【現地ルポ】トヨタ、円安と技術力で復活

 元町工場で採用している「新鋼板加工法」もその一つだ。従来自動車用鋼板は大きなオーブンに入れて加熱して加工するが、新加工法は鋼板に電流を流した上でたたいて成形し、冷却する方式だ。牟田弘文専務は「これは日本刀を作る際の技法だ。これまでの方法よりも機械の大きさを3分の1に縮小し、強度はむしろ高まった」と説明した。

 収益性の向上を図るため、12年からはドイツのフォルクスワーゲン式のモジュールシステムも受け入れた。トヨタ関係者は「一つのプラットフォームで複数の車種を生産できるモジュールシステムで生産コストを最大30%削減した」と語った。

■企業文化を変え中国など攻略

 保守的な企業文化も変えた。これまでトヨタではデザイナーが型破りなデザインを示すと、エンジニアが「これは作れない」とアイデアをつぶしてしまった。しかし、最近はそういうことはなくなった。革新重視のムードが広がり、インクリメンタル成形などの加工技術が生まれた。09年に現代自動車が発想を転換したデザインの「YFソナタ」を発売したことも影響を与えた。

 トヨタは最近の活況をきっかけとして、世界攻略を強化する戦略だ。今月初めには1500億円を投じ、中国・広州に年10万台、メキシコに年20万台の現地工場を建設し、それぞれ18年、19年に稼働を開始することを決めた。08年から7年間で国内外工場の建設コストを40%以上削減したトヨタが拡張に転換したことになる。

 インド、ブラジルなど新興市場だけでなく、反日感情が根強い中国の攻略も急ぐ。業界関係者は「トヨタ内部では中国市場を逃せば、販売台数ベースでの世界1位の座を維持できないという切迫感がある」と話した。韓国産業研究院(KIET)のイ・ハング上級研究委員は「技術と価格、デザインで武装した日本メーカーに対抗するため、現代・起亜自動車は研究開発投資を増やすべきだ」と指摘した。

豊田(日本愛知県)=李恵云(イ・ヘウン)記者
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