(2015年4月14日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
急進左派連合(SYRIZA)を率いるアレクシス・チプラス首相〔AFPBB News〕
急進左派連合(SYRIZA)政権の考えについて説明を受けた関係者らによると、ギリシャは今、4月末までに債権国・機関との合意が成立しなければ債務デフォルトを宣言するという劇的な措置を講じる準備を進めている。
公的部門の給料と公的年金を払うための資金が急速に枯渇しつつあるギリシャ政府は、合意がまとまらない場合、5月と6月に期限を迎える国際通貨基金(IMF)への25億ユーロの債務返済を留保することを決めたという。
「もう万策尽きた・・・もし欧州諸国が救済資金を拠出しなければ、(デフォルトする以外に)選択肢はない」とある政府関係者は語った。
ギリシャがデフォルトすれば、同国が総額2450億ユーロに上る欧州連合(EU)とIMFの2度の救済の最初の金融支援を受け取ったわずか5年後に、創設16年の欧州通貨同盟に前代未聞のショックを与えることになる。
国庫が空っぽになりつつある現実が浮き彫り
差し迫ったデフォルトの警告は、債権者から最も緩い条件を引き出そうとするギリシャ政府の狙いを反映した交渉戦術かもしれないが、たとえそうだったにせよ、国庫が急速に空っぽになりつつある現実を浮き彫りにした。
ギリシャのデフォルトの見通しについては、そのプロ意識を欠く交渉戦術と対立的な発言に苛立つ他の欧州諸国政府も緊急時対応策を策定し始めた。
短期的には、デフォルトはほぼ間違いなく、ギリシャの金融セクターに対する欧州中央銀行(ECB)の緊急流動性支援の停止とギリシャの銀行の閉鎖、資本規制、広範な経済不安を招くだろう。
デフォルトしたからと言ってギリシャが自動的にユーロ圏離脱を余儀なくされるわけではない。だが、アレクシス・チプラス首相にとっては、19カ国のユーロ圏内にギリシャをとどめるという目標――同氏とSYRIZAが1月の選挙で掲げた政策要綱の一部――の達成がかなり困難になるだろう。