なぜ未知なる数字を「X」で表すのか? 学校で習ってから現在に至るまで、ごく日常に存在するXですが、その由来は意外にもアラビア語にありました。思想家Terry Moore(テリー・ムーア)氏が説く、X誕生の歴史とは?(TED2012より)
【スピーカー】
思想家 Terry Moore(テリー・ムーア) 氏
【動画もぜひご覧ください!】
Terry Moore: Why is ‘x’ the unknown?
Xの起源を探る
テリー・ムーア氏:誰もが気になっている疑問に答えましょう。「なぜ未知なる数字をXで表すのか?」ということです。確かに数学の授業でそう習いますし、世の中のいたるところで目にします。「Xプライズ」「Xファイル」や「プロジェクトX」、「TEDx」などです。これらのXはどこから来たのでしょうか?
6年程前にアラビア語を学んでいた時に、そのことばが極めて論理的な言語だと知りました。
アラビア語で文章や単語を書くことは、まるで方程式を作るようでした。個々の単語は極めて正確であり、多くの意味を持っています。これが一因でもありますが、西洋発と考えがちな科学や数学、工学の多くが、実際は紀元後初めの数世紀の間に、ペルシャ人やアラブ人、トルコ人によって既に生み出されていたことがわかっています。
アラビア語で“al-jebr”と呼ぶ手法も同じ構造です。“al-jebr”とは「バラバラな部分を組み合わせる手法」を意味します。この言葉は英語の“algebra”は「代数学」の元となっており、既に生み出されていたほんの1例です。
発音が難しい、アラビア語の存在
この数学的知見を含むアラビア語の文献は、11~12世紀にスペインへ伝わり、その後ヨーロッパの言葉に翻訳されることになりました。
ただしアラビア語の発音は、ヨーロッパ人にとって相当練習しない限り難しいという問題がありました。私にとっても難しいものでした。さらにはその発音の多くが、ヨーロッパ諸言語の文字では表すことができませんでした。
発音の難しい音の1つがこれです。
これは「シィーン」という文字で、英語のSHの音、すなわち「シ」を表します。またこれは“shalan(何か)”の最初の文字であり、英語の“something(ある不特定で未知のもの)”と呼応します。
アラビア語においては、この“shalan”に定冠詞である“al” を付けて、限定表現の“al-shalan(その未知のもの)”という表現をします。この言葉は、初期の数学の世界において頻繁に見られます。
例えば、この10世紀のルートの解き方において見る事ができます。
スペイン語にない音
翻訳にあたった中世スペインの学者が直面した問題は、文字「シィーン」や単語“shalan”をスペイン語にできないことでした。なぜならば、スペイン語には「シ」の音がないからです。そこで彼らは慣例にならい、ルールを作りました。
古代ギリシャ語からCKの音、「カイ」の文字を借りたのです。
その後、ヨーロッパ共通の言語であるラテン語に翻訳する際に、ギリシャ語の「カイ」をそのままラテン文字であるXに置き換えました。
これがラテン語に加わり、ほぼ600年間に渡って数学の教科書の基礎になったのです。これで最初にお話した疑問が明らかになりました。なぜ未知なる数字をXで表すのか? その理由は、スペイン語で「シ」と発音できないからです。これは伝える価値があると思います。
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