蔵王で「空振計」が故障、噴火を把握できぬ恐れ
読売新聞 4月15日(水)7時30分配信
小規模噴火が懸念される蔵王山(宮城・山形県境、1841メートル)で、噴火の瞬間を捉えるために気象庁が設置した観測機器「空振(くうしん)計」が今月4日から故障していたことが14日、分かった。
気象庁は「近く代替機を設置し、故障前と同じ精度での観測体制の復旧を目指す」と話している。
空振計は空気の振動を監視し、噴火の際の衝撃波を捉える。空振計がないと、天候によっては噴火を早期に把握できず、航空機への警戒の呼びかけが遅れるなどの支障が出る可能性がある。
気象庁は2010年9月に御釜(おかま)の南西約5キロ・メートルの地点に空振計を1台設置。通信回線を通じて監視していたが、担当職員が今月4日、空振計のデータが通常よりも極端に小さくなるなどの異常に気づいた。遠隔操作で復旧を試みたが、成功せず、13日に現場で故障を確認した。原因は不明という。
気象庁は13日、蔵王山の火口域の周囲約1・2キロ・メートルを警戒範囲に指定する「火口周辺警報」を発表した。地震計などのデータを活用しており、空振計の故障は影響しなかったという。
戦後最悪の噴火災害となった昨年9月の御嶽山(おんたけさん)噴火でも、長野県が設置した地震計2基が故障していたことが判明し、火山観測体制の弱さが明らかになっていた。
最終更新:4月15日(水)7時30分