に進入したとみられる。
【旅客機と接触して壊れた着陸誘導用アンテナ】
国交省運輸安全委員会は15日午後にも航空事故調査官5人を派遣し、原因の本格究明に乗り出す。広島県警は同日午前に捜査本部を設置し、現場検証を開始。運輸安全委と合同で調べを進め、業務上過失致傷容疑などでの立件を視野に入れて捜査する。原因究明のポイントとなる事故機の進入時の高度については、低空でレーダーでは捕捉できないため、機体の損傷状況の確認やパイロットら関係者への聴取に加え、フライトレコーダー(飛行記録装置)とボイスレコーダー(音声記録装置)の記録の分析などを進める。
国交省によると、乗客73人と乗員8人が乗ったアシアナ機は14日午後8時5分ごろ、電波の誘導を使わず、滑走路の東側から西に向かって着陸を試みた。アンテナと接触した後で滑走路を西に進んだが、途中で左(南方向)にそれ、180度近く回転。滑走路中央付近の南側に停止した。
台地上にある広島空港は地形的に霧が発生しやすく、最も精度の高い「カテゴリー3」と呼ばれる計器着陸システム(ILS)が配備されている。空港周辺は東から風が吹くことが多く、旅客機は通常、向かい風となる西側から着陸するため、ILSも西側からの進入だけに対応している。事故当時、風は北西方向から吹いており、アシアナ機は向かい風となる東側から空港に進入した。ILSは東側からの着陸には対応していなかった。
同機は左側の水平尾翼が中央部分で折れ、なくなっていることが14日夜の時点で分かっていたが、新たに擦過でできたとみられる胴体後部下側の痕跡や、機体左側のエンジンカバーの破損などが見つかった。国交省は機体を大修理する必要が生じることから「航空事故」に該当すると判断している。
国交省は14日、乗客の数を74人としていたが、15日に73人と訂正。日本人46人の他、中国人9人、韓国人8人など計9カ国の乗客がいた。【高橋咲子、高橋一隆、佐藤賢二郎】
最終更新:4月15日(水)12時36分
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