韓国:産経前ソウル支局長、出国禁止を解除

毎日新聞 2015年04月14日 11時35分(最終更新 04月14日 18時16分)

 ◇公判出席の約束受け

 【ソウル米村耕一】韓国政府は14日、コラムで韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領の名誉を毀損(きそん)したとして在宅起訴された産経新聞の加藤達也前ソウル支局長(48)に対する出国禁止措置を解除した。ソウル中央地検が明らかにした。出国禁止措置は昨年8月7日から8カ月以上続いていたが、加藤前支局長は14日午後の便で帰国する予定。

 出国禁止措置は、これまで8回延長され、現在の出国禁止措置の期限は15日だった。ソウル中央地検は「これまでに出国禁止措置の必要性がある程度解消されたと判断し、法務省に解除を要請した」としている。

 さらに、ソウル中央地検は加藤前支局長が公判に出席すると約束し、産経新聞も出席を保証するとしていることや、加藤前支局長の母親が病気であることなども人道面で配慮したと明らかにした。「検察が提出した証拠資料に対する調査および重要争点の整理が完了したため」と強調している。

 産経新聞は今月7日の紙面で、起訴の取り下げと出国禁止措置の解除を求めるとともに、加藤前支局長の公判への出廷を会社として保証するとしていた。

 また、3月30日の公判で裁判長が「(加藤前支局長がコラムで書いた)うわさの内容は虚偽」としたことについて、産経新聞は「その見解に異を唱えるつもりはない」との前支局長の手記を掲載した。

 日本政府は加藤前支局長に対する出国禁止措置の早期解除をたびたび要求。3月21日にソウルで開催された日韓外相会談でも岸田文雄外相が解決に向けた努力を求めていた。ソウル駐在の外国メディアでつくる「ソウル外信記者クラブ」も9日、出国禁止措置の解除などを求め、朴大統領に書簡を送っていた。

 産経新聞の小林毅・東京編集局長の話 前ソウル支局長の移動の自由がようやく回復されたことは大変喜ばしい。一方で、名誉毀損罪に問われている裁判はなお継続している。これは重大な言論の自由の侵害であり、一刻も早い起訴の取り下げを求める。

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