【ソウル=加藤宏一】韓国政府は14日、朴槿恵(パク・クネ)大統領の名誉を毀損したとして在宅起訴された産経新聞の加藤達也前ソウル支局長(48)の出国禁止措置を解除した。出国禁止措置は昨年8月から約8カ月続いていた。加藤氏は14日午後に出国し、日本に帰国する見通しだ。
日本政府は韓国に対し、出国禁止措置は人道上の問題があるとして配慮を求めていた。
韓国検察は、出国禁止措置の解除の理由について「加藤氏がこれまでの裁判に継続して出席し、今後の裁判にも必ず出席すると約束しており、産経新聞も出席を保証している」と指摘。その上で「家族がみな日本におり、家族と離れて過ごしていることから、人道的なレベルで配慮をした」と説明した。
出国禁止措置は昨年8月から始まり、韓国側はこれまで8回にわたり延長。現在の禁止措置の期限は4月15日で、韓国側の対応が注目されていた。
加藤氏は昨年8月、産経新聞のウェブサイトで朝鮮日報のコラムなどを引用し、昨年4月の旅客船「セウォル号」の沈没事故当日に朴大統領が男性と会っていたとされる噂を報じた。
韓国検察は昨年10月、朴大統領らを誹謗(ひぼう)する目的で虚偽の事実を広めたとして、加藤氏を情報通信網法に基づく名誉毀損罪で在宅起訴。昨年11月から始まった公判で加藤氏は無罪を主張している。
韓国に拠点を置く外国報道機関で構成するソウル外信記者クラブは9日、朴大統領に書簡を送り、加藤氏の出国禁止措置が長期化していることに憂慮を表明し、朴大統領に対して十分な考慮を求めていた。
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