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iPSでがん免疫細胞、大量培養し治療…理研と千葉大
理化学研究所と千葉大病院の研究チームが、iPS細胞(人工多能性幹細胞)から作った特殊な免疫細胞を使い、がん患者を治療する臨床研究を計画していることが13日わかった。
今年度内に千葉大の審査委員会に計画を申請し、同大と厚生労働省による審査を経て、2018年度までに1例目の治療を始めたい考えだ。
計画では、がん患者本人または第三者から血液の細胞を採取し、iPS細胞に変化させて大量に培養した後、NKT細胞という免疫細胞に変化させ、がんの近くに投与する。NKT細胞には、がんを攻撃する免疫を活性化する働きがある。
治療の対象は、鼻やのどなどのがんが再発し、治療が難しい患者を想定している。がんに対する効果や安全性を調べた上で、肺がんなど、他のがんに臨床研究を広げる可能性も探る。
血液細胞を患者から採取するか、免疫の型が近い第三者に提供してもらうかは、今後検討する。第三者の細胞を使う場合、事前に細胞の安全性を確認でき、患者の選定から2週間程度で治療を始められるという。
免疫を活性化させてがんを攻撃する免疫療法は国内で行われているが、進行がんの患者は全身の免疫機能が低くなり、がんを根治することは難しかった。
千葉大はNKT細胞をがん患者から採取して増やす免疫療法を行っているが、患者から得られるNKT細胞の数が少ないため、効果は限られていた。iPS細胞からNKT細胞を培養する技術はほぼ確立しており、NKT細胞を患者に大量に投与することで、効果を上げるのが狙いだ。
NKT細胞 血液のリンパ球の一種。自らがんを攻撃する能力があるほか、他の免疫細胞を活性化し、がんと闘わせる司令塔としての機能もある。リンパ球の中に0.1%程度しか存在しない。
(2015年4月14日 読売新聞)
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