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多能性細胞には、京都大の山中伸弥教授が開発した四つの遺伝子を細胞に加えて作る人工多能性幹細胞(iPS細胞)があるが、乳酸菌などバクテリアを使った多能性細胞の開発は初めてという。
関係者はiPS細胞の開発で医療への応用に期待が集まる多能性細胞の可能性を広げる研究成果としている。
乳酸菌は代謝により乳酸を生成するバクテリアで、一部はヒトの体内にいる。熊本大グループは、ヒトの皮膚細胞周辺のタンパク質を除去し、細胞に乳酸菌を取り込ませて培養したところ、細胞が増殖。この細胞が多能性を持つことを試薬で確認した。これまでに5種類の細胞(神経、筋肉、脂肪、骨、軟骨)への分化にも成功したという。
iPS細胞が一定条件下で増え続けるのに対し、この細胞は直径0・3ミリ程度まで成長すると増殖が止まるのが特徴。マウス実験ではがん化も確認されていない。
iPS細胞が多能性を持つようになるメカニズムは未解明で、がん化する可能性も否定されていない。太田准教授は「開発した細胞に、iPS細胞を増殖させる遺伝子を取り込むなどの試みを続けることで、がん化せずに増殖する多能性細胞ができるかもしれない」と話す。
研究論文は26日、米科学誌プロスワン電子版に掲載された。山中教授が委員長を務める文部科学省iPS細胞等研究ネットワーク運営委員会委員の須田年生[としお]慶応大医学部教授(幹細胞生物学)は「論文を驚きを持って受け止めた。多能性細胞ができるメカニズム解明に乳酸菌という全く別の視点が加わり、iPS細胞研究の進展や医療への応用につながる可能性がある」と話している。(東寛明)
(熊本日日新聞 2012年12月29日朝刊掲載)
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