高浜原発:再稼働差し止め仮処分、14日に判断 福井地裁
毎日新聞 2015年04月09日 20時11分(最終更新 04月09日 22時52分)
福井県や関西の住民ら9人が関西電力高浜原発3、4号機(同県高浜町)、大飯原発3、4号機(同県おおい町)の再稼働差し止めを求めた仮処分の申し立てで、福井地裁(樋口英明裁判長)は9日、高浜3、4号機についての判断を14日に出すことを住民側と関電に伝えた。
関電は高浜3、4号機の再稼働を今年11月と見込むが、仮に差し止めを認める決定が出れば、決定の取り消し・変更や仮処分の執行停止がない限り再稼働できず、スケジュールへの影響は避けられそうにない。
争点は原発の安全対策など。住民側は申立書で、今回と同じ樋口裁判長が大飯3、4号機運転差し止めを命じた昨年5月の福井地裁判決に触れ、「再稼働で住民の人格権が侵害される危険がある」と主張。関電は答弁書で「多重防護の考えに基づく対策を講じ、安全性は確保されている」と反論している。
関電は樋口裁判長ら裁判官3人の交代を求める忌避を申し立てたが、地裁は却下。住民側によると、名古屋高裁金沢支部も関電の即時抗告を9日付で却下した。【竹内望】
◇最終的判断までに時間
2011年の東京電力福島第1原発事故後、原発の運転差し止めを命じた司法判断は関西電力大飯原発3、4号機の福井地裁判決のみ。関電と住民側の双方が控訴し、名古屋高裁金沢支部で審理中。判決は確定しておらず関電は法律上再稼働できる。
一方、仮処分で原発の運転を差し止めた司法判断はない。判決確定まで効力が発生しない訴訟とは異なり、仮処分は決定が出た段階で効力が生じる。関電側は決定に対して地裁へ異議申し立てができ、その場合は改めて審理される。
異議申し立ての審理結果に不服があれば、さらに双方が高裁へ保全抗告の手続きを取ることができる。しかし、最終的な判断が出るまで時間がかかる。
今回の仮処分を担当する樋口英明裁判長は4月1日付で名古屋家裁判事に異動したが、名古屋高裁が福井地裁判事職務代行の辞令を発令したため、引き続き担当する。【竹内望】