関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)と大飯原発3、4号機(同県おおい町)の再稼働差し止めを福井県の住民らが求めた仮処分で、先行して審尋を終結した高浜3、4号機について、福井地裁が14日に決定を出すことが9日、関電や住民側弁護団への取材で分かった。
仮処分の決定は即効性があり、住民側の申し立てが認められた場合、司法判断で原発を稼働させない全国初のケースとなる。
仮処分では、住民側は関電が想定する基準地震動(耐震設計の目安となる地震の揺れ)の策定手法に欠陥があるなどと主張。再稼働すれば過酷事故につながる危険性があり、周辺住民の人格権を侵害する恐れがあるとしている。
関電側は「地震や津波などに対する安全対策を十分に行っている」と反論。万が一、事故が起きても放射性物質の流出は確実に防止できるなどとして、却下を求めている。
3月11日に開かれた第2回審尋で、樋口英明裁判長は高浜3、4号機について「判断する機は熟している」として審理を終結、早期決定の方針を示していた。
樋口裁判長は昨年5月、大飯3、4号機の運転差し止めを認めた福井地裁判決を出している。
関電側が名古屋高裁金沢支部に即時抗告している担当裁判官3人の交代を求めた忌避については、9日時点で関電側に結果は届いていない。住民側は、決定の期日が決まったことで忌避の即時抗告は棄却されたとみている。
高浜3、4号機は原子力規制委員会が2月、安全対策が新規制基準に適合するとして事実上の審査合格を決めた。再稼働に向けた地元同意手続きでは、高浜町議会が3月に同意。高浜町長の判断や県議会の議論の行方、知事の判断に注目が集まっている。