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産経新聞前ソウル支局長が帰国の途に4月14日 17時56分
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韓国政府は、パク・クネ(朴槿恵)大統領の名誉を傷つけたとして裁判が進められている産経新聞の加藤達也前ソウル支局長に対して取ってきた出国禁止の措置を14日解除し、前支局長は14日夕方帰国の途につきました。
産経新聞の加藤前ソウル支局長は、自社のウェブサイトに掲載したコラムで、去年4月に起きた旅客船沈没事故の当日、パク・クネ大統領が一時、所在不明になっていたと伝えた韓国紙を引用するとともに、大統領が元秘書の男性と一緒にいた可能性を示唆して大統領の名誉を傷つけたとして、インターネットを使って名誉を毀損した罪に問われています。
事件を担当しているソウル中央地検は14日、「加藤前支局長本人と産経新聞が、これからの裁判に必ず本人が出席するという誓約書を提出しているうえ、裁判の重要な争点についての審理が終わっており、出国禁止の必要性がある程度解消された」として、去年8月から取ってきた出国禁止措置を14日付けて解除したと明らかにしました。
これを受けて、加藤前支局長はキンポ空港で羽田空港行きの旅客機に搭乗し、14日夕方、帰国の途につきました。キンポ空港で取材に応じた加藤前支局長は「家族や友人などに会える点は率直に喜びたい。心理的な圧迫感は相当に取り除かれた。裁判では、引き続き無罪を主張していく」と話しました。
出国禁止措置は、これまで8回にわたって延長され、日本政府が重ねて懸念を示していたほか、先週には、韓国に駐在する外国人記者で作る団体もパク大統領に書簡を送って憂慮を表明していました。韓国政府が解除を決めた背景には、アメリカも憂慮を示しているこの問題を安倍総理大臣の訪米を前に一段落させておきたいという思惑もあったとみられます。
事件を担当しているソウル中央地検は14日、「加藤前支局長本人と産経新聞が、これからの裁判に必ず本人が出席するという誓約書を提出しているうえ、裁判の重要な争点についての審理が終わっており、出国禁止の必要性がある程度解消された」として、去年8月から取ってきた出国禁止措置を14日付けて解除したと明らかにしました。
これを受けて、加藤前支局長はキンポ空港で羽田空港行きの旅客機に搭乗し、14日夕方、帰国の途につきました。キンポ空港で取材に応じた加藤前支局長は「家族や友人などに会える点は率直に喜びたい。心理的な圧迫感は相当に取り除かれた。裁判では、引き続き無罪を主張していく」と話しました。
出国禁止措置は、これまで8回にわたって延長され、日本政府が重ねて懸念を示していたほか、先週には、韓国に駐在する外国人記者で作る団体もパク大統領に書簡を送って憂慮を表明していました。韓国政府が解除を決めた背景には、アメリカも憂慮を示しているこの問題を安倍総理大臣の訪米を前に一段落させておきたいという思惑もあったとみられます。
官房長官「当然のこと」
菅官房長官は午後の記者会見で、「これまで政府は、韓国政府に対して、さまざまな形で何回となく懸念を伝達し、適切に対応すべきであるということを申し入れてきた。今回の措置は、わが国からすれば当然のことだ。ひとまずはよかったのかなという思いだ」と述べました。そのうえで、菅官房長官は「まだ公判を継続しているということなので、政府としては、さまざまな機会に韓国側に適切な対応を求めていきたい」と述べました。
外相「当然だがよかった」
岸田外務大臣は、訪問先のドイツで記者団に対し、「政府として、さまざまな場面やルートで働きかけを続けてきた。今回、ようやく解除にいたったのは、当然のことだと思っているが、出国できたことはよかった。ただ、裁判は続いており、政府としては、引き続き、韓国側に、わが国の立場や考え方をしっかりと伝えていかなければならない」と述べました。
韓国検察「被告は遺憾を表明」
ソウル中央地方検察庁は、加藤前ソウル支局長への出国禁止措置を解除した理由について韓国メディアにコメントを出し、この中で、「重要な争点についての整理が終わった」としたうえで、裁判所側がコラムの内容が虚偽だと判断したことを指摘しています。さらに、「被告も新聞紙上で裁判所の判断に異議がないとし、今回の事件について遺憾を表明している」としています。
加藤前支局長は、今月7日の産経新聞の紙面に掲載した手記の中で、「裁判所の見解に異を唱えるつもりはない」とするとともに、「日韓間の大きな外交問題になっていることは私としても本意ではなく、残念なことだ」と記しています。中央地検のコメントはこの手記を踏まえたものとみられますが、産経新聞は遺憾を表明したことはないと反論しています。
一方、韓国外務省の報道官はきょうの定例記者会見で、「この問題は日韓関係とは関係がなく、外交問題化しようとするのは望ましくないという立場に変わりない」と述べるにとどまり、今後の日韓関係への影響などへの言及は避けました。
加藤前支局長は、今月7日の産経新聞の紙面に掲載した手記の中で、「裁判所の見解に異を唱えるつもりはない」とするとともに、「日韓間の大きな外交問題になっていることは私としても本意ではなく、残念なことだ」と記しています。中央地検のコメントはこの手記を踏まえたものとみられますが、産経新聞は遺憾を表明したことはないと反論しています。
一方、韓国外務省の報道官はきょうの定例記者会見で、「この問題は日韓関係とは関係がなく、外交問題化しようとするのは望ましくないという立場に変わりない」と述べるにとどまり、今後の日韓関係への影響などへの言及は避けました。
今後の裁判は
加藤前ソウル支局長の裁判は、ソウル中央地方裁判所でこれまでに5回の審理が開かれています。去年11月の初公判で、前支局長は「パク・クネ(朴槿恵)大統領個人を誹謗(ひぼう)する意図は全くありません」と述べて起訴された内容を否認し、争う姿勢を示していました。これまでの審理で検察側は、元秘書の男性らを証人として出廷させるなどして、大統領と会っていた事実はないと主張したのに対し、弁護側は、男性らの証言は信ぴょう性に欠けるとして、大統領府への事実照会などさらなる調べを求めました。しかし、先月30日の公判で裁判長は「男性が大統領に会っていたとする被告のコラムの内容は虚偽だ」との見解を初めて示しました。
14日、ソウル中央地方検察庁が出国禁止措置を解除した理由について、「裁判の重要な争点についての審理が終わっている」としたのは、これを踏まえてのこととみられます。裁判長は、弁護側に対し、今後は、コラムが公共の利益に合致するのかや、大統領を誹謗する意図がなかったのか、言論や報道の自由に関わるのかという観点から弁論を集中するよう求めています。来週20日に予定されている次の公判からは、こうした論点を中心に審理が行われる見通しです。
14日、ソウル中央地方検察庁が出国禁止措置を解除した理由について、「裁判の重要な争点についての審理が終わっている」としたのは、これを踏まえてのこととみられます。裁判長は、弁護側に対し、今後は、コラムが公共の利益に合致するのかや、大統領を誹謗する意図がなかったのか、言論や報道の自由に関わるのかという観点から弁論を集中するよう求めています。来週20日に予定されている次の公判からは、こうした論点を中心に審理が行われる見通しです。