【北京=山田周平】中国の李克強首相は14日、北京の人民大会堂で河野洋平元衆院議長が会長を務める日本国際貿易促進協会の訪中団と会談した。李首相は3月末で創設メンバーの受け付けを締め切ったアジアインフラ投資銀行(AIIB)について「後から参加した国が発言権を得られないわけではない」と述べ、日本の参加に期待を示した。
李首相は河野氏の質問に答える形でAIIBに触れ「アジア開発銀行(ADB)の歴史と経験も学びたい」と表明。「ある国が他の国をのみ込むことはない」と説明した。
日中関係をめぐっては「ここ2年間において中日関係は困難な状況に直面したが、双方ともに改善する意思を持っている」と語り、改善への意欲を見せた。「中日の戦略的互恵関係を前に向けて推進したい」とも強調した。
歴史問題では「(従軍慰安婦問題を巡る1993年の)河野談話は(95年の)村山談話とともに、日本政府が歴史を正しく認識する基本的な原則精神になった」と話した。安倍晋三首相が夏に出す戦後70年談話で歴史認識が後退することをけん制した発言だ。
会談には沖縄県の翁長雄志知事も同席し、李首相と中国と沖縄の経済交流について意見交換した。会談は約1時間で、日本側から約70人参加した。
日中友好7団体の一つである同協会は例年4月に訪中団を送っている。中国側は尖閣諸島の国有化などを巡り日中関係が悪化した2014年まで2年間、対外経済関係を担当する汪洋副首相が対応していた。
今回は日中関係が改善してきたことを反映し、格上げした。李氏が13年3月の首相就任後、日本の大型の経済訪中団と会談するのは初めて。
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