「原油、食料を除いた指標に注目し、それを1%くらいの緩やかなインフレに持っていくことが妥当だと思う。物価ばかりを気にする必要はない」 *1
──17年4月からの消費税再増税には、賛成との立場か。
「どちらかといえば、そうだ。私自身は、これからは間接税である消費税を重んじる代わりに、法人税を大幅に安くした方がいいという考え。
日銀の2%の物価目標については、「こだわる必要はない。無理に2%に持っていく必要はない」とした上で、変動しやすいエネルギーの影響を除くためコアコアCPI(生鮮食品とエネルギーを除く消費者物価)を目標にすべきだとの持論を展開し、目安として1%程度を挙げた。
2年前の発言と比べてみます。
デフレ期待がこれだけ定着してしまった現在、個人的には、世界の有力経済学者の言うように、インフレ目標はそれより高く3%でもいいのではないかと思います。
中途半端なのは、目標値が二パーセントでなく一パーセントだというところだ。これではバレンタインデーの「ギフト」というより、「義理チョコ」だというのが第一印象だった。
リフレ派が「転向者」をどのように総括するのか楽しみです。
ところで、
一九九八年に新日本銀行法が施行されて以降、次章でも示すように、日本経済は世界各国のなかでほとんど最悪といっていいマクロ経済のパフォーマンスを続けてきた。主な原因は、日本銀行の金融政策が、過去一五年あまり、デフレや超円高をもたらすような緊縮政策を続けてきたからだ。
との認識でしたが、不良債権処理が最終局面を迎えた2002年を基準にすると、日本の1人当たり実質GDPは米独と遜色ないパフォーマンスを示しています。そもそも、事実認識に問題があります。
事実認識として正しいのは、1ドル=120円の円相場が「かなり円安」であることです。これは実質実効為替レートの長期推移や外国人観光客の激増からも裏付けられます。
長年赤字続きだった旅行収支が、ついに黒字化しています。「日本大安売り」の成果です。
これほどの円安にもかかわらず、輸出企業が設備投資や賃上げに慎重なことが、日本経済の好循環を阻んでいます。
賃金抑制&円安で日本人の購買力を低下させながら、外人観光客に破格の大安売りで恩恵を与え続けるとは、本末転倒に思えます。
- 作者: 浜田宏一,若田部昌澄,勝間和代
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*1:強調は引用者、以下同。