(2015年4月14日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
スコットランドのファスレーン海軍基地に停泊するトライデント・ミサイルを搭載した潜水艦〔AFPBB News〕
英国の選挙戦で先週、核兵器の問題が飛び出した。保守党のマイケル・ファロン国防相が、もし労働党政権が誕生したら英国の核抑止力である潜水艦発射弾道ミサイル「トライデント」の更新への支出を拒むことで「英国の背中を刺す」かもしれないという刺激的な発言をしたのだ。
ファロン氏の発言は1980年代の主題の再演だった。
つまり、労働党は防衛問題が不得手で核兵器について定見を持たないというレッテルを保守党が貼り付けるのに成功した時代のテーマだ。
しかし、英国の軍事力の勇猛果敢な守護者を気取ることを今日の保守党に認めるべきではない。ファロン氏の発言とは裏腹に、現政権は労働党政権が始めた路線を踏襲して防衛力の劇的な縮小を差配してきたからだ。
どんどん縮小する英国軍
英国陸軍の規模はわずか8万2000人に縮小される予定だ。これはナポレオン戦争以降では最低の水準だ。現在の連立政権で国防省閣外相を務めていたニック・ハービィ氏(自由民主党)によれば、次の議会で防衛費がさらに削減されれば陸軍の規模はわずか6万人に縮小される可能性もあるという。
また、1977年には駆逐艦やフリゲートを計70隻擁した海軍も、同19隻に縮小されている。これでは、1982年のフォークランド戦争で英国が必要とした規模の部隊を編成することはもうできないかもしれない。