村上さん、私の話も聞いてください。
主人とは学生時代に知り合いました。
主人はハッキリ言ってイケメンでもなく、いい会社に務めている訳ではありませんが、当時、他のどの男性よりも私の事を好きだと言ってくれる男性でした。
女性は愛される方が幸せになれると聞いたことがあるので、私は主人と結婚しました。
7年経った今、仲は悪くはないのですが、全く「好き」といってくれなくなりました。「私のこと好き?」と聞くと「そうでもない」と返ってきます。
好き好き言ってくれるから結婚したのに。騙された気分です。
どうしたら、昔の主人に戻ってくれるでしょうか。
(あらり、女性、38歳、パート主婦)
「そうでもない」というのはなかなか味わい深い回答ですね。結婚して七年経って、そのあいだに結婚生活について、何かと見直しのようなものがあったのでしょうね。どういう見直しであったのか、ぐいぐいと追及なさっても面白いかもしれませんが、追及しないでそのまま適当に放っておいてもいいような気もします。「それほどでもない」というレベルでぼちぼちやっていくのも、一つの人生のあり方かもしれません。愛情75パーセントくらいでまあいいんじゃないですか? 100パーセントはけっこう疲れます。「そうでもない」というのはたぶん、「多少の経年劣化はあったけど、ま、これくらいでいいんじゃない」みたいなご主人の正直な意思表示ではないかと、僕は推測しますが。
村上春樹拝