iPS細胞:安全な移植へ、腫瘍化防ぐ薬 産総研など開発
毎日新聞 2015年04月10日 01時21分(最終更新 04月10日 13時05分)
産業技術総合研究所(茨城県つくば市)と和光純薬工業(大阪市)のチームが、そのまま移植すると腫瘍化する可能性がある人工多能性幹細胞(iPS細胞)や胚性幹細胞(ES細胞)を、移植用に作り出した細胞から取り除く薬を開発したと発表した。産総研の舘野浩章主任研究員は「再生医療に使う移植用細胞の純度を高めるために役立つ」と話す。
あらゆる細胞に変化し、再生医療に役立つと期待されるiPS細胞とES細胞は、目的の細胞を作製する際、元のiPS、ES細胞が一部残ることがある。iPS細胞などが混ざったまま移植するとそれらが無秩序に増殖して腫瘍になる恐れがあるため、取り除く技術が求められていた。
チームは、ヒトiPS、ES細胞の表面にある糖鎖に着目。この糖鎖と結合するたんぱく質と細胞を殺す毒素を組み合わせた薬を開発した。細胞を培養する際、培養液に薬を加えると、他の細胞に影響を与えることなく、約24時間で元のiPS、ES細胞をほぼ完全に死滅させることができたという。今月半ばからサンプルの配布を始め、7月から発売する予定。【相良美成】