(cache) 株価2万円超え、これってバブルなの? | THE PAGE(ザ・ページ)

 日経平均株価が先週、とうとう2万円のカベを突破しました。2万円台を回復するのは、2000年4月以来、約15年ぶりとなります。自動車など製造業を中心に企業の業績は好調ですから、株価水準について割高と考える市場関係者は少数派です。しかし上昇のペースについては警戒する声が上がっているようです。

[写真]2000年4月以来15年ぶり。一時2万円台を回復した東証(写真:田中庸介/アフロ)

 今回の株価上昇は安倍内閣が成立する直前の2012年8月頃からスタートし現在も継続していますが、約32カ月で株価は2.3倍に上昇しています。前回の株価上昇局面は小泉改革とリーマンショック前の米国好景気を背景としたものでしたが、50カ月で約2.3倍ですから、今回の株価上昇は前回の1.5倍のペースになっていることが分かります。実は今回の株価上昇スピードは、バブル経済がピークとなり、その後、株価が大暴落する1987年12月から1989年12月までの上昇スピードとほぼ同じです。つまりバブル末期と同じペースで株価が上がっているわけです。このため、一部の市場関係者は、今の株価はバブルなのではないかと警戒しています。

 一方でそれほど心配する必要はないという見方もあります。その理由の一つはバブル経済当時の日本と今の日本では株式市場の環境が異なっていることです。一般に市場に厚みがあり、参加者が多いほど株価のブレ(ボラティリティ)は少なくなります。相対的に見て、当時の日本経済の存在感は大きく、本来市場が持っているボラティリティは今よりも低いと考えられていました。その中で、あれだけのハイペースで上昇したわけですから、まさに株価はバブルだったわけです。

 現在の日本市場は、もはやグローバルな主要市場とはみなされておらず、アジアのローカル・マーケットに過ぎません。日本市場に参加しているのは、短期的な利ざや稼ぎを狙った海外の投資家が中心です。どちらかというと日本は先進国型ではなく、途上国型の株式市場となっており、こうした市場のボラティティは高く、株価は乱高下するのが常です。そう考えると、今回の上昇スピードが特別なものであるかはまた別問題ということになります。

 もうひとつの理由は、歴史的に相場の動きは、株価水準よりも期間の方に法則性があるという点です。過去のケースを見ますと、一旦上昇相場が始まると、数年間はそれが継続することが多くなっています。今回の相場がホンモノであるならば、株価の上昇がさらに続いてもおかしくないという解釈が成立します。実際、バブル相場の時は、説明不能な水準まで株価が上昇しても、相場はなかなか終わりませんでした。現在の株価はまだ説明できる水準ですから、バブルとまではいかないでしょう。

 もっとも、日本市場のローカル化によって株価上昇スピードが上がっているのであれば、今後、さらに株価が上昇する可能性もある一方、短期的には大きな下落が発生するリスクもあります。長期的には株価は適正水準に落ち着くはずですが、短期売買を考える投資家にとっては、慎重な見極めが必要かもしれません。

(The Capital Tribune Japan)

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